第二新卒とは一般的に、新卒から入社1~3年程度の25~26歳頃に転職する人を指します。厚生労働省の発表によると、大卒就職者の約31%が入社3年以内に退職しています。よりよい職場を目指し、第二新卒で転職を目指す人は少なくありません。本記事では、第二新卒が異業種に挑戦しやすい理由と転職成功の秘訣について解説します。
参照元:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00005.html)


目次
第二新卒で転職するメリット
第二新卒の転職は、企業側と求職者側の双方にメリットがあります。
企業側のメリット
第二新卒は一度就職しており、社会人としてのマナーや常識を身につけていることが多い人材です。そのため、企業側は新卒に行うようなビジネスマナー研修などを実施する手間が省け、同時にコストを抑えられるというメリットがあります。また、中途採用者と違い、前職や業界の色にも染まっていないため、企業側が新しい環境で育成しやすいといったメリットも挙げられます。このようなメリットから、企業側も第二新卒を積極的に採用するケースが増えています、
求職者側のメリット
中途採用の場合、企業は転職者に即戦力を期待します。一方、第二新卒の採用では社会人経験が浅いことを企業側も理解しているため、即戦力までは期待しません。そのため第二新卒で入社してもプレッシャーが少ない点が求職者側のメリットです。また、新卒での就活と比べると、求職者の全体数が少ないので、ライバルが少なくなる点もメリットに挙げられます。


第二新卒が異業種への転職に挑戦しやすい3つの理由
第二新卒は異業種に挑戦しやすいと言われていますが、それはなぜなのでしょうか。主な理由は以下の3つです。
理由1. ポテンシャルを重視されるから
未経験者の場合、企業は若い人を採用する傾向にあります。これは、一般的に年齢が上がるにつれて、新しい仕事を吸収するスピードが遅くなるからです。第二新卒は、新卒とあまり変わらない年齢なので、企業側からポテンシャルを評価してもらいやすいというメリットがあります。
また、将来的に企業を担う人材になり得るので、将来性という意味でも期待されます。第二新卒の転職において、過去の経験や実績があるかどうかはあまり重視されないので、異業種への転職にも挑戦しやすくなります。
理由2. 前職の常識・価値観に染まり切っていないから
前職での就業経験が長い人は、その企業のやり方や、自分なりのこだわりを持っている場合が多く、新しい環境になじめなかったり、素直に物事を吸収しにくかったりすることがあります。そうなると、仕事の効率も上がりませんし、上司や先輩との軋轢が生まれるなどして社内のトラブルにもつながりかねません。
それに比べて、まだ社会人経験の浅い第二新卒は前職での常識や価値観に染まっていないことが多いため、新しい環境にも適応しやすそうだと企業からプラスに捉えられます。
理由3. 新卒より採用コストを抑えられるから
新卒を採用した場合は、ビジネスマナーなど社会人として基本的な研修から行う必要があります。新卒の研修は長ければ数ヶ月にもおよび、コストがかかります。
一方、第二新卒は一定の業務経験を通じて一般的な社会人としてのマナーや常識を持ち合わせている場合が多く、すぐに業務について覚えてもらうことができます。新卒のような基本的な研修は実施する必要がないので手間やコストを抑えられ、企業側から重宝されます。


