第二新卒の志望動機の書き方のポイントは、短期間で退職に至った理由を伝えること、ネガティブな転職理由はポジティブに言い換えることです。また、企業の魅力ばかりを語らないように気をつけなければなりません。
本記事では、自分で作成する際の参考になるように、第二新卒の志望動機の書き方や例文を詳しく解説します。


目次
企業が第二新卒を採用する際に見ている4つのこと

一般的に、「第二新卒」とは大学卒業後に新卒で入社して社会人経験が2~3年未満の求職者のことです。ただし、明確な基準はないため、企業によって最終学歴を問わずに、2~3年の会社員経験を持っている人を第二新卒として扱うこともあります。
企業が第二新卒を採用する際に見ていることは、主に以下の4つです。
- 前職でスキルや経験を身につけられているか
- 即戦力になるかどうか
- ポテンシャルがあるかどうか
- 長期的に自社で活躍してくれるかどうか
応募時に志望動機を作成する際の参考になるように、それぞれの概要を解説します。
1.前職でスキルや経験を身につけられているか
企業は応募者が前職でスキルや経験を身に付けられているかを確認します。なぜなら、すでに一定のスキルを有している応募者を採用できれば、OJTや研修などにかかる教育コストを削減できると企業側が考えているからです。
企業が第二新卒に求めるスキルの代表例は、以下のとおりです。
- 資格
- 基本的なビジネスマナー
- コミュニケーションスキル
- 基本的なパソコンスキル
ここでいう資格とは、業務につながる資格を指します。例えば、不動産仲介業では、国家資格である宅地建物取引士(宅建士)が欠かせません。
基本的なビジネスマナーとは、名刺交換や電話対応、メールの文章作成など基本的なことです。一般的に、新入社員に対しては新人研修でビジネスマナーを教えますが、第二新卒の場合は当然身に付けているものとして省かれます。
コミュニケーションスキルとは、上司や同僚と連携して業務を遂行できる能力のことです。
基本的なパソコンスキルとは、企業によって求めるものは異なりますが、WordやExcel、PowerPointを使いこなすことを指すケースが多いです。


2.即戦力になるかどうか
第二新卒はある程度経験があるため、企業は応募者が即戦力になるかどうかを確認します。即戦力とは、採用後に企業がOJTや研修などを実施しなくても、業務をこなせる力のことです。
ある程度スキルや経験を有している第二新卒は、即戦力といえるでしょう。そのほかにも、応募者が即戦力になるかどうか判断するにあたって、企業は以下の点に注目します。
- 前職で充分な実績があるか
- 仕事に対するこだわりがあるか
応募者が前職で充分な実績をあげていれば、自社でもすぐに活躍できる可能性があると企業は判断します。例えば、大型案件の成約実績がある、社長賞を受賞しているなどは実績といえるでしょう。
また、自発的に学ぶ姿勢を確認するため、仕事に対するこだわりに注目する企業もあります。
3.ポテンシャルがあるかどうか
近年、「ポテンシャル採用」という言葉が使われています。ポテンシャル採用とは、主に新卒や第二新卒を対象に、人柄や素質など潜在的な能力を考慮した採用方法です。応募者の熱意や意欲・主体性・課題解決力などが考慮されます。なぜなら、企業は即戦力になる人材だけでなく、数年後に活躍が期待できる人材も探しているためです。
なお、応募者の熱意や意欲はポテンシャル採用に限らず、重視される部分です。厚生労働省の調査によると、事業者が中途採用者選考にあたって重視した項目で割合が一番多かったのが「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」(76.0%)でした。
参考:厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況 2 若年労働者の採用状況」
4.長期的に自社で活躍してくれるかどうか
長期的に自社で活躍してくれるかどうかについても、企業は採用の判断基準にします。第二新卒は就職してから数年で企業を退職しているという経緯があるため、自社に入社してもすぐに退職するのではないかと懸念しているのです。
自社に定着するか判断するために、企業は応募者に入社後のキャリアプランや担当したい業務などを確認します。応募者が入社後のキャリアプランを明確にしており、自社と一致すると考えられる場合には、すぐに退社する可能性が低いと判断されるでしょう。


