面接官からよく出る言葉として、「あなたの長所は何ですか」という質問が挙げられます。自分をアピールするチャンスですが、どのように答えると良いのか悩んでしまう転職活動者も珍しくありません。うまく答えたいなら、面接官の意図を的確に捉えることが大切です。本記事では、なぜ長所を尋ねられるのか説明し、会社にとって好印象な返答も紹介します。また、長所が思いつかない場合の対処法も解説するので確認しておきましょう。


目次
主に2つ!面接官が長所を聞くときに考慮しているポイント
面接官が応募者に長所を尋ねる場合、そこには主に2つの目的が存在します。1点目は自社にマッチしそうな人材か判断することで、2点目は自己分析を行えているのか確かめることです。ここでは、質問の際に面接官が考慮しているポイントを具体的に説明していきます。
自社とマッチした人材かどうか
一般的に、面接官は自社にマッチした人材を採用したいと考えています。応募者が募集職種や社風に適しているか確認する必要があり、そのための判断材料として長所を尋ねるのです。いくら優れた長所を持っている人材でも、それが会社で活かせるものでなければ、宝の持ち腐れになりかねません。たとえば、慎重に行動できる点をアピールしても、会社がアクティブな活動をコンセプトにしているなら、面接官の心証はあまり良くならないでしょう。一般的な価値観ではなく、あくまでも会社の方針やスタイルに合っていることが重要です。
面接官は、応募者が入社した後の様子をイメージすることも多いです。長所を踏まえたうえで、従業員として活躍できる見込みがあるのか予想します。スキルなどの能力面が少しぐらい欠けていても、会社の方向性と長所がうまく合致するなら、ポテンシャルを評価して採用するケースも少なくありません。
自分を客観視できているかどうか
自分を客観視できているか確認することも、面接官が長所を尋ねる意図に含まれています。長所そのものだけでなく、根拠に関する答え方も重要なポイントです。過去の経験にもとづいて長所をうまく説明でき、面接官の視点でも内容や人柄について納得してもらう必要があります。それが可能なら自己分析を十分に行えていると判断され、面接の評価は高くなりやすいです。一方、長所を主張するばかりで、根拠を説明できなければ、評価が低くなってしまうリスクもあります。
また、長所を正確に把握できていることは、面接以外の面でも効果を期待できます。自分に合った仕事を選びやすく、入社後にパフォーマンスを発揮しやすくなるのです。すなわち、適材適所も叶える転職活動を行いやすくなります。自分の働き方に良い影響を与えるためにも、客観的な長所の見極めが必要だと認識しておきましょう。


できるだけ意識したい!会社に評価されやすい長所とは
人によって長所は異なり、どれが良いのか一概には判断できません。しかし、転職活動においては、会社に与える印象こそが良し悪しの基準になります。そのため、会社に評価されやすい長所を知っておくことは有意義です。比較的そのような傾向があるものを以下に紹介していきます。
社交性がある
ほとんどの会社において、従業員たちは連携しながら仕事を進めています。職場で他人との関わり合いが必要なので、社交性があることはプラスの評価につながりやすいです。社内外を問わず柔軟に多様な人と協力できる性格は、会社で円滑に働くうえで大事なポイントになります。ただし、単純に性格が明るいというだけで、社交性があると判断するのは間違いです。相手の主張もしっかり聞いたうえで、それらを尊重していくスタンスが求められます。常にチームワークを意識しつつ、自分の意見を発信できるコミュニケーション能力が必要です。
長所として社交性をアピールしたいなら、実際にチームで活動した経験を伝えるという手があります。自分がどのような形で雰囲気づくりなどに貢献したのか説明しましょう。さらに、状況を思い浮かべられる具体的なエピソードを盛り込むことができれば、説得力がある内容になります。
真面目
どの面接官も、基本的には真面目な性格を評価してくれます。なぜなら、会社に所属する以上、与えられる仕事に責任を持つ必要があるからです。自分だけなら構わないと思って手を抜くと、その影響はチームや職場全体に及びかねません。それどころか、最終的に会社の生産性まで低下させてしまうケースもあります。このようなリスクを回避するため、実直な姿勢で仕事に取り組める人材が求められているのです。そのスタンスがチームや職場に広がることで、会社の生産性がアップすることも期待できます。
