転職活動をする際、職務経歴書の作成が難しいと感じる人は多いものです。特に、これまでに目立った職歴がない場合は、「職務経歴書に何を書くべきなのかわからない」と感じる方もいるでしょう。
ここでは、職務経歴書を作成する手順や注意点を解説します。実績がなくても魅力的な職務経歴書が書けるようになるコツも紹介しているため、職務経歴書の作成でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。


目次
職務経歴書には何を書けばいいの?
職務経歴書を作成する前に、職務経歴書に書くべき項目を押さえておきましょう。ここでは、職務経歴書に記載する項目を5つ紹介します。
職務経歴の概略
まず、職務経歴書の冒頭部分には、職務経歴の概略を記載します。働いていた企業名や在籍期間、業務内容など、これまでの職務経歴を250字前後で簡潔にまとめます。詳細は後の段落で別途記載する項目があるため、長々と説明する必要はありません。長すぎる概略は、企業に悪い印象を与えてしまう恐れがあるため気をつけてください。
複数の企業での勤務経験がある方は、長く勤めた企業や直近の経験を中心にまとめるのがおすすめです。企業の採用担当者は、限られた時間の中で多くの職務経歴書をチェックしなければなりません。担当者の目を引き、後の項目を読み進めてもらうためにも、応募する企業や職種に合わせたキャリアの要約を記載しましょう。
職務経歴とその内容
次に職務経歴とその内容を記載します。具体的には、勤務先の企業名、役職、業務内容、工夫したポイントなどを記載してください。どの部署でどのような仕事を担当してきたのかをわかりやすくまとめましょう。業務内容は箇条書きで記載するとわかりやすいです。
また、職務経歴書を記載する方法は、編年体式・逆編年体式・キャリア式の3種類あります。編年体式とは、これまでの経歴を時系列で記載していく書き方です。企業側から特に指定がない場合は、編年体式が用いられることが多いです。
逆編年体式は、編年体式と異なり逆時系列で記載する方法です。直近の職務経験が1番上にくるため、直近の経験をアピールしたい場合や、社会人歴が長い方に効果的な記載方法だといえます。キャリア式は、職種や業種別の経験を記載していく方法です。
これまでの経験やスキルをアピールしやすく、転職回数などが目立ちづらいことが特徴です。専門性の高さや実績などをアピールしたい場合は、キャリア式で作成すると良いでしょう。職務経歴書は、編年体式・逆編年体式・キャリア式のうち、どれを使用しても良いため、自身の経歴に合ったものを選ぶようにしてください。
関連記事:職務経歴書のフォーマットは自由!記載するべき5項目と作成のポイントとは
実績
これまでの実績も職務経歴書に記載します。実績や得た評価、経験、習得したスキルなどをできる限り具体的に記載していきます。実績を記載する際は、数値を記載することを意識してください。その理由は、数値がある方が担当していた業務内容をイメージしてもらいやすいためです。例えば、「◯人中、営業成績1位を獲得」「◯年連続で売上1位を記録」「売上前年比◯%を達成」など、成果と数字を交えて記載するとわかりやすいです。
応募先の企業やポジションに合わせて記載する実績を変更すれば、これまでの経験を効果的にアピールすることができるでしょう。実績をあげるために取り組んだ工夫なども盛り込みながら、実績を作成してください。
資格・スキル
職務経歴や実績を記載した後は、資格やスキルを記載します。保有している資格や、応募先で活かせるスキルを箇条書きで記載しましょう。TOEICやTOEFLなどの点数も資格やスキルの項目に記載します。
資格やスキルの項目を記載する際には、資格の取得時期と名称は正しく記載するように心がけてください。また、資格などの有効期限が切れていないかどうかもチェックしましょう。
自己PR
最後に自己PRを記載します。自分自身の強みや、それを新しい職場でどのように活かせるかを記載してください。自分が応募先で活躍できる人物であることが伝わるように、具体的かつわかりやすくまとめます。


「職務経歴書に書く実績がない」と感じる理由は?
