転職活動でも選考が進むと面接が行われるのが一般的ですが、「新卒時に経験しているから」と面接を軽視している人もいるのではないでしょうか。しかし、転職では企業から求められるレベルも上がるため、入念な事前準備や練習が欠かせません。本記事では、転職の面接対策の重要性や面接の基本マナーの復習を踏まえ、転職面接でよくある質問や具体的な面接の練習方法などを紹介します。


目次
転職なら面接対策は必要ない?
社会人経験があれば面接くらい何とでもなると過信するのは禁物です。転職でも面接対策は重要です。社会人になると他社を訪問する機会も多く、初めて行く場所での面接もスムーズに乗り切れると考えがちですが、いざ本番になると緊張感からうまく対応できなくなる人も少なくありません。転職面接では、応募者が社会人としてのマナーを身に付けているか、即戦力になれるかなどをチェックされます。
ときには厳しい質問や想定外の質問が来ることも想定されるでしょう。また、面接官は複数人のことが多く、最終面接では応募者1名に対して上役がずらっと並んでいるケースも珍しくありません。いずれの場合においても冷静かつ的確に対応できなければ、面接を突破することは難しいでしょう。場の雰囲気に慣れ、スムーズかつ的確に回答するには企業研究や練習といった事前対策が欠かせません。
面接の基本マナーをおさらい!
まずは、面接で押さえたい基本マナーをおさらいしましょう。面接で好印象を与えるために、押さえておきたいポイントは次の3つです。
身だしなみの基本マナー
身だしなみの基本マナーとして注意したいのは服装と髪型に清潔感を持たせることです。一般的に、仕事帰りに面接に来ることが多いため、服装や髪型に指定はないことが多いですが、清潔感は重要です。カジュアルな服装で面接に挑む場合も、ヨレヨレのTシャツなどは避け、髪型も面接前に化粧室などで整えていきましょう。
服装はスーツであれば、男女ともネイビーやダークグレーなど落ち着いたカラーが基本です。リクルートスーツしか持っていない場合は、面接用に新調することをおすすめします。ファッションセンスが重視されるアパレル業界などではない限り、シャツやネクタイ、靴は派手な色やデザインは避けましょう。また、汚れやシワはだらしない印象になるため、しっかり落としておくことです。
髪型も、接客業など、見た目の信頼感を重視する業界の面接においては、派手なカラーは控え、前髪が目にかからないようにスタイリングするのがマナーです。女性で髪が長い場合は、後ろでまとめるとスッキリとした印象になります。ヒゲや眉もきれいに手入れし、口臭や体臭などニオイケアにも気を使いましょう。香水は人によっては不快に感じるため、面接の場ではつけないほうが無難です。結婚指輪以外のアクセサリーも面接の場には基本的にふさわしくありません。


言動の基本マナー
応募者の言動や行動は、面接が始まる前からチェックされています。大前提として、面接で遅刻は厳禁です。余裕をもって家を出て、早めに会場に到着することを心がけましょう。ただし、早すぎても企業側の迷惑になるため、受け付けは面接の5分前を目安に行うとよいでしょう。受け付けまでの時間は、身だしなみの最終チェックをする、スマートフォンの電源を切っておくなど、面接に向けた仕上げに使いましょう。コートは会場に入る前に脱いでおくのがマナーです。
面接の部屋に入る際は、ドアを3回ノックして、「どうぞ」などと中から声が聞こえてから、「失礼します」と述べて入室します。このとき、ドアは振り返って両手で閉めましょう。椅子の横に立ってまず挨拶と一礼を行い、「お座りください」と言われてから着席します。
面接中は人事担当者など、面接官の目をしっかり見て、明るい表情でハキハキと話すのがポイントです。相手の目を見て話すことで、自信がある印象を与えられます。終了後は立ち上がって、再び挨拶と一礼をしてから退室しましょう。
持ち物の基本マナー
持ち物の基本マナーもしっかり押さえておき、当日に慌てないようにしましょう。面接では、事前に提出した職務経歴書や履歴書の内容に沿って質問されます。自分が書いた内容を後から把握できるよう事前に書類のコピーを取り、想定される質問に対策しておきましょう。当日も持参し、最終チェックできるようにしておくと安心です。
