第二新卒女性の転職を成功に導くには、ライフイベントによる働き方の変化にも気を配っておくと良いでしょう。今回は、第二新卒女性の転職の現状や企業が持つ印象、企業が求めること、応募時にアピールすることを解説します。転職活動のポイントや成功の秘訣などもあわせて参考にしてください。


目次
第二新卒女性の転職の現状

第二新卒女性の転職は、特別に難易度が高いわけではありません。理由は、以下のとおりです。
- そもそも第二新卒でなくとも、女性だという理由で転職活動がしにくくなるわけではないこと
- 新卒入社後、3年以内に3割が辞める現状があるため、転職自体がよくあるケースであること
第二新卒とは、学校を卒業後してから企業で働いていたものの、3年以内に転職活動をしている人を指すことが一般的です。大卒であれば、卒業後3年以内ならば25歳前後だと考えられます。ただし、企業によって第二新卒の基準は異なっており、厳格に定められているわけではありません。
2021年に厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」のデータによると、大卒の新卒社員として入社後、3年以内に辞めた人は31.2%です。また、短大卒の新卒社員ならば41.4%が、高卒の新卒社員ならば36.9%が3年以内に退社しています。
「入社して3年は同じ企業で働くべきである」という意見もあるため、第二新卒として転職活動をすることに対して、ネガティブな印象を持つ人もいるでしょう。
しかし、転職者を探している企業側から見ると、若くて社会経験が少ないだけに自社の社風になじみやすいこと、入社後に能力が伸びる可能性を秘めていることなど、第二新卒ならでのメリットも多いです。積極的に第二新卒を採用している企業もあるので、転職活動は気後れせず前向きな気持ちで取り組みましょう。
しかし、女性特有の理由によって、企業が第二新卒女性の転職者に対して不安を抱くこともあるため、不安を払拭するための対策が必要です。
企業が第二新卒の女性に持つ印象

企業が第二新卒の女性に持ちやすい印象は、主に以下の2点です。
- 採用してもすぐに退職しそう
- 業務経験が足りなそう
第二新卒の女性は、柔軟性やポテンシャル面を評価してもらいやすいといわれています。しかし、第二新卒、つまり25歳前後の女性に対しては、ライフスタイルの変化を要因とした仕事への影響を不安視する企業も多いです。
第二新卒の女性に対して、企業がどのような点が不安になり、どのような印象を持ちやすいのかを確認しておきましょう。
採用してもすぐに退職しそう
企業は第二新卒女性に対して、「採用してもすぐに退職してしまうのではないか」という印象を持ちやすいです。理由は2つあります。
まず、そもそも第二新卒とは、入社後3年以内に転職活動をしている求職者です。短期間で前職を辞める決心をしたため、自社でもまた早期退職してしまうかもしれないという懸念を持っているのです。
次に、第二新卒女性とは25歳前後の女性であるため、入社後すぐに結婚や出産、育児などのライフスタイルに変化が訪れる可能性があります。産休や育休、状況によっては退職したりするケースもあるでしょう。
現時点では「仕事を休んだり、辞めたりするつもりはない」と考えている人であっても、ライフスタイルの変化により状況は変わるかもしれません。そのため、第二新卒女性は企業側に「採用しても結婚ですぐに辞めるのではないか」「結婚で辞めなくても妊娠して退職するかもしれない」といった不安を持たれやすいのです。
今では多くの企業で、産休や育休が取得しやすくなっています。
業務経験が足りなさそう
企業が第二新卒女性に対して、「業務経験が足りなさそう」という印象を持つケースもあります。第二新卒を採用する際はポテンシャル面を重視されるケースもありますが、前職を数ヶ月で辞めるなどの短期離職の場合は、業務経験の少なさを不安に思われるかもしれません。


