第二新卒でも大手から大手へ転職できるのか、疑問を抱いている方がいるかもしれません。結論から言えば、第二新卒でも大手から大手への転職は可能です。本記事では、第二新卒が大手から大手へ転職する際の注意点や失敗しやすいケース、成功するためのコツ、メリット・デメリットなどを解説します。


目次
「第二新卒」とは?定義や意味を理解しよう
求人情報誌や求人・転職サイトなどでは、頻繁に第二新卒なる言葉を目にします。言葉は見聞きしていても、どのような定義や意味なのか、卒業からいつまでが第二新卒なのかよく分からないといった方も少なくありません。まずは、第二新卒の定義や意味をお伝えします。
第二新卒とは?
第二新卒とは、企業における採用活動や就職、転職市場で用いられる用語であり、一般的には新卒から社会人として企業へ就職し、3年以内に退社した方を指します。なお、第二新卒には明確な定義はなく、人材を求めている企業によって解釈が異なるケースもあります。
新卒との大きな違いは、社会人経験がある点です。前職で実務をこなし、基本的なビジネスマナーなどの研修を受けていることも少なくありません。少なからず社会人としての経験があるため、企業としては比較的安心して採用でき、転職市場においても確かな需要があります。
新卒・既卒・中途との違い
新卒とは、その年の3月末に学校を卒業する見込みの学生、もしくは卒業した方を指します。まだ社会人経験がなく、これから社会にはばたく若者のことです。既卒とは、学生時代に企業からの内定を得ることのないまま卒業し、社会人としての経験がない方です。中途とは、過去に社会人として働いた経験を有する方を指す言葉で、第二新卒も含まれます。
第二新卒は新卒とは言うものの、社会人経験があるため、企業からは中途として採用されます。ただ、一般的に企業の中途採用では、即戦力となる人材が求められることが多いのに対し、第二新卒は高度なスキルや豊富な経験を求められることは稀です。


第二新卒の需要は高くなっている!その理由とは?
学校を卒業したばかりの新卒や、スキル、経験が豊富な中途人材でないと就職、転職できないのでは、といった不安を抱えている方も少なくないと考えられます。実際には、そうした心配は無用です。企業にとって、第二新卒を採用するメリットは多々あり、それゆえ転職市場での需要も高くなっています。
1. 新卒よりも採用コストを抑えられるから
1~3年程度、社会に出て働いた経験がある第二新卒人材であれば、社会人に求められる基礎的な知識を身につけているケースがほとんどです。ビジネスマナーや特定の業界に関する知識などを習得していることも多く、新卒を対象とするような研修を改めて実施する必要がありません。
社会人経験がまったくない新卒を採用した場合、企業はさまざまな研修をおこなう必要があります。自社で実施するケースもあれば、外部から講師を招いたり、専門家が主催する研修を受講させたりといったこともあります。
研修をある程度済ませている第二新卒であれば、上記のような教育が不要となるため、余計なコストがかかりません。採用や育成にかかるコストを大幅に抑えられるのは、企業にとって大きなメリットです。
2. 新卒と変わらないポテンシャルを持っているから
第二新卒は、新卒と比べて年齢は大きく変わりません。新卒と同じように若く、しかも社会人としての基本的な知識やマナーを備えている第二新卒は、若い人材を求める企業にとって狙い目です。
新卒を求める企業は、若者ならではの柔軟性やモチベーション、ポテンシャルの高さを期待しているケースが珍しくありません。なかには、旧態依然とした組織に新たな風を吹き込んでほしい、と考える採用担当者もいるかもしれません。第二新卒は、新卒の若者とほとんど年齢が変わらないため、若者特有の高いモチベーションやポテンシャルが期待でき、それゆえ転職市場でも人気があります。
3. 中途よりも前職の社風に染まりきっていないから
即戦力となりうる人材の中途採用は、企業にとって大きなメリットがあります。ただ、社会人経験が豊富すぎる中途人材の場合、前職の企業文化や風土、仕事への取り組み方に染まりきっていることも珍しくありません。
その結果、入社しても以前の職場とのギャップを感じてしまい、組織になじめず早期退職につながるケースもあります。せっかく採用した人材がすぐ辞めてしまうのは、企業にとって痛手です。これまで費やした時間やコストが無駄になり、改めて採用活動を展開しなくてはなりません。中途採用者に対する教育の必要性が、多くの企業で見直されつつあるという現状も、このようなケースが多いことを示しています。
