年収800万円といえば一般的に高年収です。年収800万円を稼ぐには、どのような職業に就く必要があるのでしょうか。それらの職業の就職難易度はどのくらいなのでしょうか。加えて年収800万円の人の手取り額や全体から見た割合、年収800万円が上位何%なのかも解説します。


目次
年収800万円は上位のたった数%?男女別の割合は?
年収800万円を稼ぐ給与所得者は、国内ではわずかです。男性と女性とでは給与所得者全体に占める割合は大きく異なります。
年収800万円クラスは全体のわずか2.9%
国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」の「給与階級別給与所得者数・構成比(第16表)」によれば、年収800万円クラス(800万円以上~900万円未満)の給与所得者はわずか2.9%です。
また、年収800万円以上を稼ぐ給与所得者は全体の9.7%で、全体の10人に1人もいない計算です。年収800万円クラスは上位9.7%に入るとなると、一般的には給与所得者の「勝ち組」と呼んで差し支えないでしょう。
年収800万円を稼ぐ男性の割合
男性に限定すると年収800万円以上の給与所得者は14.0%、年収800万円クラスは4.4%です。男性で年収800万円を稼ぐ人の割合は男女合計の全体に比べて高くはなりますが、いずれにせよ年収800万円を稼ぐ人は全体のなかでも非常に少ないといえます。
年収800万円を稼ぐ女性の割合
女性の給与所得者のうち年収800万円以上を稼ぐ人は2.3%、年収800万クラスは0.8%です。女性で年収800万円クラスの人の割合が男性に比べて低い理由は、女性特有のライフステージにあります。女性は結婚・出産・育児などによって休職や退職をせざるを得ないケースが多く、キャリア構築が難しいため、男性に比べると年収が低くなってしまうケースがあると考えられます。


年収800万円の手取り給与は600万円程度?理由や生活水準を解説
年収で800万円を得ていても実際の手取りは600万円程度の場合があります。手取り600万円になる理由や、その年収における生活水準等を解説します。
【理由】税金や社会保険料が控除されるから
年収800万円の場合、実際に受け取る手取り額が600万円程度になるのは、年収から税金や社会保険料が差し引かれるからです。
差し引かれる税金や社会保険料として、具体的には所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料があり、さらに40歳以上になれば介護保険料を支払う必要があります。これらが差し引かれた残りの金額が手取り額です。
年収800万円を例にすれば、手取り額は637.5万円程度になります。つまり実際に受け取る額は年収の85%ほどです。
【生活水準】月の手取りは50万円クラス!タイプ別の家計簿を紹介
上述したように年収800万円の人の手取り額は600万円強です。1か月あたりに換算すれば手取り額は約50万円となります。家族構成や生活スタイルなどによって一概にはいえないものの、基本的には生活に苦労しない金額です。
次に、月の手取り額が50万円クラスの独身(一人暮らし)世帯の場合と、夫婦(二人暮らし)以上の世帯の場合で、どのような生活水準になるのかを解説します。
独身(一人暮らし)世帯の場合
以下は年収600万円以上の独身世帯における1か月あたりの全国平均消費額です(2021年調査)。
消費支出:250,692円
食料:54,242円
住居:38,459円
光熱・水道:11,435円
家具・家事用品:7,360円
被服・履き物:10,851円
保健医療:11,631円
交通・通信:29,332円
教育:4円
教養娯楽:31,841円
その他:55,537円
上記の結果は独身の年収600万円以上ですが、年収が800万円あれば、かなりゆとりのある生活を送れそうなことがわかります。
夫婦(二人暮らし)以上の場合
同じく2021年調査の年収800万円から900万円の夫婦(二人暮らし)以上の世帯における1か月あたりの全国平均消費額です。
消費支出:339,983円
食料:83,552円
住居:18,923円
光熱・水道:22,916円
家具・家事用品:13,597円
被服・履き物:11,592円
保健医療:15,209円
交通・通信:54,623円
教育:22,461円
教養娯楽:29,591円
その他:67,519円
年収800万円クラスであれば、ある程度余裕のある生活が可能です。ただし、結婚して片働きの場合は独身時よりも食費や光熱費、通信費などが二人分となるため、支出は増加します。
さらに、子どもがいる場合には、子どもの成長につれて教育費や学費が増えてくるため、それほど贅沢をして暮らすことは難しくなるかもしれません。


