英語力を活かして転職する際に、英語力の証明となるメジャーな試験として、TOEICが挙げられます。TOEICで900点以上を保有していると高い英語力があることを証明でき、転職を有利に進められます。この記事では、TOEICハイスコア保持者が転職を成功させる方法について解説します。TOEICのハイスコアを活かして転職活動を進めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。


目次
TOEIC900点の難易度はどれくらい?
そもそも、TOEICで900点以上の点数を獲得することはどれくらい難しいのでしょうか。TOEIC900点以上を取得している人は、TOEIC全受験者のうち、数%にすぎません。実際に、一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が発表した2021年度の受験者データによると、895点以上を取得した割合は全体で4.2%、社会人のみだと6%となっています。また、受験者全体の平均スコアは、611点という結果となりました。
これらのデータからも、TOEICで900点以上を取得することは、かなり難易度が高いと分かります。TOEICの満点は990点です。900点以上を取得するためには、9割以上の問題に正解する必要があります。決して実現が不可能なスコアではありませんが、しっかりと試験対策をしなければ900点以上を獲得することはかなり難しいといえるでしょう。
【IIBC】TOEIC Program DAA2022(和文)2022年8月版
TOEIC900点以上だと転職で有利になる理由
TOEICで900点以上を獲得することは、難易度が高いことだと分かりました。TOEIC900点以上を保有していれば高い英語力の証明となりますが、転職ではどのように役立つのでしょうか。
ここでは、TOEIC900点以上だと転職で有利になる理由を6つ紹介します。
転職で英語スキルを重視する企業は多い
さまざまな面でグローバル化が進んでいるため、外資系の企業だけでなく国内の企業でも、英語スキルを重視する企業は多いです。例えば、海外のクライアントとやり取りする部署などがあれば業務で英語を使う機会も多く、英語スキルの高い人材を必要とする企業も見受けられます。
IIBCが「マイナビ・日経2022年卒大学生就職企業人気ランキング」の上位100社を対象に行った調査結果によると、「英語が必要となる業務はあるか」という質問に対して、英語力が必須となる業務があると答えた割合は、84.8%にのぼることが分かりました。一方で、「英語力が求められる業務はない」と回答した企業は0%でした。
さらに、「3~5 年前と比べて英語力の必要性は高まっているか」という質問に対しては、「全社的に高まっている(36.2%)」「部門は限られているが、高まっていると認識している(57.4%)」と回答しています。9割以上の企業が英語力の必要性が高まっていると回答する結果となり、英語スキルを重視する企業が多いことは一目瞭然です。
実際に、転職市場では応募資格として英検よりもTOEICを要件としている求人のほうが多いです。TOEICで900点以上を保有していれば市場価値も高く、高い英語力を企業にアピールできます。
英語力を客観的に証明できる
TOEICで900点以上だと転職が有利になる理由の一つとして、英語力を客観的に証明できる点が挙げられます。「英語ができる」と伝えるだけでは、どの程度の英語レベルなのかが分かりにくく、十分なアピールになりません。かろうじて中学英語ができるレベルなのか、高校英語なら大丈夫なレベルなのか、それともビジネスシーンで英語を使いこなせるレベルなのか、など具体的な英語力が伝わりにくいです。
TOEICはビジネスシーンでの英語力を測るテストとして有名です。受験したことがある方も多いため、TOEICのスコアを示せばどのくらいの英語レベルなのかを伝えやすいです。TOEICでハイススコアを保有していることを履歴書や職務経歴書に記載すれば、高い英語力を保有していることを客観的に証明できます。