一方、第二新卒は社会人経験があるとはいえ、1~3年と短い期間しか働いていません。そのため、前職の企業文化や風土、仕事のやり方、業界の常識などに染まりきっていないことが多く、育成しやすいメリットがあります


4. 新卒を募集しても人が集まらないから
少子高齢化に伴う人口の減少により、新卒人口も減少の一途をたどっています。総務省統計局が発表した資料によれば、日本の総人口は2011年から11年連続で減少しており、2021年の人口減少幅は1950年以降過去最大とのことです。
参照:総務省統計局「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)Ⅱ結果の概要 P.1」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/pdf/2021gaiyou.pdf
参照:総務省統計局「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)」
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html#a05k01-b
今後、新卒人口はますます減少の一途をたどると考えられており、新卒人材を募集しても集まらない可能性があります。このような現状を打破するため、多くの企業が新卒だけでなく第二新卒も視野に入れた採用活動を展開しています。
新卒採用にはさまざまなルールがありますが、第二新卒にはありません。実質、中途と同じ扱いであるため、時期を選ばず採用が可能です。企業にとってメリットが大きいため、転職市場での需要も高くなっています。
第二新卒は大手から大手への転職も可能?
第二新卒には確かな需要があるため、大手から大手への転職も可能です。育成に要する手間とコストが少なく、場合によっては前職で得た知識やスキルを活かせる可能性もあるため、第二新卒を求める大手企業も少なくないと考えられます。
ただし、第二新卒だからといって、転職が容易と考えるのはリスキーです。確かに、転職市場において第二新卒を求める企業は少なくありません。しかし、実際の企業における採用活動では、応募者本人の意欲や情熱、積極性などを細かく吟味したうえで採否が決められます。
場合によっては、大手どころか中小企業への転職に失敗するケースも十分考えられるため、重要なポイントをしっかり押さえて転職活動を展開しなくてはなりません。


第二新卒が大手から大手への転職に失敗するケース
第二新卒として大手企業へ転職するのは可能であるものの、失敗してしまうケースもあるため注意が必要です。失敗する具体的なケースをピックアップしたので、自身に当てはまらないかどうかチェックしてみましょう。
転職の目的が「会社を退職すること」になっている
現在の職場に不満を抱き、転職を決意するケースは珍しくありません。ただし、とにかく現状から抜け出したい、この会社を辞めたい、といった思いを軸に転職を決めるのは危険です。自分が抱いている不満を解消するためではなく、退職だけを目的に転職活動をすると、新たに入社した会社でも再び不満を抱くおそれがあります。会社を辞めることが目的で転職しているため、応募企業のことをよく調べないまま入社し、企業文化や仕事が自分に合わない、といった状況に陥ることも考えられます。
会社を辞めるために転職を考えるのではなく、転職したあとにどうなりたいのか、何をしたいのかを考えることが重要です。応募企業のことをきちんとリサーチし、将来的なキャリアパスも描ければ失敗のリスクを軽減できます。
将来のキャリアプランが十分に形成されていない
転職の目的は、自身が描く理想的な未来を実現することです。将来のキャリアプランを明確にせず転職してしまうと、実務と本当にやりたいこととのギャップが大きくなり、数年後に後悔してしまうかもしれません。
魅力的な条件に惹かれて転職したものの、本当にやりたいこととズレている、と感じたときには手遅れになっているおそれもあります。今度はきちんとキャリアプランを練ったうえで転職しようと考えても、年齢的に厳しくなっているかもしれません。
前職でのスキルや経験が今の仕事に活用できない