年収800万円で住める家
多くの人にとって人生で最も高い買い物は家です。年収800万円クラスの世帯が賃貸に住む場合と、家を購入する場合とで、それぞれどのくらいの家に住めるのかを解説します。
賃貸の場合は、15万円/月が目安
住居費は、支出のなかでも大きな割合を占める固定費であり、簡単に変更することはできません。一般的に住居費は手取り額の30%以内に抑えるのが望ましいとされています。
月の手取り額が50万円の年収800万円クラスの世帯の場合だと、月の家賃は15万円以内にすることが理想です。
購入の場合は、住宅ローンは4000万円が目安
一般的には住宅ローンの借入可能額は年収の5~6倍とされています。年収800万円クラスの世帯であれば、4,000~4,800万円の借入が可能ということになります。もちろん4,000~4,800万円全額を借り入れるのではなく、一定の頭金を用意しておくことが一般的です。
収入に対する返済比率は手取り額の20%、高くても25%までに抑えるのが理想的だといわれており、年収 800万円ほどであれば、無理なく返済するためには1か月あたりの返済額を10~14万円程度にすることが望ましいです。
長期固定金利住宅ローン「フラット35」を利用すれば、最高8,000万円までを借り入れられる可能性はありますが、収入に対する理想的な返済比率を大きく上回ってしまい、生活を維持していくことは難しいといわざるを得ません。
持ち家にはローン返済のほかにも固定資産税や火災保険料などの支払いがあり、老朽化による修繕費といった維持・管理費もかかります。さらに子どもの誕生や親の介護などによる支出増、大きな病気やケガ、給料の減少、早期退職などによる収入減のリスクもあります。最悪の場合、持ち家を手放さなくてはならなくなるため、住宅ローンの借入は余裕を持った額に抑えることをオススメします。
年収800万円を目指せる職業と就職難易度
年収800万円を目指すには、まずそれが可能な職種を知ることです。次に年収800万円を目指せる職業を紹介します。
営業職
営業職は売上に対するインセンティブが支給されることが多く、成績次第で高収入が見込めます。なかでも金融業界や不動産業界、医薬品業界、メーカー、外資系のITベンダーは業界自体が給与水準が高い傾向にあり、高収入を目指す方にはオススメです。特に不動産系営業職や生命保険営業職は一件あたりの契約金額が高額であり、インセンティブも高いため、高収入を期待できます。
営業職はポテンシャル採用(求職者の持つ資質や可能性を評価して採用する方法)が行われることも多く、未経験でも挑戦しやすい職種です。専門的な知識やスキルがある場合は、それを活かしてより高い収入を得ることも可能です。
コンサルタント
コンサルタントは、顧客の経営課題を解決することが主な業務内容です。非常に高いスキルが必要とされる職種であり、高収入を見込めるうえ、営業職同様、成果に応じたインセンティブが支給されることもあります。外資系のコンサル企業であれば20代で年収800万円を狙うことも十分に可能です。
ただし、高度なスキルが求められるため、未経験での転職は難しい職種です。他職種からの30代を超えての転職も非常に難易度が高いと考えられます。しかし、スキルを身に付けることができれば、長期的に高収入を見込める職種です。


ITエンジニア
ITエンジニアは慢性的な人手不足が続いており、20代であれば、未経験でもポテンシャル採用で就業することが可能です。一方30代以上であれば、ある程度のスキルや実績が求められます。エンジニアは年収800万円を十分に狙える職種ですが、特にプロジェクトマネージャー、社内SE、サーバーエンジニアなどは高収入が見込めます。
また、システム開発の上流工程に関わるほど、より収入が高いことが一般的です。スキルさえあれば、学歴を問わず高収入を目指せます。
インフラ職(電気・水道・ガス・熱供給)
電気・水道・ガス・熱供給といったインフラ業は、生活に欠かすことのできないサービスを提供しています。そのため職業として安定しており、かつ高収入を得ることもできます。
福利厚生などの待遇面も充実していることが多く、年功序列の賃金体系が主流であることも特徴です。好条件であることから競争率が高く、就職難易度も高い職種です。
金融業界
金融業界のなかでも特に専門性の高い投資銀行業務と運用業務(ファンドマネージャー、ディーラー)は高い収入が見込める職種です。ただし、これらの職種は非常に高度な知識とスキルが必要とされるため、未経験での転職はほぼ不可能です。
経験があるとしても採用基準は非常に厳しく、狭き門です。転職難易度は数ある業種・職種のなかでも最も高いもののひとつです。


