面接にはさまざまなマナーがあります。その中でも重要といえるのが入室に関するマナーです。第一印象に影響を与えるため、その後の評価に関わる恐れがあります。同様に退室に関するマナーも重要です。社会常識から外れると、悪い印象を残してしまいます。これまで意識していなかった方は、入退室のマナーを見直すと良いでしょう。この記事では、面接の入退室の仕方について解説するとともによくある疑問についても回答しています。


目次
順番に細かく解説!面接時の入室方法
面接室へ正しく入室することで、第一印象を良くすることができます。好印象を抱かれると良い面を中心に見てもらいやすくなるため、その後の転職活動を有利に進められる可能性があります。この段落では、入室の仕方について、ステップごとに解説します。
ドアをノック
最初に、面接室のドアをノックします。簡単に思えますが、ノックにもさまざまなマナーがあります。最も基本的なマナーは、ノックをせず部屋に入らないことといえるでしょう。手に持っている鞄やコートは、ノックをしない側の手に抱えます。
ノックの回数は3回です。2回だと「空室確認」になってしまうため、面接にはあまりふさわしくありません。ノックのスピードにも注意が必要です。「コンコンコン」と間髪を入れずにノックすると、相手を急かしている印象になってしまいます。相手への配慮と自身の落ち着きを示すため「コン・コン・コン」のように適度なタイミングでノックすることが重要です。もちろん、音の大きさにも注意しなければなりません。力いっぱいノックをすると威圧的な印象、反対に力が弱すぎると頼りない印象になってしまいます。面接官にしっかり聞こえて、耳障りにならない程度の音を出すように心がけましょう。
入室のタイミングは、面接官から「どうぞ、お入りください」などの声をかけられたときです。ノックを3回したからといって、勝手に入って良いわけではありません。入室を許可されたら、ドアの前で面接官に聞こえるように「失礼します」と声をかけます。ドア越しだと聞こえにくいため、普段より大きな声を意識すると良いかもしれません。
入室してドアを閉める
面接室に入室してからドアを閉めます。動作自体は簡単ですが、ここにもさまざまなマナーがあります。意識していない転職希望者が多いため、差をつけやすいステップといえるかもしれません。
ポイントは、入室後、ドアの方向を向いてから閉めることです。面接官に背中を向けるため失礼にあたると思うかもしれませんが、この場合は問題ありません(完全に背中を向けないように注意します)。ドアの方向を向かず後ろ手で閉めるとマナー違反になります。
ドアを閉めるときの音にも注意が必要です。「ガタン」などのように、大きな音を立てると荒っぽい印象を与えてしまいます。大きな音をたてないように、ドアをゆっくりと閉めましょう。ドアが完全に閉まるまで手を添えておくと、丁寧な印象を与えられます
手に鞄やコートを持っている場合は、基本的にそのままの状態でドアを閉めます。ドアを閉められないほど大きな荷物を持っているときは、一度、横に置くと良いでしょう。ただし、面接室に大きな荷物を持って入ることはすすめられません。面接と無関係の荷物は、コインロッカーに預けておくなどの配慮が必要です。