大手企業は、いくつもの部署が設けられ業務も細分化されがちです。限られた狭い領域の仕事を担当するケースも多いため、前職での経験やスキルが活かせないかもしれません。そのため、応募企業の業務が前職と同じだからと意気込んで転職したものの、経験したことがない業務を任され対応できない、といった状況に陥るおそれもあります。
ただ、これに関しては新たに仕事を覚えればよいだけであるため、そこまで大きな失敗とは言えないかもしれません。業務が細分化されているのであれば、覚えるべき領域をしっかりと覚え、確実にこなしていけばよいだけです。


ネガティブな退職理由をそのまま伝えている
企業の面接では、以前勤めていた企業を退職した理由を質問されることがほとんどです。以前の職場に対し、不平や不満があったとしても、それを正直に伝えてしまうと選考に悪影響を及ぼすおそれがあります。
仮に、前職の企業に大きな問題があったとしても、採用担当者にネガティブな印象を与える情報は伝えないようにしましょう。実際に前職の企業に問題があったとしても、我慢が足りない、協調性がないといった印象を与えかねないためです。
退職理由を質問されても、事細かな情報を伝える必要はありません。特に、採用担当者がネガティブな印象を抱くような情報は伝えず、「採用したい」と思ってもらえるようなポジティブな退職理由に変換して伝えましょう。
プライドが高すぎて現職のやり方を否定する
転職に成功したにもかかわらず、前職と現職を比較してしまい周りと衝突してしまうパターンです。前職で実績を残しており、プライドが高い方はこのような状況に陥るおそれがあるため注意が必要です。
前職で確かな実績を残している方のなかには、周りの従業員に対し「そのやり方は違う」「そんな方法ではダメだ」と上から目線で接してしまう方もいます。これでは、せっかく大手に転職できても周りと打ち解けられず、いずれ退職にいたるかもしれません。
面接でも、プライドの高さがあだとなるケースがあるため注意しましょう。過去の実績を自慢げに語ったり、自身がいかに魅力ある人材であるかをアピールしすぎたりすると、プライドの高さを見抜かれてしまうかもしれません。前職での仕事や業界に染まりきっている、と判断されるおそれがあり、選考にも悪影響を及ぼします。
自分の市場価値と見合っていない条件で探している
大手企業の採用倍率は高く、狭き門です。そのため、大手企業に勤めていたことが大きな自信となり、より規模の大きな企業への転職を夢見る方も少なくありません。
転職を成功させるには、自分の市場価値に見合った企業への応募が大切なポイントです。ただでさえ大手企業は採用倍率が高く、人材に求める条件なども高い傾向があります。自分の市場価値に見合わない企業へ応募を続けたとしても、選考に落ち続け転職活動が長引きかねないため注意が必要です。
転職活動があまりにも長引いてしまうと、自信を失う羽目になりかねません。何度応募しても書類選考で落とされ続け、自分は社会に必要とされていない人間なのではないか、とネガティブな思考に陥る危険もあります。


第二新卒が大手から大手へ転職する前にチェックすべきこと
第二新卒が大手から大手への転職を成功させるには、転職後に何をしたいのかを明確にしなくてはなりません。また、自分の強みや弱み、実績などを洗い出し、時期やタイミングを見計らって行動に移すのも大切なポイントです。
転職して何がしたいのかを考える
漠然と「今よりいい会社に転職したい」と考え転職活動を始めると、いたずらに時間が長引きかねません。まずは、転職して何をしたいのか明確にすることから始めてみましょう。
転職して何をしたいのか、どうなりたいのか、どういった企業への就職を希望しているのか、といったことを書き出します。ここでは、数を気にすることなく希望や条件などを漏れなく洗い出しましょう。
希望や条件を抽出できたら、優先順位をつけます。抽出した希望や条件にぴったりと合致する企業はほとんどありません。優先度の高い項目に合致する企業を探すようにすると、選択肢が広がり、自分に適した企業を見つけやすくなります。
自分の強み・弱みを具体的に書き出す
採用担当者へアピールするには、自分の強みを自身で把握しておく必要があります。自己分析に十分な時間を割き、自分にどのような強みがあるのかを把握しましょう。また、実際の面接ではただ強みを語るだけでなく、説得力の増すエピソードも必要です。
