転職活動をいつ始めるか。そのタイミングは、入社を希望する時期によって異なります。転職は、職探しにかかる時間を把握し、計画的に取り組むことが、成功のカギ。ここでは、転職に必要な期間、始めるタイミング、さらに転職活動が上手くいく人、いきづらい人の特徴について解説します。


目次
転職活動を行う時期のメリットとデメリット
転職活動を開始するタイミングは、在職中か退職後かのいずれかです。それぞれのタイミングのメリットとデメリットを以下に解説します。
在職中に活動を始めるメリット
在職中に転職活動を始めるメリットは、以下の3つです。
・収入が途切れない
・職歴に空白期間ができない
・転職先を時間をかけて検討できる
収入が途切れない
在職中に次の仕事を探すことは、収入が途切れないという点で大きな安心材料となります。経済的に安定した中で、じっくりと次の仕事を検討し、後悔のない転職活動を進められます。経済的、時間的に余裕がある中で仕事を探せる環境だと現職と比較して転職活動を中断する、という選択もできます。
職歴に空白期間ができない
在職のまま次の仕事に移れると、職歴に余計な空白期間が出るのを防げます。職歴に長い空白期間があるのは、採用側にも不安を抱かせることになります。
転職先を時間をかけて検討できる
転職活動の進捗が芳しくない場合には、理想に近い転職先に就職するために資格の取得やスキルアップに時間を充てることも可能です。このように不安材料を抱えず、転職先を熟考できることが在職中に転職活動を始めるメリットです。
在職中に活動を始めるデメリット
在職中に転職活動を始めるデメリットは、以下の2つです。
・時間の確保が難しい
・入社日の折り合いがつきにくい
時間の確保が難しい
仕事をしながら次の転職先を見つける場合、活動の時間を確保しづらいというデメリットがあります。退社後の時間は限られており、退社後に面接などを実施する場合は企業との調整も必要になります。有給休暇のやりくりを考えて、計画性をもって、転職活動をすることが必要です。
入社日の折り合いがつきにくい
入社日の折り合いがつきにくい入社日の折り合いがつきにくいこともデメリットです。労働基準法上では退職届は2週間前に提出すれば問題ありません。しかし、担当した業務の引き継ぎを考えると、退職までには1~2ヶ月ほど期間を設ける必要があります。そのため、転職先が早い入社を希望してきた場合に速やかに対応できないことも考えられます。


退職後に活動をするメリット
退職後に転職活動をスタートするメリットは、以下の3つです。
・転職活動の時間を確保しやすい
・面接の日程を組みやすい
・急ぎの求人に対応できる
転職活動の時間を確保しやすい
退職してから仕事を探し始める一番のメリットは、時間的な余裕と柔軟性があげられます。仕事で日々の時間を拘束されることがないことから、転職に関する情報収集や資格の勉強などにも時間を充てられ、余裕を持ってこれからの仕事を検討できます。
時間の融通も利くので、指定された面接の日程に柔軟に対応できます。スケジュールを調整して、転職活動を短期間で進められます。
先方が急いでいる場合、求められたタイミングで対応できると採用を有利に進められる場合があります。とりわけ、人材不足が深刻な企業だと、半年後に入社できる希望者より、数ヶ月後から来られるという希望者を歓迎するのは自然なことです。
退職後に活動をするデメリット
退職後なかなか希望する仕事と出会えなかった場合、収入がないことから生活面や精神面に不安が生じてしまいます。それが、焦りや十分な検討ができないというマイナスの結果につながってしまいます。
また、職歴にあまり長いブランクが空いてしまうと、採用側にマイナスの印象を与えてしまうかもしれません。
働きながら転職する場合、入社まで何ヶ月待ってもらえる?
働きながら転職する場合、内定から入社までの猶予期間は、一般的に2〜3ヶ月です。企業の内情にもよりますが、円満退社のためには引き継ぎやいろいろな事務の手続きに時間がかかり、すぐに退職するのは難しいということは、先方もある程度想定しているからです。
しかし、企業が深刻な人材不足であったり、事業拡大に伴い人材の確保を急いでいたりする場合には、早く入社できる希望者の方が有利になる可能性もあります。
厚生労働省が発表する「一般業種紹介状況(令和4年11月分について)」によると、全業種の平均有効求人倍率は1.35倍です。企業が求めるビジネスパーソンの人数が集まっておらず、全業種を通して人手不足が続いています。そのため、入社までの期間に柔軟に対応する企業が増えています。


