履歴書や面接で特技や趣味を聞かれた場合、何と答えたらよいのか分からないという人は少なくないでしょう。面接官が応募者に特技や趣味を尋ねるのには理由があります。本記事では、面接で特技や趣味を聞く理由やどのようなものが特技となり得るのか、また回答の例を紹介します。コツを押さえて、面接までに適切な回答を準備しておきましょう。


目次
転職面接で特技や趣味を聞かれるのはなぜ?
そもそも転職活動の面接で特技や趣味を聞かれるのはなぜなのでしょうか。多いのは次の4つの理由です。
人柄を知ろうとしている
特技や趣味を聞くことは、その人の人柄を知るうえで非常に有効な方法です。特技や趣味にはその人が持つ個性や人柄が反映されやすいためです。その人がどのようなことに興味があり、何に熱中して取り組むのかが分かります。面接官は、仕事上のスキルだけでは知り得ない能力を知りたいのです。
例えば、持続力があると言及しなくても、マラソンや遠泳を趣味にしている人には持続力があることが間接的に伝わります。スポーツや音楽、芸術など、特技や趣味のジャンルは多岐にわたります。数多ある選択肢から何に興味を持ったのかによって、その人がどのような性格をしているのか、どのような能力を持っているのか、また自社の社風に合いそうか、ある程度想像できます。
コミュニケーション力を測ろうとしている
面接で特技や趣味を聞くことで、応募者のコミュニケーション力を測ろうとしている場合もあります。このパターンでは、何を特技として選んでいるかはあまり関係なく、「面接官に伝わるように回答しているかどうか」を見ています。特技や趣味は、自分が得意であったり、関心が強かったりするため、つい力が入って熱弁をふるってしまいがちです。
しかし、面接では簡潔に回答するのが基本です。限られた時間の中で面接官は、志望動機や自己PRなど、他にもさまざまな質問を用意しているためです。相手にも分かるように理路整然と話を組み立てられているか、相手が興味を持つように話せているかなど、特技や趣味は会話力をチェックするのにちょうどよい話題といえるでしょう。


資質や物事に取り組む姿勢を見ている
資質や物事に取り組む姿勢を見ていることもあります。特技を聞くことで、応募者がどのような資質を持っているかも想像できるためです。何を特技として選ぶ場合でも、特技といえるようになるまで続けるには、一定の期間が必要です。一朝一夕で身に付くものではないでしょう。上達するために本気で取り組む、継続的に努力を積み重ねるといった姿勢は、業務でも必要なものです。
特技に関する質問を通じて、仕事に対する適性や入社後に期待できる貢献度などを評価しているのです。取り組む姿勢をチェックしている場合は、どのように取り組んで特技といえるまでになったか、その過程を追加質問で聞かれることが多いでしょう。
単なるアイスブレイクのため
応募者の緊張を解き、場の空気を話しやすい雰囲気にするためのアイスブレイクとして、特技や趣味を尋ねるケースも想定されます。特技や趣味に関することは、誰でもリラックスして話しやすいためです。このケースでは、最初に緊張をほぐすことによって、本題の部分で本来の力を発揮できるようにするねらいがあります。場を和ませて話しやすくすることが目的ですので、特技や趣味に関する受け答えは合否には直結しません。
ただし、最初の質問として特技や趣味を聞かれた場合は、第一印象を左右する可能性があります。面接という場に適した特技や趣味を簡潔に答える機転が大事です。「特にありません」という素っ気ない回答は避けましょう。「わざわざ緊張をほぐそうとしているのに気が利かない」とマイナス評価されてしまいかねません。何かしら準備しておきましょう。
面接で特技や趣味を質問されたときの答え方
面接で特技を答えるときの流れですが、まず結論として何が特技、または趣味なのかを答えましょう。結論から述べることで、相手が内容を理解しやすくなります。結論から話すのは、ビジネスにおける報連相の基本でもあります。最初に「○○です」などと特技(趣味)を述べてから、それを身に付けた過程や他の人と比べてどれくらい優れた特技なのかを補足するとよいでしょう。エピソードを添えて話すことで、アピールしたいポイントが伝わり、結果的に個性も際立ちます。
答えを受けて追加質問されることが多いため、最初の回答は簡潔にまとめましょう。目安は1分以内です。受け答えを通じて双方向のやり取りができるかをチェックされている可能性もあります。すべてを一気に説明しようとせず、面接官との会話のキャッチボールを心がけることが大事です。


