転職活動において、1ヶ月以上の空白期間があると採用担当者や面接官にマイナスイメージを持たれてしまうことはあるのでしょうか?不安が多い転職活動ですが、空白期間があってもきちんと対策をすれば乗り越えられます。面接に向けて気をつけるポイントをご紹介します。


目次
転職で空白期間がある人はどれくらいいる?
厚生労働省の調査「令和2年転職者実態調査の概況」によると、前職を退職してから新しい勤務先で勤務を開始するまでを表す離職期間として、約半数を占めるのが「離職期間なし」もしくは「1ヶ月未満」です。
離職期間ごとに詳しくみてみると、転職者全体では以下のとおりです。
- 離職期間なし:26.1%
- 1ヶ月未満:27.6%
- 1ヶ月以上2ヶ月未満:13.3%
- 2ヶ月以上4ヶ月未満:12.9%
- 4ヶ月以上6ヶ月未満:4.6%
- 6ヶ月以上:10.7%
調査結果からは、8割以上の人が離職期間6ヶ月未満で転職活動を終えていることがわかります。
参照元:令和2年転職者実態調査の概況


転職で空白期間があると評価は下がる?
前職を辞めてからの転職活動中に空白期間があると、面接官からの評価が下がってしまうのか気になる方もいるでしょう。離職期間ごとに分けて、実際の転職活動にどのような影響があるのかを押さえていきましょう。
転職までの期間が1ヶ月の場合
次の職場での勤務開始までが1ヶ月の場合は、先ほどの厚生労働省のデータからもわかるとおり一般的な離職期間のため、転職活動に大きな影響はありません。そもそも転職活動に必要な期間は1ヶ月から3ヶ月、長いと半年といわれています。
転職活動はただ履歴書や職務経歴書などの応募書類を作って、面接を受けに行くだけではありません。自分のキャリアについてよく考えたり、応募先企業や求人について理解する時間を取ったりすることにも充てられる期間です。
そのため、退職後に転職活動を開始したとしても、離職期間が1ヶ月あることが原因で書類選考が見送りになることは考えにくいです。
それでも面接に向けて対策をするのであれば、離職期間が1ヶ月ある理由を面接で説明できるようにしておくと安心できます。仕事をしながら転職活動をして空白期間なく入社する人もいるなかで、なぜ空白期間があるのかは面接官も気になる場合があるからです。
よくある理由として、在職中は残業や休日出勤が多く、転職活動にかける時間が取れなかったというものが挙げられます。その場合は、退職前の有給消化期間や退職後の時間を使って、転職活動に集中して取り組んだと説明できます。
転職までの期間が1ヶ月以上~6ヶ月の場合
離職期間が1ヶ月から6ヶ月の場合も、転職完了までに半年ほどかかることは十分に考えられるため、圧倒的に不利になる可能性は低いです。
しかし、空白期間が長くなればなるほど、なぜ長引いているのかを面接で質問されることが多くなります。その理由を説明できるように準備しておきましょう。
転職までの期間が6ヶ月以上の場合
離職期間が半年を超えてくると、応募先企業から懸念を抱かれる可能性が高まってきます。転職エージェントのサービスを利用するときに、求人の紹介を受けることが難しくなってくるラインでもあります。
半年以上の離職期間中にきちんと転職活動をしていた場合でも、何かしら問題があるのではと考えられてしまう恐れがあります。


企業が空白期間に対して懸念すること
空白期間がある応募者に対して、応募先企業がどのような印象を持つのかをご紹介します。
特に空白期間が数ヶ月と長くなっている方は、面接に向けて企業が何を心配しているのかを押さえて、採用担当者や面接官を納得させ、懸念事項をクリアできる説明を考えておきましょう。
もし自分が面接官だったとして、同じような人が面接に来たときにどのようなことを懸念に思うのかを想像してみることがポイントです。
働くことについての意欲がないのでは
企業側は応募者に一日でも早く働きたい気持ちがあれば、転職活動に一生懸命取り組むだろうと考えています。そのため、離職期間が長いにもかかわらず転職を急いでいない人に対しては、働くことに対して意欲がないという印象を抱く可能性があります。 応募者が働く意欲を持っているかどうかは、面接官の重要な評価ポイントです。面接では、空白期間をなるべく早く終わらせてその企業で働きたいと思っている、熱意と志望度の高さをアピールしましょう。
