第二新卒での転職は、一般的に「甘い」といわれています。今回は、その理由や実際には甘くないといえる理由、どのような人ならば実行したほうが良いのかなどを解説します。転職活動を成功させる秘訣もご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。


目次
一般的に第二新卒の転職は「甘い」といわれている

一般的に、第二新卒の転職は「甘い」といわれています。これは、「入社後数年以内に転職することが甘い考えだと判断される」という意味と、「転職活動の難易度が甘い・簡単だ」という2つの意味で使われています。
そもそも第二新卒とは、「正社員として新卒で採用された会社に入社してから、3年以内に転職活動をしている人」のことを指しています。採用担当者が第二新卒のことを「新卒社員として入社後1年以内の人」だと考えている可能性もありえるため、注意が必要です。
第二新卒といえる場合には、新卒社員として入社してからそれほど時間が経たずに、前職を辞めて転職しようとしていることを指します。そのため、人によっては「自分の考えは甘いのではないか」「転職活動をしても採用担当者に逃げだと思われてしまうのではないか」と不安になることがあるものです。
ただし、第二新卒での転職自体は甘い考えだとは言い切れません。転職は前向きな発想でもあるためです。
昔ながらの発想で、「入社してから最低でも3年くらいは働くべきだ」という人もいます。しかし、転職したいと考える理由によっては、我慢して現状維持し続けることが良いことだとは言い切れないでしょう。


第二新卒の転職が「甘い」「簡単」といわれる理由

第二新卒の転職は、難易度が比較的甘めであるといわれることがあります。第二新卒の転職が「甘い」「簡単」といわれることがある理由は、大きく分けると以下のとおりです。
- 職歴をさほど問われないから
- ポテンシャルを見てもらえるから
- マナーが身についていれば有利となるから
- 既卒よりも第二新卒は有利とされるから
- そもそも新卒は3年以内に3割辞めるといわれているから
とはいえ、第二新卒の転職が比較的甘いといわれることがあったとしても、自分の希望どおりの職場をすぐに見つけられるようなものではありません。。
それでは、第二新卒の転職が「甘い」といわれるある理由を、それぞれ確認していきましょう。
職歴をさほど問われないから
第二新卒の転職では、今までの職歴をさほど問われません。基本的には、転職活動において選考に大きな影響を与えるものが実績や経験、スキルです。しかし、第二新卒の転職の場合には新卒と2〜3年しか違わず勤続年数が少ないため、実績や経験などはあまり重要視されない場合があります
ただし、新卒の会社を数ヶ月で退職している場合は採用企業から「自社で採用してもすぐやめてしまうのでは」と不安に思われる場合もあります。採用面接では、
志望動機と退職理由の伝え方をしっかりと考えておき、採用担当者に前向きなイメージを持ってもらえるようにしましょう。さらに、職務経歴書に書く内容がないと感じても、「職歴なし」と書くのではなく、自身が経験した仕事内容を記載しましょう。
ポテンシャルを見てもらえるから
第二新卒の転職では仕事への意欲やポテンシャルを重視してもらえることがあります。
第二新卒の場合に、ポテンシャル面を重視してもらいやすい理由には、以下のようなことが挙げられます。
- 社会人経験がある若い人材である
- 実際に働いた経験が少なく、柔軟性に優れていて特定の企業風土に染まっていない
- 能力開発の余地が大きい
特に未経験者を自社育成しようという企業は、ポテンシャルを重視しています。そのため、即戦力が求められる中途の転職活動よりも、働く意欲などを評価してくれます。