第二新卒の志望動機の作成ステップ

第二新卒の志望動機を作成する際は、大枠から考えていくことがポイントです。そこで、以下のようなステップで作成するとよいでしょう。
- 仕事において大切にしたいことを明確にする
- 企業研究を行う
- 応募理由を考える
志望動機は、熱意や意欲を伝えるために大切なものです。ここから、各ステップの概要を確認していきましょう。
1.仕事において大切にしたいことを明確にする
自分が仕事において大切にしたいことや、自分なりのこだわりを明確にしましょう。
すぐに思い浮かばない場合は、最初の職場で感じた喜びや、やりがいは何か考えることがポイントです。喜びや、やりがいが見つからないことを理由に転職しようとしている方は、学生時代のサークル活動やアルバイトなどの経験を参考にしても構いません。
2.企業研究を行う
仕事において大切にしたいことと、応募する企業との共通点を把握するために、企業研究を行います。企業研究とは、応募する企業に対する理解や学びを深めることです。
企業研究では対象企業の公式HPやSNS、プレスリリースを通じて、企業理念や事業内容、サービスを調べます。客観的な情報を掴むために、関連するニュースもこまめにチェックしましょう。
企業研究を続けると、対象企業の魅力も分かるようになります。対象企業の特徴を掴めない場合は、同業他社との違いに注目してみましょう。
3.応募理由を考える
対象の企業について理解したら、今度は応募理由を考えます。ここで、企業研究で知った情報をただ応募理由に盛り込むことは避けましょう。
例えば、「御社の企業理念に惹かれました」「事業の方向性に魅力を感じました」だけでは、調べたことをただ伝えているだけと判断されかねません。採用担当者は、自社のことを知っている応募者ではなく、自社にフィットして即戦力として働ける応募者に注目します。
自分が仕事において大切にしたいことや、アピールポイントが応募した企業の特徴が同じであれば、説得力が増すでしょう。例えば、「私は〇〇を大切にして働きたいと考えています。そこで、御社の企業理念に惹かれました」のようにすると、自分が大切にしたいことと応募企業の共通点を伝えられます。


第二新卒の志望動機の書き方のポイント

志望動機の作成ステップを踏まえて、ここから第二新卒の志望動機の書き方のポイントを紹介します。主なポイントは以下のとおりです。
- 短期間で退職に至った理由を伝える
- ネガティブな転職理由はポジティブに言い換える
- 学生時代の経験を交える
- 自身のエピソードとアピールポイントを結びつける
- 提出方法にあわせて文章量を調整する
- キャリアプランを明確にする
それぞれ確認していきましょう。
短期間で退職に至った理由を伝える
企業側の不安を取り除くためにも、短期間で退職に至った理由を伝えることがポイントです。企業側からすると、第二新卒は一度入社した会社を早期に退職しているため、明確な理由がない場合、「またすぐに辞めるのではないか」「仕事に対する熱意がないのではないか」などの点を懸念しています。
昨今、短期間での退職自体は珍しいことではありません。厚生労働省が2022年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2019年3月に大学を卒業した就職者のうち、31.5%が3年以内に離職しています。
そのため、納得のいく理由さえ説明できれば、採用でマイナスには働かないでしょう。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します」
ネガティブな転職理由はポジティブに言い換える
たとえ明確な理由があっても、ネガティブな内容は印象を悪くしかねないため、ポジティブに言い換えることがポイントです。ネガティブな転職理由の例として、以下の点が挙げられます。
- 給料が安い
- サービス残業が多い
- 通勤時間が長い
「給料が安い」は、「実績を評価してくれる会社で働きたい」と言い換えられるでしょう。また、「サービス残業が多い」も「効率的に仕事をして成果をあげたい」と表現できます。「通勤時間が長い」は、「仕事に打ち込める環境で働きたい」と表現するとよいでしょう。
そのほか、人間関係がうまくいかずに辞めることもあります。そのままストレートに伝えると、「入社後にトラブルを引き起こしかねない」と懸念されるため、「チームワークを活かした職場で働きたい」と言い換えてみましょう。