転職面接で特技や趣味を質問されたときの回答例
ここからは、転職活動の面接で特技や趣味を聞かれたときの回答例を紹介します。今回は、ジャンル別に4つのパターンを用意しました。追加質問を想定して、簡潔に答えるのが基本ですが、回答のボリュームについては適宜調節してください。
外国語(英語)の回答例
特技は英会話です。学生時代から英語が得意で、英会話教室にも通っていました。大学では国際交流サークルに所属して交換留学生の日常生活をサポートするボランティアを行っていたため、日常会話は英語で行えます。その際には、ネイティブからも発音がきれいだと褒められます。
プログラミングの回答例
特技はプログラミングです。日本の小学校でもプログラミング教育が必修化されるなど、これからの社会では求められる能力であると考え、市販のテキストなどを使って独力で学びました。専門的な知識が身に付いただけでなく、プログラミングの作業を通じて、目の前の課題を論理的に整理する思考力も鍛えられました。
Webデザインの回答例
趣味はWebデザインです。日ごろからさまざまなサイトを閲覧するうちに自分でも作ってみたいと考えるようになり、Webデザインスクールで学びました。PhotoshopやIllustratorなどの基本ソフトを使いこなすことができます。次々と技術が進化していく世界であるため、トレンドをキャッチするための情報収集が欠かせません。関連する知識として、Webマーケティングについても勉強中です。
スポーツの回答例
私の特技は水泳です。小学校から始めて高校の部活まで続けていましたので、体力には自信があります。また、どうすれば過去の自分の記録を超えられるのか、自問自答する過程で、集中力や自己管理能力が身に付いたと感じています。


面接で特技としてアピールできる4つの要素
自分には面接でアピールできるような特技がないと思っている人も多いかもしれません。しかし、面接で特技としてアピールできるものは案外幅広く、日常生活で得意としていることや趣味もPRの方法次第では特技になり得ます。ここでは、面接で特技としてアピールできる4つの要素について解説します。
1.学生時代に経験したこと
学生時代に経験したことは面接で特技としてアピールできる要素の筆頭です。部活動や外部のチームなどに所属して取り組んだスポーツや文化的な活動は、特技としてアピールしやすいでしょう。団体球技や1人で取り組む競技など、それぞれの競技に特徴があるため、印象的なアピールにつながります。スクールなどに通って本格的に取り組んだことも特技として取り上げやすいでしょう。
例えば、絵画や写真、楽器演奏などを習っていたなどの経験です。長く続けたものであれば、具体性を持たせるのに役立つエピソードがあり、追加質問にも答えやすいはずです。
優勝経験や入賞経験はなくてもかまいません。面接官が知りたいのは、華々しい経歴ではなく、上達するためにどのような努力をしたか、その過程で何を得てどのような能力を身に付けたのかです。「主体性」「コミュニケーション力」「集中力」「創造性」など、人柄が伝わるものや、仕事で生かせそうな強みにつながるエピソードを工夫しましょう。
2.日常生活で得意としていること
日常生活で得意としていることも面接で特技としてアピールできる要素のひとつです。誰しも、日常生活で頻繁に行っている得意なことがあるはずです。具体的には、料理や掃除、洗濯、裁縫、早起きなどの日常的な行為で、自分がこだわっていることがないか考えてみましょう。単にルーティーンとして行っているというのではなく、他の人がするのと比べてどのような部分が優れているのかという点に触れるのがポイントです。
例えば、料理であれば「15分で3品のおかずを作れる」、洗濯ならば「シワができないように干せる」というように、通常よりも優れた点を伝えられれば、十分特技として通用します。早起きの場合は、「毎日目覚ましをかけなくても決まった時間に起きられる」といった言い方をすれば、面接官も感心してくれるでしょう。「どのようにしてその技を身に付けたのか」と追加質問をしてくれるかもしれません。
3.自発的に身に付けた仕事に役立ちそうな能力
自発的に身に付けた仕事に役立ちそうな能力も面接で特技としてアピールできる要素になり得ます。特に、仕事に直結する資格は、必要な能力を持っていることのアピールにつながりやすいでしょう。例えば、パソコン関係の資格はオフィスワークの効率性を高めます。また、英語など外国語の資格も、海外とのやり取りが多い職種では、業務にすぐ生かせるでしょう。主体的に学べる意欲の高い人であることも伝わり、どのようなことでも仕事に必要なことは率先して身に付けそうという印象も残せます。
仕事と直接関係のない資格でも、取得までの過程や培った能力を説明することで、仕事に生かせることをアピールできます。例えば、マーケティングではリサーチ力が必須ですが、直接的には関係ない資格であっても、短期間で効率的に合格するために幅広く調査・比較していた過程で情報収集力を身に付けたといった言い方はできるでしょう。
資格以外にも、仕事に生かせる能力は多くあります。例えば、人の顔と名前をすぐ覚えられるという特技は、営業や広報などの対外的なコミュニケーションが多い職種で役立つはずです。
4.趣味を続ける中で習得したスキル
趣味の延長線上に特技があることは多いものです。趣味を続ける中で習得したスキルも、面接で特技としてアピールできます。好きなことは楽しく取り組むことができ、長時間取り組んでも苦になりません。そのため、気付かないうちに能力が身に付き、磨き上げられていることが少なくありません。
例えば、歌が好きで趣味として歌っていたら、採点カラオケで高得点を出せるくらい歌が上手くなっていた、読書が趣味でたくさん読みたいために速読を身に付けたといったケースです。興味を持って追求し、醍醐味を知っている趣味ならば、面接官からの深い質問をされてもスムーズに答えられるでしょう。


