転職活動において、職務経歴書は重要です。採用担当者や面接官へ良い印象を与えるためには、いくつかのポイントがあります。市販の職務経歴書を使用する際の注意点や職務経歴書の選び方、入手方法までご紹介しています。


目次
職務経歴書は市販のものでも大丈夫?
結論から言うと、転職活動に市販の職務履歴書を使用すること自体に問題はありません。
ただし、応募先の事業内容や任される業務によっては、手書きがマイナス評価につながることもあるので注意しましょう。ポイントは自分がアピールしたい点が採用担当者に伝わる内容かどうか、という点です。
例えば、PCスキルを求められる技術職やクリエイティブ職などの場合、手書きの職務経歴書を提出するとPC関連の知識が乏しいと捉えられてしまうおそれがあります。
反対に事務職や秘書などを目指す場合は、手書きで作成した職務経歴書の字がきれいなことを評価されることもあります。しかし、読みにくい字で作成してしまった場合は悪印象を与えてしまう可能性も。
また、市販の職務経歴書では採用されている書式もさまざまです。そのため、自分の強みを上手くアピールできるものを使いましょう。
職務経歴書の選び方
数多くある職務経歴書の中から、自分に合ったものを探すことは非常に大切です。効果的なアピールにつながる職務経歴書選びのポイントを紹介します。
用途・アピールポイントにあわせて選ぶ
職務経歴書は、応募職種や自分がアピールしたいポイントなどにあわせて選びましょう。
一言で「職務経歴書」と言っても、その作成方法やフォーマットはさまざまです。PCスキルをアピールしたいのであればパソコンで作成した方が納得感が高くなりますが、文字のきれいさや丁寧さが伝わった方が有利になるのなら、手書きを選択すべきです。
また、使用するフォーマットは最もアピールしたい箇所がどこなのかによって選ぶのがおすすめ。自身の経歴を目立たせたい場合は職務経歴欄の長いものを、知識や資格をアピールしたい場合は該当箇所の欄が広いものを選ぶと、自己PRをしやすくなります。
基本フォーマットで選ぶ
職務経歴書には「これでなければいけない」というフォーマットは存在しません。
ただし、よく使われる様式は以下の3タイプです。
①「編年体式」
②「逆編年体式」
③「キャリア式」
①の編年体式とは、経験した仕事について順を追って記述していく方法です。全体の流れが分かりやすいので、これまでのキャリアを通じて培ったスキルや技術についてアピールしたい方におすすめのフォーマットです。
②の逆編年体式は、編年体式の逆で現職に関する情報を先頭に書き、過去にさかのぼっていくフォーマットです。特に直近の職務が応募先のものと関連深い場合は逆編年体式で作成し、冒頭から採用担当の興味を引きましょう。
③のキャリア式は、これまで経験した業務を内容ごとにまとめる方法です。複数のスキルや経験をアピールしたいのであれば、このフォーマットを使うと分かりやすくまとめることができます。
また、市販のものから選ぶときは、活かせるスキルや自己PR欄などアピールに直結する箇所が多いフォーマットのものを選ぶのがおすすめです。