企業によってはこれらの書類を面接時に持ってくるように指示したり、会社案内などの資料を渡したりする場合もあります。面接で受け渡しする書類を折り曲げずに持ち歩けるよう、A4サイズが入るバッグも必要です。仕事帰りの面接の場合、普段の通勤時のバッグを持参することになると思いますが、できる限りA4資料が入るサイズを選ぶようにしましょう。もしくは、A4サイズが入るサブバッグを持参しましょう。
筆記用具やスケジュールを確認できる手帳、エチケット用品なども必須です。交通費が支給される場合は印鑑も持って行きましょう。このように当日に必要になる持ち物は応募する企業によって変わってくる場合も少なくありません。先方から届いたメールや書類などは必ず読み返して必要な持ち物を再確認し、あらかじめセットした状態で当日を迎えましょう。


転職面接でよくある質問と対策
ここからは、転職面接でよく聞かれる質問とその対策について解説します。一字一句丸暗記する必要はありませんが、想定される質問に答える練習は必ず行っておきましょう。
自己PR・志望動機について
自己PRは、面接の序盤で必ず聞かれる代表的な質問です。職務経歴書などに記載した内容をベースに1~2分にまとめておきましょう。人事担当者をはじめ、面接する側は自社のニーズにマッチする人材を求めています。企業が求める強みや経歴を持っていることをしっかりとアピールするのがポイントです。熱意も大事ですが、新卒ではない以上、企業側はそれなりの根拠となる実績や経験を期待していることを念頭に置いておきましょう。
志望動機では、入社への本気度や長く働ける人材かどうかをチェックされます。そのため、他社ではなくその企業を選んだ理由を明確にすることが重要です。企業研究によってその企業の独自性や長所を見つけておきましょう。企業研究には、公式サイトや会社案内、プレスリリースなどの広報資料なども役立ちます。個人向けの商品やサービスを提供している場合には、まずユーザーになってみるのも手です。魅力を感じた独自性やポイントを自分の経歴や強みと結びつけ、キャリアプランと絡めてアピールすることで、志望動機の説得力が増します。
参考記事:転職の自己PRで集中力をアピールするコツ! 伝え方の例文や注意点
転職で志望動機がないときはどうする? 思いつかない理由と対策
これまでの職務経験について
一般的に、中途採用は即戦力として期待されており、入社後の業務に必要なスキルや経験を備えているか確認するために職務経験を聞かれることも多くあります。これまでの経験の棚卸しもしっかりと行っておきましょう。単純な職務経験だけでは強みが伝わりにくいでしょう。また、職務経歴書の内容をそのまま話すのでは意味がありません。自分なりのプラスアルファの情報を付け加えることが大切です。
ただし、アピールしたいあまり、長々と話すのは得策ではありません。話の要点をまとめられない人と面接官にマイナス評価をつけられてしまう場合もあります。具体的なエピソードや数字を交えて、1分程度を目安に簡潔かつわかりやすく実績をアピールする練習をしておきましょう。例えば、「チームリーダーとして○○人のメンバーをまとめ、売り上げを○○%アップさせた」などの説明の仕方であれば、端的かつ客観的に成果をアピールできます。プレゼンテーション能力の高い人という評価も得られるでしょう。
参考記事:【職務経歴書の書き方】複数社の職歴はどう書く? 転職が多い人のサンプル一覧
前職の退職理由について
前職の退職理由も転職では聞かれる可能性が高い質問です。応募者からするとあまり突っ込まれたくない質問かもしれません。しかし、企業側としては「採用しても、またすぐに退職するのではないか」「考え方に問題のある人物ではないか」といったリスクを回避したいために、退職理由を確認する傾向にあります。
印象が悪くなるため、ウソの退職理由をでっち上げたり、ストレートに理由を伝えて前職を批判したりするのは避けましょう。「やりたい仕事ではなかった」など、ネガティブな理由の場合はそのまま伝えず、「自分の強みをより活かせる分野で長く貢献していきたいと考えた」など、ポジティブな内容にうまく言い換えて回答するのがコツです。
転職回数が多い場合やブランクが長い場合などは、その点の理由も追及される可能性がありますので、相手を安心させられる回答を準備しておきましょう。転職回数が多い場合には、転職理由と志望する仕事に一貫性を持たせることで、マイナスの印象を緩和できます。ブランクについては資格取得や語学勉強など、新しい仕事に向けた準備期間であり、今は万全の状態であることをアピールできるとよいでしょう。