面接で「いつから働けますか?」と聞かれた際の回答は?
面接で入社可能時期を聞かれたら「2~3ヶ月後に働けます」と答えるのが理想的ですが、より好印象を与える答え方や、3~4ヶ月後でも問題のないケース、反対に悪い印象を与えてしまう回答を以下に紹介します。
2~3ヶ月後と答えるのが理想的である
勤め先の会社での引き継ぎ業務を考慮すると2~3ヶ月が現実的です。企業からの理解も得られやすく、理想的な回答となっています。現職の勤め先に対して一方的に退職までの期間を短くすると、転職先の企業に与える印象も悪くしかねません。
しかし、業務に支障がないようにできるだけ早く入社できるように調節する旨を伝えると好印象が得られます。転職先の企業が置かれている状況に配慮し、「いつから働けますか?」の問いには「2~3ヶ月後から働けます」の回答をベースに、状況によっては入社までの期間を短縮できるように答えましょう。
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状況によっては3~4ヶ月後でも問題ないケースもある
入社までに3~4ヶ月かかっても、その理由や状況次第で問題のないケースもあります。転職先の企業が納得しやすい理由として挙げられるのが、「引っ越し」と「引き継ぎ業務」に時間がかかるケースです。
転職先の企業が現住所から遠かったり、IターンやUターンに伴う転職だったりする場合には、引っ越しが必要です。新居探しや退去準備を業務と並行しておこなうため、理想的な回答である「入社は2~3ヶ月後」より時間がかかっても理解が得られます。家探しや引越しの準備は、内定後に始めるのが常だけに、通常より長い期間が必要になることは、仕方がありません。
曖昧な回答は控える
「いつになるか分からない」「できるだけ努力する」など、曖昧な意思表示は、好ましくありません。転職先の企業に対して後ろ向きな印象を与えてしまいます。本当に入社する気持ちがあるのか、という不安を与えてしまうと同時に、仕事に対する意欲の低さや計画性のなさを疑われることになります。
このため、入社時期については、仮でもいいので、入社までに必要な期間をはっきりと伝えられるように準備しておきましょう。今いる会社で過去に退職した人が、どのくらいの期間引き継ぎ業務をしていたか、などを参考に自分の場合を想定しておくと、回答にも信憑性を持たせることができます。


転職活動は何ヶ月かかる?一般的な流れを紹介
一般的に転職活動には3〜6ヶ月かかります。どのようなスケジュールで転職活動を進めるのかを、以下に紹介します。
1. 事前準備を行う
転職活動の1ヶ月目は事前準備に充てます。事前準備として挙げられるのは、下記の項目です。
・転職の目的を明確化
・転職活動のゴールを明確化
・キャリアを再確認
転職の目的を明確化
収入やキャリアアップを目指す、プライベートの充実を図るなど、転職の目的をもう一度確認します。
ただし、転職の理由がネガティブな場合は再検討が必要です。なぜなら、「仕事が大変」や「マンネリ化」などのネガティブな理由は、転職に成功したとしても解決しません。同じような問題が発生する可能性が高く、理由を作って再度転職する悪循環に陥ります。転職の際にはポジティブな目的を掲げましょう。
転職活動のゴールを明確化
転職活動はゴールを明確化することも重要です。転職先の条件や転職までの期間を明確にしておけば、ダラダラと転職活動を続けてしまう可能性はありません。
キャリアを再確認
転職の目的やゴールが定まったら、自身のキャリアを時系列ごとに掘り下げ再確認し、場合によっては活動期間に資格の習得やスキルアップに充てる時間を組み込みましょう。
2. 情報を集めて応募する
転職活動を始めてから2ヶ月目ごろからは、希望する転職先の情報収集をしたり、応募に必要な書類を整えて応募します。情報収集は、さまざまな転職サイトやキャリアアドバイザーに相談すると、効率よく情報を得られます。
転職サイトは転職先に求める条件を絞ったり、運営会社が条件を満たす企業を紹介してくれたりします。また、企業側からスカウトを受ける「逆オファー型」の転職サイトであれば、情報収集に手間や時間をかけず転職先が見つかる可能性があります。
未経験の業界への転職を目指す場合には、転職活動全体の中でも2ヶ月目の情報収集が重要な期間です。転職を希望する業界の市場の規模や人材を取り巻く環境を把握しておかなければ、転職活動は成功しません。
また、人材が不足しがちな業界は転職活動の難易度が下がりますが、人材が飽和していると難易度が上がります。業界によっては資格の取得が必須になる場合もあるので、未経験の業界に進む際には情報収集をしっかりとおこないましょう。


