自分の良いところを少しでもアピールしたい面接で短所について聞かれると、どのように答えればよいか迷ってしまう人もいることでしょう。自分のマイナス面である短所は素直に答えないほうがよいと考える人もいますが、隠そうとすると逆効果となる場合もあるので要注意です。この記事では、面接官が短所を聞く理由や面接で答える短所の見つけ方、答え方の例文など、短所の質問に関する情報を一通り紹介するので参考にしてください。


目次
面接官が短所を聞く3つの理由
面接官が短所について聞くとき、単に応募者の短所を知りたくて質問しているわけではありません。通常は、さまざまな意図があって質問しています。ここでは、面接官が応募者に短所を聞く主な3つの理由を紹介するので、面接官が短所の質問を通して何を知ろうとしているのかをしっかり把握しておきましょう。
1.自分を客観的に見れているか
面接官は短所の質問を通して、応募者が長所だけではなく短所もしっかり把握し、質問されても正直に答えられる人であるかどうかを確認している場合があります。応募者に謙虚さや客観性があるかを知りたいからです。人は誰しも完ぺきではありません。長所を持つ反面、短所も必ず備えています。短所はその人の弱点であり、本来であればあまり認めたくない部分です。だからこそ、自分を客観的に見て自身の悪い面にもしっかり向き合い、それをほかの人の前でも素直に認められる人は謙虚な人という印象を与えます。自分の短所に向き合おうともせず自身のよい面しか認めようとしない人と比べて、謙虚な人は上司などから指摘を受けたときに素直に耳を傾けられる可能性が高いため、面接官に好印象です。
2.課題解決能力や向上心があるタイプか
短所は仕事などで失敗を引き起こすリスクを持つものですが、本人がしっかり把握できていれば、日頃から短所をカバーする工夫をしたり、短所の改善に努めたりすることもできます。一方、自分の短所と向き合えていない場合には、短所によって起こり得るリスクも想定できないため、短所が引き起こす失敗への対策も取れません。そもそも自分の短所を知ろうともしない人は実際に失敗を起こしても改善しようとしない可能性が高く、その後も失敗を繰り返す恐れがあります。
短所は誰にでもあるもので、持っているからといって問題はありません。ただし、自分の短所を認めもせず、自分の悪いところを直そうという気持ちすら持っていない人は、向上心がなく、入社しても今後の成長が期待できない人であるとみなされる可能性があります。さらに、面接では自分の短所を受け入れられているかだけではなく、仕事で生じた課題を正しく認識し、課題解決に活かせる能力を持ちあわせているかもチェックされているので気を付けましょう。課題の認識と課題解決力がある人は、短所によるトラブルが発生しても問題を解決につなげやすいからです。
3.自社とマッチする人材か
面接官は、応募者が自社の業務や社風と合った人材であるかを確認するために、短所を聞いている場合もあります。短所といってもその内容はさまざまです。職種や業務内容によってはその人の短所がそれほど仕事に影響を与えない場合もあります。一方で、その短所があることにより、仕事がスムーズにいかないケースがあることも事実です。応募者の短所が業務や社風とマッチしていなければ、入社しても仕事や職場がつらくなるので、離職してしまうリスクは高くなります。
例えば、短所が人との会話が苦手なことや人見知りである人が、接客を主とする業務に就いても結果は出にくいことでしょう。結果が思うように出ないことは、会社にとってだけではなく本人にとってもつらいことです。また、会話が苦手な人にとっては、そもそも毎日人と話さなければならないこと自体が大きな負担となり、会話を苦手としていない人に比べると離職しやすくなります。新たに人を採用するには人手もコストもかかるため、企業からすると従業員の離職はできる限り避けたいものです。そのため、面接官は短所の質問を通して、離職リスクが高くない人であるかどうかを見極めようとしていることがあります。


面接で使える短所の見つけ方
自分の短所を把握することが大事だと解説しましたが、実際にどのようにして自分の短所を見つければよいのでしょうか。ここでは、面接で使える短所の具体的な見つけ方を3つ紹介します。
失敗体験を紙に書き出してみる
面接を受けるにあたって、これまで考えたこともなかった自分の短所を急に見つけようとしても簡単に思い浮かぶものではありません。自分の性格や傾向を客観的に分析することは思っている以上に難しいものです。そのため、自分の短所がなかなか思い浮かばない人は、いきなり短所を探そうとするのではなく、短所につながる過去の失敗を見つけることから始めるとよいでしょう。
