転職活動における面接は、採用の可否を左右する重要なイベントです。そのため、気合いを入れて指定時刻よりも早く面接会場に向かう人も多いものです。ただ、あまりにも早く到着すると、逆効果になってしまうおそれがあります。そこで、この記事では面接で時間を厳守する重要性や面接会場への適切な到着時間、待ち時間の過ごし方や遅刻しそうなときの対処法など、面接の到着時間における基本的なマナーについて解説します。


目次
転職面接で時間を守ることの重要性
転職時の面接において、時間を守ることは非常に重要な要素となります。なぜなら、ビジネスシーンにおいて時間管理は基本中の基本となるためです。約束した時間を守れないと「仕事ができない人」「時間管理ができない雑な人」などのようにネガティブな印象を与えやすくなります。こうした印象は採用の合否にも影響をおよぼします。せっかく万全な準備をして面接に臨んだものの、時間管理ができず悪い印象を与えてしまっては採用が遠のく原因となるでしょう。それに、そもそも面接とは「応募先企業の採用担当者がわざわざ時間を割いて対応してくれるもの」です。
ほかの仕事を抱えつつ、自分との面接のために貴重な機会を設けてくれていることを念頭に置く必要があります。相手に迷惑をかけないためにも、社会人としてしっかりと時間を守ることが求められます。また、すでに社会人経験のある中途採用者には、基本的にビジネスマナー研修が行われません。社会人としての基本的な立ち振る舞いが身に付いていることが前提となるため、面接では特にマナー面が重視されやすい傾向にあります。
面接日までに確認しておくべきこと
面接は書類の準備など、何かとやることが多く精神的なストレスがかかりやすいものです。また「面接会場までどう行くのか」「道に迷わないだろうか」など、面接に行くことそのものにストレスを感じる人もいます。特に面接会場のエリアに土地勘がなかったり、まったく行ったことがなかったりすると、不安が募るものです。少しでも面接当日の不安を和らげ、スムーズに会場に到着できるよう、事前に会場までの移動手段・公共交通機関の時刻表・会場までの最寄り駅を下調べしておきましょう。
車で移動する予定の場合は、面接会場周辺に駐車場があるか調べておくと安心です。もし時間やスケジュールにゆとりがある場合は、実際に面接会場まで行ってみることがおすすめです。自宅からの所要時間や道順、面接会場の入口まで実際に自身の目と足で確認しておくと、安心して当日を迎えられます。また、面接当日の天気や交通情報などもあわせて確認しておく必要があります。これは、天候によって公共交通機関が運休や遅延となったり、道路が渋滞したりする可能性があるためです。面接当日の天候をきちんとチェックしておきましょう。
それでも、不測の事態は起こるものです。何かトラブルが発生したとき速やかに連絡できるよう、応募先企業の情報を整理しておくことも大切です。スムーズに連絡事項を伝えられるよう、企業の電話番号や採用担当者の名前などを確認し、メモに書き記しておきましょう。


要注意!早すぎる到着はマナー違反
面接当日に遅刻しないよう「早めに行動しよう」と心がける転職者も多いのではないでしょうか。面接の時間を守ることは社会人としての基本であり、余裕を持った行動はもちろん大切です。しかし、転職活動では「あまりにも早く面接会場に到着することは避ける」のが無難といえます。なぜなら、面接会場に早く着きすぎてしまうと、応募先企業に迷惑がかかってしまう可能性があるためです。面接を行う採用担当者はほかの業務も行っています。面接のためだけに1日スケジュールを空けているケースは少なく、面接前に別の業務を行っている可能性が高いでしょう。
約束の時間よりも早く面接会場に着くと採用担当者は予定が狂い、それまでの業務を中断しなければならず、迷惑がかかるおそれがあります。それに、なかには面接のために会場設営や資料作成などの準備が必要な企業もみられます。早く面接会場に着いても、そもそも準備ができていない場合があるため注意が必要です。面接は同日にほかの応募者とまとめて行われることも多く、前の面接が終わっていない可能性もあります。このように、早すぎる到着は応募先企業にとって迷惑がかかることがあるので避けましょう。応募先企業の都合を考慮し、時間配分を考えて行動することが肝要です。
面接までのタイムスケジュール
面接を成功させるためには、適切なタイムスケジュールを考えることが重要になります。ここでは、面接会場への最適な到着時間や面接当日のタイムスケジュールについて見ていきましょう。
