転職活動の際に応募書類として提出する履歴書には免許や資格を書く欄がありますが、履歴書の作成を進めるなかで記入できる免許や資格が思いつかず書く手が止まってしまう人も多いでしょう。
ただし、自動車免許も免許や資格を書く欄に書ける立派な免許です。所持者であれば書いたほうが良い場合も多いのです。そこで、本記事では自動車免許の具体的な記入基準や正しい書き方について記入時の注意点とともに解説します。


目次
自動車免許は履歴書に書くべき?
自動車免許は履歴書の免許や資格を書く欄への記入が一般的にも認められていますが、実際に記入すべきかどうかは状況によって変わります。ここでは、記入したほうが良いケースと記入の必要がないケースを具体的に紹介するので、迷っている人は参考にしてください。
記入したほうが良いケース
まず、必ず記入したほうが良いケースは、応募先の企業で自動車免許を取得している人材を求めている場合です。募集要項に必須あるいは優遇する資格として自動車免許を挙げている会社に応募する場合には、該当する自動車免許を履歴書の免許や資格を書く欄にしっかり記入しておきましょう。
一方、募集要項に自動車免許の取得が必須である旨や取得者を優遇する記載がない場合でも、書いたほうがよいケースはあります。入社したら車を運転する可能性がある職種や業界に応募する場合です。
たとえば、介護業界で働くとデイサービスの送迎のときに、不動産業界で働くと物件の内見時のお客様の送迎時に車を運転する可能性があります。また、営業職に就けば外回りで自動車免許が必要となる場合もあるでしょう。
入社してすぐに自動車免許を必要とする業務を担当しなくても、将来異動して必要となる可能性もあります。同じような条件の人であれば、対応できる業務の範囲が広い人のほうが選考では有利です。
そもそも、履歴書を作成する際には、できる限り空欄を作らないほうがよいとされています。記入が多い人のほうが企業は応募者の素質を知ることができ、熱意も感じやすいからです。免許や資格を書く欄もできる限り埋めたほうがよいため、ほかに記入できる免許や資格を持っていない人は、自動車免許を書いておくとよいでしょう。
記入しなくても問題ないケース
自動車免許はアピールにもなり得るしっかりした免許ですが、それでも記入する必要がないケースもあります。まず、ほかにたくさんの免許や資格を所持している場合です。
履歴書の免許や資格を書く欄のスペースには限りがあり、所持している免許や資格が多い人は記入するものを絞り込む必要があります。通常は、取得時の難易度や応募する企業または業務への関連性が高いものを優先的に記入するため、自動車免許よりも記入すべき資格や免許が多く、自動車免許を書くスペースがなくなってしまった場合には無理して書く必要はありません。
また、自動車免許と一言でいっても、いろいろな種類の免許があります。複数の自動車免許を取得している場合には必ずしもすべてを書く必要はなく、上位の免許だけ書いて下位の免許は省略することが一般的です。たとえば、中型免許と普通免許を両方取得しているケースでは、普通免許は記入せず、中型免許だけを書きます。


履歴書に自動車免許を記入する前に確認すること
ここまでの話を踏まえたうえで自動車免許の履歴書への記入は必要と判断した場合には、書く前に次の3つの点について確認しておきましょう。
自動車免許の取得時期を確認する
履歴書の免許や資格を書く欄には、取得している免許や資格の名称だけではなく、それぞれの取得年月の記入も必要です。そのため、履歴書を作成する前に、自分が自動車免許を取得した年月を確認しておかなければなりません。正しく記憶していない場合には、運転免許証で確認することも可能です。
運転免許証の表面を見ると、左下に「二・小・原」「他」「二種」の記載があり、その右横に年月日が書かれています。「二・小・原」は二輪・小型特殊自動車・原付、「他」は一種二輪以外を意味し、横にある日付はそれぞれの取得年月日を示しています。
ちなみに、一般的な普通自動車免許が該当するのは「他」です。普通自動車免許の取得年月を確認したい場合には、「他」の右に記載されている日付を確認しましょう。
ただし、複数の免許を持っている人の場合は、運転免許証で取得年月を確認する際に注意が必要となります。運転免許証の左下で区分されている免許の種類で同じカテゴリ内に該当する免許を2つ以上所持している場合、その横に記載されている日付は最初に取得した自動車免許の取得日となっているからです。運転免許証への記載がない2番目以降に取得した免許の取得時期は、運転免許センターなどで交付されている運転免許経歴証明書で確認できます。
