転職活動をする際、ほぼ必ずといっていいほど提出を求められる書類の一つが職務経歴書です。職務経歴書には決まったフォーマットはありません。そのため、求職者が自由に作成できますが、企業が知りたい情報を記載しなければ意味のない書類になってしまいます。そこで、本記事では、職務経歴書の概要や種類を踏まえたうえで記載するべき5項目と好印象を与えやすいポイントなどを解説していきます。


目次
職務経歴書とは?
職務経歴書とは、求職者がこれまでにどのような経験や能力を得てきたのかを応募先企業が判断するための書類のことです。それまでに在籍していた勤務先でどのような業務をこなしてきたか、どういった役職や立場として働いてきたかを詳細に伝える役割を持っています。在籍中に参加したプロジェクトや残してきた実績なども含まれます。それに対して、履歴書は応募者の住所や学歴、簡単な職歴、人柄や応募理由といった基本的な情報を知るためのものです。
履歴書にも職歴は記載しますが、あくまで時系列として把握するだけにとどまります。履歴書では、それぞれの勤務先で実際にどのような経験を積んできたのか詳しい内容まで知ることはできません。そのため、即戦力が求められる転職者の場合、内容を詳細に知ることができる職務経歴書を重視する傾向が強いのです。経験や能力については、履歴書や面接だけでは容易に判断することが難しいためです。職務経歴書は、履歴書と違って決まったフォーマットが存在しません。その分自分で自由に書くことができますが、企業が知りたい情報をしっかり記載することが求められます。
職務経歴書の種類
職務経歴書にフォーマットはありませんが、主に3種類の基本的な書き方があります。ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。
編年体式
編年体式とは、働いてきた企業や経験した業務内容などを「年月の古い順に記載した書き方」のことです。つまり、履歴書と同じようにもっとも古い勤務先が上になり、直近の勤務先は下に記載していきます。編年式は職務経歴書でももっともポピュラーな書き方といっていいでしょう。それだけ採用担当者も見慣れていて読みやすいのがメリットです。
時系列を追って応募者の成長過程をアピールできるというメリットもあります。一方、最新の職歴が最後になってしまうことで、直近のスキルが目に入りにくい点はデメリットになるかもしれません。見て欲しいスキルが直近の場合は、もっともアピールしたい職歴が埋もれやすいという点は注意が必要です。ただし、転職先が少ないか職務経験が浅い応募者には向いているといえます。
逆編年体式
逆編年体式は、編年体式とは逆の書き方をする職務経歴書です。つまり、最新の職歴から書き始め、順に古い職歴になるように記載していきます。逆編年体式の特徴は、冒頭部分に最新の職歴がくることです。そのため、即戦力として能力をアピールできるというメリットがあります。もっとも見て欲しい職歴を上に持ってこられるため、転職回数が多い人や応募先企業のニーズに直近のスキルがマッチしている人に向いています。
一方、デメリットになるといえば、わかりにくいと判断される恐れがあることです。先ほど説明したように、職務経歴書の書き方で一般的なのが編年式です。そのため、編年式に慣れている採用担当者だと読みにくいかもしれません。
キャリア式
キャリア式は、時系列とは関係なくこれまでに経験したプロジェクトや業務内容ごとにまとめて記載する書き方のことです。記載する順番などに決まりはないため、特定のキャリアを効果的にアピールできるというメリットを持っています。専門性の高い職歴を持っている人やさまざまな分野の職務を経験した人に向いているといえます。
また、時系列に沿っていないことで、ブランクがあっても目立つことがありません。実際の勤務期間よりも経験をアピールしやすい点もメリットの一つです。反面、直近の経験や成長の過程がわかりにくいというデメリットがあります。そのため、即戦力としての能力や将来性をアピールすることは難しいでしょう。また、ブランクをごまかすためだけにキャリア式を使うと、履歴書を見て質問されたときに返答に困るかもしれません。キャリア式は、あくまで豊富なスキルをアピールしたいときに効果的です。


職務経歴書に必ず記載したい5項目
先述した通り、職務経歴書には特定のフォーマットはありません。しかし、企業側が知っておきたい情報を記載する必要があります。ここでは、必ず記載しておきたい5つの項目を解説します。