【15~30分前まで】面接が行われる建物前に到着する
面接当日のタイムスケジュールとして、まず考えておきたいのが「何分前に面接会場周辺に到着しておくか」ということです。基本的には「面接が始まる時間の15~30分前」を目安に、面接会場の周辺へ到着できるよう逆算して家を出ましょう。ここでいう面接会場の周辺とは、面接会場が入っている建物やその入口付近、建物が見える範囲を指します。面接開始時刻ギリギリでの到着を予定すると、電車が遅延したり、道に迷ったりするなどのトラブルが発生したときに遅刻するおそれがあります。15~30分間に面接会場の周辺に到着できるよう、タイムスケジュールを考えましょう。
なお、面接の約束の時間よりも早く到着したからといって、面接会場の周辺をウロウロすることは避けたほうが無難です。なぜなら、面接会場付近をウロウロしていると、応募先企業の関係者の目に留まる可能性があるためです。早く到着した場合は面接会場から少し離れた場所で時間をつぶすことが基本となります。周辺にある飲食店に入って気持ちを落ち着けたり、周辺を散策してみたりすると良いでしょう。
【10分前まで】面接が行われる建物に入る
面接開始時刻の10分前を切るくらいのタイミングになったら、建物のなかに入って面接会場の受付を目指しましょう。応募先企業以外にもテナントやオフィスが入っている大型ビルの場合、エレベーター待ちやビル内の移動などで時間がかかる可能性があります。受付に辿り着くまでに時間がかかることも考慮し、時間配分を考えましょう。面接会場の受付まですぐに辿り着ける場合は、面接開始時刻の5分前になるまで待機していても問題ありません。面接会場の建物や受付までの距離など、さまざまな点を考慮して臨機応変に対応しましょう。
【5~10分前】面接会場で受付をする
面接開始時刻の5~10分前になったら会場まで行き、受付を済ませます。受付の方法は企業ごとに異なるので、事前の案内をよく確認しておくことが大切です。受付ではスムーズに採用担当者に取り次いでもらうため、必要な情報を簡潔に伝えます。具体的には「面接で来たという訪問の目的」「約束の時刻」「訪問先企業・部署・担当者名」「自分の氏名」などを申し出ましょう。面接の案内に採用担当者のフルネームが記載されていた場合、同姓同名の社員が在籍している可能性があります。この場合は、受付時もフルネームで伝えると安心です。
もし受付が無人だった場合は、インターホンや内線電話などで担当者に連絡しましょう。入口付近にいる従業員に声をかける方法もあります。これらの受付方法においても、必要な事項を簡潔に伝えれば問題ありません。5~10分前に面接会場の受付を済ませるタイムスケジュールであれば、早すぎず遅すぎず良い頃合いです。応募先企業に迷惑をかける心配もないでしょう。なお、冬場の面接で注意したいのが「コートを脱ぐタイミング」です。コートを着用している場合は、受付前に脱いでおくことがマナーとなります。
寒いからといって、建物内でコートを脱がないようにしましょう。ほかのテナントが入っているような大型ビルの場合は、エントランスで脱いでも問題ありません。企業の受付などで用件を伝える前に、コートを脱ぐよう覚えておきましょう。
【面接直前】控室で静かに待つ
受付を済ませたあとは、その企業ごとの案内や指示に従って静かに待機します。一般的には控え室などの待機場所に案内されるケースが多いでしょう。面接直前の待機中は、気を抜かないようにすることがポイントとなります。待機中も常に応募先企業の関係者に見られているという認識を持ち、だらしない姿や行動を見せないようにしましょう。待機中は時間をつぶすためにスマホを操作したり、履歴書や職務経歴書などの書類を見返したりしたくなるものです。しかし、スマホ操作や書類を広げる様子は、落ち着きのない印象を与えるおそれがあります。正しい姿勢で静かに声がかかるのを待ちましょう。また、待機中に企業関係者と対面したり目が合ったりした場合は、軽く会釈します。


面接会場に早く到着したときの過ごし方
面接会場に早く到着しすぎると、応募先企業に迷惑をかけるため会場周辺のカフェや公園などで適切な時間まで過ごす必要があります。ただ、何をして時間をつぶせばいいのか、悩む人もいるでしょう。ここでは、面接会場に早く到着したときのおすすめの過ごし方を紹介します。
面接対策の仕上げをする
