FP資格とは、ファイナンシャル・プランナーとしての専門知識があることを証明する資格です。金融商品や保険などの専門知識が身につき、個人の資産運用やライフプランに関するアドバイスができるようになります。FP資格を履歴書に書くなら、正しい書き方でスキルをアピールしましょう。本記事では、FP資格を履歴書に書く際の注意点やメリットについて詳しく解説します。


目次
FPの資格を履歴書に書くときは正式名称で!
どんな資格であれ、履歴書に記載する際は正式名称で書くのがルールです。FPは一般にファイナンシャル・プランナーとも呼ばれますが、この呼称をそのまま履歴書に書くのは不適切です。そこでまず始めに、FPの資格を正式名称で書くことについて説明します。
FPの正式名称は「◯級ファイナンシャル・プランニング技能士」
まず始めに、FPの正式名称について解説します。冒頭でも述べた通り、「FP」は略称なのでこのまま履歴書に書くのは望ましくありません。正しい書き方を基礎から押さえていきましょう。
級数と取得月の記載も忘れずに
履歴書の資格欄には「ファイナンシャル・プランナー」ではなく、「ファイナンシャル・プランニング技能士」という正式名称で記載します。また、先頭に「3級」や「2級」「1級」といった等級を忘れずにつけてください。「令和◯年◯月 ◯級ファイナンシャル・プランニング技能士」または「令和◯年◯月 ◯級ファイナンシャル・プランニング技能士試験 合格」という記述が正解です。
業務名や国家資格の明記について
FPの合格証書には、合格した業務名が書かれています。この業務名は、履歴書においては省略しても問題ありません。もし併記したい場合は、「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)」、「2級ファイナンシャル・プランニング技能士(個人資産相談業務・中小事業主資産相談業務)」といった形で書くのがよいでしょう。また、ファイナンシャル・プランニング技能士は国家資格です。
後述する民間資格のAFP・CFPとの違いを明確化させるために、「3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)」と国家資格であることを強調させて書くことも可能です。
AFPとCFPは民間資格のため書き方が異なる
前述の通り、FPには国家資格であるFP技能士のほかに、AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)とCFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)という民間資格があります。これらは、AFPまたはCFPという略称での表記が可能です。
ただし、日本FP協会で登録・認定する民間資格のため、実施団体名も併記して「令和◯年◯月 日本FP協会 AFP 登録」「令和◯年◯月 日本FP協会 CFP 登録」のような書き方が正式なものとなります。
これらはそれぞれ登録商標となっており、使用方法は日本FP協会の規定に従う必要があります。AFP認定者・CFP認定者は、会社名やロゴの一部としての使用を除き、AFP・CFPのロゴマークが使用可能です。