日付と氏名
必ず記載しておきたいのは、まず日付と氏名です。この場合の日付は、職務経歴書を作成した日付のことではありません。応募先企業に実際に提出する日付のことです。提出日よりもあまりに古い日付を入れると「使い回しの職務経歴書ではないだろうか」「転職先が決まらない期間が長いのではないか」といった警戒をされることもあるので、注意が必要です。
西暦か和暦かは特に問われないため、自分で自由に決めてかまいません。ただし、職務経歴書の中で使う他の日付と統一するようにしましょう。同じ職務経歴書の中で、西暦や和暦が混在していると印象が悪くなります。用紙のもっとも上に「職務経歴書」とやや大きめの文字でタイトルを入れ、日付はその右下に、氏名はさらにその下に書いていきます。
職務要約
職務要約とは、過去に経験してきた職務内容を完結にまとめた項目のことです。通常は、200〜300文字程度でまとめます。あまり長すぎてもいけませんし、短くても内容が薄い印象を与えかねません。200〜300文字程度に抑えるのが適切です。職務要約は、職務経歴書のすべてに目を通せないときでも必要な情報を知ってもらうために必要になります。
採用担当者は多忙なことが多く、情報量が多い職務経歴全体に目を通せないことも出てきます。そのようなときでも、要約欄を作っておけば応募者の経験やスキルを把握することが可能です。また、職務経歴書全体をじっくり読むかどうか判断するために職務要約を見る採用担当者もいます。そのため、内容は慎重に検討して作成することをお勧めします。数値を用いたり具体的な業務内容をピックアップしたりして過去の実績をアピールし、採用担当者の興味をひくようにしておくことがポイントです。
参考:職務経歴書の「職務要約」はこう書く! 好印象を与える書き方&職種別例文
職務経歴
職務経歴は、これまで勤務してきた企業とそこで経験した業務内容を記載する項目です。役職や参加したプロジェクト内容など、実際に仕事として経験したことを書きましょう。まず必要なのは企業情報です。企業名と事業内容、所在地、売上高、従業員数や資本金といった基本情報を書いていきます。そして、自分が担当した職務ごとに携わった期間や職務内容、実績をまとめます。
転職した場合、もしくは同じ企業の中で異動など職務が変わったときは、新たに欄を設けて上記の内容を新たに記載しておきましょう。
実績については、そのときのエピソードや根拠などをあげるとわかりやすくなります。実際の売上や達成率など数値を添えるとさらに効果的です。実績の欄がうまく書けないと思った時はこちらを参考にしてみてください。
参考:実績なしでも職務経歴書は書ける!作成のステップやコツ・注意点まとめ
また、職歴がない方は下記の記事を参考にしてみてください。
参考:職務経歴書は職歴なしでも必要? 既卒・無職の方向けの書き方を解説!
生かせる経験・スキル・資格
経験した職務内容だけでは、企業の即戦力になるかどうかのアピールが薄くなる場合もあります。そのために欠かせないのが生かせる経験とスキル、そして資格です。実際に行ってきた職務を文章で読むよりも、経験やスキル、資格などをまとめることで、応募先企業に入社してからすぐに役立つ能力をアピールできます。採用担当者にとっても、わかりやすくなります。
この項目では、専門的なソフトやツールの習熟度の他、パソコンスキルや語学力など活かせるものは何でも記入しておくといいでしょう。また、責任感や協調性といったヒューマンスキルも記載可能です。資格では、資格名だけでなくランクとスコア、さらに取得日を箇条書きで記載します。注意点としては、応募先の職務に関係しそうな内容を書くことです。関係のない資格やスキルを入れると、採用担当者にミスマッチと判断されるかもしれません。
参考:職務経歴書の「資格欄」の書き方は?書くべきこと・ポイント・注意点を解説
自己PR
職務経歴書にも自己PRが必要です。自己PRは、職務経歴書の内容を踏まえながら記載しましょう。自己PRは、入社した後、自分の強みをその企業のためにどのように活かせるかアピールするための項目です。アピールしたい強みが1つのときは、300〜400文字程度でまとめます。2つ以上あるときは、それぞれのアピールが100〜200文字でまとまるようにします。