一定のビジネススキルの証明にもなる
TOEICは、一定のビジネススキルの証明になるため転職で有利になるケースがあります。TOEICで900点以上のハイスコアを取得するためには、TOEICに合わせた試験戦略、時間内に200問を解くスピードと適切な時間配分、正しい選択肢を選ぶ判断力などが必要です。ハイスコアを取得しているということは、一定の自己マネジメントやタイムマネジメントスキル、業務遂行能力があることのアピールになり得ます。英語力が高いというだけでなく、業務をしっかりこなせる人というプラスの印象を与えられる可能性があります。
目標に向かって努力できるとアピールできる
TOEICで900点以上を取るには、時間や労力が必要です。先ほども説明しましたが、TOEICで900点以上獲得できるのは受験者全体の数%程度です。リスニングやリーディング、文法など幅広い範囲について英語の勉強を続けなければ、高得点を獲得できません。目標に向かってあきらめずに努力する姿勢が求められるでしょう。
TOEICで900点以上を保有していれば、目標を持ち、それに向かって努力できる人材であることのアピールにもなります。
海外勤務も選択肢に入る
TOEICで900点以上を保有していると海外勤務も選択肢に入れられるため、転職が有利になることがあります。TOEIC900点以上であれば、海外のクライアントに対しても英語で問題なく意思疎通を図れるレベルです。つまり、国内での就労だけでなく、海外赴任も可能だといえるでしょう。働くフィールドを国内だけでなく世界中に広げられるため、仕事の選択肢の幅が広がります。
海外勤務を経験して、数年後に日本に戻ってきた場合は、海外での経験を活かして働けます。海外での就労経験がある方は少ないため、希少な人材として自身の市場価値を高められるでしょう。


【点数別】転職で求められるTOEICスコアのレベルは?
転職市場で求められる英語レベルをTOEICの点数別に紹介します。現在のTOEICスコアと照らし合わせて、自分がどのレベルなのかを確認してみてください。
600点
TOEIC600点は、履歴書に記載できる最低限のスコアです。2021年度の受験者データによると受験者全体の平均スコアは611点、社会人のみだと640点です。TOEIC600点は、TOEICの平均点レベルであるといえます。複雑な英語になると会話をすることは難しいレベルです。高度な英語力を必要としない部署や職種では、このレベルを採用条件としている企業が見受けられます。
700点
TOEIC700点は、全受験者の上位30%ほどにあたるスコアです。700点というラインは、外資系企業で最低限必要なスコアの目安でもあります。ある程度複雑な会話ができ、読み書きも問題なくできるでしょう。
専門的な内容になると少し不安は残りますが、英語での事務作業やクライアントとの取引は問題なくこなせるレベルだといえます。TOEIC730点以上で海外赴任可能な国際部門への配属が可能となる大手企業も見受けられます。
800点
TOEIC800点は、全受験者の上位15%ほどにあたるスコアです。英文を細部まで理解でき、ビジネスシーンでの意見交換でもほとんど困らないレベルですが、職種や業界によっては実践的な英会話でスキル不足となる場合もあります。
しかし、TOEICで800点台を獲得できていれば、ほとんどの外資系企業で採用基準をクリアできるレベルであるため、英語力は高い方に分類されます。
900点
TOEIC900点は、英語において困ることはほとんどないレベルの英語力です。自分の意見を明確に伝えたり、相手からの要望に応えたりなど、ビジネスシーンでの複雑会話も問題なくこなせます。英語を使った業務でも、語学面での不安がなく即戦力となれるため、世界レベルの企業への転職も視野に入れることもできるでしょう。