自動車免許の種類を確認する
自動車免許には複数の種類があり、どの種類の免許を所持しているかによって対応できる業務が変わります。そのため、履歴書には具体的な免許の種類を書くことが必要です。自分が取得している免許の正確な種類は履歴書を書く前にしっかり確認しておきましょう。
ちなみに、自動車免許の種類は、大きく第一種運転免許と第二種運転免許の2種類に分かれていて、さらに、それぞれについて大型や中型、準中型、普通など細かく分類されています。その種類の数は全部で15種類です。
このうち自分がどの種類の免許を所持しているかを知りたい場合には、運転免許証の表面中央下部にある「種類」と記載された欄で確認できます。14個に分かれた枠のなかに、具体的な免許の種類の記載があるものはすでに取得しているもので、「-」の表示があるものは所持していない免許の種類です。免許の種類は15種類あるのに枠の数は14個しかないのは、けん引に関する2つの免許のみ、1つの枠にまとめられているからです。
自動車免許の正式名称を確認する
正式な書類である履歴書では本来の正しい名称で書くことがマナーです。免許や資格の記入についても例外ではないため、自分が所持する自動車免許の正式な名称は前もって確認しておきましょう。
先述したとおり、自動車免許は15種類ありますが、いずれも運転免許証などでは略称で記載されています。運転免許証の通りに履歴書に記入すると、略して書いたことになるため注意しましょう。
正式にいうと、まず「大型」は「大型自動車免許」、「中型」は「中型自動車免許」、「準中型」は「準中型自動車免許」です。また、「普通」は「普通自動車免許」、「大特」は「大型特殊自動車免許」、「大自二」は「大型自動二輪車免許」です。さらに、「普自二」の正式名称は「普通自動二輪車免許」、「小特」は「小型特殊自動車免許」、「原付」は「原動機付自転車免許」です。
そして、「大二」「中二」「普二」「大特二」はそれぞれ「大型自動車第二種免許」「中型自動車第二種免許」「普通自動車第二種免許」「大型特殊自動車第二種免許」が正式な名称となっています。運転免許証の種類欄で同じ枠にまとめられている「引」と「引二」の正式名称はそれぞれ「牽引免許」と「牽引第二種免許」です。


自動車免許の正しい書き方
履歴書に自動車免許を記入するための事前の確認が終わったら、実際に履歴書への記入を始めます。履歴書の構成はメーカーなどによって異なりますが、免許や資格を書く欄は記入項目が「年」「月」「免許・資格など」の3つに分かれていることが一般的です。そのため、「年」と「月」の枠には取得年月を、「免許・資格など」の枠には自動車免許の正式名称を書き入れます。
たとえば、普通免許を令和3年1月に取得した場合には、「年」と「月」の枠に「令和3年1月」、「免許・資格など」の枠には「普通自動車第一種運転免許 取得」のように記入するとよいでしょう。
取得日の年表記は和暦でも西暦でも問題はありませんが、履歴書のほかの項目や職務経歴書で書いた表記の方法と統一することは必要です。和暦と西暦のどちらの表記方法で書くかを統一せず、項目や書類によって書き方を変えていると、人事担当者がいつの出来事であるかをすぐに理解しにくくなります。
また、表記方法を統一しない書き方は、物事に対する姿勢が雑で注意力が不足している人というマイナスの印象を人事担当者に与える恐れがあるため注意しなければなりません。そして、自動車免許に限らず、免許や資格を書く欄に複数の免許や資格を書く場合には取得年月の古いものから順に記入しましょう。
履歴書に自動車免許を記入する際の注意点
最後に、履歴書に自動車免許を記入する際に気を付けるべきポイントを5つ紹介します。
普通自動車免許は取得時期で運転できる車が変わる
同じ普通自動車免許の取得者でも免許の取得時期によって運転できる車が異なるため、気を付けなければなりません。2017年に道路交通法が改正され、改正前にはなかった「準中型自動車免許」という新たな免許の種類が追加されました。これにより、普通自動車免許の所持で運転が認められる車の車両総重量と最大積載量が変更されています。
改正前は普通自動車免許を所持していれば車両総重量5.0t未満、最大積載量3.0t未満の車を運転できましたが、法改正によりそれぞれ縮小されたため2017年以降の取得者は車両総重量3.5t未満、最大積載量2.0t未満の車でなければ運転できません。
このように、普通自動車免許には対応できる運転の範囲が分かりにくい点もあるため、履歴書には運転できる車がわかるように補足しておくと親切です。