自己PRがわからない場合は、過去の経験やエピソードを書き出してみて、応募先企業の特性や職務内容にマッチする強みを見つけるのがポイントです。業績や行動を表彰された経歴がある場合も、自己PRになります。それが応募先企業で活かせそうな内容なら、必ず入れることもポイントです。アピールできる強みやエピソードを見つけたら、入社後にどのように活かせるかを書いておきましょう。注意点としては、履歴書に記載する自己PRとの齟齬が出ないようにすることです。
参考:効果的な自己PRの書き方は?基本の作成手順と好印象を与えるポイント


好印象な職務経歴書にするポイント
職務経歴書は、できるだけ応募先の担当者が見て印象の良いものにすることが重要です。ここでは、好印象な職務経歴書にするためのポイントを解説していきます。
箇条書きでまとめる
まず、できるだけ箇条書きでまとめることです。職務経歴書は、文章で長々と書いていくよりも簡潔にまとめたほうが見やすくなります。項目ごとに分け、可能な限り箇条書きで表現するようにしましょう。見やすくまとまっていると、内容を把握しやすいうえにすっきりしますし、印象が良くなります。また、アピールしたいポイントを目立たせることも可能です。長い文章として書いてしまうと、アピールしたいポイントに目が行きにくくなることもあります。必要に応じて箇条書きを用いると、そういった失敗を防ぐことができます。
ただし、職務経歴書のすべてを箇条書きにしてしまうと、手抜きに見えてしまうかもしれません。採用担当者によっては、文字が少ないと返って印象が悪くなることもあります。簡潔にまとめることも大切ですが、必要に応じて文章を入れるなどメリハリをつけることもポイントです。説明が必要なところは文章にし、簡潔にわかりやすくしたい箇所は箇条書きを使うなど、臨機応変に織り交ぜるといいでしょう。
読みやすい量にする
採用担当者は、多くの応募書類に目を通さなければなりません。そのため、分量が多い職務経歴書は敬遠されやすい傾向があります。分量が多いだけでなく読みにくいものにならないよう、注意が必要です。量の目安としては、A4用紙で1〜2枚以内に収めるのが一般的とされています。ただし、転職経験や職務内容が少ないのに無理に2枚作成する必要もありません。少なすぎると熱意が不足していると判断されかねませんが、職務内容に対して適度な量を考えることです。
そして、職務経歴書は手書きはせずにパソコンで作成しましょう。手書きは基本的に読みにくくなりますし、慣れない人が見たときに時間がかかることもあります。また、パソコンスキルがないなどと誤解を生む恐れも出てきます。記載ミスを防ぐという点でも、パソコンでの作成は基本です。もちろん、誤字や脱字があってもいけません。読みやすい量で考えるとき、フォントや文字サイズ、文字間隔、行間隔などにも気を使うといいでしょう。確認するときは画面上ではなく、一旦プリントしたほうが気づきやすくなります。
具体的な成果や数値で表現する
具体的な成果や数値をわかりやすく伝えることも、職務経歴書には必要です。職務経歴書は、履歴書ではわからない自分の能力を知ってもらうという役割を持っています。能力やスキルが応募先企業でどのように役立つのかを伝えるためのものです。そのことを踏まえ、どんな人が見てもわかるように具体的なエピソードや数値を使って表現することが重要になってきます。
ポイントとして押さえておきたいのは、採用担当者が見てすぐに理解できることです。何がどのようにすごいのか、どういった点が即戦力として期待できるのか、応募先企業が求職者を採用したときのメリットを採用担当者がイメージできることなどがポイントになってきます。そのためには、できるだけ具体性を持たせることです。わかりやすくするには、数値をあげるだけでは難しい場合もあるでしょう。そのようなときは比較対象を用いるのも一つの方法です。そうすることで、その数値がどれくらいすごいものなのかアピールできます。


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必要項目と作成ポイントに注意して魅力的な職務経歴書にしよう!
職務経歴書のフォーマットは決まっておらず、自由です。だからといって何でも良いということはなく、記載するべき内容や注意するべき点はあります。これまでの経験や転職回数、応募先企業の性質などを考慮して適切な書き方を選ぶことも大切です。
今回紹介した5つの基本項目を忘れずに記載し、好印象を与えやすいポイントも押さえつつ、即戦力として応募先にアピールできる効果的な職務経歴書を作成しましょう。
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