面接会場に早く到着した場合は「面接対策の仕上げをする」過ごし方がおすすめです。面接直前の空き時間は、対策の総仕上げに最適です。持参した履歴書や職務経歴書のコピーを見て、内容を確認しましょう。内容を再確認することによって、面接本番で何を話すか焦るリスクを減らせます。また、想定される質問と回答のシミュレーションを行ったり、応募先企業のWebサイトをチェックしたりすることも有意義な過ごし方です。採用担当者から「最近気になるニュースはありましたか?」などの時事ネタを振られることもあるため、ニュースを確認しておくのも面接対策として有効でしょう。
身だしなみを整える
面接では第一印象が非常に重要な要素となります。だからこそ、時間に余裕があるのなら「身だしなみの最終チェック」をしておきましょう。身だしなみを完璧に整えた状態で自宅を出発したとしても、天候の影響でヘアセットや服装が乱れてしまうこともあります。また、季節によっては汗をかき、気付かぬうちにだらしない見た目になってしまうこともあるでしょう。面接開始時刻までに駅やコンビニのトイレなどに入り、鏡で身だしなみをチェックすることがおすすめです。時間をつぶしているときにスーツに汚れやシワがつくことも想定して、全身が映る鏡でチェックすると安心です。細部まで丁寧にチェックし、好印象を与えられる見た目を目指しましょう。


面接に遅刻しそうなときの正しい対処法
どんなに注意しているつもりでも、やむを得ず面接に遅刻してしまうこともあります。もし面接に遅刻そうなときはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、面接に遅刻しそうなときの正しい対処法とやるべきことを順番に解説します。
手順1.できるだけ早く電話で連絡する
何らかの事情によって遅刻するのは仕方のないことです。とはいえ、連絡をせずに遅刻したり、面接を勝手にキャンセルしたりすることはマナー違反です。応募先企業に失礼にあたるため、避けるようにしましょう。面接の開始時刻に遅刻しそうなときは、できるだけ早い段階で採用担当者に連絡することが基本です。このとき、ポイントはメールではなく電話で連絡をすることです。メールは採用担当者がチェックせず、連絡を見落とす可能性があります。連絡手段として確実性の高い電話を選び、要件を漏れなく伝えましょう。
電話では遅刻しそうな状況であることとその理由、謝罪の言葉と到着予定時刻などを簡潔に伝えます。もし災害や事故に巻き込まれるなど大規模な遅延が予想され、到着時刻が予想できない場合は、その旨を相手に伝えましょう。時間をずらして面接をしてもらえるか、もしくは後日、面接日を再調整してもらえるかなど、企業側と相談してその指示に従います。
手順2.面接会場で謝罪する
遅刻したという理由だけで不採用になるとは限りません。とはいえ、どうしてもマイナスイメージからのスタートとなることは覚悟しなければならないでしょう。少しでもイメージアップや挽回を図るためには、マナーを守った対応を心がけることが大切です。誠意ある態度で真摯に謝罪の気持ちを伝えるよう心がけましょう。そのためには、電話で一度伝えていても、改めて面接会場で採用担当者に謝罪の気持ちを伝えることがポイントとなります。深く頭を下げて謝罪し、あわせて面接の機会を与えてくれたことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
手順3.面接後にフォローメールを送る
遅刻後に面接をしてもらえた場合は、その日のうちに改めてお礼とお詫びを伝えるため、フォローメールを送って誠意を示しましょう。どのような事情があった場合でも、遅刻によって企業や採用担当者には大きな迷惑をかけたことになります。電話や面接における口頭の謝罪はもちろん、それとは別に文面で正式な謝罪とお礼を伝えることが大切です。なお、フォローメールを送る場合、文面は簡潔にまとめることがポイントとなります。遅刻の言い訳を長々とするのではなく、あくまでも遅刻したことへの謝罪と面接へのお礼、入社への熱意を伝えましょう。
下調べや早めの行動が肝心!余裕をもって面接に臨もう
面接は選考に大きく関わる重要なものです。だからこそ、約束の時間までに確実に面接会場に到着しておくことが重要といえます。ただ、あまりにも早く到着し過ぎても、応募先企業や採用担当者に迷惑をかけてしまうため注意が必要です。面接会場までの移動手段やかかる時間など、きちんと下調べをしてタイムスケジュールを考え、早めの行動を心がけましょう。