マナーが身についていれば有利となるから
第二新卒は、すでに社会人として働ける程度の常識があり、一定のビジネススキルがあると考えられるため、採用に乗り気な企業が多いです。新卒採用の人は、まだまだマナーを身につけられていないことがあります。一方で、第二新卒であれば、前職でOJTなどによって基礎的な部分は教えられていて、教育にかかるコストを削減できると考えられるのです。
とはいえ、ビジネスマナーがきちんと身についているかどうかによって、第二新卒者に対する判断は異なります。面接でしっかりした受け答えができるか、応募書類はマナーにあったものになっているかなどを確認されるため、気をつけましょう。
既卒よりも第二新卒は有利とされるから
第二新卒の転職の難易度が比較的甘めであるといわれるのには、既卒よりも有利とされるからという理由もあります。
一般的に既卒とは、学校を卒業後に正社員として勤務した経験がない人のことを指す言葉です。同じような年齢であれば、正社員としての社会人経験のない既卒よりも、第二新卒のほうが社会人経験者としてみてもらえるため、有利だとされています。
新卒は3年以内に3割辞めるといわれているから
新卒社員として入社してから数年のうちに辞めてしまう人は、それほど少なくありません。そのため、第二新卒だからといって、ほかの転職者よりも悪目立ちするような印象を与えるわけではなく、不利にはならないと考えられるでしょう。実際に、転職市場における第二新卒の採用ニーズは十分にあります。
厚生労働省が2021年に公表した「新規学卒就職者の離職状況」のデータによると、新卒社員として入社した人のうち、3割ほどの人が3年以内には辞めています。具体的には、大卒の新卒社員は31.2%、短大卒は41.4%、高卒は36.9%が3年以内に退社しています。
「3年も働いていないようでは、甘い考えの人だとして悪い印象を与えてしまうだろう」と、無理に転職を我慢する必要はないといえるでしょう。


実際に第二新卒の転職は「甘くない」

一方で、第二新卒ならではの、転職が「甘くない」といわれる理由やデメリットは、以下のとおりです。
- 入社後すぐに辞めたことをマイナスに捉えられる
- 今までの業務経験がほぼないと思われる
それでは、第二新卒の転職が甘くないといわれる理由やデメリットを、詳しく確認していきましょう。
入社後すぐに辞めたことをマイナスに捉えられる
第二新卒は、新卒で就職してからすぐに離職したことをマイナスに捉えられることがあります。入社後すぐに辞めた経歴があると、「自社で採用してもすぐに辞めてしまうかもしれない」「忍耐力・ストレス耐性がない人かもしれない」として企業側に懸念される可能性があります。
今までの業務経験がほぼないと思われる
新卒で就職後数ヶ月で離職している場合、業務経験やスキルがほとんどないと判断されることがあります。
第二新卒の転職では、社会人経験の長い人のようには業務を任せられません。しかし一方で、新卒採用のときほどはしっかりと業務などを教えられないため、企業側としては対応に苦慮するケースがあることも、第二新卒の転職が甘くないといわれる理由です。


このような人は第二新卒で転職すべき

第二新卒の転職はポテンシャルを見てもらえるなどのメリットがある一方で、すぐに離職したことをマイナスに捉えられることがあります。
転職したいと考えたときには、なぜそう思ったのかを客観的に見直すことで、本当に転職すべきなのかどうかを検討しましょう。客観的に見直してみると、今の会社でも改善可能な原因であったケースもありえます。
第二新卒で転職すべき人の例は、以下のとおりです。
- 新しい環境で自分を試したい人
- 悪い労働環境にいる人・ブラック企業に在籍している人
転職すべきといえるそれぞれの理由を、確認していきましょう。
新しい環境で自分を試したい人
「やりたい仕事がある」「キャリアアップしたい」など、新しい環境に身を置くことにポジティブな理由がある人は、第二新卒で転職することに前向きになって良いでしょう。前向きな姿勢で転職したい理由があり、目標が定まっているのであれば、「すぐに辞めてしまうと悪いイメージがつくから」と、自身が成長できない環境下で我慢し続けなくてもいいと考えられます。
ただし、今の会社では本当にキャリアアップができないのか、やりたい仕事につけないのかなどを考えて判断すると良いでしょう。配置転換を申し出るなどで改善できる可能性があります。
悪い労働環境にいる人・ブラック企業に在籍している人
悪い労働環境にいる人・ブラック企業に在籍している人も、第二新卒で転職すべきだといえるでしょう。あまりに過酷な激務が続いている場合には、我慢し続けてしまうと体調を崩してしまったり、精神疾患を発症してしまったりするリスクもあります。このような環境下では、自分を守るためにも、思い切って転職を選んだほうが良いでしょう。
責任感の強さゆえに、すぐ転職したいと感じることを悪いことのように感じる人がいます。しかし、必要以上に自分を責めすぎず、「転職しなければ改善できないかどうか」という判断基準を持って、柔軟な考え方をすると良いでしょう。