3. 選考を受けて内定をもらう
3~4ヶ月目は選考を受けて内定をもらう期間です。退職に伴う引き継ぎ業務の期間を2~3ヶ月とすると、転職活動の3~4ヶ月目には内定をもらっておかなければ6ヶ月間で完了しません。書類選考と面接を通過すると、入社条件が提示されます。確認のうえ、納得できる企業であれば内定を受けます。
面接が複数回ある企業が多く、初回から最終選考までにかかる期間はおよそ1ヶ月です。複数の企業に応募する場合は、面接日の日程調整がスムーズに進まないこともあります。
在職中の転職活動であれば、面接を受けるのは就業後や休日に限られるため、面接の日程調整が難航することを配慮しスケジュールに余裕を持たせておきましょう。
4. 退職の準備を進める
内定が決まれば、勤める会社に退職の意思を伝え退職日を決めます。引き継ぎ業務を進めながら、年金や保険の手続きをする期間です。会社から貸し出されている物の返却やあいさつを済ませ、円満に退社しましょう。
退職の際には、源泉徴収票や離職票を受け取ります。離職票の提出を求める転職先もありますが、交渉を進めず一方的な都合で退職した場合には、退職理由が「重責解雇」となる可能性があります。
勤める企業と退職希望者の双方が納得する形で退職交渉を進めるのが理想的です。会社側の意見ばかりを優先させる必要はありませんが、退職希望者が一方的に退職する場合に考えられるのが、会社側が「退職手続きがおこなえない」と判断するケースです。それでも退職に踏み切ると「長期の無断欠勤の末の懲戒解雇」となり、離職票に「重責解雇」と記されます。選考のマイナス材料になるため、社会人として最低限の常識を守り、円満退社を目指しましょう。
5. 入社の準備を進める
転職活動の6ヶ月目は、退職日までの引き継ぎ業務に並行して、入社の準備を進めます。勤めていた会社の源泉徴収票や住民票、雇用保険被保険者証などを転職先の企業に提出します。
また、入社後にスムーズに業務に取り掛かれるように、必要になるスキルや知識を習得しておきましょう。転職先の企業が業務に導入しているシステムや取り扱う商品などの知識は、入社後の業務に生かせます。
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ここまでの転職活動の流れを確認して、「自分一人でやり遂げるのは不安だ」と感じた方も多いと思います。そんな時は、転職のプロであるキャリアアドバイザーの力を借りるのがおすすめです。
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4月の転職の転職活動はいつから始めるべき?
4月の転職には2つのメリットがあります。「4月入社」と掲載されている求人に応募するため、入社時期が早まったり、ずれ込んだりする心配がありません。転職先の都合による入社時期の変更がないので、転職活動のスケジュールが組みやすいというメリットがあります。
また、3月は異動の時期です。業務の引き継ぎや人員の配置変更を実施しやすい時期なので、退職交渉をスムーズに進められます。
前述したように3〜6ヶ月におよぶ転職活動の計画や、最低でも2~3ヶ月前に退職の意思を伝える必要があることから、4月入社を目指すなら半年前の10月か、遅くても3ヶ月前の1月に転職活動を始めるのが理想的です。在職中の転職活動は新卒と違い、日常業務と並行して実施します。複数の企業に応募する場合は、面接日が重なることも考えられるため、スケジュールには余裕を持たせておきましょう。