職務経歴書の実績は、採用担当者に自身をアピールする重要な項目です。しかし、「職務経歴書に書く実績が見つからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、「職務経歴書に書く実績がない」と感じる理由を3つ紹介します。
社会人経験が短く職歴がない
社会人経験が短かったり、職歴が浅かったりすると、職務経歴書に書く実績がないと感じやすいです。例えば、第二新卒で社会人経験が短い場合は、経験が浅く書けることも少ないため、アピールできる実績がないと感じてしまうかもしれません。
また、アルバイト経験しかない場合も、正社員として勤務していないため、職務経歴書に記載できる職歴がないと感じる人が多いです。しかし、アルバイトのみの方でもこれまでの職歴で学んだことや成長したことなどを、応募職種に絡めて記載してみてください。
アピールできるような実績がない
アピールできるような実績がない場合、職務経歴書の作成に苦戦してしまうこともあるでしょう。例えば、他人と比べて優れた実績がない場合や、自分のことを過小評価している場合には、他の求職者と比べてアピール要素がないと考えがちです。「担当エリアで売上1位」「目標達成率120%」など、実績として挙げられるわかりやすい数字がないと、職務経歴書に何を記載して良いのか迷ってしまう方も珍しくありません。
営業職などは、業務内容を数値化して記載しやすいですが、数字で実績を示すことが難しい職種もあります。実績を数値化できなくても不安に感じる必要はありません。「〇〇することでチームの士気を高められた」「〇〇を意識したところ課題を解決できた」「業務を効率化するため〇〇に取り組んだ」など、違った切り口でアピールできるか考えてみてください。
働いていない期間がある
ブランク期間がある方は、仕事をしていない期間についてどのように説明したらよいかわからず、職務経歴書の作成に苦戦してしまうかもしれません。ブランク期間がある方は、資格の勉強をしていたことや、ブランク期間に学びを得たことなどを書き出してみてください。
ブランク期間が長いと企業から懸念されてしまうケースもありますが、「空白期間に何に取り組んでいたか」をしっかりと記載できれば、企業に前向きな姿勢をアピールできるでしょう。
実績なしでも書ける!職務経歴書の作成ステップ
先ほど説明したように、キャリアが浅かったりブランク期間があったりすると、実績がないからと職務経歴書の作成がなかなか進まない方もいるでしょう。しかし、実績がない場合でも魅力的な職務経歴書を書くことは可能です。実績なしでも書ける職務経歴書の作成ステップは以下の通りです。
1.キャリアの棚卸しをする
2.アピールできそうな要素を探す
3.応募先で活かせるスキルや資格をまとめる
4.魅力的な自己PRを作成する
ここでは、それぞれのステップについて詳しく紹介します。
キャリアの棚卸しをする
はじめに、キャリアの棚卸しをしてみましょう。具体的には、新卒からこれまでのキャリアを1年ごとに振り返ってみてください。その際には、携わった業務内容と具体的な実績、他者からの評価、どのように課題を乗り越えてきたか、どのような工夫をしたかなどをしっかりと洗い出していくことがポイントです。
「アピールできる実績がない」と悩んでいても、改めてじっくり振り返ってみることで、これまでの経験や実績を忘れているだけだったことに気づく場合も多いはずです。実績の数値だけでなく、課題を解決できた際の具体的なエピソードなども思い出してみてください。
アピールできそうな要素を探す
これまでのキャリアの振り返りを行ったら、企業にアピールできそうな要素を探します。プロジェクトに携わった経験やマネジメント経験、業績アップに貢献した経験などがあれば、採用担当者にアピールしやすいです。さらに、アピールしたいポイントを探し、数値化して表すことも効果的です。具体的には、売上の前年比、目標達成率などを数値で表してみてください。
また、比較対象があると、どのような活躍をしてきたかのイメージが湧きやすいです。そのため、同時期の他者との比較も交えながら数値化できるポイントがないかを探してみましょう。
応募先で活かせるスキルや資格をまとめる
次に、応募先で活かせるスキルや資格をまとめてみましょう。自分が持つスキルや資格を書き出し、記載できそうなものをまとめます。単なる資格やスキルを羅列するのではなく、応募先で活かせる能力をピックアップすることがポイントです。
エンジニア職の求人に応募する職務経歴書であれば、プログラミング言語やOSなどの開発環境、デザイナー職であれば使用していたソフトやツールなど、業務に必要なスキルを記載します。