TOEIC900点以上が求められる転職先の例
TOEIC900点以上を保有している方は、海外の企業でも活躍できる英語レベルだと分かりました。それでは、どのような企業や職場でTOEIC900点以上が求められるのでしょうか。TOEIC900点以上が求められる転職先の例は以下の通りです。
・通訳・翻訳
・国際法務
・国際公認会計士
・航空会社
・外資系企業
グローバルに活躍する職場では高い英語力が求められています。特に、国際法務や国際公認会計士など、特定の専門分野を英語で取り扱う仕事でのニーズが高いです。このような仕事は、英語力だけでなく、深い専門知識も必要とされます。日本語と英語どちらも対応できれば、活躍の幅が広がり希少価値の高い人材となれるでしょう。
TOEIC900点保持者が転職で成功するには
TOEIC900点保持者が転職を成功させるにはどうすれば良いのでしょうか。現在より良い条件の仕事に転職するために、以下の3つを押さえておきましょう。
1.業界や職種を選ぶ
2.英語以外のアピールポイントを持っておく
3.スカウト転職をする
ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。
業界や職種を選ぶ
TOEIC900点以上を保持している方が転職を成功させるためには、業界や職種を選ぶことが大切です。英語力があまり必要とされていない業界では、TOEICのスコアが転職に有利に働くとは限りません。高い英語力が求められている業界や職種を選びましょう。
例えば、製造業の海外営業や専門商社、外資メーカーでは英語スキルの高い人材が有利とされています。外資系の中では、金融業界やコンサルファームが、TOEIC900点以上などの高い英語力を求めています。また、商社やメーカー、ヘルスケア業界では、850点以上は必須だといえるでしょう。高い英語力を活かせる仕事を中心に、転職活動を進めてみてください。
英語以外のアピールポイントを持っておく
TOEIC900点以上を保持している方は、英語以外のアピールポイントを持っておくことも重要です。その理由は、これまで積み上げてきたキャリアと高い英語力の両方があることで希少性を高められ、ライバルも減るためです。例えば、高い英語力以外にプログラミング能力があれば、かなり希少価値が高いといえます。日本語と英語の両方で対応できることは企業にとっても大きなプラスです。海外進出している企業や、海外からの案件を多く扱っている企業に転職すれば、スキルアップや収入アップを叶えることも可能です。
しかし、先ほど説明した、高い英語力が求められる職種や業界だと英語ができることは当たり前だとみなされます。そのため、高い英語力はプラスに働かないのです。英語力の他にアピールできるスキルを磨けば、活躍の場がさらに広がり、自身の市場価値を高められるでしょう。
スカウト転職をする
TOEIC900点以上を保持している方は、スカウト転職を検討してみましょう。スカウト機能のある転職サービスに登録しておけば、待っているだけで興味を持ってくれた企業からオファーが届きます。登録したスキルや資格にマッチする仕事のオファーが届くため、ミスマッチが少ないことが特徴です。TOEIC900点以上のスコアを保有していることをプロフィールに登録しておけば、英語力を活かせる仕事のスカウトも届くでしょう。
英語スキルの高さを活かせる仕事や英語力を評価してくれる職場へ転職できるため、スカウトサービスを利用して転職活動を進めることも一つの方法です。


TOEIC900点を武器に転職する際の注意点!
先ほどTOEIC900点は転職で有利に働くことを説明しましたが、TOEICのハイスコアを武器に転職する際には注意しておきたいポイントもあります。転職を成功させるために、注意点もしっかりと把握しておきましょう。
スピーキングやライティング力はアピールできない
一般的なTOEICテストだとされるTOEICのListening & Reading Testは、リスニングとリーディングだけを評価するテストです。スピーキングやライティングは、TOEICのスコアでは客観的な実力を証明できないため、注意が必要です。
「TOEICのスコアが高い=英語を流暢に話せる」というわけではないのです。英語でのコミュニケーション力や実践スキルが問われる仕事の場合、TOEICテストのスコアよりも、英語での実務経験を重要視されるケースもあります。TOEIC対策だけでは、スピーキングやライティングのスキルを伸ばせず、英会話力も上げることができません。ビジネスシーンでもスムーズに英語を使えるようになりたいという方は、スピーキングやライティングも自分で勉強していく必要があるでしょう。
業界や業種によってはハイスコアが評価されにくい
業界や業種によってはTOEICのハイスコアが評価されにくい場合があります。例えば、日系の超大手企業や、外資系の投資銀行や戦略コンサルファームなどは、TOEICハイスコアだけでは評価されにくい傾向があります。その理由は、英語力以外にも高い学歴やキャリアなどが求められているためです。
TOEICでハイスコアを保持していても、経験が浅いとみなされれば、転職がうまくいかないこともあるでしょう。先ほども説明しましたが、これまでの経験や実績など英語以外のどのようなポイントをアピールできるかが重要となります。TOEICのスコアのみだと評価されにくい仕事もあるため、転職を成功させるために専門知識を深めるなどして、自身のスキルアップも忘れないようにしてください。
TOEIC900点に頼りすぎないようにする
TOEIC900点という肩書きに頼りすぎないよう、気をつけましょう。TOEIC900点だけにとらわれてしまうと、英語力以外の分野のアピールがおろそかになってしまいます。英語はコミュニケーションツールにすぎないと理解しておきましょう。英語力が高くてもコミュニケーション能力がなければ、海外の人々とうまく意思疎通を図ることは難しいです。
高い英語力が必要とされる仕事では、海外の人とも関わる機会が多いです。文化やコミュニケーションの取り方の違いなどを理解していないと、ビジネスで関わる相手とうまく信頼関係を築いていくことはできません。TOEICテストの点数ばかりに頼るのではなく、生きたビジネス英会話や海外の文化なども学んでいくことが大切です。