企業が第二新卒の女性に求めていること

企業が第二新卒女性に対して持つ良い印象や期待していることには、以下のようなものがあります。
- 一通りのビジネスマナーを身に付けていること
- 若いため、潜在能力や将来性の高さが期待できること
- 他社での考え方に染まっていないため、会社の空気や雰囲気になじみやすいこと
企業が第二新卒の女性に求めていることについて、確認しましょう。
ビジネスマナーの習得
第二新卒女性は、短い期間とはいえ社会人経験があるため、一通りのビジネスマナーは身に付けていることを期待されています。新人研修やOJTは前職で経験済みのため、新卒育成用の
費用を抑えられる点をメリットだと感じている企業もあるでしょう。また、第二新卒においては、社内だけではなく社外との連絡の際に一般的なビジネスマナーが要求されるため、その経験をそのまま転職先でも活かして欲しいと企業側は考えています。
潜在能力の高さ
ポテンシャルや将来性の高さも、第二新卒女性に期待されていることです。第二新卒女性は新卒の会社を退職後2〜3年目ということもあり、
潜在能力や将来性の高さを見込んで採用されやすいといわれています。
また、前職で重要な仕事を任されていなかったとしても、社内教育を実施することで新しい職種に挑戦することや新しいスキルを身につけることができるため、転職先の新しい環境で活躍し、仕事の幅を広げることが期待されています。
会社の空気や雰囲気になじみやすい
会社の空気や雰囲気になじみやすい人材であることも、第二新卒女性に求められている要素です。前職の企業で働いていた期間が短い第二新卒は、他社の企業文化に染まっていないため、自社の雰囲気や仕事のやり方になじんでくれるだろうと期待しています。
他社で勤めた期間が長い転職者は、企業からすると経験豊富である一方で、前職のやり方や考え方に染まっているため、柔軟な対応が期待できないこともあります。
その点、第二新卒女性は、ビジネスマナーなど社会人としての基礎はありながらも、新しい環境に馴染む柔軟性を持ちあわせていると好意的な印象を持たれます。


第二新卒の女性が転職応募時にアピールしたいこと

第二新卒女性の転職は、難易度が高いわけではないものの、結婚や出産、育児などのライフスタイルの変化が起こりやすい時期です。そのため、男性に比べると不利となることもあるでしょう。
しかし、アピールの仕方次第では、採用につながる可能性は高いです。第二新卒の女性が転職活動をする際は、企業が第二新卒の女性に持っていると思われるイメージを理解したうえで、アピールの仕方を考えましょう。
それでは、第二新卒女性の転職で応募先企業にアピールしたいことを、詳しく確認していきます。
将来のビジョンと長期的に働く意志
第二新卒女性の転職では、応募先企業に以下の2点をアピールすることが大事です。
- 将来のビジョン
- 長期的に働く意志
企業からすると、「自社でもまた短い期間で辞めるのではないか」という不安があります。さらに、「結婚や出産、育児などの理由ですぐに退職してしまうのではないか」という不安もあります。
企業の不安を払拭するためにも、ライフプランを含めた将来のビジョンを明確にして、長期的に働く意思があることをアピールしましょう。20代であることは大きな強みです。長く働きたいという意志を示せたならば、将来にわたって活躍が期待できる人材だと思ってもらえます。
例えば、「結婚後も共働きをする予定です。御社で長期的に活躍したいと考えています。」と伝えることで、結婚で辞めてしまうのではないかという企業側の不安を軽減できるでしょう。
仕事への思い
第二新卒女性の転職では、仕事への思いも応募先企業に積極的にアピールしたいポイントです。女性に限らず、第二新卒は前職での経験が浅いため、これまでの仕事経験ではなく、今後の仕事に対するやる気が重視されます。
入社後の活躍をイメージしてもらえるように、仕事への熱意をしっかりと伝えましょう。例えば、以下のようなことを伝えることで、仕事への思いのアピールになります。
- どのような仕事をしたいと考えているのか
- どのようにキャリアを積んでいきたいのか
仕事への熱意をアピールしたうえで、応募先企業であればそのキャリアプランを実現できるのだと伝えられれば、仕事に意欲的で前向きな姿勢の人材だと判断してもらえるでしょう。