自己分析には、フレームワークの活用が有効です。幼少期からの経験を年表にして振り返る自分史のほか、思考の整理、視覚化が可能なマインドマップなどを活用してみましょう。学生時代のことだけでなく、前職で経験した失敗や成功体験、学んだことも含めて自己分析をおこなうことが重要です。
自己分析では、強みだけでなく弱みも具体的に書き出します。客観的な視点で自分の強みや弱みを把握できれば、自分にどのような仕事が向いているのか、反対にどういった仕事が向いていないのかが分かります。
前職で得たスキルや実績を書き出す
前職で得たスキルや実績は、採用担当者へのアピールに有効です。何かしら得たスキルやなしえた実績があるのなら、漏れなく書き出しましょう。
第二新卒の魅力は、社会人としての経験がある点です。1~3年の短い期間であっても社会人として働いており、さらに得たスキルや実績があるのなら、新卒との差別化につながります。
採用担当者へアピールする際は、スキルや実績を通して、自分に何ができるのかを伝えることが大切です。実質的な中途採用ではあるものの、企業側は第二新卒に対しそこまで即戦力としての期待は抱いていません。どのような仕事を任せればよいのか、どの部署が適切かを判断する材料となるため、小さいことでもよいので何ができるのかを伝えましょう。また、チームや部署として成し遂げたことよりも、個人として上げた実績をベースにすると、自分の能力が伝わりやすくなります。
転職する時期・タイミングを考えて行動に移す
転職を成功させるには、転職しやすい時期やタイミングを見極めるのも大切なポイントです。例えば、2~3月、8~9月は求人が増加する時期であるため、応募先を探し始めるのに適しています。
行動に移すタイミングには注意が必要です。転職活動を始めてすぐに入社が決まる、といったケースもあるものの、一般的には3~6ヶ月程度の期間がかかります。これくらいの時間を要することを念頭に置いたうえで、転職活動をスタートさせなくてはなりません。
すぐに転職できるだろう、と希望的観測のもと退職してしまうと、痛い目を見ます。特に、大手企業であれば入社の式典などもあり、採用が決まっても実際に働き始めるまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。
ポジティブな退職理由を考える
採用面接では、高い確率で前職の退職理由を質問されます。ここで、ネガティブな印象を抱かれるような退職理由を述べてしまうと、選考が不利になってしまうおそれがあるため注意が必要です。
ネガティブな理由で退職したとしても、うまくポジティブな退職理由に変換して伝えましょう。以前の職場に大きな不満を抱いていたとしても、「新たな職場で力を試してみたくなった」など、いくらでもポジティブな理由に変換できます。自分の欠点や失敗などは素直に認めたうえで、今後のビジョンを伝えることが大切です。
積極的に第二新卒を採用する企業か調べる
転職市場における第二新卒の需要が高いとはいえ、企業によって対応はさまざまです。第二新卒よりも新卒を採用したい、即戦力となるベテランを獲得したい、といった企業もあるため、第二新卒の採用に積極的な企業なのかどうかを事前に調べておきましょう。
第二新卒の採用に消極的な企業へいくらアプローチしたところで、採用にいたる確率は高くありません。応募するための履歴書、職務経歴書作成にも手間や時間がかかります。無駄を省くため、その業界や職種は積極的に第二新卒を採用しているのか、転職活動開始前のリサーチは必須です。
なお、第二新卒の採用に対する企業の姿勢は、表に出ている情報だけでは判断がつかないケースもあります。転職のプロであり、さまざまな業界の事情に精通しているキャリアアドバイザーであれば、第二新卒の採用に積極的な企業かどうか助言してもらえるため、相談してみるのもひとつの手です。


第二新卒が大手から大手への転職に成功する5つの秘訣
第二新卒が大手への転職に成功するためには、長く働ける人材であることをアピールしなくてはなりません。また、退職理由や志望動機に具体性をもたせる、ひとつの企業に絞らない、応募書類に個性を盛り込むなども転職を成功へ導く秘訣です。
1. 長く勤めることをアピールする
企業の採用担当者がもっとも懸念しているのは、採用した人材がすぐに辞めてしまうことです。企業の採用活動には、少なからず時間と手間、コストがかかっているため、採用担当者はできるだけ長く働いてくれる人材を求めています。