資格を履歴書に書くときの注意点
FPを含め、資格を履歴書に書くときは記載する項目や書き方をよく考えるべきです。履歴書でアピールしたい点や応募先の要望に合わせることがとても重要になってきます。本章では、FP資格を履歴書に書くときの注意点について詳しく解説します。
資格の取得日と記載順序に気をつける
資格は取得した日付順に上から記入しましょう。また、資格の取得日は試験を受けた日ではなく、合格証書に書かれている年月日を記載します。年号は和暦・西暦どちらでも問題ありませんが、履歴書全体で統一するようにしましょう。運転免許のように交付日と取得日があるものは取得日を記入してください。
なお、運転免許はそのほかの免許・資格類とは別の扱いとされることが多いため、最上部に記載するといいでしょう。ほかにも複数の免許を持っている場合は続けて記入し、その後FP等の資格類を書くと見た目が整います。
ひと通りの記載が終わったら、最後行には「以上」と記入します。履歴書における学歴・職歴の欄と同様です。内容に直接的な関わりのない部分ではありますが、最後はしっかりと締めましょう。書き忘れてしまうと、採用担当者から「抜け漏れが多い人」と見なされてしまう恐れもあるので気をつけてください。最後まで慎重に確認しましょう。
応募先のニーズに合致した資格を優先する
免許や資格を複数持っていると、資格欄に書き切れない方もいるでしょう。その場合は、応募先のニーズに合った資格を優先して記入するのがポイントです。例えば、経理事務や金融関係の企業に応募したのであれば、FP(2級・3級ファイナンシャル・プランニング技能士)や簿記(日商簿記検定試験)は優先して書くべき資格といえます。ここでカラーコーディネーターや自動車整備士等の資格を書いても、関連性が低いためアピール材料とはなりにくいです。また、難易度の高い資格を優先的に書くことも有効です。勉強熱心な姿勢や能力の高さをアピールすることにつながります。
もちろん、資格欄に書き切れる数しか所有していないのなら、それらを全部書いて問題ありません。なお、美術検定やことわざ検定のような文化・教養にまつわる資格は、趣味・特技の欄に記載するといいでしょう。カテゴリーをさりげなく分けることで、履歴書全体が見やすくなります。
勉強中の資格についても書いておく
履歴書には、保有している資格しか書けないわけではありません。勉強中の資格を記載することも可能です。今後取得予定の資格に関する書き方について、ポイントを2点解説します。
向上心を明確にアピールしよう
FP資格のように3級、2級と級数が系統立てられているものや、同一分野に関連する免許・資格があるものは、就職・転職活動中にさらなるレベルアップを目指して勉強を続けているケースもあるでしょう。FP3級を所有する応募者が、履歴書に「2級ファイナンシャル・プランニング技能士試験 取得に向け勉強中」のように記載してアピールするのも効果的です。向上心がある人材と見なされ、採用担当者からの期待値も高まりやすくなります。
勉強中の場合は、取得日は空欄で問題ありません。また、FP資格は学科試験と実技試験があるため、どちらかの試験だけ合格するといったパターンも存在します。この「一部合格」の状態のときも、合格に向けて勉強中という記載が可能です。
見栄は張らずにあくまで正直に
言わずもがなではありますが、取得するつもりがないにもかかわらず、選考で有利になるためだけに勉強中だと嘘をついてはいけません。万が一嘘だと気づかれずに入社できたとしても、後々になって発覚した際に処分を受ける可能性があります。リスクを回避するためにも、嘘はつかずに正直に記載してください。取得予定の資格を見越した配属になる可能性もあるため、見栄を張って過剰に書くことは控えた方がよいでしょう。


FP3級を履歴書に書くメリット
FP3級の合格率は70〜80%といわれています。FP資格の中では取得しやすいレベルであるため、記載してもあまり意味がないのではと思われがちです。しかし、FP3級を履歴書に書くメリットは十分にあります。本章では、主なメリットを3つご紹介します。FP3級を持っている方は、ぜひ積極的に履歴書に記載しましょう。
年金・保険・税金などの基礎知識がある
FP資格は学ぶ範囲が広く、年金や社会保険、税金などの知識も必然的に身につきます。取得しやすい資格ではありますが、それでもしっかりと勉強しなければ合格はできません。2級や1級の方が転職の際に有利であることは否めませんが、3級であっても保有資格として十分アピールできます。業界問わず、ビジネスの場ではお金に関する知識は切り離せないものであるため、多くの企業から評価を得られる可能性があるでしょう。FPの資格を取得するとお金周りの知識が網羅的に習得できるため、人事や総務の仕事ではFP3級でもかなり役立ちます。また、資格勉強の中で不動産や金融資産運用、リスク管理なども学ぶため、不動産業界や金融業界に応募するときのアピール材料にもなりうるでしょう。
資格取得の実績がある
取得難易度が低いとはいえ、FP3級は国家資格であり、資格の有無は大きな差となります。実際にFP資格を取ろうとして勉強し、試験を受けて合格しているという実績はまず評価されるでしょう。また、FP3級の出題範囲はとても広いです。
そのため、それ相応の勉強時間がどうしても必要になります。1年に3度実施される試験に向けて、しっかりとスケジュールを組んで勉強していかなければいけません。FP3級の取得は、計画性や実行力があることのアピールにもつながりうるのです。
ステップアップへの期待が持てる
FP3級を取得すれば、2級やそれ以上のFP資格へステップアップが目指せます。現時点では3級であったとしても、2級以上を目指しているのなら学習意欲や向上心を評価されるでしょう。将来的に上位のFP資格が求められる職業において、FP3級をすでに取得しているのはプラスに働きます。採用担当者が長い目で見たときに、より今後の成長を期待しやすくなるでしょう。