参考記事:職務経歴書の退職理由はどう書く? 理由別の書き方と例文
逆質問について
逆質問の機会をうまく活用できると、面接での評価アップにつながります。コミュニケーション能力や入社意欲を把握するために、面接の最後に「何か聞きたいことはありませんか」という逆質問をする面接官も少なくありません。入社後の業務に関することや、それに関して準備すると良いことなどを積極的に質問すると、熱意が高いと見なされて好印象になりやすいでしょう。その企業が将来的に注力する分野について尋ねてみるのも手です。
企業理念や従業員数など、公表されていて調べればわかることや給与や残業の多さなどの待遇面を質問するのは逆効果です。給与や役職などの条件は実際には気になるものですが、面接の場で明確な回答が得られる可能性は低く、得策とは言えません。「何もありません」という回答も熱意が低いと判断されるため、何かしら質問は用意しておきましょう。


面接の練習方法3選
社会人経験者であっても面接はぶっつけ本番で成功する可能性は非常に低いため、練習を重ねて印象や内容をブラッシュアップすることが重要です。ここでは、効果的な練習方法を3つ紹介します。
自分が練習している姿を動画撮影する
面接の練習方法として、まず挙げられるのは自分が練習する姿を撮影することです。頭でイメージしている姿と実際の様子にギャップがあることも案外多いものです。セルフチェックをして、ギャップや改善点がないかを確認しておきましょう。
面接では、面接官にできるだけ好印象を与えることが大事です。スマートフォンなどで自分の練習動画を撮影し、明るい表情でハキハキと回答できているか、姿勢は悪くないか、早口になり過ぎていないかなどをチェックしましょう。客観的に自分を見ることで、貧乏ゆすりや髪の毛をいじる、「えー」が多いなど無意識の癖も見つけやすくなります。
想定される質問と回答を事前にシミュレーションして自分の中で整理し、話す練習を繰り返すことで、本番で堂々と回答できるようになるはずです。ただし、丸暗記は避けましょう。棒読みになったり、臨機応変な回答ができなかったりして、かえって印象が悪くなりやすくなります。
友人・家族に模擬面接を依頼する
自分一人の練習では不安という場合は、友人や家族などに面接官役を頼み、模擬面接をやってみるのも効果的です。模擬面接では、入室や挨拶、質疑応答といったすべての動作を実際に寄せた形で経験できます。また、第三者の目でチェックしてもらえます。面接の流れのほか、表情や声量、動きや姿勢など他人の目から細かくチェックしてもらいたい項目をリスト化して先に渡しておくとよいでしょう。気心の知れた相手のほうが問題点を遠慮なく指摘しやすいでしょう。ただし、緊張感を保てなかったり照れてしまったりして、回数の割にあまり練習にならないこともあるため注意が必要です。
オファー型転職サイトを利用する
面接での対応力を強化するには、できるだけ実際の雰囲気や受け答えに近い経験をこなして慣れていくのが効率的です。オファー型転職サイトでは、自分が登録したプロフィールやスキルなどに興味を持った企業側から連絡があり、その中から任意の企業の選考を受けられます。企業側のほうですでに自分とマッチする可能性が高いと予測しているため、相手側が積極的だったり書類選考が免除されたりして、面接に進みやすいことが多いのがメリットです。結果的に、実戦形式でより多くの面接を受けられ、経験を積むことができます。
プロフィールを登録するだけで転職先の選択肢を広げられるのも大きな魅力です。自分が選択肢に入れていなかった、実は相性の良い企業や知名度が低い隠れた優良企業などと出会える可能性もあり、より良い転職につながることもあります。短期間で効率的に転職活動を進めたい人は、オファー型転職サイトにも登録しておくとよいでしょう。
面接は経験するほど上手くなる!万全の準備で臨もう
社会人経験がある転職の面接では、マナーと回答の両方においてレベルの高さが求められます。面接は経験すればするほど上手くなるため、十分な事前準備をしておくことや場数を踏んで慣れることが重要です。家族や友人に模擬面接をお願いしたり、面接に進みやすいオファー型転職サイトを利用したりして、実際に近い経験を増やしていきましょう。
