転職活動で採否をわけるポイントが面接です。自己PRをうまく行うことは大切ですが、マナーが身に付いていないと良いことを話しても不採用になる恐れがあります。社会人としての常識を疑われるからです。この記事では、面接でマナーが大切になる理由に触れたうえで、身だしなみ、持ち物、当日の態度など、面接に必要なマナーを解説します。


目次
転職活動をするときは特に注意!面接でマナーが大事になる理由
マナーが身に付いていなくても実力があれば大丈夫と考えるかもしれませんが、実際の転職活動はそれほど甘くありません。基本的なマナーを身に付けていないと、不採用になる確率は高まります。人の第一印象は、見た目で5割以上が決まってしまうと考えられているからです。具体的な割合はケースにより前後しますが、見た目が第一印象に与える影響は小さくありません。マナーが良いと好印象を抱かれるため、転職活動を有利に進めやすくなります。最初に抱いた印象が継続しやすい点もポイントです。大多数の人は良い印象を抱くと良い面を、悪い印象を抱くと悪い面を中心にみる傾向があります。つまり、第一印象を覆すことは難しいのです。転職活動で結果を残したい方は、マナーに注意するほうが良いでしょう。
特に、中途採用はマナーを厳しく問われます。社会人経験があるため、基本的なマナーは身に付けているものとして扱われるからです。したがって、面接などでマナーに反すると印象が悪くなってしまいます。例えば、面接官から勧められる前に出されたお茶を飲むと社会人として必要な常識を身に付けていないと判断される恐れがあります。営業職など、対外的に活動する職種の場合、仕事の能力に懸念をもたれることも考えられます。
入社してからマナーを身に付ければ良いと思うかもしれませんが、中途採用者を対象にビジネスマナー研修を実施する企業はほとんどありません。中途採用者は、基本的に即戦力と考えられているからです。つまり、仕事に必要なマナーは身に付けていることが採用の条件になります。自社の社員として人前に立たせられない人材は、不採用の可能性が高くなってしまいます。反対に基本的なマナーを習得しておけば、語らずとも「御社の社員として恥ずかしくない行動ができます」などのアピールになります。最低限のマナーは、面接前に必ず身に付けておきたいといえるでしょう。


男女別に解説!身だしなみのマナー
面接のマナーで最初に気を付けたいのが身だしなみです。服装や髪形などで、面接官に与える印象は大きく変わります。この段落では、男女別に身だしなみのマナーを解説します。
男性の場合
男性の場合、特別な指定がなければ面接の服装はスーツになります。応募先や職種にもよりますが、高級なスーツを無理に用意する必要はありません。身だしなみのポイントは、これらの価格ではないからです。では、どのような点を意識すれば良いのでしょうか。
スーツ選びのポイントは、自分の体型に合っているものを選ぶことです。どれだけ高級なスーツでも、ブカブカ、ピチピチだと面接官に悪い印象を与えてしまいます。例えば、「スーツもまともに着られない」などの印象を与えることが考えられます。自分の体型に合っていれば、価格によらず悪い印象を与えることはないでしょう。肩幅がぴったり合っている、ボタンを留めた状態で胸回りと胴回りにこぶし1個分の余裕がある、お尻がちょうど隠れるくらいの着丈などを目安にすると体型に合っているスーツを選べます。スーツのカラーは、ブラック・ネイビー・チャコールグレーが無難です。
手元に体型に合ったスーツがある方は、新しいものを購入する必要はありません。ただし、清潔感が重要になるため、面接の前にクリーニングへ出しておくことをおすすめします。無駄なシワがなく、スラックスの折り目がきっちりついたスーツは、それだけで清潔感や信頼感を演出してくれます。
もちろん、スーツに合わせる靴も注意したいポイントです。傷や汚れが目立つ靴は、不潔な印象を与える恐れがあります。ダメージが目立つ場合は、買い替えを検討しましょう。靴のカラーは、黒または茶色が一般的です。手元にあるものを使用するときは、面接の前にお手入れをしておかなければなりません。
女性の場合
女性も、特別な指定がなければ面接の服装はスーツが無難です。パンツスーツとスカートスーツに優劣はありません。パンツが好きな方はパンツスーツ、スカートが好きな方はスカートスーツを選ぶと良いでしょう。カラーは濃紺が基本ですが、グレーやベージュなど明るい印象のものも選択肢に入ります。自身の個性や応募先の社風などに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
靴のカラーは、男性と同じく黒または茶色が一般的です。ただし、スーツと合わせたときに違和感がなければ、淡いピンクやベージュなどのカラーでも問題はありません。靴のカラーも、自身の個性や応募先の社風に合わせて選ぶと良いでしょう。
ヘアスタイルはロングでもショートでも構いませんが、前髪が長い場合は面接官から顔が見えるようにしておきます。面接の前に前髪を短く切っておく、面接のときに前髪をピンで留めておくなどが考えられます。メイクとネイルは、派手にせず清潔感を意識すると面接官に好印象を与えやすくなります。