また、知識やスキルを書く際は、どの程度のレベルなのかも具体的に書くようにしてください。例えば、パソコンスキルを記載する場合は、Excel(表・グラフ作成・四則計算・VLOOKUP・IF関数)・Word(報告書作成)などのように、できることを具体的に記載すると、経験をわかりやすく伝えられます。
魅力的な自己PRを作成する
アピールポイントやスキルを書き出したら、最後は自己PRを作成します。自己PRを作成する際のポイントは、社風や求められている人物像に合う要素をしっかりとアピールすることです。募集要項や企業のウェブサイトなどで応募先が求める人材像を調べておきましょう。
また、自己PRには、これまで業務に取り組んできた姿勢やスキルアップに励んだ経験なども含めるようにすると良いでしょう。もし、目立った成果や業績がない場合でも、コツコツと業務に取り組んだ経験や諦めずに努力し続けた姿勢などを記載すれば、仕事への熱意をアピールできます。応募する職種によって求められるスキルが異なるため、状況に応じて自己PRは適宜更新・編集すると良いです。


実績がなくてもうまく職務経歴書を作成するコツ
職務経歴書を作成する流れがわかったら実際に職務経歴書を作成してみましょう。ここでは、実績なしでもうまく職務経歴書を作成するコツを紹介します。
自分を採用するメリットを書く
自分を採用するメリットが企業に伝わるように意識して作成しましょう。企業側は、書類選考や面接を通して、その人を採用するとどのような利益が得られるかを知りたいと思っています。
営業成績1位などの輝かしい実績がない場合でも、「まじめに仕事をこなせる」「コミュニケーション能力が高く、社内外の人と良好な関係を築ける」などさまざまな側面からスキルや経験をアピールできます。自分を採用したときに得られるメリットを企業側がイメージしやすいように、具体的なエピソードを記載してください。
数字や比較データを使ってアピールする
これまでの成果を数字や比較データを使ってアピールすることで魅力的な職務経歴書を作成できます。その理由は実績や業績などを数字や比較データで示せば、その度合いを正確に伝えられるためです。データを記載する例として、「売上目標達成率120%」「社員150人中2位を獲得」「前年比で契約数が20%増加」などが挙げられます。
このように、数値や比較対象がわかると読む側は見やすく、魅力的に感じやすいといえます。プロジェクトやチームの人数の規模なども数値化して記載すると良いでしょう。
テンプレートを参考にする
はじめから全て自分で作成しようと思うと大変なため、まずテンプレートの内容を参考に作成してみましょう。テンプレートはインターネット上で無料ダウンロードできるものが多数公開されています。
職種別のテンプレートなどさまざまな種類のテンプレートがあるため、自分の職歴に合わせて選ぶことができます。職種によって重視されている経験やスキルが異なるため、募集職種に合うテンプレートを選んでみてください。
また、自己PRの項目では、テンプレートの内容をそのままコピーして使用するのは避けます。意欲が感じられないなど、悪い印象を与えることを防ぐためです。テンプレートの例文などで文章の型や流れを確認して、自分自身のエピソードをできる限り具体的に記載するようにしましょう。企業に合わせて内容を変えることも忘れないようにしてください。
アルバイト経験も含める
アルバイトで経験した職務内容が転職先の仕事にも関連している場合は、職務経歴書に記載しましょう。アルバイトを通して培ったスキルや得た経験などを記載します。
アルバイトでも、業界の知識やパソコンスキル、接客スキル、営業力など得られるものは多いものです。正社員での経験ではないからと記載しないのではなく、応募職種に関係する場合はアルバイトで培った経験もしっかりと記載してアピールしましょう。
職務経歴書で実績をアピールするポイント
次に、職務経歴書で実績を効果的にアピールするポイントを職種別に紹介します。
事務
事務職は、数値化した実績を記載することが難しいと感じる方もいるかもしれません。事務職の職務経歴書では、資料作成などのパソコンスキルをアピールできます。WordやExcel、PowerPointなどのソフトウェアの使用経験や、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)やITパスポートなどのパソコンに関連した資格などを記載しましょう。
スキルが具体的に記載されていれば、即戦力として期待してもらうことができ書類選考通過につながる可能性もあります。また、複雑な業務をExcelなどを使用して効率化した経験などがあれば、アピール要素にもなるため記載しておきましょう。