FP2級を履歴書に書くメリット
FP2級の合格率は36%〜44%とされており3級より取得難易度が上がるため、さらに広範囲なお金の知識を持つことが証明できる資格です。FP2級を履歴書に書くことで、就職や転職を有利に進めることができるでしょう。本章では、そんなFP2級を履歴書に書くことに関するメリットについて詳しく解説します。
保険・金融・不動産業界で高い評価が得られる
証券会社や保険会社といったお客様向けの営業では、個人ごとの資産状況や将来設計を総合的に確認したうえでの提案を行います。また、不動産業界では、不動産の買い付け、ローンの組み方についてお客様のライフプランも含めて相談に乗る業務もあります。こういった業界では、FP2級の有資格者は特に求められる人材といえるでしょう。より専門性の高い知識を持っていることの証明になるため、採用すれば多くの契約を獲得する人材と期待されるのです。
手当や評価対象になりうる
企業の規定によりますが、FP資格が給料アップや昇進の評価対象になる可能性もあります。金融系の業界では、FP資格の取得を推し進めている企業も数多く存在しています。FP2級から手当を支給する企業もあり、直接的な年収アップも狙えます。待遇の向上を望みたい方は、ぜひ積極的に資格取得にチャレンジしてみましょう。
社会的信用が高くて堅実なイメージを持たれる
お金の専門家ともいえるFP2級は、ある程度の期間にわたって勉強が必要な国家資格です。国家資格取得者として、一定の社会的信用性があります。仕事面だけでなく個人としても資産運用や税金対策などに取り組めるため、お金に堅実な人というイメージも持たれやすいでしょう。昨今では「老後2000万円不足問題」などの社会問題が取り沙汰されていることから、長期的な資産管理に注目が集まっています。FPの勉強を通して投資信託や株式投資などに関する知識も自ずと身につくため、口座に預けるだけでなく投資に回し、資産を増やしていくことができるのです。正しい知識に基づいた、お金周りのリスク管理が行えるようになるでしょう。これらは、堅実なタイプであるということのアピールにつながります。


FP1級・AFP・CFPを履歴書に書くメリット
FP1級・AFP・CFPは、FP資格の中でもよりハイレベルです。履歴書に書くメリットは大いにあり、選考での評価もより高いものになりえます。それぞれのメリットについて、詳しく解説します。
FPとAFP・CFPのレベル
AFPはFP2級と同程度以上、FP1級とCFPが同程度の実務スキルがあるといわれています。AFPは2年ごとの更新が必要になるため、FP2級より評価は高いです。CFPにも更新はあり、どちらも更新時には日本FP協会主催の継続教育研修を受講することが義務付けられています。FP1級は国内最高レベルであり、CFPはよりグローバルな範囲(世界20ヶ国以上)で活躍できます。
また、CFPの認定を受けるには6科目の審査試験に合格しなければいけません。ただ、一度にすべての試験をパスする必要はなく、1科目ずつ着実に挑戦して自分のペースで合格を目指す方もいます。
AFPはFP1級よりも難易度が低く、なおかつCFPにも挑戦できることから、「FP2級取得後にAFP挑戦」あるいは「FP2級とAFPを同時に挑戦」といった選択を取ることが一般的です。また、FPは自己啓発の一環で受検する人も昨今は多いですが、AFP・CFPは金融関連のビジネスパーソンやFPとして独立開業を目指している方が取得を目指す傾向があります。
履歴書にFP資格を書くメリット
営業や顧客サービスの面で企業にメリットが大きいため、上位のFP資格を履歴書に書けば選考でかなり有利に働くでしょう。お金に関わるほかの資格所有者にもなりえるため、採用担当者にとって非常に魅力的です。
例えばFP資格持ちの証券アナリストになれば、お金に関する高度な知識を有していることから説得力が確実に増します。同様に宅地建物取引士(宅建)であれば、お客様が住宅ローンを組むうえでお金周りの相談に丁寧に乗ることができます。ほかにも、税理士や公認会計士など、FPとの親和性が高い資格は数多く存在しており、いずれにおいても、さらなる顧客獲得や営業利益向上の期待が高まるでしょう。
FP資格を取得して履歴書でアピールしよう!
FP資格を履歴書に正しく書くべきなのは言うまでもありません。正式名称で記載して、保有資格をしっかりアピールしましょう。また、FP3級からでも書いて損はありません。FP2級以上はさらに評価が高まります。特に不動産業や金融業界などでFP資格は歓迎されます。企業からのオファー型転職サイト・PaceBoxに登録して、FP資格者向けのオファーを待ってみるのもいいでしょう。