自分の過去の経験を振り返り、失敗体験があった場合には紙などに書き出します。失敗には必ず理由や原因があるものです。それぞれの失敗体験はなぜ起きたのか、失敗につながった具体的な理由を考えていくと、自然と自分に足りないものや自分の弱みも見つかります。例えば、「学生時代の部活でいつも大事な場面になると普段の力を十分に発揮できずに失敗をしていた」という経験がある人の場合は、緊張しやすいという短所を持っていることがわかります。
友人や同期に聞いてみる
現在働いている職場の同期や友人、家族など自分を知る周りの人に、自身の性格や印象について聞いてみる方法もおすすめです。面接では自分の短所について自身で客観的に捉えておくことが重要となりますが、自分で短所を探すと主観的な視点からしか捉えられない可能性があります。短所を客観的に把握できていないまま面接に臨むと、面接官から自己分析をできない人とみなされる恐れもあるため要注意です。
「自分のことは自分自身が一番よくわかっている」「他人は自分のことを正しく理解できていない」などと考えて周りの人からの意見を軽んじる人もいますが、第三者の意見は客観的な視点からのものであるからこそ的を射ている場合もあります。他者が自分をどう見ているか把握することが、自分の知らない本当の自分の発見につながったり、自分の短所について裏付けを持って考えられるきっかけになったりする場合もあるため、短所を見つける際には周囲の人の意見も上手に利用しましょう。
長所から短所を見つける
新たに短所を探すのではなく、長所の見方を変えて短所として答える方法もあります。短所は見つけられない人でも、長所を自覚している人であれば使える方法です。そもそも、長所と短所に決して換えることができない真逆の意味を持つイメージを持つ人もいますが、捉え方や言い方次第で、コインの表と裏のように反対の意味に換えることもできます。例えば、「計画性がある」という長所は、先のことを事前にいろいろと考える性格であることから、短所として「心配性」と表現することも可能です。また、「忍耐力がある」という長所は、困難なことが起きたり実現が難しいと思われる状況にあったりしても実現に向けて立ち向かうことを諦めない性格であることから「諦めが悪い」と短所として表すこともできます。


面接でよく使われている短所
人の性質はさまざまであるとはいえ、性質を表現する言葉はある程度、分類できます。ここでは、面接で自分の短所を表すときに多く使用される言葉を具体的に紹介するので、自分の短所を答える際の参考にしてください。まず、行動に関して使用されることが多い短所の表現が「せっかち」「マイペース」です。また、思考に関しては「マイナス思考」「理屈っぽい」「優柔不断」「流されやすい」「頑固」といった表現が多く使用されています。さらに、他人との関わりにおける短所としてよく使用される言葉が「緊張しやすい」「人見知り」「プライドが高い」です。
面接で短所を答える時の注意点
ここでは、面接で短所を聞かれて答える際に気を付けておかなければならない4つのポイントについて解説します
「短所はありません」は絶対にNG
短所が思いつかないからといって、「短所はありません」と答えることは避けなければなりません。会社にとって採用する人は完ぺきな人間であることに越したことはありませんが、短所がまったくない人など実際にはいないものです。自分のマイナス面である短所をあえて自分から伝えることにためらいを感じる人もいることでしょう。できれば短所は知らせず、自分を採用すると期待できるよい面だけをアピールしたいと思うのも自然な考えです。しかし、「短所がない」と答えると、かえって面接官に悪い印象を与える恐れもあります。短所がないと言い切ることによって「事実を隠したりごまかそうとしたりする誠実さに欠けた人」「謙虚さがない人」「自己分析ができていない人」と思われてしまう可能性もあるので気を付けましょう。
社会人のマナーに関わるものもNG
自分の短所をしっかり把握して面接官に正直に伝えることは大切です。ただし、伝える短所は面接で使っていいものを選ぶ必要があります。例えば、「嘘をつく」「マイナス思考である」「時間を守れない」といった短所を実際に持っていたとしても、それをそのまま伝えることには注意が必要です。嘘をつくことや時間にルーズであることは、本来社会人であればあってはならない言動のため、社会人としての基本的なこともできない人と評価されて採用してもらえない可能性もあります。物事を否定的に捉える考え方を持っていることも含めて、明らかに仕事に支障をきたすと思われる短所は、たとえ事実ではあっても面接で伝えてはなりません。今後改善が期待できる短所や面接官に共感を持って受け入れてもらえそうな短所だけを選んで伝えることが大事です。
体のコンプレックスも選ばない