面接で使える特技を見つけるコツ
ここからは、面接でアピールする特技を見つけるコツを解説します。面接向けの特技が思いつかない人は、次の4つの行動や考え方を実践してみましょう。
習慣化していることを思い起こす
まずは、習慣化していることを思い起こしてみましょう。普段何気なくやっていることを深掘りすると特技が見つかることがあります。習慣化していることは自分にとっては当たり前の行為かもしれませんが、客観的に見るとレベルが高い場合もあるものです。また、日常的に行っていることでも、「短時間で」「手際よく」などの言葉を付ければ特技になります。
例えば、片付けに関しても、「短時間で仕分けできる」「手際よく整理整頓できる」といった言い方をすれば特技としてアピールできますし、業務でも役立ちそうです。スポーツや文化活動は、習慣的にやっていれば始めてからの期間が短くても特技にできます。追加質問に備えて、能力が発揮された経験や達成できたエピソードなども思い起こしておくとよいでしょう。
趣味の延長上をさがす
趣味の延長上をさがすことで特技が見つかることも多いものです。趣味は好きで取り組んでいることであり、他のことよりも情熱を注いでいるケースが大半でしょう。好きなことに熱中しているうちに、人よりも優れたスキルが身に付くことがあります。
また、趣味を深掘りしていると、さまざまなエピソードが思い浮かび、その中から特技が見つかる可能性も考えられます。例えば、本を読むのが大好きな人は読書量が人より多く、さまざまなジャンルの読書を通じて幅広い語彙や文章表現の方法を身に付けているものです。読書家の中には、読解力があるだけでなく、文章を書くことに長けている人も少なくありません。読むだけでなく、感想文や手紙を書くのが苦ではなく、スラスラと書けるタイプの人は、ライティングも特技といえるのではないでしょうか。
ハードルを上げない
特技というと、ずば抜けて優れているものでなければならないと思いがちです。しかし、ハードルを上げることはありません。面接で聞かれる特技には、周りからの評価は必要なく、自分が得意だと思っていれば特技といえます。家族や仲間内など狭い範囲で一番というレベルでも、特技になります。
日常での習慣など、身近なことでも、少しでもアピールできるポイントがあれば、特技といってかまいません。レベルの高さは関係なく、面接官が興味があるのは、特技になるまでの過程です。その過程においての行動や考え方から、相手の人柄や個性、価値観などを見たいのです。特技そのもののレベルは気にせず、自分の人となりや強みが伝わる言い方やエピソードのほうにこだわりましょう。
過去の体験を思い出す
過去に褒められたことや他人に評価されたことを思い返すことも大事です。その際に、なぜ周囲から褒められたり評価されたりしたのかを考えてみましょう。学生時代に、友達の悩み相談に乗って「話を聞いてもらってスッキリした」と感謝された経験がある場合、傾聴力が高かったり、話の要点をまとめるのが上手だったりするのかもしれません。
過去に褒められたり評価されたりしたことが複数あった場合には、その共通点を考えましょう。実際にやったことではなく、共通点になっている部分が特技である可能性が考えられます。一例として、学級委員やキャプテン、文化祭の主役に抜擢されるなど、リーダー的なポジションを任される傾向がある人は、その場をまとめる能力が高いといえるでしょう。


面接で答えると逆効果になってしまう特技
中には、面接で答えると逆効果になってしまう特技もあるため注意しましょう。まず、飲酒やギャンブルなどは、面接官にマイナスの印象を与える恐れがあります。政治活動や宗教活動を連想させるものも避けたほうがよいでしょう。偏った思想を持っていると思われることがマイナスになるためです。
また、ストレス耐性があるアピールのつもりでも、「ひと晩くらい寝なくても大丈夫」など、心身に負荷がかかりすぎる特技も避けましょう。多くの場合、面接官は過酷なストレス下で仕事をさせることを想定していないので、ストレスに耐えられることをアピールしても逆効果になる可能性があります。ゲームや漫画など、エンターテインメント性の強い趣味も、ネガティブなイメージを持つ面接官が一定数いるため避けたほうが無難です。
実際には得意でもないのに、かっこよく見える、評価が高そうという理由で嘘の特技を答えるのもNGです。深掘りされたときに答えられないと、特技でないことが露呈してしまいます。これまでにも述べたように、特技は人柄を知るために答えさせているケースが大半です。そこで嘘をつき、そのことを見抜かれると、面接で嘘を付く人というレッテルを貼られることになります。人間性を疑われてしまった場合、面接を突破するのは難しいでしょう。
面接に関する悩みは相談して解決
面接における課題は、第三者に相談することで解決しやすくなります。面接で何を特技と言えばよいのか悩んでいるなら、PaceBoxに登録してキャリアアドバイザーに相談してみませんか。自覚がないものでも、第三者から見ると十分特技といえることも少なくありません。候補をいくつかピックアップして、プロの客観的な視点で最も適切なものを選んでもらうのもおすすめです。