学生時代の経験を交える
第二新卒は社会人経験が浅いため、学生時代の経験を交えることもポイントです。学業やサークル活動、アルバイトなどの経験を伝えましょう。
学生時代の経験を伝える際、ただ「リゾートバイトをしていた」「大学では情報学部の学位を取得した」だけでは不十分です。具体的なエピソードの説明を心がけましょう。
例えば、「リゾートバイトでさまざまな海外観光客と接してきた経験を活かし、外国人に日本の良さをアピールできる会社で働きたい」「学生時代からプログラミングに携わっていたため、魅力的なウェブアプリを作成できる会社で働きたい」などと志望動機を伝えられます。
なお、新卒の場合と異なり、第二新卒がエピソードを話すと前職での経験と誤解される可能性があるため、「アルバイトをしていたときの話ですが」「学生時代のことですが」などの前置きをするようにしましょう。
自身のエピソードとアピールポイントを結びつける
エピソードを伝える際に、アピールポイントと結びつけることもポイントです。エピソードの中に自分のスキルや経験、実績などを盛り込めば、応募した企業で活躍できることを示せます。
自身が語るエピソードと、アピールポイントを結びつけることが難しい場合、以下の工程で探してみてください。
- 学生時代のエピソードや前職の業務内容を書き出す
- 書き出した中で、自発的に取り組んだことや周囲から評価されたことをピックアップして自分の「強み」を見つける
- 応募する企業が求める人物像を確認する
- 自分の「強み」と企業が求める人物像を比較し、何をアピールできるか考える
それでもアピールポイントが見つからない場合は、エピソードを見直しましょう。
提出方法にあわせて文章量を調整する
相手が読みやすいように、提出方法にあわせて文章量を調整することもポイントです。書面での志望動機の提出方法には、A4用紙1枚の「志望動機書」に入力する方法や、職務経歴書の冒頭に入力する方法があります。
志望動機書に入力する場合は、入力欄の7割以上埋めるようにしましょう。職務経歴書の冒頭に入力する際は、5行程度にまとめることが一般的です。
履歴書にも志望動機欄がある場合は、200文字程度でまとめます。
キャリアプランを明確にする
志望動機の中で、キャリアプランを明確にすることもポイントです。キャリアプランを伝えれば、採用担当者が応募者の入社後の具体的なイメージをできるようになり、採用判断をしやすくなります。
少なくとも、「入社後に携わりたい仕事」「応募する会社で成し遂げたいこと」などは志望動機に盛り込むことが大切です。面接では、自分のキャリアプランについてさらに質問されることもあるため、綿密に企業調査をしておきましょう。


第二新卒が志望動機を考える上での注意点

第二新卒が志望動機を考える上で、気をつけなければならない点もいくつかあります。主な注意点は以下のとおりです。
- 前職の不満を書かない
- 転職理由を曖昧にしない
- 転職理由と退職理由を矛盾させない
- 企業の魅力ばかりを語らない
志望動機で失敗しないように、注意点をしっかりと把握しておきましょう。
前職の不満を書かない
ネガティブな内容に含まれるため、前職の不満を書かないようにしましょう。前職の不満が理由で転職したことを伝えてしまうと、採用担当者に「入社してもまた不満を抱えたらすぐに退社するのでは?」と判断されるため、採用の可能性が下がります。
例えば「ノルマのきつさ」を述べると、「応募者が一生懸命取り組もうとしなかっただけでは?」と判断されかねません。ノルマのことを述べずに、「顧客と長期的な信頼関係を築き上げたい」などと表現するとよいでしょう。
また、「社長や上司が横暴だった」などのように直接的な表現を使うことも、「上司にすぐ不満を抱えるのでは?」と思われるため避けた方がよいです。社長や上司に振り回されたくないのなら、「年齢や社歴に関係なく自由に意見が言える場所で働きたい」のように間接的に表現しましょう。
転職理由を曖昧にしない
採用担当者に「入社しても定着しないのでは?」と思われないように、転職理由や志望動機は曖昧にしないようにしましょう。転職(退職)理由は明確なものであることが大切です。
自分の中でも転職理由がはっきりしない場合は、ネガティブなことも含めて退職を決意するに至ったきっかけを振り返りましょう。そして、思い出したきっかけをポジティブな言葉に変換すれば、説得力のある退職理由を伝えられるようになります。
転職理由と退職理由を矛盾させない
採用担当者に違和感を与えないために、転職理由と退職理由を矛盾させないようにしましょう。例えば、お客様と接する機会を増やしたいため転職を決意したのに、応募企業で事務職を希望しては矛盾があると判断されます。
「前職でできなかったことを応募した企業でおこないたい」といった志望動機(転職理由)に結びつく一貫した退職理由を伝えることが大切です。
転職理由と退職理由を一貫させることが難しければ、まず現在の仕事と応募する企業での仕事を比較してみましょう。二社の比較により、今の勤務先を退職して応募する企業に転職する理由が見えてきます。
企業の魅力ばかりを語らない
志望動機では、企業の魅力ばかりを語るのではなく、自分のスキルやポテンシャルを伝えることを重視しましょう。応募した企業のただのファンであると感じさせるような文章では、採用につながりにくいです。
応募した企業の技術力(魅力)について語りたいなら、自分のことと関連させてみましょう。「開発職として貴社の強みである高い技術力をさらに伸ばす人材になりたい」と伝えれば、企業の魅力と自分の志望動機をリンクさせられます。