第二新卒の注意点
第二新卒の転職活動には注意点もあります。新卒で入社し、数年で退職しているため、「せっかく採用してもまたすぐに辞めてしまうのではないか」とネガティブなイメージを持つ企業もあるからです。書類や面接などの選考を受ける際には、企業が抱くネガティブなイメージを払拭できるように準備しておくことが必要です。
例えば、前職を辞めた理由と、そこから考えた自分なりの反省点を述べ、どうやったらそれを改善できると思うかを話すことが有効です。加えて、次の会社ではどんな風に働きたいと思っているか、その会社で長く働きたい理由などを伝えると、説得力が生まれ、採用担当者にも納得してもらいやすくなります。
また、第二新卒は社会人としての基礎的なマナーが身についているとみなされ、研修が疎かになってしまう場合もあります。そのため、もし基礎的なマナーが身についていないと自覚している場合は、入社前に独学でビジネスマナーなどについて学ぶ必要があります。入社後も先輩社員などを見て貪欲に自分から学んでいく姿勢が大切です。
第二新卒が異業種への転職を成功させる5つの秘訣
ここからは第二新卒というメリットを活かして、どうしたら異業種への転職を成功させられるのかについて解説します。
1.転職先での働き方ややり遂げたいことを具体化する
まずは自分がどんな会社に転職したいのか、その会社でどのように働きたいのか、どんなことをやり遂げたいのかを、抽象的でなくきちんと具体化することが大切です。
ゼロからだとイメージがわかない人は、自身が希望する業界や職種について調べてみると、イメージしやすくなります。具体的にイメージできると、自分の求める条件や優先順位が見えてくるはずです。
また、転職を考えてはいるけれど、どんな業界や職種に就いたらよいのかわからない人は、前職を振り返り、自分がどんな場面で力を発揮できたか、逆にどんなことが苦手だったのかを考えてみましょう。そのうえで自身の長所が活かせそうな業種・職種を選んだり、苦手な作業が多そうな業種は避けたりといった対策を講じておけば、入社後のミスマッチを回避できます。
2.業界や企業の情報収集を念入りに行う
希望する業界や職種、企業の情報収集も念入りに行っておきましょう。業界や職種、企業についてよく知らないままだと、運よく転職できても入社後にギャップを感じたり、自分に合わなかったりして、再度転職という事態になりかねません。転職を重ねれば重ねる分だけ、転職活動はどんどん不利になっていきます。
こんなはずではなかったと後悔しないためにも、徹底的に業界や企業の情報収集を行うことが大切です。求人票はもちろん、企業の公式サイトや採用サイトなどで経営理念、製品・サービス紹介、社員インタビューなどをくまなく見ておきましょう。
また、会社四季報や企業のスタッフブログ、SNSなども見ておくことをおすすめします。社風、仕事内容、教育体制、ワークライフバランスなど幅広くチェックしてください。ほかにも自分が気になることはどんどん調べてみて、疑問点などが浮かんだ場合は面接時に聞けるようにしておきましょう。企業研究を丁寧にやっておくと、入社後のミスマッチを回避できるだけでなく、企業に対して志望度が高いという印象も与えられます。
3.採用担当者を納得させられる志望動機を作成する
他業種の選考を受ける人に対し、採用担当者は「なぜ違う業種に挑戦するのだろう」と疑問に感じます。そのため、業種を変える理由について、履歴書の志望動機欄や面接などで採用担当者をいかに納得させられるかどうかが重要です。
なぜ異業種に挑戦したいと思ったのか、どうしてその企業を選んだのかを事前にしっかりと考え、具体的に説明できるようにしておきましょう。その際は、企業の採用サイトなどで、募集要項や仕事内容、求める人物像などを確認し、企業がどんな人材を求めているのかを把握します。それを志望動機に盛り込むことで成功につながりやすくなります。
前職での知識やスキルで活かせるものがあれば、それも盛り込みましょう。ほかにも、異業種に挑戦するにあたり、資格の勉強など今自分が努力していることをアピールすることで、意欲が高いと判断されやすくなります。
また、志望動機は、その業界や職種であればどこでも通用するものではなく、その企業ならではの志望動機を考えておくようにしてください。ほかにも通用するような志望動機は採用担当者にすぐに見破られてしまいます。表面的にしか会社を調べていないと捉えられる可能性もあるので、気をつけましょう。


4.第二新卒の強みをアピールする
第二新卒は新卒に近い人材なので、中途採用で求められる即戦力よりもポテンシャルや仕事に対しての意欲、目的意識などに重きを置かれる傾向にあります。新卒よりも社会人としての常識やマナーがあり、中途採用者よりも組織に染まっていないという強みをアピールしていくことで、転職を成功させやすくなります。ポテンシャルの高さや他業種で学ぶことの意欲、新しいことを吸収する柔軟性があることなどを積極的にアピールしていきましょう。
5.書類や面接でネガティブなことは伝えない
前職を辞めた理由などについてネガティブな内容を伝えるのは避けましょう。特に面接では、「なぜ、前職を辞めたのですか?」と質問されるケースが多々あります。
その場合は、たとえ前職の労働環境や仕事内容、人間関係などが理由で退職したとしても、ストレートに伝えないようにしましょう。
本来の退職理由がネガティブだった場合も、それをポジティブに変換してうまく伝えられるよう工夫が必要です。以下、具体例を紹介します。
・時間外労働が多く転職する場合
時間外労働が多くて自身のスキルアップの妨げになっていたなど、環境ではなく自身の目標などが理由で退職したと説明します。
・仕事内容に不満があり転職する場合
仕事内容の不満をそのまま話すのは避けましょう。自分が経験できたことに対し、プラスになったことなどを話します。それをどのように今後つなげていきたいか、いかにその会社で自分の目標を実現できそうかという方向に話を転換することが大切です。
・人間関係が理由で転職する場合
上司と合わなかったなどと話すとただの悪口と取られてしまうことがあります。社風や会社の方向性が合わなかったなど、客観的に捉えてもらえるような言い方で説明しましょう。
キャリアチェンジを目指すなら第二新卒の強み・欠点を理解しましょう
未経験の異業種に挑戦するには、第二新卒は絶好のチャンスです。裏を返せば、未経験の異業種に挑戦できるのは第二新卒が最後の機会であると言えるかもしれません。せっかくの機会を最大限活用し、転職を成功させるために、自分に合ったオファーが受け取れる転職サービス「PaceBox」を活用するのもおすすめです。