スマホの電源は切る?マスクは外す?面接時の持ち物のマナー
面接では、服装と同じく持ち物に関するマナーもチェックされています。面接会場へ持参する鞄は、A4サイズの書類が入るブリーフケースが基本です。ブリーフケースは、主に書類を収納する鞄を指します。リュックは、面接の場にふさわしくありません。トートバッグなども同様です。
面接に必ず携帯したい持ち物として、ボールペンや手帳などの筆記用具があげられます。実際にメモをとるかどうかは別として、必要があればメモを取れる姿勢を示すことが重要です。筆記用具を携帯せず面接会場を訪れると、準備ができていないと評価される恐れがあります。ちなみに、スマートフォンでメモをとることはおすすめできません。面接時に机の上に出しておくことがマナー違反だからです。スマートフォンは、上着のポケットや鞄にいれて電源を切っておきましょう。
マスクの扱いにも注意が必要です。以前は面接会場でマスクを外していましたが、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて外さなくて良いケースが増えています。ただし、現在のところ共通のルールは確立されていません。面接が始まる前に、マスクの扱いについて確認することをおすすめします。
流れで解説!面接当日のマナー
面接当日は、基本的に受付・面接・退室の流れで進みます。ここでは、各ステップのマナーについて解説します。
受付
受付で注意するべきポイントは遅刻です。遅刻をすると、最も基本的なルールすら守れないと評価される恐れがあります。ケースによっては、面接を受けられないこともあるでしょう。転職活動に大きな影響を与えてしまうため、受付時間の15分前には到着するように心がけます。ただし、実際に受付をするのは受付時間の5分前です。応募先企業にも都合があるため、早すぎる受付はマナー違反にあたる恐れがあります。早めに到着した場合は、周辺を散策するなどして時間をつぶすと良いでしょう。受付では、訪問理由を伝えて担当者への取り次ぎをお願いします。このときの立ち居振る舞いも評価の対象になっている可能性があるため、失礼のないようにお願いすることが重要です。
待合室
受付後の対応は、応募先企業で異なります。そのまま面接室へ案内されることもあれば、待合室へ案内されることもあります。待合室での態度も、評価の対象になっている可能性があります。したがって、待機中にスマートフォンを触ったり、他の応募者と談笑したりすることはおすすめできません。面接の一環と考えて、姿勢を正して椅子に座り、手のひらを膝の上に置いて、面接の開始を待ちましょう。