応募者のスキルが不足しているのではないか
転職活動で非常に重要なのは、企業がどのような人材を求めているかをきちんと理解することです。 空白期間が長引く人に多いのは、企業の求める人物像を理解せず、明らかに自分のスキルが不足している求人にばかり応募しているケースです。 例えば、企業が求めている経験年数に足りないこと、具体的な業務経験がないことなどが挙げられます。この場合、書類選考で見送りになる可能性が高いです。 たとえ書類選考に通過したとしても、採用担当者や面接官は、応募者が企業研究や求人内容の分析をしていないことはすぐに見抜きます。
計画的な転職活動ができないのではないか
転職活動では「次の4月から新しい職場で働きたい」のように、いつまでに転職したいかを事前に決めておくことが成功の秘訣です。そのため、目標時期に向けて逆算しながらスケジュールを立て、計画的に転職活動を進める人が多いです。 ダラダラと転職活動を続けることは、目標や計画性を持たず何となく転職活動をしているような印象を採用担当者に与えてしまいます。社会人として仕事をするうえで、計画性はどの企業でも求められる要素です。


【例文あり】転職による空白期間を説明するときの対策
それでは、空白期間を面接で説明するときの対策方法を知っておきましょう。面接官や採用担当者を納得させられる理由として、主に次の四つがあります。
資格やスキル習得のためと説明する
空白期間の説明として多いのは、資格取得やスキルアップに時間を使っていたという理由です。
この理由であれば、スキルアップに積極的である印象を面接官に与えられ、「転職後にできるだけ早く活躍したいと考えている」と、その企業で働く意欲をアピールできます。結果として、面接官へ好印象を与えられる可能性が高いです。
このとき大事なことは、勉強していた資格やスキルが次の業務で役立つものであることです。ExcelやWordなどのPCスキルは多くの人が勉強しますが、経理職を希望するならさらに簿記を取得するなど、そのスキルが応募先企業で活かせることを面接官に説明しましょう。
専門性が高く、難易度の高い資格取得であれば、空白期間についてより説得力を持たせられます。ただし、仕事を続けながら同じ資格取得を達成している人もいることも念頭に置いておきましょう。
【例文】
離職期間中は、自身のスキルアップおよび転職後に即戦力として御社で活躍できるよう、資格取得を目指しておりました。無事に資格取得ができましたので、学習を通して身につけた知識を活かして業務に取り組む所存です。また、資格試験に向けて計画的に学習を進めたことで、計画性も身につけることができたと自負しております。
介護や育児・出産などやむを得ない理由のためと説明する
空白期間がやむを得ないものとして理解してもらえることが多いのが、介護や育児・出産など家族に関係する理由です。面接で質問された際にも隠さずにきちんと説明すれば、面接官へ悪い印象を与えることはありません。
ただし、今後の業務に支障がないかどうかは企業側にとって採用するうえで気になる点です。伝えられる範囲で状況が解決していることを説明しましょう。
もし介護や育児によって出張や残業ができないなど、業務時間や働き方に制限がある場合は、面接で正直に伝えてください。企業によってはそれが原因で不採用になる可能性もありますが、入社後にお互いのギャップを生まないためにも、あらかじめ話しておいたほうが確実です。
【例文(介護が理由の場合)】
離職期間中は、父の介護をしておりました。兄弟が離れた場所に住んでおり、私が介護する必要がありました。父は介護施設に入所することが決まったため、転職後の業務に支障はございません。
アルバイト・パートのためと説明する
退職後、正社員として就職するのではなく、アルバイトやパートタイムで収入を得る人もいます。その場合は、なぜ正社員ではなくアルバイトやパートタイムを選択したのか、また、アルバイトやパートタイムを通して得た経験を、転職先でどのように活かせるのかを説明できるとよいです。
人によっては、キャリアチェンジを目指すためにまずはアルバイト、パートタイムで経験を積んでいるケースも考えられます。そのときは、得られた経験を大いにアピールするようにしましょう。
【例文】