年収800万円を目指す3つの方法
年収800万円を目指すためには大きく分けて3つの方法があります。それは「出世・昇進」「転職」「副業」です。
1.出世・昇進する
最も現実的で手堅い方法は出世・昇進によって昇給し、年収800万円を目指すことです。役職手当がつけば収入増を見込めます。部長クラスにまで昇進すれば、一般社員の2倍以上の収入が得られることもあります。
ただし出世・昇進すればするほど、責任のある立場となるため、労働時間が増加したり、プライベートな時間が減少したりといった可能性があることは覚悟しなければなりません。
2.転職をする
出世・昇進は収入を増やすための手堅く、現実的な方法ですが、勤務先企業・業界の状況や評価制度によっては出世・昇進が難しいこともあります。さらに企業や業界の伸びしろが少なそうな場合には、将来的に年収がアップする見込みも低いでしょう。その場合、年収800万円を目指す方法として有効なのが転職をすることです。
希望通りの転職に成功すれば、出世・昇進による昇給よりも手早く収入を増やせます。たとえ業務や職種が同じであっても、企業規模や業界によって給与体系は大きく異なります。まだ若いうちであれば、たとえすぐに年収の増加が見込めなくとも、今後の昇給の可能性に期待して、転職を検討する価値はあります。
しかし、いざ転職しようと決断したとしても、どのように進めればよいのか不安な人も多いことと思います。そのような場合には転職サービスを利用することも選択肢のひとつです。特に年収アップを目的とした転職活動では、どのような企業・業界に転職するのかが重要です。
「PaceBox」では、年収や業界、勤務地など自分が求める条件に適したオファーを受けることができます。加えて、プロのキャリアアドバイザーに、転職に関する不安や悩みなどを相談することもできるため、安心して転職活動に臨むことができます。
3.副業をする
副業によって収入アップを図ることもひとつの方法です。主な副業としては投資信託、株、FXといった投資やブログ、YouTubeによるアフィリエイト、クラウドソーシングなどがあります。
1.投資
・成功すれば、限られた時間で多くの利益が得られる
・大きな利益が見込める投資はその分リスクも大きい
・投資信託はリターンは低いものの、比較的リスクも低いものが多く、初心者にはオススメ
2.アフィリエイト
・成果報酬型のインターネット上の宣伝広告方法
・広告から商品の購入や契約がされると運営者に報酬が入る
趣味があったり、文字を書くのが得意だったりする場合には、ブログ運営によるアフィリエイトは有効な副業です。近年はYouTubeによるアフィリエイトも増加しています。
3.クラウドソーシング
・インターネットで気軽に登録できる
・簡単な仕事から専門的なスキルを要する仕事まで、さまざまな仕事の募集がある
・働いた分だけ収入が得られる
副業をする場合、本業で得たスキルや経験を活かせる仕事を選べば、より高い収入を見込むことができ、将来の選択肢を広げることもできます。
ただし、企業によっては副業を禁止していたり、副業の範囲に制限を設けていたりする場合もあります。就業規則などをよく確認したうえで、副業を行っても問題ないかを確認してください。
年収800万円を目指すなら転職も視野に活動しましょう
年収800万円を稼いでいる給与所得者は全体の2.9%しかおらず、上位10%以内に入ります。年収800万円を稼ぐ難易度は決して低くはありません。
しかし昇給や副業、転職によって800万円クラスに届く可能性はあります。特に現在の仕事で昇給が見込めなかったり、副業が禁止されていたりする場合には転職を考えてみましょう。
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