用紙サイズはA4が無難
職務経歴書の用紙サイズは、特に指定がない限りA4のものを選びましょう。
A4サイズは、ビジネスシーンで提出される書類によくあるサイズです。そのため、応募先の企業がファイリングして保管するとき、サイズの違いにストレスを感じることがなくなります。
また、職務経歴書を提出する際には、用紙に折り目をつけないのが基本です。A4サイズの用紙は、一般的に販売されているクリアファイルにも入れやすい大きさなので、持ち運びしやすいこともメリットです。
用紙の種類に注意する(自分で印刷する場合は要注意)
職務経歴書に使われている用紙は、基本的に純白で薄すぎないものを選びます。
おすすめは厚さ0.1㎜の上質紙です。普通紙やコピー用紙を使用するのであれば、厚さ0.09㎜以上のものを使うのが安心。これより薄いものを使うと、見た目が安っぽくなるだけでなく、印刷時に折れたり汚れがついてしまうことがあるので避けるべきです。
また、たとえ厚みがあっても、重要書類である職務経歴書に古紙・再生紙を使用してはいけません。これらの用紙は色味が純白でないものが多く、見栄えがよくないとされることが多いです。さらに、印刷時にズレてしまう可能性もあるため、注意しましょう。
市販品は書き方の見本・ガイド付きを選ぶ
市販品を買うのであれば、書き方見本やガイドがついているものを選ぶと、項目ごとの内容に関してイメージが湧きやすく便利です。
特に初めての転職や職務経歴書の作成経験がない場合、「どこにどんなことを書いたら良いか分からない」と感じるケースは少なくありません。しかし、市販品は手書きが基本なうえ枚数の制限があるので、何となく選んで買ってしまうと、上手く書けず書き直し用に何度も買い直してしまう可能性もあります。
こうした失敗を避けるためにも、あらかじめ書き方見本やガイドを見ながら、アピールしたいポイントがしっかり書けるものを選びましょう。


市販の職務経歴書が売っている場所
職務経歴書の選び方を参考にしたうえで、「市販を使った方がよさそうだ」と感じるのであれば、以下で説明する場所で購入しましょう。
大手文房具店・コンビニ・100円ショップ
市販の履歴書は、文房具店やコンビニ、100円ショップなどで手に入りやすく、気軽に購入が可能です。
販売店としては以下が挙げられます。
・大手文房具店:ハンズ、ロフト、丸善 など
・コンビニ:セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート など
・100円ショップ:DAISO、セリア、ワッツ など
このほかにも、スーパーやホームセンター、ドラックストアなどでも取り扱いがあるようです。ただし、店舗での購入の場合は在庫状況や商品の入れ替えなどの関係で、必ずしも欲しいものが手に入るわけではありません。急ぎの場合は事前に確認してみてください。
ネットの通販サイト
24時間好きな時間に利用できるネット通販は、営業時間や居住地域に関係なく購入できるのが嬉しいところです。
大手通販サイトのAmazonや楽天市場だけでなく、家電量販店やオフィス用品専門サイトなどでもさまざまな職務経歴書が販売されています。パソコン画面上で簡単に比較でき、在庫状況もすぐに分かるので、市販品を購入する場合はネット購入がおすすめです。
気を付けたいのは、ネット通販は商品が手元に届くまでにタイムラグが必要である点です。職務経歴書の提出期限が近い場合、届いてから完成までにかかる時間なども考慮しておきましょう。


市販のもの以外で職務経歴書を入手する方法
「市販の職務経歴書以外のものを活用した方が自分に合っている」という場合は、以下の方法で入手することも可能です。
テンプレートをPCにダウンロードして印刷する
パソコンとプリンタが使える環境であれば、テンプレートをダウンロードして使用できます。
自宅で印刷までできるので、「書き間違いを繰り返しているうちに、手持ちの用紙がなくなった」という心配はありません。ダウンロード無料のテンプレートも数多くあるので、購入するより安上がりなのも大きなメリットです。
ダウンロード用の職務経歴書には、基本的に以下の2つのフォーマットがあります。
①Word/Excel版
②PDF版
①は画面上に直接打ち込めるので、手書きの必要がなく作成の手間が少なくて済みます。知識がある方はダウンロードしたデータを自分流にアレンジすれば、より効果的な職務経歴書を作ることもできます。
②は、手書き用のフォーマットです。PDFファイルはコンビニのネットプリントサービスを利用して印刷可能なので、好きな時間で気軽に用紙を準備できます。
スマホ用の職務経歴書作成アプリを活用する
「パソコンはないが、手書きの職務経歴書でアピールしたい」という場合は、AppleやAndroidスマホ向けの職務経歴書作成アプリを活用するのもおすすめです。
作成したものはそのままコンビニで印刷可能なので、休憩時間や通勤時間などの空き時間を有効活用できるという利点もあります。


