職務経歴書は就職活動や転職活動において非常に重要な書類ですが、職歴がない人は書きようがないと思うのではないでしょうか。転職活動中に、既卒・無職という立場にもかかわらず、提出を求められたとき、どのように書けばよいか悩むことがあることでしょう。そこで今回は、今回は、既卒・無職の方向けに、職歴なしの職務経歴書の書き方について詳しく解説します。


目次
職務経歴書は職歴なしでも提出するべき?
職歴なしの人でも、職務経歴書の提出は必要なのでしょうか。応募先から、職務経歴書を求められた際に、提出を拒否することはできるのでしょうか。ここでは、職務経歴書を職歴なしでも提出するべきかどうかについて、その理由も含めて解説します。
応募先企業が要求しているなら提出が必須
転職活動では、基本的に履歴書と職務経歴書の提出が求められます。募集要項に「履歴書のみ」「職務経歴書の提出は不要」と明記されていない限り、提出は必須です。そこには、以下の2つの理由が考えられます。
応募者の経験や実績を書類で確認するため
企業にとって職務経歴書は、応募者のスキルや経験を詳細に確認するための大事な資料です。自社や募集している仕事とのマッチングを判断するためにも必要です。特に、即戦力としてのスキルや経験が重視される傾向にある中途採用では、職務経歴書の必要性は高いでしょう。中には職歴がない人もいるかもしれませんが、応募先から要求されているならば、職歴に関係なく提出するのが原則です。仮に職歴なしであったとしても、資格やスキル、自己PRなどの工夫によって挽回することは可能です。職歴なしの職務経歴書の書き方は後述します。
応募にあたってのマナーをチェックするため
職務経歴書は記入する項目も多く、空欄や不備なく作成するには、それなりの手間がかかるものです。応募先の採用担当者は、自分のスキルや経験を分かりやすく要約し、丁寧に伝えようとする応募者のマナーもチェックしています。応募に際しての最低限のルールを守れる人かどうか、見極められているといってもよいでしょう。「職歴がないから」といって、自己判断で職務経歴書の提出を省略すると、書類不備で選考にすら通らない可能性があります。
既卒や第二新卒では不要な場合もある
大学・高校卒業後に就職先が見つからずに既卒で就職活動をしている場合や、第二新卒で転職(就職)活動をしている場合は職務経歴書を提出不要とするケースもあります。採用担当者も応募者に職歴がないことを理解しているためです。
ただし、はっきり不要と書かれていなかったり、任意と記載されていたりする場合には、判断に迷ってしまうかもしれません。事前に応募先に確認できるのならば、既卒で職歴なしでも職務経歴書が必要かどうか確認してもよいでしょう。ハローワークなどを通じて応募先企業に職歴なしであることが伝わっている場合にも、職務経歴書を省略する配慮をしてくれることがあります。また、未経験者歓迎、学歴・職歴不問を掲げている求人などでは、職務経歴書の提出を求めないケースも多く見られます。


正社員として職歴がない人の職務経歴書の書き方
職務経歴書に職歴として書けるのは正社員の経験だけで、アルバイトやインターンは書けないという意見を目にすることもあるかもしれませんが、それは誤りです。アルバイト経験についても、職務経歴書に記載して問題ありません。また、アルバイト経験もないケースの対処法についてもお伝えします。
アルバイト経験があるケース
まず、アルバイト経験があるケースの書き方のコツと方法を解説します。次の2つのポイントに沿って作成しましょう。
コツは経験を具体的にアピールすること
既卒でアルバイトやパート、インターンしか経験がない場合でも、詳細に書けば正社員の経歴に劣らないアピールができる可能性があります。アルバイト経験について、「いつ」「どこで」「どんな仕事内容で」「どんな実績・成果を得たのか」をできるだけ詳しく書くのがポイントです。また、その際に自分なりに「工夫したこと」「努力したこと」を交えてしっかりとアピールすることで仕事への熱意を伝えられます。「勤勉」「責任感が強い」など、自分の人となりもイメージしてもらいやすくなるでしょう。
具体的な書き方