第二新卒での転職を成功させる5つの秘訣

第二新卒で転職を成功させるには、以下のような対策が必要です。
- 自己分析をきちんとおこなう
- 経験をアピールする
- 企業分析を入念にする
- ポジティブな転職理由を考えておく
- ビジネスマナーを取得する
企業が第二新卒での転職者に求めることは、熱意や意欲・協調性・コミュニケーション力の高さなど、メンタル面が大きいといわれています。ただし、新卒採用とは違って実務経験なども重要視されます。
それでは、第二新卒での転職を成功させるコツを、詳しく確認していきましょう。
1.自己分析をきちんとおこなう
第二新卒での転職を成功させるためには、自己分析をきちんとおこなうことが重要なポイントです。自己分析は就活時におこなった人も多いでしょうが、時間経過やさまざまな経験を積んだことによる影響で、今の自分とは異なる部分があります。そのため、改めて自己分析をし直し、その結果を転職活動にいかすと良いでしょう。
また、第三者から客観的な視点で自身のことを指摘してもらう他己分析を採り入れることでも、自分への理解度を深められます。
2.経験をアピールする
第二新卒での転職活動の際に、新卒や既卒との違いとしてアピールポイントになるのが、社会人経験の差です。社会人としての基本的なスキルやマナーがあること、前職で培ったスキルや経験が応募先の企業でもいかせることなどを伝えて、活躍できる人材であることをアピールしましょう。
アピールする内容は、前職で学んだことや仕事の経験から得たスキルなどです。どのような仕事をしたのかだけではなく、前職で得た経験やスキルを言語化して、採用担当者に効果的なアピールをしましょう。
3.企業分析を入念にする
企業分析を入念にすることも、第二新卒での転職活動を成功させるために重要なポイントです。まず、ホームページや求人広告などをもとにして、応募先の企業を徹底的に分析し、求めている人物像を把握します。その結果をもとに、企業が求める人物像に自身がマッチしていること、自分の強みがいかせることなどをアピールしましょう。
第二新卒での転職活動の場合、新卒や既卒より経験を積んでいるといっても、転職活動で求められる水準に達しているとは言い切れません。その分、企業分析や業界分析を特に入念におこない、効果的にアピールできる状態にしておくことが大切なのです。
4.ポジティブな転職理由を考えておく
第二新卒での転職活動を成功につなげるためには、ポジティブな転職理由を考えておくことも大変重要なポイントだといえます。転職の面接では、必ずといっていいほど転職の理由を確認されます。前の会社の悪口をいったり、なんとなく不満があって環境を変えたいなどのあいまいな理由を伝えたりしてしまうと、採用担当者にネガティブな印象を与えてしまいかねません。
向上心があると感じられるようなポジティブな転職理由を考えておき、尋ねられたときにしっかりと答えられるようにすることが重要です。
例えば、残業が多くて大変だったことが転職理由であれば、「オンとオフの切り替えがしっかりできる環境で、業務の効率を上げたい」など、ポジティブな言い方ができるようになりましょう。
5.ビジネスマナーを習得する
ビジネスマナーが身についているかどうかも重要です。第二新卒でもビジネスマナーが不十分である人がいます。ただし、短期間とはいえ社会人経験があるのであれば、ビジネスマナーが身についていないことは採用担当者に悪い印象を与えてしまうでしょう。
例えば、応募のメールや面接などでの言葉遣いなどで、ビジネスマナーが身についていないと思われてしまうケースがあります。
もしも不安があるようであれば、ビジネスマナーを本などで確認し直しておきましょう。


第二新卒での転職に甘い考えはNG!対策を十分考えよう

第二新卒での転職ではポテンシャル面を重視してもらえるとはいっても、甘い考えでいては良い結果につなげにくくなります。転職すべきなのかどうかを検討し直したうえで、入社後すぐに辞めたことをマイナスに捉えられないように、ポジティブな転職理由を考えるなどの対策をとることが重要です。
第二新卒で転職したことが甘い考えだと思われないためにも、今回ご紹介した内容を参考にして、転職活動を成功に導きましょう。