採用担当者に安心して採用してもらうため、長く働ける人材であることをアピールしましょう。若い第二新卒とはいえ、前職を退職しているため、採用担当者は少なからず不安を抱いています。ただ長く働けますと主張するのではなく、根拠を示さなくてはなりません。前職の経験から、学生の頃と仕事観がどのように変わったかを伝えると、採用担当者の納得を得やすくなります。応募企業での明確なキャリアパスを描けているのなら、それをアピールするのも有効です。
2. 具体性のある転職理由・志望動機にする
退職理由や志望動機は、採用面接で必ず質問されます。スムーズに答えられるよう、事前に準備をしておきましょう。大切なのは、抽象的ではなく具体的な転職理由、志望動機を作成することです。
入社したあと具体的に何をしたいのか、どのように成長し、どう組織へ貢献していきたいのか、といったことを伝えましょう。前職で得たスキルや経験があるのなら、それを組織にどう活かせるのかも分かりやすく説明します。
また、転職理由と志望動機をリンクさせるのも大切なポイントです。転職理由と志望動機に矛盾が生じていると、一貫性がなく採用担当者にも首をかしげられてしまいます。作成したあとに読み直し、矛盾点や違和感がないかチェックしましょう。
3. ひとつの企業に絞らない
大手企業で働きたいと考えている方は大勢います。新卒、中途いずれにしても狭き門であるため、1社のみに絞って転職活動を展開するのはリスキーです。転職活動では、不採用になったときのことも考えておかねばなりません。1社のみでは、不採用になったときに再度応募企業探しから始めなくてはならず、転職活動が停滞してしまいます。転職に適したタイミングを逃すおそれもあるため、複数社への応募が基本です。
ただ、複数社へ応募するといっても、やみくもに応募すればよいわけではありません。しっかりと時間をかけて吟味し、本当に働きたいと思える企業、条件や希望にマッチする会社を選定しましょう。
4. 応募書類で個性を出せるように作り込む
複数社へ応募するケースでは、履歴書や職務経歴書に記載する内容が似通いがちです。大手企業の採用担当者のもとへは、日常的に多くの履歴書や職務経歴書が送られてきているため、当たり障りのない志望動機や自己PRではほかの応募者に埋もれてしまいます。
応募書類を作成する際は、インパクトを重視しましょう。と言っても、奇抜な内容を記載すればよいわけではありません。ほかの応募者と差別化できるよう、目を引く内容、採用担当者が興味をもつようなエピソード、自己PRを盛り込むのが有効です。
面接へつなげるには、採用担当者に「一度会ってみたい」と思ってもらわなくてはなりません。そのためには、履歴書や職務経歴書の作成にもしっかりと手を込める必要があります。人柄を知ってもらうために趣味や特技の欄を充実させる、自己PRにユニークな内容を盛り込むなど、工夫をしてみましょう。
5. 生活資金を準備しておく
転職には、3~6ヶ月ほどの期間を要するケースが多く見受けられます。働きながら転職活動を展開するのなら問題ありませんが、退職してから取り組む場合には生活資金が必要です。
前職を退職すれば、集中して転職活動に取り組めるメリットがあります。一方、収入源を断たれてしまうため、十分な生活資金がないと転職活動どころか日常生活に支障をきたしかねません。3~6ヶ月、場合によってはさらに多くの期間を要する可能性もあるため、十分な生活資金を準備しておきましょう。
金銭面に不安を抱えると、精神的にも不安定になってしまいます。心に余裕がもてなくなり、早く転職を成功させなくてはと気持ちばかり焦ってしまうかもしれません。このように追い込まれた状況で面接に臨んでも、適切な受け答えはできないと考えられます。転職に失敗しかねないため、前職を辞めて転職活動をするのなら資金を準備し、難しいのなら会社勤めをしながら取り組むのが最善です。


大手から大手に転職するメリット
大手から大手に転職するメリットとして、大手企業ならではの社風や業務に対応しやすい点が挙げられます。また、充実した研修でスキルを身につけやすい、生活水準を下げずに済むなどもメリットです。
大手企業ならではの社風・業務に対応しやすい
大手から大手への転職であれば、大手企業ならではの社風や業務に問題なく対応できます。中小企業と大手企業とでは、社風や企業文化、業務の取り組み方などが大きく異なるケースがほとんどです。そのため、中小企業から転職すると、しばらく社風や実務になじめないといった状況に陥るケースも珍しくありません。