離職期間中はアルバイトをしておりました。アルバイト先の店長と相談しながら転職活動をしておりましたが、繁忙期と重なり転職活動期間が長引いております。アルバイトの経験を通して、お客様や同僚とのコミュニケーションの重要性を改めて認識できたため、御社ではアルバイトでの経験を活かし、営業職として活躍したいと考えております。
休息のためと説明する
空白期間中は休息のために、家で過ごしたり旅行したりという人もいますよね。面接では、なぜ休息を取ることを選んだのか納得感を持って説明することが大切です。
例えば、前職では残業や休日出勤が多く自身の将来について考える時間がなかったので、空白期間の間に今後のキャリアプランについてじっくり考えていた、などと伝えることができます。また、現在は働くことについて前向きに捉えていることを伝えましょう。
ただし、休息を理由にする場合、休息期間がないと転職活動を始められなかったのようなネガティブな説明は避けてください。面接官にメンタルが弱いのでは、転職しても同じ理由でまた辞めてしまうのでは、という印象を与える恐れがあります。
休息期間を通して得たことや学んだことを説明したり、ポジティブな状態であることをアピールしたりしましょう。
【例文】
離職中は、休息期間として旅行や自身の趣味を楽しむ時間としておりました。この期間を通して、自分自身は何のために働くのかを振り返り、仕事によって得られるやりがいが必要であると改めて認識いたしました。


転職で空白期間があるときは手続きにも注意
会社に所属していると、保険や年金は毎月の給料から自動的に支払われるため、あまり気にかけないものです。しかし、仕事を辞めたあとに空白期間がある場合は、それぞれ手続きする必要があります。
退職してすぐにおこなわなければならず面倒に感じやすいですが、いざというときのためにも必要な手続きを知っておきましょう。
健康保険
会社を辞めた場合、その企業で加入していた社会保険(被用者保険)の保険証は失効するため、それまで使っていた保険証は使えません。退職日の翌日からは、全員自動的に国民健康保険に加入することになります。
ただし、国民健康保険の保険証は自動的には発行されないため、役所での発行手続きが必要です。
空白期間中に病院へ行くことも起こり得るため、退職後14日以内にお住まいの住所を管轄する役所で保険証発行の手続きをしましょう。手続きの際は、前職の企業から受け取った健康保険の資格喪失証明書や本人確認書類、退職証明書、離職票などが必要になる可能性があるので、事前に確認しておくとスムーズです。
退職後14日を過ぎても手続きはできますが、保険証がないと病院での治療が全額自己負担となるため、できるだけ早く手続きすることをおすすめします。なお、手続きをせず全額自己負担になってしまった分は後から取り戻せません。
自治体にもよりますがその場で保険証を発行してもらえないこともあるため、離職期間中に通院が必要ならその旨を役所の窓口で伝え、保険証の代わりとなる証明書を発行してもらいましょう。
さらに、転職して新しい会社で社会保険に加入したときも、国民健康保険の脱退手続きが必要です。同じく住所を管轄している役所へ国民健康保険の保険証と新しい保険証を持参して、手続きしましょう。
なお、1ヶ月以上空白期間がある場合は、下の2つの方法もおすすめです。
任意継続保険制度
任意継続保険制度とは、退職までに所属していた企業の社会保険に継続して加入できる制度です。
在職中は社会保険料を個人と企業で折半して払っていますが、退職後は全額自分で負担することになるので、自己負担額が増えます。任意継続保険制度を選択すると、国民健康保険の保険料よりも少し安くなることが多いため、空白期間が1ヶ月以上になる方におすすめです。
ただし、任意継続するためには条件があります。
- 退職日以前に2ヶ月以上継続して、社会保険の被保険者であったこと
- 退職日の翌日から20日以内に任意継続の手続きをすること
手続きは、住んでいる都道府県の協会けんぽ(全国健康保険協会)支部に申請書を郵送、または窓口への持参にて提出します。支部は各都道府県に1ヶ所しかないため、場所を調べておき余裕をもって手続きに行きましょう。
任意継続保険制度を使えるのは最大2年間です。また、任意継続期間中に国民健康保険に切り替えることや、家族の扶養に入ることはできないため要注意です。