第二新卒の志望動機の例文

第二新卒で転職する際のパターンは、一般的に「同業界・同業種」「同業界・異業種」「異業界・同業種」「異業界・異業種」の4つです。
今回は、その中の異業界・同業種へ転職する場合と、未経験業界・職種(異業界・異業種)へ転職する場合の例文を紹介します。
異業界・同職種へ転職する場合
異なる業界で、同じ職種での転職を検討している場合の例文を紹介します。今回は、IT界の営業職から、メーカーの営業職へ応募する際の事例です。
現在携わっているIT業界は、将来性のある業界だと理解しております。しかし、より形のある社会貢献性の高い仕事に携わりたいと考えて今回転職を希望しました。 自分の実家がある場所は、車がないと移動が困難な場所です。貴社が開発中の自動運転技術が進めば、地元の高齢者もより安全に自由に移動できるになると考えております。そこで、貴社の画期的な製品をこれから日本中の人に知ってもらいたいと考え、今回応募いたしました。 新卒で入社してから3年間、営業としてITに関わる数々のサービスを提案してきました。現場で培った科学的アプローチや、ヒアリング能力・コミュニケーション力は、貴社の営業でも活かせると考えております。 |
未経験業界・職種へ転職する場合
未経験の業界で職種も異なる転職を検討している場合の例文を紹介します。今回は、地方銀行の融資業務からIT業界のウェブエンジニアに転職する際の事例です。
新卒で入行した銀行では主に融資業務に携わり、お客様を金融面から支援することにやりがいを感じておりました。しかしその一方で、地方は都市部への人口流入という長年の課題を抱えており、地方銀行の融資による地方活性化に限界を感じて転職を考えるようになりました。 IT業界への転職を希望したのは、地方からでも街を盛り上げられると感じたためです。特に貴社が作り出すサイトは非常に魅力的で、地元のアピールにも貢献できると考えました。現職では、融資業務で企業のデータや数字を分析しております。融資判断の参考に時事ニュースやトレンドにも常にアンテナを貼っているため、貴社の顧客に興味を持たれるようなサイト作成に貢献できると思い志望しました。 未経験・異業種の挑戦ですが、大学時代は情報学部に在籍しており、アフィリエイトサイトの運営経験もあります。また、銀行の法人営業で培ったヒアリング力もウェブサイト作成にも活かせると考えております。 |


志望動機を明確にして第二新卒の転職を成功させよう!

仕事において大切にしたいことを明確にする、企業研究をおこなう、応募理由を考えるのステップで志望動機を作成します。作成時には、短期間で退職に至った理由を伝えることや、ネガティブな転職理由はポジティブに言い換えることなどがポイントです。
読み応えのある志望動機を作成していても、転職理由と退職理由が矛盾していたり、応募企業の魅力しか伝えていなかったりすると、採用までには至りません。
明確かつポジティブに志望動機を入力し、第二新卒の転職成功につなげましょう。