まずは職務経歴書の基本的な記載事項である、職務要約、会社名、事業内容、期間、資本金、売上高、従業員数、業務内容などの欄にアルバイト先の情報を書きます。会社情報は正確に書く必要があります。企業の基本情報については、会社概要など企業の公式サイトで確認するのが、最も効率的で確実な方法です。続いて、応募先企業で生かせる経験・知識・スキルと、自己PRを書いていきます。アルバイトの経験で培った強みをどのように生かし、貢献できると考えているのかをアピールする力強い一文で締めくくりましょう。
アルバイト経験がないケース
既卒でアルバイト経験なし、または事情があって無職だった人は、職歴を書くことができないでしょう。その場合は「職歴なし」とし、職務要約欄に職歴がない理由と現在の状況を記載しましょう。学校卒業後に資格試験の勉強をしていた、大病を患って入院していたなど、職歴なしの理由はさまざまでしょうが、要は「応募者は空白期間に何をしていたのか?」という採用担当者の疑問に答えることが大切です。そして、職歴でアピールできないことをカバーすべく、志望動機や資格、自己PRなどに力を入れるのがポイントです。
例えば、資格試験の勉強をして合格した場合には、資格名に加えて、なぜ自分がその資格に挑戦しようと思ったのかを書き添えることで問題意識の高さをアピールできます。現在の状況については、今は何をして過ごしているのかを記載し、そのうえで前向きな入社意欲が伝わる内容に工夫しましょう。具体的なコツは後述します。


職歴がないなら他の項目でアピール
正社員の経歴がなく、アルバイトの経験もない、もしくは少ないのなら、それをカバーするよう、志望動機や資格、スキル、経験、自己PRでアピールしましょう。ここでは、各項目を具体的にどのように書けばよいか解説します。
志望動機
選考においては、応募者の熱意や志望度の高さを重視するケースも多く、志望動機が肝心です。やる気が伝わる志望動機を書くことで職歴なしのハンディをカバーできる可能性があります。特に正社員として働きたい熱意をアピールすることが重要です。志望動機に説得力を持たせるためには、企業研究が欠かせません。応募先の企業についてしっかりと研究して、その企業の強みや他社が真似できない取り組みなどをよく理解しましょう。
「その業界・企業を選んだ理由」と自分の強みやスキルとをリンクさせ、入社後にどのような役目を果たせるのかをアピールすることで、志望動機に説得力が生まれます。さらに、自分のキャリアプランとも照らし合わせ、入社後にどのように成長していきたいのかも明確にしておけると理想的です。また、要点を端的にまとめた、読みやすい文章を心がけましょう。不安な場合はプロに添削してもらうのも手です。
資格・スキル・経験
職歴がなくても、保有資格やスキルは強力な武器になり得ます。応募先で生かせるものに絞って記載するのがポイントです。例えば、以下のようなスキルや経験は、オフィスワークを中心に役立つことが多いでしょう。
PCスキル
WordやExcel、PowerPointといったビジネスアプリケーションが活用できるなど、実務で役立つスキルがあることをアピールしましょう。Wordなどで普段どのような作業をしているか、どのくらいの頻度で使用しているかも簡潔に補足しておくと、より具体的です。
ITスキル
業務のデジタル化が進む中、ITスキルを持つ人材は重宝される傾向にあります。例えば、Zoom、Google Meetなどのビデオチャットツール、その他各種SaaSのような比較的新しいソフトウェアを使用できることはアピールポイントになります。また、ITパスポートはITの基礎知識を証明する国家試験として注目されています。
特筆すべき経験
部活動での全国大会への出場や海外留学、ボランティア活動など、特筆すべき経験があれば記載しましょう。海外留学後に取得したTOEICや英検など、経験の成果として提示できる資格があるとなおよいでしょう。また、ボランティア活動など、幅広い層の人と接した経験は、コミュニケーション力のアピールにも効果的です。
自己PR