面接で伝える短所は今後改善が期待できるものを選ぶことが大事ですが、「背が低い」「持病がある」といった体のコンプレックスに関することも、本人の努力次第で改善できるものではないため、短所として伝えてはなりません。そもそも短所とコンプレックスは似ているようで、正確には意味が異なります。短所は劣っているところを意味する言葉ですが、コンプレックスは一般的に劣等感を表す言葉として使用されていて、劣等感とは自分が劣っているという感情を意味する言葉です。劣っているところ自体を示す短所と、劣っていると思う感情を示すコンプレックスでは意味が異なるため、混同しないように注意しましょう。
応募先の職種で関係のないものを選ばない
面接で答えるときには、なぜ面接官がそのような質問をしているのかをしっかり考えることが大事です。面接で短所について質問をするとき、面接官には、応募者が自社の仕事に適した人材であるかを見極めたい意図があります。そのため、応募した職種や会社に関係のない短所を答えることは、面接官の意図に反する対応です。例えば、「足が遅い」「家事ができない」といったことは確かに短所ではありますが、通常であれば仕事に影響を与える内容ではありません。企業にとって知りたい情報ではないため、大事な面接の時間に意味のない応答をすることになります。場合によっては、面接官の意図を読み取らない答えをしたとして、理解力やコミュニケーション能力が劣っているとみなされる恐れもあるので注意しましょう。


面接時に使える!短所を伝える時の例文
最後に、面接で悪い印象を与えないように自分の短所を伝える言い方の例を2つ紹介します。面接で質問を受けた際には、基本的に1~2分で答えられるように内容をまとめることが必要です。答える際には、最初に結論を述べて、次に結論の裏付けとなるエピソードを紹介し、その後に具体的な改善策を述べて終わります。ここまでの流れのセットが基本の構成となります。
「計画性がない」場合の例文
私の短所は計画性がないことです。かつて、提出期限があった上司への提案書を期限に余裕があるからと考えて、計画も立てずに取りかかり、結果としてぎりぎりに慌てて作成したことがありました。そのとき、提出自体は期限に間に合いましたが、時間がないなかで取り掛かった大変さや、慌てて取り掛かったことによって十分な力を発揮できず、いくつか抜けもあったことなどへの後悔から、その後はレポートの提出のみならず、やらなければならない業務は時間に余裕を持って計画的に取り組むようにしています。
具体的に取り組んでいるのは、業務を受けたらその都度、優先順位を考えてスケジュールを組立て、たとえ余裕があるときでも必ずすべてスケジュール通りに進める対策です。この対策を取るようになったことで、これまで予定外の業務を急に任されたことも何度もありましたが、普段からすべてにおいて余裕を持ったスケジュールで業務を進めているため、社内外での期限に遅れたことはもちろん、業務を中途半端な状態で終わらせて後悔したことも一度もありません。
「人見知り」の場合の例文
私の短所は人見知りをすることです。大学時代に高齢者のお世話をするボランティア活動に参加していたのですが、参加した当初は年齢の離れた相手にどのように話しかけていいのかわからず、高齢者が必要とするタイミングで手助けできなかったりお世話をしている高齢者から逆に気を遣ってもらったりしたりなどして、自信を失いかけたこともありました。しかし、高齢者の方に役に立ちたいと思って参加したにもかからず、このような姿勢で取り組んでいては意味がありません。
そこで、一緒にボランティア活動を行う先輩が高齢者に対してどのように話しかけているのか、どの人とどのような話題で盛り上がっているのかを観察し、先輩の接し方を参考にしながら自分から積極的に声をかけるように努めてみました。最初は、先輩の見よう見まねの会話からのスタートでしたが、会話を重ねるうちに次第に高齢者とも上手に会話ができるようになり、最終的には多くの高齢者と親しくなって頼ってもらえるようになりました。このときの経験から、最初はうまく関係を築けないと思われる相手でも、地道な日々の積み重ねによってよい関係を築ける可能性があることを実感したため、今後、仕事でどのような相手と関わったときにも、あきらめずに自ら積極的にコミュニケーションを取り続け、よい関係を築けるように心がけたいと思っています。
短所で面接官にアピール!前向きに伝え、謙虚な印象を与えよう
短所は誰しもが持っているものなので、話すことを恥ずかしいなどと思う必要はありません。面接の際に短所を隠すとかえって面接官の印象を悪くなる場合もあるため、素直に伝えるようにしましょう。ただし、社会人としての評価を落とさないためにも、伝える内容は上手に選ぶことが大切です。また、ただ短所がある事実だけではなく、今後改善する意思があることもあわせて前向きな表現で伝えることもポイントとなります。