一方、もともと大手企業に勤めていたのなら、大手ならではの社風や業務の取り組み方にも慣れています。そのため、すぐに職場の雰囲気や企業文化にもなじむことができ、問題なく実務にも取り組めます。
生活の質を変えずに済む
大手企業は、中小企業に比べて給与や福利厚生などが充実しています。もちろん、すべての大手企業がそうとは限らないものの、多くの大手は高い給与を設定しており、福利厚生も充実しているケースがほとんどです。
そのため、大手から大手へ転職すれば、これまでの生活水準を下げる必要がありません。大手から中小企業へ転職した場合、給与が大幅に下がり、生活の質やライフスタイルが大きく変化する可能性がありますが、大手への転職ならその心配は無用です。
一度上げてしまった生活水準を下げるのは大変です。かつての贅沢な生活を忘れられず、浪費が続いてしまい金銭的に困窮する、といったことも考えられます。大手から大手への転職であれば、このようなリスクも回避できます。
必要なスキルも学びやすい
大手企業の多くは、さまざまな研修制度を充実させています。新人研修のほか、専門的な技術や知識を習得できる研修、階層別研修などが用意されており、実務に役立つさまざまなスキルの習得が可能です。
実務で求められるスキルの習得やスキルアップに役立つ研修であれば、受講によってレベルアップにつながり、より難しい仕事を任されるようになるかもしれません。また、研修の種類によっては、これまでまったく関わりがなかったスキル、知識の習得ができるのも魅力です。


大手から大手に転職するデメリット
大手から大手に転職するメリットは多々あるものの、いくつか覚えておくべきデメリットもあります。例えば、派閥闘争に巻き込まれるリスクです。また、新卒より評価されない可能性があることも覚えておきましょう。
派閥争いに巻き込まれるリスクがある
長い歴史をもつ大手企業であれば、社内にいくつもの派閥が存在することも珍しくありません。このような派閥同士の争いに、知らず識らずのうちに巻き込まれてしまうリスクがあります。
社内に派閥があると、理想的なキャリアを歩めないおそれがあるため注意が必要です。確かな成果をあげていても、対立する派閥から横やりが入ったり、妨害されたりといったリスクも少なからずあります。
このようなリスクを回避するため、事前にリサーチをしておきましょう。実際に働いている方や、過去に働いていた方などから情報が得られるのなら、派閥の有無を確認するのもひとつの手です。さまざまな業界の企業に通じた、キャリアアドバイザーに相談するのもおすすめです。
入社してから派閥の存在を知ったのなら、できるだけ近づかないことです。特定の派閥に近づきすぎたり、共感するような意見を述べてしまったりすると、その派閥に属しているとみなされてしまうかもしれません。派閥とは距離を取り、自分の意見を主張しない、共感しないなどの対策をとりましょう。
新卒より評価されない可能性がある
近年は、年功序列を見直す企業が増えてきました。一方で、いまだに年功序列制度を設けている大手企業も少なくありません。このような企業の場合、先に入社した従業員が評価されるため、中途採用された第二新卒が新卒より評価されない可能性があります。
年功序列の企業では、たとえ成果を出したとしても正当な評価をしてもらえないおそれがあるため注意が必要です。同年代の従業員よりも明らかに成果をあげているのに、正しく評価してもらえない、給与や待遇に反映されない、となるとモチベーションの低下にもつながります。
モチベーションが上がらない企業で働き続けるのは困難です。大手企業ならではの安定感はあっても、モチベーションが下がった状態では些細なきっかけで離職したい、と考えるようになるかもしれません。
成果に応じた正しい評価を求めるのであれば、転職前に企業の情報をきちんと調べておきましょう。年功序列を採用している企業なのか、どのような評価方法を用いているのかなどを確認しておくと安心です。
第二卒の転職でも事前準備はしっかりする
第二新卒で大手から大手への転職は可能であるものの、メリットとデメリットがあることを理解しておかねばなりません。デメリットやリスクを回避し、転職活動を成功させるにはしっかりと事前準備をしたうえで、タイミングを見て取り組むことが大切です。