家族の扶養
もし親や配偶者に会社の社会保険に加入している人がいるなら、被扶養者として同じ保険に加入できます。被扶養者は保険料の支払いが不要なことが大きな特徴です。
ただし扶養に入るためにも条件があります。自身がその条件に当てはまっているか、きちんと確認しておきましょう。
- 年収が130万円未満であること、かつ被保険者の年収の2分の1未満であること
- 扶養者の3親等以内であること、もしくは同一生計の事実があること
- 失業給付金を受給していないこと(失業給付金は収入とみなされるため、ほかの条件との兼ね合いに注意が必要です)
必要な手続きについては、扶養者が所属する会社からの指示に従いましょう。


年金
年金は健康保険と違って自動的には切り替えられません。次の入社日まで期間が空く場合は、自分で役所に行って国民年金への加入が必要です。
退職後14日以内に手続きをする必要がありますが、過ぎてしまっても手続きはできます。
前の会社を退職してその月の間に次の会社に入社するときは、厚生年金に加入し続けることになるため、切り替え手続きはそれぞれの会社でおこなってくれます。
一方で月の途中で退職し、次の会社への入社日が退職日の翌月以降になる場合は、月末の所属がないため、退職した月の年金は国民年金を支払うことになります。
手続きには年金手帳が必要です。勤めていた会社に預けていることが多いので、忘れずに返却してもらいましょう。
年金を払い忘れると、将来的に受給できる金額が減ってしまうので要注意です。
失業保険
失業保険は正式には雇用保険と呼ばれ、この保険から失業手当が給付されます。失業保険には仕事をしていない期間に安定した生活を送りながら、一日でも早く再就職できるよう支援する目的があります。
受給するためには、退職後にハローワークでの手続きが必要ですが、仕事をしていない人全員が給付を受けられるわけではありません。さらに待期期間と呼ばれるものが存在するため、いかなる退職理由でも、受給資格決定日と呼ばれる求職の申し込みと離職票の提出を行った日から7日間は、失業手当は受け取れません。
また、失業手当がもらえる「所定給付日数」は年齢や退職理由、被保険者期間によって異なるなど、制度としては少し複雑です。
ここからは「自己都合退職」と「会社都合退職」で運用が異なる点をご紹介します。
【自己都合退職】
自己都合退職とは、一般的に自分から退職することを伝えて会社を辞めることをいいます。ただし、介護や病気など自分の意思とは反する正当な理由があるときは、「特定理由離職者」として別の条件が当てはまることがあります。
一般的な自己都合退職の人が失業手当を受け取れる条件としては、退職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あることです。
また、上記で紹介した待期期間のあとにも2、3ヶ月ほど給付制限があり、失業手当を受け取れるまでかなり時間がかかります。
【自己都合退職(特定理由離職者)】
自己都合退職でも、特定理由離職者に認定される人もいます。例えば、次のような人が該当します。
- 有期労働契約の更新を希望したにもかかわらず、認められずに退職した人
- 出産や育児で退職し、受給期間の延長措置を受けた人
- 配偶者、扶養親族との別居を続けられなくなり退職した人
- 親の扶養、介護など家庭事情が急変したことで退職した人
- 通勤が困難になり退職した人
- 企業の希望退職募集に応じて退職した人
自分が当てはまるかは、ハローワークでの手続き時に確認してください。
また、この条件に当てはまる人が失業手当を受け取れるのは、退職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上ある場合です。
【会社都合退職】
会社都合退職とは、わかりやすくいうと企業の倒産や解雇が理由の退職です。再就職準備をする時間的な余裕がなく退職せざるを得なかった人が、特定受給資格者となります。
この場合、失業手当を受け取れる条件は、退職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あることです。
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