職務経歴書は手書きでもOK!手書きのメリットとデメリット
職務経歴書の作成は手書きでも問題ありませんが、うっかり手書きにしたことが転職活動を不利にしてしまうことがあるので注意しましょう。
せっかく作成した職務経歴書を転職成功へ役立てるためには、メリットとデメリットを正しく認識しておくことが必要です。
職務経歴書を手書きするメリット
職務経歴書を手書きで作成するメリットは、以下の四つです。
①パソコンがなくても作成可能
②字の印象から几帳面さや真面目さが伝わる
③応募先に対する熱意が伝わりやすい
④職種によっては美しい字がアピールにつながる
手書きの文字というのは思った以上に印象を左右するもの。整った字で最後まで丁寧に作成することで、応募者の個性や人柄、仕事に対する熱意などがアピールできる場合もあります。
秘書や事務など、業務内でも手書き文字を駆使する場面のある職種では、美しい字が評価につながることも。自分の字に自信のある方は、自己アピールの一環として手書きに挑戦するのもおすすめです。
職務経歴書を手書きするデメリット
手書きの職務経歴書は、時に応募者のイメージダウンを引き起こすこともあるので注意が必要です。
職務経歴書を手書きするデメリットは、以下の4点です。
①PC関係のスキルがアピールできない
②書き間違えたら一から書き直さないといけない
③作成に時間がかかる
④読みにくい字はマイナス評価につながる可能性がある
応募職種がPCスキルを必要とする場合、手書きの職務経歴書では説得力に欠けてしまいます。特にベンチャー企業やIT系企業への転職を目指しているときは、手書きを避けダウンロードしたファイルにPC上から入力しましょう。
また、手書きの職務経歴書は作成に多大な時間を要します。もし書き間違えた場合は、最初から書き直す必要があるため、完成までに手間がかかるのもデメリットです。
自分の字に自信がない場合にも注意が必要です。採用担当者は一度に何枚もの職務経歴書に目を通しています。そのため、読みにくい字で書いてしまうと、読み飛ばされたり印象が悪くなってしまうおそれがあります。もし特に理由なく手書きでの作成を考えているのであれば、別の方法を検討することをおすすめします。


【サンプル付き】職務経歴書の書き方とポイント
いざ職務経歴書を作成しようと思っても「各項目の意味や必要な内容が分からない」という方も少なくありません。
ここでは、一般的な職務経歴書の項目や、作成時のポイントについて解説しています。
職務経歴書の項目は6つ!必要事項をシンプルに記入すること
職務経歴書を作成する際は、どの項目も多すぎず少なすぎない量でシンプルにまとめましょう。ポイントは「採用担当者の視点で考えて、読みやすく伝わりやすい内容」を目指すことです。
では一般的な職務経歴書の項目と具体的な内容を、以下で確認してみましょう。
①「職務要約」:これまでの職歴を要約したもの
②「職務経歴」:具体的な職歴(入社日、事業内容、資本金、売上高、従業員数、退職日など)
③「期間・業務内容」:任されていた業務やプロジェクトの期間と内容、成果
④「資格や特技」:所有資格や特技
⑤「活かせる経験・知識・スキル」:これまで培った経験・知識・スキルを採用後に活かせるポイント
⑥「自己PR」:採用後、いかに応募先企業へ貢献できるかというアピール
①、②は職歴のあらすじを書きます。長くなりすぎないようにアピールしたい部分を重点的に書きましょう。
③、④、⑤では、応募先に関連するものでアピールできるものから優先順位をつけて記述します。③で成果をアピールする場合は、具体的な数字をあわせて述べると説得力が増します。また、⑤は面接時の話のきっかけになるため、自分ならではの強みを探しておくと安心です。
⑥はこれまで記述してきた内容を集約し、自分を採用するメリットを採用担当者へアピールする項目です。全体を通して一貫性のある内容に仕上げれば、納得度の高い職務経歴書が作成できます。
職務経歴書を書く時の注意点
職務経歴書はビジネス文書の一種として、きちんとした方法で分かりやすく書くことを心がけましょう。
具体的には、以下の5点に注意が必要です。
①手書き作成が向いている企業かどうか見極める
②万年筆や油性のボールペンを使用する
③修正ペンや修正テープは使わない
④日付の和暦と西暦を統一する
⑤長文になりすぎないよう注意する
手書きでの職務経歴書作成を考えているのなら、まずは手書きで作成することがメリットにつながるのか熟考しましょう。
また、書き方にも気を付けなければいけません。万年筆か油性のボールペンを使用して書き、間違えたら新しい用紙に書き直しましょう。
見落としがちなのが、日付の和暦・西暦を統一する点です。職務経歴書内だけでなく、履歴書とも相違がないかチェックしておきましょう。
内容は端的にまとめるのもポイントです。採用担当者が読み飽きないよう、あまり長文にせず具体的な数字を用いてインパクトのある内容に仕上げましょう。