応募企業にマッチする人材であることをしっかりとアピールすることも大切です。採用担当者は、自社や募集職種との適性をチェックしています。効果的な自己PRにするためには、企業が求める人材像を把握しておくことが重要です。募集要項だけでなく、企業の公式サイトもチェックして、経営理念やミッション、ビジョン、バリュー、社風などをしっかり読み込んでおきましょう。社風の理解を深めるうえでは、OB・OG訪問も有効です。自分の強みをアピールするエピソードを記載できるとさらによいでしょう。
「勤勉さ」「誠実さ」「根気強さ」といった人間的な魅力が評価されることもあります。その場合には、同じアルバイトを何年も続け、遅刻や欠勤がなかったというエピソードもアピールに使えます。また、応募先の業務で役立つ資格取得の勉強中であるなど、企業が求める人材像に近づくための努力をしている姿勢も評価されることが多いでしょう。


職歴なしの理由をポジティブな表現で言い換える
職歴なしの理由を正直に書くことで、採用担当者の印象が悪くなる可能性は否定できません。もちろん虚偽記載をしてはいけませんが、選考で不利にならないように表現を工夫することは大切です。最後に、代表的な3つの理由について、言い換え方のポイントを紹介します。
体調不良で働けなかった
空白期間が健康上の理由である場合には、「体調不良で働けず休養していた」「交通事故で骨折し完治するまで療養していた」という事実の記載だけでとどめないようにしましょう。現在は全快していること、休んでいた分を取り戻すように頑張りたいことなどをアピールすることが肝心です。
健康上の心配があると、採用につながりにくくなります。「休みがちになってしまうのでは」「短期間で辞められるのでは」などの懸念を生むためです。今は業務に支障がない健康状態にあり、かつ労働意欲が高まっていると書くことで、採用担当者は安心して採用を検討できます。ただし、あくまでも無理をしていないことが前提です。実際には全快していないのに「全快している」というように、事実に反する内容にしてはいけません。応募先から診断書の提出を求められた場合には、病院に依頼して用意しましょう。
これまで内定がもらえなかった
新卒で受けた企業はすべて選考に落ち、運悪く内定がもらえなかった場合も、採用担当者の不安を取り除く工夫が必要です。採用担当者は、なぜ既卒になったのかに関心があります。なぜ新卒時に就職をしなかったのか、正直に書くべきではありますが、採用担当者が納得しやすい表現にしましょう。「どこからも内定をもらえなかった人」と思われると採用につながりにくくなりますので、自分の人間性や就職の意思には問題がないことを伝えるのがポイントです。
採用担当者に受け入れられやすいのは、内定を得られなかった要因を分析・反省したうえで、それを生かして次こそは成功させたいというストーリーです。例えば、「業種を絞り過ぎて受けた企業数が少なく、内定がとれなかった」「企業研究や自己分析が足りなかった」といった反省を生かして、前向きに就職活動に取り組んでいることをアピールするとよいでしょう。
就労する意欲が低かった
働きたくなかった、働く意欲がわかなかった、という理由も、そのまま記載すると、採用担当者の印象を損なってしまうでしょう。「挑戦したいことがあって就職の道を選ばなかったが、今は社会人の一員として労働することの重要性を感じている」といった言い回しで、現在は労働意欲が高いことを強調しましょう。採用担当者としては、意欲の高い応募者に入社してほしいと思うためです。
実際に意欲を高めるためには、まずは企業研究をしっかりとして、その企業でどのような仕事がしたいのかのイメージを持っておくことが肝心です。そのうえで、意欲を具体的な行動や態度でも示していく必要があります。丁寧な字で志望動機をしっかりと書き込み、面接では明るくハキハキと答えるなど、労働意欲の高さを一貫してアピールしていくことで、説得力が増していきます。
職務経歴書は職歴なしでも自信を持って提出しよう
応募先から職務経歴書を要求された場合には、職歴なしでも提出しなくてはなりません。正社員としての経歴がなくても、志望動機や自己PRなどを充実させれば採用の可能性は高まりますので、職歴なしでも自信を持って提出しましょう。不安な場合はプロのアドバイスを受けてみませんか。PaceBoxに登録すれば、キャリアアドバイザーもPR文で転職成功を後押ししてくれます。職務経歴書の提出を求められて困っている人は、登録してみましょう。