入室
入室は、第一印象をよくするため重要なステップです。入室の際は、ドアを3回ノックします。これを受けて面接官が「お入りください」と返事をしてから「失礼します」と述べて面接室に入ります。入室後は、ドアを閉めて面接官に一礼し椅子へと向かいます。ポイントは、ドアと対面してから閉めることと椅子の横(ドアから近い側)に立つことです。続いて、面接官に向かって簡単な自己紹介と挨拶をします。基本的には、氏名と「本日はよろしくお願いいたします」などで良いでしょう。椅子に着席するのは、面接官に「どうぞ、お座りください」と勧められてからです。軽くお辞儀をして、椅子を鞄の横に置いてから座ります。深く腰掛けると姿勢が乱れるため、浅く腰掛けるように心がけます。
面接中
面接が開始したら、面接官の話を注意深く聞きます。面接は、面接官主導で進みます。何も聞かれていないのに、勝手に話し始めないようにしましょう。志望動機や長所などを聞かれたら、冗長にならないように注意しながら答えます。最初に結論を述べてから、理由や具体例を示すと話をスッキリとまとめられます。話をするときは、面接官の目を見ることが重要です。視線を外すと失礼にあたるうえ、自信がないと思われる恐れもあります。
面接では、面接官から名刺を渡されることが少なくありません。名刺を出された場合は、「頂戴いたします」と述べてから両手で受け取りお辞儀をします。いただいた名刺は、軽く確認してから机の左手(自分から見て)に置きます。ポイントは、自分の名刺入れの上に置くことです。複数の面接官から名刺をいただいた場合は、役職が最も高い人の名刺を名刺入れの上に置きます。
面接でお茶を出されたときは、のどが渇いていてもすぐに飲まないようにしましょう。お茶を運んでくれた方にお礼を述べて、面接官に勧められてから飲みます。
退室
面接の終了を告げられたら、椅子から立ち上がり「本日は貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」などとお礼を伝えて深くお辞儀します。ドアの前で面接官に向かい「失礼します」と述べて、もう一度、お辞儀をしてから退出します。ポイントは、ドアを閉めるときに大きな音を立てないことです。ドアはゆっくりと閉めましょう。コートを持参している場合は、建物を出てから着用します。スマートフォンについても同様です。建物を出るまで面接は続いていると考え、建物内では電源を入れたり操作したりしないようにします。面接が終了すると、気の緩みからマナーに違反してしまうことが少なくありません。最後まで、油断しないようにしましょう。


通信環境を事前にチェック!Web面接のマナー
新しい生活様式の普及を受けて、会社によっては採用面接をオンラインで行っています。Web面接のマナーの中には、通常の面接と異なるものがあります。Web面接を受けるときは以下の点に注意が必要です。
最初に気を付けたいのが、面接に集中できる環境を確保することです。生活音などが気にならず、背景に余計なものが映り込まない場所を選びます。もちろん、通信環境も事前に確認しておきます。通信トラブルで面接官を待たせると印象が悪くなるため、面接が始まる前に最低でも映像とマイクはチェックしておかなければなりません。
身だしなみにも注意が必要です。特別な指定がなければ、Web面接もスーツを着用すると良いでしょう。下半身は基本的に映りませんが、通常の面接と同じようにスラックスやスカートなどを着用しておくことをおすすめします。何かしらのきっかけで映ってしまうことがあるからです。例えば、書類を取り出すために立ち上がるなどが考えらえます。
カメラの前に着席するタイミングは、開始時間の5~10分前が目安です。声がかかりしだい対応できるように準備しておきます。
Web面接が終了して退室の指示を受けたら、「貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」などと挨拶を述べて退室ボタンを押します。退室の指示を受ける前に、自分の判断で退室ボタンを押さないように注意しましょう。
ビジネスマナーを軽視せず万全の知識を持って面接には臨もう
多くの面接官は、マナーを身に付けていない人材の採用をリスクと捉えています。いっていることが信用できるかわからないうえ、自社の評判を落としてしまう恐れがあるからです。マナーをしっかり守ることができれば、応募先企業にふさわしい人材であることをアピールできます。自己PRの前に減点されないため、基本的なビジネスマナーを身に付けてから面接に臨みましょう。