お辞儀をする
入室後、ドアを閉めてから面接官にお辞儀をします。面接官がこちらを見たタイミングで「よろしくお願いします」と挨拶をしてから行う点がポイントです。挨拶とお辞儀をわける理由は、頭を下げながら挨拶をすると表情が見えないうえ声も聞こえにくくなるからです。
お辞儀の角度は、約35度を意識します。首だけ曲げると不誠実な印象になるため、背筋を伸ばして腰から曲げることが重要です。腰を曲げた状態を2秒程度維持してから元の姿勢に戻ります。素早く頭を下げて、動きをとめてから姿勢をゆっくり戻すと優雅で美しいお辞儀になります。
角度とタイミングのほかでは、手の位置にも注意が必要です。適切な手の位置は男女で異なります。男性は手を脚に添わせるように下す、女性は手を膝の前に重ねると上品に見えます。男性で手の置き場がわからない方は、スラックスの縫い目に中指があたるように心がけると良いでしょう。
椅子の横に立ち挨拶する
挨拶、お辞儀後は、自分の席の横へ移動します。注意点は、そのまま着席しないことです。椅子がひとつしかない場合は、ドアから近い側に立ちます。つまり、椅子の右側にドアがある場合は椅子の右側、椅子の左側にドアがある場合は椅子の左側に立ちます。会議室など複数の椅子が用意されている部屋で面接を受けるときは、特別な指定がなければドアから近い椅子(下座)の横へ移動します。
椅子の横に立ったら、姿勢を正して簡単な自己紹介をします。例えば「○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」などで良いでしょう。自己紹介を終えてから、もう一度、お辞儀をします。このときの角度は、45度が目安です。
着席する
自己紹介とお辞儀の後、面接官から「どうぞ、おかけください」などの声をかけられてから着席します。ポイントは、着席の前に「失礼します」と述べて軽くお辞儀をすることです。次に、手に持っている鞄を、椅子の横に置きます。椅子にもたれさせずに置くため、自立できる鞄を選んでおくと便利です。背もたれに鞄を置くことは、マナー違反にあたります。コートがある場合は、鞄の上にかぶせるようにそっと置きます。邪魔になるときは、椅子の背もたれにかけても構いません。ただし、広げてかけるとマナーに反します。きれいに折ってから椅子にかけましょう。
以上を終えてから椅子に座ります。注意点は、椅子に深く座らないことです。深く座って背もたれにもたれると、姿勢が乱れやすくなるうえ横柄な印象を与える恐れがあります。面接では、椅子に浅く座って姿勢を正すようにします。


最後にしっかりと感謝の気持ちを!面接室を退室するときの注意点
面接官から面接の終了を告げられるとホッとしてしまいますが、最後の最後まで油断はできません。退室時のマナーを守れないと、印象が悪くなってしまうからです。この段落では、面接室から退室するときの注意点を解説します。
真っ先にお礼を伝える
面接を終えて最初にすることはお礼です。椅子に座ったままで構わないので、面接官に「本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」などのお礼を述べてお辞儀をします。ポイントは、面接の機会を作ってくれたことに対してお礼を述べることです。
次に、テーブルの上に出している名刺、筆記用具、資料などの荷物を手早く片付けます。資料をまとめられるクリアファイルを用意しておくとスマートな印象を与えられるかもしれません。荷物を片付けるときは、テーブルの中もチェックして忘れ物をしないようにしましょう。
荷物をまとめたら立ち上がり、再び、お辞儀をします。このときの角度は、45度が目安です。立ち上がっているため、座っているときよりもやや深くお辞儀をするようにします。
退室の際に最後のお辞儀をする
席を立ちあがりお辞儀をしたら、ドアへ向かい退室します。ポイントは、ドアの前で面接官の方へ向き直り「失礼します」と述べてから最後のお辞儀をすることです。このときの角度は、30~45度が目安です。顔を上げてから面接官の目を見て、もう一度、印象付けます。
ドアを閉めるときは、面接官に背中を向けないように注意します。つまり、後ろ手で閉めないようにするのです。また、入室時と同じく、ドアを閉める音にも注意が必要です。大きな音を出すと、最後に荒っぽい印象を与えてしまいます。ドアに手を添えて、静かに閉めるようにしましょう。