たとえば、普通自動車免許を法改正の前に取得している場合には、3.5t未満しか運転できない現行の免許との違いを明確化するために「普通(現5t限定準中型)自動車免許」などと明記しておくのもよいでしょう。
仮運転免許は記載しない
仮運転免許は履歴書へ記載するべき免許ではないため注意しましょう。自動車免許では正式な免許が発行される前段階で仮運転免許が発行されます。ただし、仮運転免許は名前のとおり、あくまでも仮に発行される免許です。自動車教習所で路上練習ができる資格を与えられているだけで、公道での自由な運転は許されていません。
公道で自由に運転できなければ、業務に役立てられないため、履歴書に仮運転免許を書いても採用で有利になる可能性はほとんどないでしょう。ただし、近いうちに正規の自動車免許を必ず取得できる見込みがある場合には、その旨を履歴書に書いても問題はありません。


ペーパードライバーは備考欄に記入する
自動車免許は取得しているものの、実質はほとんど運転していないペーパードライバーの場合、履歴書に書いていいか迷う人もいることでしょう。結論を先にいうと、ペーパードライバーでも履歴書への自動車免許の記入はできます。
運転技術の勉強をした経験があることや免許を所持していることはうそ偽りのない事実だからです。免許や資格を書く欄に書かれた内容は、現状のスキルだけではなく、免許を取得するまでの努力の過程に対しても評価の参考にすることがあります。
ただし、免許を取得していても運転経験に空白期間があるペーパードライバーは実際に自動車免許を仕事に生かせるかわかりません。入社後のトラブルを防ぎたいなら、履歴書の備考欄にペーパードライバーである旨を補記しておくか、面接のときに面接官に伝えておいたほうが安心です。
ただ、せっかく取得した自動車免許を無駄にしないためにも、採用してくれた会社でしっかり免許を仕事に生かすためにも、運転する可能性が高い仕事への内定が決まったら、できる限り車の運転に慣れておくようにしましょう。
AT限定は限定条件を明記する
自動車免許にはAT車限定で運転が認められているAT限定免許と、AT車も含めて運転できるMT車がありますが、日本では市販されている車の多くがAT車であることからAT限定免許を取得している人が多い傾向にあります。
そのため、所持している自動車免許がAT限定免許であっても特に珍しいことはなく、普段の生活のなかで限定的な免許であることを意識する機会は少ないのが実際です。
ただし、履歴書に書く際には、どちらの免許であるかを意識することが必要となります。業務がMT車を運転する内容だった場合には、AT限定免許は役に立ちません。企業側が運転業務で活躍できることを評価して採用した場合には、後々トラブルに発展する可能性もあります。
そのため、運転が限定されている人は、履歴書に「普通自動車第一種運転免許(AT限定)」などと明記しておいたほうが安心です。就職活動や転職活動をするにあたり、MT免許が必要と感じたら、自動車教習所で免許の限定を解除する教習を受講したり、運転免許試験場で審査を受けたりして、AT限定を解除しておくのも良いでしょう。
免許停止期間が入社後も続く場合は申告する
交通違反や交通事故などを起こして免許停止の処分が科されると、処分の期間中は運転ができなくなります。ただし、現状は運転できなくても自動車免許を失ったわけではなく、所持していることに変わりはありません。
そのため、履歴書に自動車免許を記入することは可能です。ただし、運転できない免許停止期間が入社後も続く場合には、事前に企業へ伝えておく必要があります。入社後運転できないことが業務に影響する可能性もあるからです。後でトラブルにならないようにするためにも、免許停止中の場合にはその旨を履歴書の備考欄に記載したり、面接時に面接官へ伝えたりしておきましょう。
一方、免許停止期間が入社前に終了する場合には、業務に影響を与えることはないため、企業に自ら申告する必要はありません。ちなみに、免許停止処分を科された日から停止期間の半分の日数が経過する前までであれば、任意の停止処分者講習を受けて、考査で一定以上の成績を出すことにより停止期間を短くできます。
自動車免許は立派なアピール材料!履歴書に正しく記載しよう
自動車はさまざまなビジネスシーンで使われていて、一見関わりがないと思われる職種でも自動車を運転できることによって活躍できる場合もあります。自動車免許は就職や転職活動でアピールとなり得る立派なスキルのひとつであるため、基本的には履歴書に記入しておくようにしましょう。ただし、自動車免許の種類を正式名称で書くといった基本的なマナーを守り、紹介した注意点などにも十分に気を付けて記入することが大切です。