第二新卒女性が転職活動をおこなう時に力を入れたい4つのポイント

第二新卒女性が転職活動の際に力を入れたいポイントは、大きく分けると以下4つです。
- 条件の優先度をつけて探す
- スキルアップできそうな企業を探す
- 従業員満足度の高い企業を探す
- 自分のライフプランと照らしあわせて探す
転職後にミスマッチに気づき、すぐに退職するような事態にならないためにも、転職活動で応募する企業は、ポイントを押さえて選定しましょう。大切なのは、長期的に活躍できる企業を探すことです。
それでは、第二新卒女性が転職活動の際に特に力を入れたいポイントを確認していきましょう。
1.条件の優先度をつけて探す
転職活動の際は、希望する条件の優先度をつけて探すことが重要です。なぜなら、すべてを満たす企業は存在しないか、あったとしても転職の難易度も高いからです。
さまざまな希望条件があったとしても、自分にとって譲れないことは何かを考えてみましょう。大切なのは、譲れない条件を理解することです。優先順位がつくことで、自分にあった企業探しをする際の軸ができます。
譲れない条件を見つめ直す際は、まず希望する条件を列挙していきます。その後、譲ってもいいと思える条件と、どうしても譲れない条件に分けていき、企業に求める条件に優先順位をつけると良いでしょう。
2.スキルアップできそうな企業を探す
転職活動の際は、スキルアップできそうな企業を探すこともポイントです。第二新卒の女性はまだ若いため伸びしろが大きく、転職先の企業でもスムーズになじんで柔軟にキャリアを形成できます。
将来のためにも、自らが成長でき、キャリアプランを実現できそうな転職先を選びましょう。
おすすめは、企業自体の成長が期待できる会社です。成長率の高い企業であれば、新規分野で活躍できるチャンスを得やすくなります。さらに、業績が向上していることで、年収アップにつながる可能性もあるでしょう。
3.従業員満足度の高い企業を探す
長期的に働ける転職先を選ぶためにも、従業員満足度の高い企業を探すと良いでしょう。従業員満足度が高くて働きがいのある職場を選べれば、キャリアを形成しやすくなります。
すぐに退職して転職活動をし直すことにならないためにも、従業員が満足して働けているのかどうかは大切なポイントです。従業員の口コミが載っているサイトなどの評価を見ることで、従業員満足度を確認できます。
4.自分のライフプランと照らしあわせて探す
転職先を選ぶ際は、今後どのようなライフイベントが自分に起こるのかを考えたうえで探すことも重要です。なぜなら、先述のとおり、男性よりも女性のほうがライフイベントによる仕事への影響が大きくなりやすいためです。
今後のライフプランを設計し、出産後も仕事を続けてキャリアアップできる環境が整った企業かどうかをチェックすると良いでしょう。
企業によって、産休や育休の取りやすさや仕事復帰のサポート体制、女性の管理職の割合、勤務時間の調整の有無などが異なります。第二新卒の女性が転職をする際は、自分のライフプランを実現しやすそうな企業を探すようにしましょう。


第二新卒の女性が転職を成功させる秘訣

第二新卒の女性の転職を成功させるための秘訣は、以下の3つです。
- そもそもなぜ転職するのかを見つめ直す
- 企業が求める人物像について研究する
- 長期的に勤務したいことを理解してもらう
若くて将来性が期待できる第二新卒は、転職市場における需要がある人材だといえます。ただし、転職したい理由や目的などが明確ではない場合などは、転職に失敗してしまう恐れがあるため注意が必要です。
それでは、転職を成功に導くための秘訣を確認していきましょう。
そもそもなぜ転職するのかを見つめ直す
転職を成功に導くためには、なぜ転職するのかを見つめ直すことが大切です。転職の目的を明確化することで、転職先に求める条件が明確になるため、目的にあった企業を探しやすくなり、転職の成功につながるでしょう。
反対に、明確な目的がないままで転職活動していると、転職に失敗しやすくなるといわれています。「なんとなく不満に感じたため」「周りの人とあわないため」「ほかの仕事のほうが楽しそうだったため」などの理由ではなく、自分が重視する働き方や転職の目的を再度掘り下げてみましょう。転職の理由は採用担当者が気にする部分であるため、面接対策にもなります。
企業が求める人物像について研究する
応募先企業が求めるのはどういう人材かをしっかりとリサーチすることも、転職を成功に導きやすくなるポイントです。自分の転職の目的や希望などにマッチする企業を見つけたら、企業のウェブサイトや求人情報などから、どのような人物像が望ましいと考えているのかを研究します。
求めている人材像を理解したうえで自身のアピールの仕方を考えるなど、効果的な面接対策ができるようになることで、転職が成功しやすくなるでしょう。また、企業が求める人材を理解することで、入社後のミスマッチを回避できるというメリットもあります。
長期的に勤務したいことを理解してもらう
先述のとおり、特に第二新卒の女性は、「すぐに退職してしまうのではないか」と不安に思われやすいものです。腰を据えて長く働きたいこと、結婚してもそのまま働き続ける意思があることを伝えて企業側の不安を取り除くことが、転職を成功させる秘訣です。
3年後や5年後、10年後の自分を具体的にして、採用担当者に明確なイメージを伝えられたならば、高く評価してもらえる可能性があるでしょう。
女性ならではの対策を講じて第二新卒の転職を成功させよう

第二新卒女性の転職は、特別に難易度が高いわけではありません。しかし、女性特有の理由によって、企業が第二新卒の転職者に対する不安を抱くケースがあることも事実です。
企業は、第二新卒を「将来性の高い人材」だとして評価しています。しかし、採用してもまた短期間で辞めてしまうのではないかと不安視してもいるため、面接の際の受け答えには注意が必要です。
企業の不安視する理由や転職で力を入れたいポイントなどを理解し、女性ならではの面接対策も行い、第二新卒の転職を成功に導けるようにしましょう。