営業
営業職の職務経歴書では、取り扱い商品や顧客の属性などをしっかりと明記しましょう。その理由は、扱う商材や顧客によって必要とされる知識や経験が異なるためです。以下のような項目を盛り込みながら、職務経歴書を作成してみてください。
・新規開拓がメインか既存顧客がメインか
・テレアポや飛び込み営業などは経験していたか
・取り扱っている商材は、無形商材か有形商材か
・法人向けの営業か個人向けの営業か
・担当しているエリアはどこなのか
個人的に工夫した取り組みで業績がアップした例などがあれば企業にアピールできるでしょう。営業職は、実績を数値でアピールしやすいことが特徴です。売上達成率、支店で何位など数値で説明できる実績があれば記載しておきましょう。
販売
販売はアルバイト経験も活かしやすい職種です。そのため、販売のアルバイトをしたことがあれば、過去に経験したアルバイトも職務経歴書に記載しましょう。過去に働いていた店舗の規模や職種、取り扱い商品、販促活動で工夫した点などをメインに記載します。「〇〇という工夫をすることで売り上げに貢献できた」などのエピソードがあれば具体的に記載してください。これまでの経験で培った接客スキルや新人教育の経験などもアピールできるポイントの一つです。
エンジニア
エンジニアの転職では、技術やスキルが重視されます。職務経歴書には、習得したプログラミング言語、OS、データベースなどの開発環境や、プロジェクト経験などの詳細を記載してください。
IT業界は常に技術が進歩しているため、勉強意欲があり自発的にスキルアップに取り組んでいることもアピールできます。また、エンジニア職では、プロジェクトの上流工程に携わった経験があれば高く評価される傾向があります。そのため、要件定義などの上流工程も経験したことがあれば職務経歴書に記載しておきましょう。


職務経歴書を作成するときの注意点!
職務経歴書の作成のコツや業種別のアピールできるポイントなどを紹介しました。最後に、職務経歴書を作成するときに気をつけておきたい注意点を紹介します。
簡潔にまとめて見やすさを意識する
職務経歴書を作成する際は、簡潔にまとめて見やすさを意識しましょう。その理由は、要点が端的にわかる文章だと、限られた時間でもアピールポイントに注目してもらいやすいためです。採用担当者は何人もの職務経歴書をチェックしなければならず、文章が長かったり文字がつまっていたりすると、最後まで内容に目を通してもらえないこともあるため気をつけてください。
箇条書きや表などを使って書けば、見やすくまとめることができ、アピールしたいポイントを目立たせることも可能です。文章で記載する部分は、3~5行ごとに改行を入れるなど、読み手のことを考えて読みやすいレイアウトを意識してください。
全体のボリュームが多すぎないようにする
職務経歴書全体のボリュームが多すぎないように注意しましょう。文章が長すぎて全体のボリュームが多くなると、担当者がチェックしにくいです。職務経歴書は、A4用紙2〜3枚で収まるように分量を意識しましょう。短くなりすぎないように適切な分量を意識して、職務経歴書を作成してみてください。
分量が多くなるようであれば、業務内容・身についたスキル・課題・実績・自己PRなど、記載すべき内容に絞って調節しましょう。退職理由や仕事の失敗談などは記載しなくても良い事項です。職務経歴書の作成が完了したら、全体の分量を確認するのを忘れないようにしてください。
漠然とした印象にならないように具体的に書く
職務経歴書は、漠然とした印象にならないよう具体的に書くことが重要です。具体性がないと他の求職者と差別化できず、採用担当者の印象に残らない場合もあります。職務経歴書を具体的に書くことでさらに説得力が高まったり、自分の人柄も伝えられたりするため、企業に魅力的だと感じてもらいやすいです。
特に、自己PRは簡潔なエピソードを交えて具体的に記すようにしましょう。具体的には、「前職ではどのような姿勢で働いたか」「どのような成果を上げたか」「強みを活かしてどのように課題を乗り越えたか」などのエピソードを簡潔に含めるようにしてください。
キャリアを振り返って職務経歴書に書く内容をまとめてみよう!
経験が浅かったり、アルバイトしか経験がなかったりすると職務経歴書に記載できる実績がないと感じることもあるでしょう。実績が書けないという場合でも、キャリアを棚卸ししてみると、得た経験やスキルなどの自身のアピール要素を見つけられます。
まずは、これまでのキャリアを振り返り、職務経歴書に盛り込めそうな要素を探してみましょう。職務経歴書を作成する方は、ぜひ参考にしてみてください。