転職活動が上手くいく人の特徴
転職活動が上手くいく人には、4つの特徴があります。
・転職の理由が明確
・将来を見据え、視野が広い
・欠点や課題を把握
・情報収集の徹底
それぞれの特徴についての詳細は、以下のとおりです。
特徴1. 転職の理由が明確になっている
転職の理由が明確であれば、転職先に求める条件の洗い出しや採用担当の心に響く志望動機が伝えられるため、転職活動が上手くいく可能性が高くなります。転職の理由が収入アップであれば、転職希望先は現在より高い年収が設定されている企業に絞り込まれます。
スキルアップが目的であれば、より専門分野に精通した企業に転職活動をおこなうなど、転職希望先の企業像がクリアになるため、転職理由をはっきり明確化することは有用です。
特徴2. 将来を見据え、特定の企業や業種に囚われない
将来を見据える広い視野を持ち、特定の企業や業種に固執しないことも、転職活動が上手くいく人の特徴として挙げられます。
なぜなら、短期的な視野しか持ち合わせていない人は、最終的に転職に失敗する可能性があるからです。例えば、「収入を上げたい」や「休みを増やしたい」が転職の理由とします。転職先の企業や業界の成長を見据えなければ、一時的に年収や休日が増えたとしても、将来的に年収が下がったり、企業の存続の危機を迎えたりする可能性があります。
将来的に企業や業界の成長が見込めるなら、一時的に収入が下がったとしても就職先としては有用です。将来を見据える広い視野は、企業や業界、自身が成長した姿をイメージしやすくなるため、転職活動を成功へと導きます。
特徴3. 自分自身の課題や欠点を把握している
転職活動が上手くいく人は、自身の課題や欠点を把握しています。面接担当者に短所について質問されても、客観的に説明できるので、結果的に採用の確率が上がるからです。長所について把握している人は多くても、短所について明確に把握し、それを面接の場でプラスの判断材料として答えられる人は多くありません。
自身の短所を見極め、克服のために取り組んでいる内容を伝えられれば、課題や欠点は採用にプラスの影響を与えます。例えば、失敗を恐れて行動に移すことが苦手な場合。失敗の要因を洗い出し、不安材料を解消することで第一歩につなげるように取り組み、その結果今この面接の場にいるのだ、と伝えれば、短所を克服したアピールポイントとして示せます。
特徴4. 情報収集を徹底して行っている
情報収集は転職先とのミスマッチを防ぐために必要です。実績やスキルがあったとしても、事業内容とズレがあると十分に力を発揮できず、転職は成功とはいえません。また、社風や人間関係に関する情報を手に入れていないと、入社後に馴染めず精神的な負担を抱えることになってしまいます。
情報を収集する有効な方法としては、転職サイトやキャリアアドバイザーへの相談がおすすめです。会社の業務内容や平均年齢、男女比といった社員に関するより具体的な情報や残業時間の現状など募集要項に載っていないような情報が確認できます。また、実際に転職に成功した人の感想なども知ることができるのは、実に興味深いところです。


転職活動が上手くいかない人の特徴
それでは、転職活動が上手くいきづらい人の特徴は何でしょうか。その特徴は主に三つです。
・自己評価が高すぎる
・転職の理由が曖昧
・他責思考
あなたがもし、これらの項目に当てはまる要素があるなら、対策に取り組み、転職活動の際に不利にならないようにしたいものです。
特徴1. 自己評価が高すぎる
自己評価が高すぎると、転職後に即戦力として働けると思いがちです。勤める会社で役職に就いていたり、業界に携わる時間が長かったりする人が、自己評価と他己評価のギャップに陥りやすくなる傾向にあります。
役職は年功序列で決まるケースもあり、必ずしも役職に就いたことがその人の能力を保証するわけではありません。また、業界や勤める会社に所属した期間が長いほど、培ってきたやり方や考え方が染みつき、転職先のスタイルを受け入れられないケースもあります。
自身を客観的に評価できなければ、転職後に「こんなはずではなかった」と後悔する事態に陥る可能性があります。自身のスキルや知識を客観的に評価し、未知のやり方や考え方にも積極的に取り組む柔軟な思考を持つことが大切です。
特徴2. 転職の理由が曖昧で目的がない
転職の理由が曖昧なままでは、面接担当者の志望動機の質問にも上手く答えられず、内定を得られない可能性が高くなります。たとえ採用されたとしても、前の職場で抱えていた不安や不満を把握できていなければ、転職先でも同じ不安や不満を抱えることになります。転職の理由と目的が明確でなければ、転職は上手くいきません。
特徴3. 他責思考で自分と向き合えていない
他人に責任を押し付ける「他責思考」では、転職活動に失敗する可能性が高くなります。自分の欠点や課題を棚上げし、周囲に責任があるという思考だと、自身の成長が見込めないのでいつまでたっても問題は解決しません。転職したとしても、また周囲に責任を押し付け、短期間で離職を繰り返す悪循環に陥る可能性があります。
「能力に見合ったプロジェクトを任せてもらえない」や「適切な評価がされない」など、他責思考はネガティブになりがちです。そのため、面接担当者に退職や転職の動機を尋ねられた際に、ネガティブな印象を与え、選考の評価にもマイナスに響きます。
転職の準備を計画的に進めてスムーズに内定を得よう
転職は目的が明確で、計画性があるほど成功確率が上がります。内定、入社というゴールから逆算して転職活動をスタートすることが重要です。
転職が上手くいきづらい人の特徴に当てはまる場合は対策に取り組み、転職に成功する人の特徴を取り入れると転職の成功につながります。