目指せ900点!転職のためにTOEICで高得点を取る勉強法
TOEIC900点を武器に転職をするために、TOEIC対策に取り組んでいる方もいるのではないでしょうか。ここでは、TOEICで900点を目指すための勉強法を紹介します。
毎日英語の勉強をする
TOEICで900点以上を獲得するためには、毎日継続して英語を勉強することが大切です。少なくとも1日2〜3時間は勉強時間を確保するスケジュールを立てることをおすすめします。仕事をしていると、平日に勉強時間を確保することは難しいですが、通勤時間や休憩時間などスキマ時間を有効活用すれば時間を捻出できます。
一度にまとまった時間が取れなくても、単語を覚えたり、英語の音声を聞いたりなど、コツコツと小さなことから積み上げていきましょう。毎日英語に触れると記憶が定着しやすいです。英語の勉強を習慣化して継続することで効果的にスコアを伸ばせるようになるでしょう。
公式問題集を使う
TOEICでハイスコアを獲得するために、公式問題集を使って対策しましょう。TOEICの公式問題集は実際のテストと同じプロセスで作成されており、本番試験に近い問題が掲載されています。
英語の勉強方法はいろいろありますが、TOEICのスコアアップに特化した対策をするのであれば公式問題集を使うのが効率的です。TOEICの試験当日は、2時間以内に200問を解き終えなければいけません。各パートで時間を配分して効率的に解いていかなければ時間内に解答し終えることは難しいです。一問に時間をかけすぎてしまい、他の問題に集中できないと、900点以上のハイスコアを獲得できません。公式問題集を使用して時間内に解く訓練をしておけば、自分が苦手なパートも分かり対策もできます。よく出題される慣用句や文法問題のコツなども徐々に分かってくるでしょう。TOEICの問題パターンに慣れて演習を繰り返すことが、高得点の獲得につながります。


TOEIC以外にもある!転職で英語力を証明できる試験
転職の際に英語力を証明する試験としてTOEICが有名ですが、TOEIC以外にも英語力を証明できる試験があります。ここでは、TOEFLと英検(実用英語技能検定)について紹介します。
TOEFL
TOEIC以外の英語力を証明する試験としてTOEFLが挙げられます。TOEFLとは、「読む」「聞く」「話す」「書く」の英語4技能を測定する試験です。TOEICと異なり、「話す」「書く」パートも測定できます。TOEFLは英語を母国語としない方向けの試験で、日本国内だけでなく海外での知名度が高いです。
主に、英語圏への大学や大学院に留学する際の英語力を測る基準としてTOEFLスコアが使用されています。もし海外の大学に留学したことがある方であれば、TOEFLのスコアを保有している方もいるでしょう。履歴書に記載しておけば、英語力を証明することができます。TOEFLテストは自宅からでも受験可能です。
TOEICとTOEFLでは、どちらの成績が転職で有利に働くのだろうと疑問を抱く方もいるかもしれません。TOEFLの試験では、ビジネスよりもアカデミックな内容の問題が出題される傾向があります。TOEICとは問題の傾向が違うため、ビジネス英語のスキルを伸ばして企業にアピールしたい方はTOEIC受験の方が向いているといえるでしょう。
英検(実用英語技能検定)
TOEIC以外の英語力を証明する試験として、英検(実用英語技能検定)を紹介します。中学生や高校生など、学生時代に英検を受けたことがある方もいるのではないでしょうか。英検は文部省公認の英語検定で、日本での知名度や信頼度が高いことも特徴的です。英検は1級から5級までの7段階に分けられており、1番難易度が高い英検1級はTOEIC900点に相当するレベルです。英検はスピーキング・ライティングを含む4技能を測定するテストのため、TOEICで測定されない2技能のスキルもアピールできます。
TOEICのハイスコアを活かして有利に転職しよう!
英語スキルを重要視している企業も多いため、TOEICのハイスコア保持者は転職で有利になります。これまでの職歴と英語力のどちらも活かせる仕事であればライバルも少なく、希少価値の高い人材として転職活動の際にもプラスの評価を受けられるでしょう。TOEICのハイスコアを保持している方は、自身の経験を活かせる業界に転職してみてください。