さらに、真面目な人は我慢強いタイプが多く、それを評価する企業も多いです。確認を何度も行うなど几帳面な一面もあり、あまりミスをしない点も高評価につながります。長所として真面目さをアピールする場合、責任が大きいポジションに就いた実績や、納期を守るために努力した経験について説明すると良いでしょう。
アクティブに動ける
移り変わりの激しいビジネスシーンにおいて、率先して行動できる従業員は重宝されています。そのため、アクティブな性格を高く評価している会社も少なくありません。上司の指示を待つのではなく、思い立ったらすぐ実践する意欲的な人材を求めています。仕事をしていると、未経験の課題が次々と出てくることもあるでしょう。それらを前にしても物怖じせず、果敢にチャレンジできる性格は、会社にとって頼もしいものです。周囲に勇気を与えることが多く、職場に活気をもたらす役割も担ってくれます。
また、アクティブな人は、迅速な決断が可能と判断されるケースもあります。その場合は、リーダーの適性があると解釈されるかもしれません。なお、面接でうまくアピールしたいなら、主体性がうまく伝わる経験談を用意することが大事です。待ちのスタイルではなく、積極的に仕事を探して遂行するタイプだと認識させましょう。
負けず嫌い
新入社員のうち、3人に1人は3年以内に退職や転職をする時代になりました。短期間で辞められてしまうと、会社はまた人材採用に時間と費用をかけなければなりません。したがって、転職者に対しても同様ですが、できるだけ長く貢献してもらいたいと考えている会社が多いです。そのような人材を求めるうえで、負けず嫌いな性格を高く評価する面接官もいます。仕事を簡単に投げ出さずに頑張ることが見込めるからです。しっかり準備をしても、ビジネスは必ずしも順調に進むとは限りません。苦境に立たされたとき、あきらめない強固なメンタルを持っていることが重要です。
負けず嫌いの人は、上記の精神が養われていると期待できるので、業種や業界に関係なく歓迎されやすいです。面接では、営業の過酷なノルマを達成したことや、学生時代にスポーツで努力したことなどを話しましょう。そのようなエピソードを軸にすれば、負けず嫌いの性格が伝わりやすくなります。
常に前向き
物事を前向きに考えられる性格も、会社に良い印象を与えやすいです。嫌なことがあるたびに落ちこんでいると、頻繁に仕事のペースがダウンしてしまいます。ポジティブな人はそのようなリスクが小さいうえに、あらゆる状況でモチベーションを高く維持しやすいです。多少の困難があっても、前向きに乗り切ろうとするメンタルは、ビジネスパーソンにとって立派な長所に他なりません。簡単には気を落とさず、打たれ強く取り組めるという強みにより、チームを安定的に推進するエンジンにもなれます。
ただし、単なる楽観主義者と見なされると、評価は正反対になるので注意しましょう。頼りなくて仕事を任せにくいと思われる可能性が大きいです。そのため、面接では気持ちの切り替えが早い点を強調し、反省を終えたら次のアクションにすぐ移れることもアピールしましょう。


短所がヒントになることも?自分の長所の見つけ方
いざ長所をアピールできる機会が訪れても、話す内容が思い浮かばないケースも珍しくありません。自己評価が厳しい人ほど、自分のどの部分が優れているのか把握しづらいでしょう。そのような人でも長所を見つけられる方法について、以下に詳しく解説していきます。
人生を振り返る
人生を振り返ることで、次第に長所が明らかになることもよくあります。現状にフォーカスするのではなく、どのような生き方をしてきたのか整理することが大事です。頭の中で考えるだけだと、せっかく思い出しても忘れやすいのでじっくり振り返って、印象深い内容を時系列で書き出していきましょう。
自分史を制作するイメージで、最も努力したことや喜んだこと、熱中したことなどを順番に挙げていきます。挫折がプラスに作用するケースもあるため、大きな失敗も書いておくのが望ましいです。ここまでの作業が完了したら、いくつかの成功体験をピックアップします。そして、成功した理由を掘り下げて検証することが、長所の発見につながります。なお、人生の中で長期にわたって続けている事柄があれば、それも長所と見なせる可能性が高いです。日々継続している事実自体が、忍耐力や真面目さを示しているからです。長所という自覚はなくても、面接でアピールする有効な材料になりえます。