【Q&A】職務経歴書のよくある疑問と回答
こちらの章では、ここまでの内容で紹介しきれなかった職務経歴書にまつわるQ&Aを紹介します。
Q.修正液・修正テープ・砂消しは使っていい?
履歴書と同じく、職務経歴書にも使ってはいけません。
ほかの応募者の職務経歴書と比べて見劣りし、印象が悪くなってしまいます。また手間を省く行為とみなされ入社意欲や仕事への姿勢まで疑われかねないので注意しましょう。
Q.アルバイト・パート歴は書くの?
基本的には書きません。
パートやアルバイトは「職務」に含まれないため、職務経歴書に記述する事項には該当しません。ただし、ほかに経歴がない場合や特筆すべき内容がある場合は、アピールできる内容に絞って記述しましょう。
Q.履歴書が手書きの場合、職務経歴書も手書きに統一すべき?
統一する必要はありません。
そろえたい場合はそろえてもよいですが、メリット・デメリットを考慮して判断するのがベターです。
Q.消せるボールペンは使用していい?
使用してはいけません。
ビジネス文書は、改ざんできないことを前提に信頼を得ています。消せるボールペンを使うと「物事の本質を理解しない人」というマイナスイメージを残してしまう可能性があります。
また、摩擦や気温の上昇で文字が消えてしまうこともあります。読みづらい書類はマイナス要素になり得るので、万年筆や油性のボールペンで書きましょう。


Q.自営業を手伝っていた場合は職務経歴書に書ける?
書けますが、従事先が「法人」か「個人事業主」かで方法が異なります。
法人の場合は「〇年〇月〇〇入社」と書きますが、個人事業主では「〇年〇月〇〇従事」と書きましょう。任されていた仕事についても書いて構いません。
Q.書いた職務経歴書はコピーして使いまわしていい?
コピーも使いまわしもしてはいけません。内容が同じであってもその都度準備し、応募先には必ず原本を提出しましょう。
一度作成したものをコピーすると、ズレや汚れの映り込みで見た目が悪くなってしまいます。また、コピーした職務経歴書は「使いまわしている」と捉えられてしまうこともあります。
Q.職務経歴書だけ買える?
市販の職務経歴書は、基本的に履歴書とセットで販売されています。
ただし「日本法令」という出版社からは単品販売されており、企業のオンラインショップか全国の商品取扱店舗で購入可能です。
Q.職務経歴書は履歴書のように決まった書式がある?
決まった書式はありません。
職務経歴書にはさまざまな書式があるので、応募先の職種や求められるスキル、アピールしたいポイントなどに応じて、適切なものを選びましょう。
しっかりとした職務経歴書を準備して後悔のない転職活動を進めよう
職務経歴書は手書きでもルール違反にはなりません。PC作成と迷ったときは、アピール事項が効果的に伝わる内容に仕上がる方を選びましょう。
どちらか決めきれない場合は、キャリアアドバイザーに相談すると有効なアドバイスが受けられます。