焦らず冷静になることが大事?入室を失敗したときの対処法
実際の面接では、緊張のあまりノックの力加減を間違えたり、ドアを強く閉めてしまったりすることが少なくありません。マナーの重要性を理解している方は「取り返しのつかないことをしてしまった」などと感じて焦ってしまうでしょう。気持ちは理解できますが、すでに起きた失敗を気にしすぎると肝心の面接に悪影響が及んでしまいます。例えば、放心状態で受け答えしてしまうなどが考えらえます。失敗はつきものなので、ある程度の割り切りも必要です。自分の失敗に気づいたときは、すぐに謝ると良いでしょう。マナーは理解しているが緊張のため間違えたと伝えられる可能性があります。
マナーを間違えたからといって、怒る面接官はほとんどいません。マナーは、双方が気持ちよく過ごすための立ち居振る舞いです。多少の失敗をしても、相手への気遣いが感じられれば基本的に致命的なミスにはなりません。その後の、立ち居振る舞いや受け答えで挽回することは十分に可能です。したがって、ノックの力加減を間違えた、ドアを強く閉めてしまったなどの理由で諦めないようにしましょう。集中力を切らさず対応すれば、適切に評価してもらえるはずです。
こんなときどうする?入室や退室でよくある質問
ここまで基本的な入退室のマナーを紹介してきました。実際の面接では、ドアが最初から開いている場合や面接官より先に入室する場合などがあるため、どう対処すれば良いかわからないと感じている方がいるでしょう。この段落では、面接の入退室でよくある質問に回答します。
ドアが最初から開いている場合
面接室のドアが最初から開いている場合は、部屋の前で立ち止まり「失礼します」と声をかけて「お入りください」などの返事を受けてから入室します。ドアをノックする必要は基本的にありませんが、何もいわず入室することはマナー違反です。
入室後のドアの開閉は、面接官に確認します。何かしらの理由で開けているケースがあるため、勝手に閉めることは控えましょう。「ドアは閉めれば良いでしょうか」などの質問をすれば、指示をしてくれるはずです。
面接官より先に入室する場合
応募先企業によっては、面接官よりも先に面接室へ入室することがあります。先に入室する場合は、座席の位置に注意が必要です。基本的には、ドアに近い下座へ向かいます。例外は、応募先企業から指示があった場合です。この場合は、指示のあった椅子へ向かいます。
応募先企業の担当者から「座ってお待ちください」などの指示がない場合は、椅子に座らず立ったまま面接官を待ちます。待ち時間が長くなった場合も、スマートフォンなどで暇をつぶすことはおすすめできません。待ち時間も選考試験の一環と考えられるからです。面接官が入室したら「○○と申します。本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございます」などの挨拶をしてお辞儀をします。着席している場合は、立ってから挨拶とお辞儀をしなければなりません。


退室後見送りがある場合
退室後、面接官などが見送りをしてくれる応募先企業もあります。見送りがある場合は、エレベーターや出口まで担当者の後ろをついて歩きます。この間に、他の従業員とすれ違ったときは軽く会釈します。担当者と無理に会話する必要はありませんが、話しかけられたときは良い印象を残せるように明るく笑顔で対応します。将来、一緒に働くことになるかもしれないからです。見送りが終わるタイミングで、最後の挨拶をします。「本日はありがとうございました」など、お礼の言葉を伝えると良いでしょう。エレベーターに乗るときは、ドアが閉まるまでお辞儀を続けます。担当者が、同様の対応をするケースが多いからです。
Web面接で入室・退室する場合
コロナ禍以降、Web面接を実施するケースが増えています。Web面接を受ける場合は、最低でも1時間前に映像やマイクの状態をチェックします。早すぎると思うかもしれませんが、これらにトラブルが生じていると回復まで時間がかかるケースが少なくありません。余裕をもって対処するため、早めにチェックしておくことをおすすめします。
パソコンなどの前に座るタイミングは面接開始時間の10分前、入室するタイミングは面接開始時間の5分前が目安です。応募先企業から指示があった場合はそちらに従います。
退室も、応募先企業の指示に従います。面接を終えたからといって、勝手に退室しないようにしましょう。基本的には「ご退室ください」などの指示を受けてから退室します。退室前に「本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」などの言葉を忘れないようにします。この点は通常の面接と同じです。
面接室の入室・退室のマナーを習得して余計な減点を防ごう
以上の通り、面接室の入退室にはさまざまなルールがあります。細かなルールもありますが、評価に直結する可能性があるためできるだけすべてを押さえておくほうが良いでしょう。また、入室のマナーに失敗してその後のパフォーマンスに影響することや退室のマナーに失敗して面接官の心証を悪くしてしまうことも考えられます。入退室のマナーを習得して、余計な減点を受けないようにしましょう。