周囲の人に聞く
自分の客観視が重要だと分かっても、なかなか実践できない人も少なくありません。いくら考えても長所が思いつかないなら、周囲の人に尋ねてみることも一つの手です。たとえば、いつも接している家族や友人なら、自分自身はまったく気付かなかった長所を指摘してくれる可能性があります。また、自己評価は他人の評価とかけ離れていることも多く、そのギャップを埋めるという点でも周囲への質問は有効です。他人からどのように見えるのか理解しておくと、面接の際にうまく振る舞いやすくなります。
長所を家族や友人に挙げてもらったら、具体的な理由や根拠となるエピソードも教えてもらいましょう。ヒアリングする友人は同年代だけでなく、幅広い年齢や性別などの属性から選んだほうが、さまざまな観点からの意見を得やすいです。
短所を長所に置き換える
短所を長所に置き換えるテクニックも習得しておきましょう。自分に対してシビアな見方をする人は、長所を探そうとしても短所ばかり発見してしまいがちです。このテクニックを使うには、両者が表と裏の関係にあることを理解しておく必要があります。たとえば、物事を一人で抱え込んでしまう性格は真面目という表現も可能です。プライドが高い性格も負けず嫌いと解釈できます。このように同じ性格を指していても、用いる言葉によって印象は大きく変わるのです。少し視点を変えるだけで、長所を短所から導き出せるようになります。
したがって、短所が思い浮かんでもマイナスに捉える必要はありません。長所を探すヒントが見つかったので、プロセスとしては順調といえます。どのような表現に置き換えたら良いのか考えてみましょう。
診断ツールを利用する
手軽に長所を知りたいなら、診断ツールで調べるという手段も悪くありません。さまざまな診断ツールがインターネット上にあり、その中には無料で利用できるタイプも多いです。心理テストのような感覚で、「はい」「いいえ」「どちらも違う」などの回答を選んでいくだけで、自分の長所を自動的に提示してくれます。もちろん、これだけで自己分析のすべてが完了するわけではありません。面接までに自己分析を実施して、アピールできる十分な材料をそろえておく必要があります。
とはいえ、取り急ぎ長所を確認したいケースや参考情報を得たいケースにおいて、診断ツールは非常に有効です。そのような状況なら、まずは試すつもりで気軽に使ってみると良いでしょう。


長所の複数アピールは逆効果?面接で評価されない長所の伝え方
伝え方を間違えると、長所をあまり評価してもらえないので注意しましょう。徹底的に自己分析した人や、第三者に協力してもらった人は、長所をたくさん思いつく場合があります。だからといって、面接官に複数の長所をアピールするのは良くありません。聞いているうちにイメージがぼやけ、結局どのような人物なのか分かりづらくなってしまいます。候補がいくつかあるなら、志望先の社風を踏まえて絞り込み、最も合いそうなものを1点だけピックアップするのが得策です。
仕事で役立つこともピックアップの条件になります。会社のニーズに合致する長所を選びましょう。たとえば、運動神経や料理のスキルが優れていることは、たいていの会社に関係がありません。また、長所と短所のどちらか判断しづらい内容を避けることもポイントです。「繊細」「完璧主義」「せっかち」などは、長所のつもりで話しても、相手によっては短所と捉える可能性があります。そのような内容を伝えたいなら、長所に聞こえる言葉に変えることが重要です。たとえば、「繊細」に関しては「細かい部分まで配慮できる」などに変更しましょう。
会社のニーズにあった長所をピックアップして採用を勝ち取ろう
自分の長所が分からないなら、自分史を作ることで見つけられる可能性があります。また、家族や友人に尋ねてアドバイスをもらうことも有効です。いずれにせよ、長所を面接でうまくアピールしたいなら、会社の立場に立って考える必要があります。自分の伝えたい長所が、会社の求めている要素と一致するとは限りません。それを意識しつつ、採用を勝ち取るために十分な自己分析を実施しましょう。
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