第二新卒と呼ばれる若手社会人の多くは、基本的なビジネスマナーが身についており、なおかつ企業は年間を通して募集ができるため、転職を有利に進められる場合があります。この記事では、第二新卒に適した転職時期や年数、転職を成功させるポイントなどを紹介します。


目次
第二新卒としていつまで転職可能?
第二新卒とは、新卒入社から3年以内の若手社会人のことです。企業によって募集要件の詳細は異なるため明確な条件は決まっていないものの、一般的にはそのように定義されます。
したがって、第二新卒の対象者としては、21~26歳ほどの年齢が考えられます。高校を卒業し10代で入社した場合は21歳ほど、短大の場合は23歳ほど、4年制大学の場合は25歳ほど、大学院の場合は27歳ほどまでが第二新卒に含まれます。休学や留年、浪人などをする人もいるため、同じ年齢でも卒業した年によっては対象となりません。転職活動の際には注意しましょう。
また、第二新卒と似た意味で使われやすいのが、「既卒(既卒者)」という言葉です。既卒とは、高校や専門学校、大学などを卒業した後、一度も正社員の経験がない人のことです。アルバイトや派遣社員など、正規雇用で働いたことがない人も既卒に含まれます。
既卒と第二新卒はどちらも卒業から3年以内の若手を指すことが多い言葉ですが、既卒は就職経験がないのに対し、第二新卒はいちどは就職をしており社会人経験がある人を指す点で違います。
第二新卒の転職は何年目がベスト?
上記の通り、第二新卒には新卒入社から3年以内という幅があります。しかし、新卒何年目かによって転職しやすさは異なるため、ベストな時期を知っておくことが大切です。
新卒入社半年~1年目の転職は不利
新卒入社半年〜1年ほどは、仕事のやり方や職場の環境、人間関係などにも慣れてくる時期です。とはいえ、ビジネスマナーや社会人としての基本的なスキルはまだ一人前ではなく、上司にフォローしてもらいながら仕事をするのが一般的でしょう。また、業務内容や社風などをひと通り理解する時期でもあるため、自分に合わないと感じた場合はこの段階で退職を決める人も少なくありません。
しかし、新卒入社から半年~1年目ほどは、転職で不利に働くことがあります。第二新卒の募集をする企業は、社会人の基本的なスキルを身につけた人材を求めていることが多く、新卒入社1年ほどの人はまだその基準を満たしていないからです。
加えて、早期での退職は「忍耐力がないのではないか」「努力が足りないのではないか」と疑問視されてしまう可能性があります。転職活動の行いやすさを考慮すると、少なくとも1~2年は在籍しておくのがベターです。
とはいえ、労働環境・社風が合わず心身を磨耗してしまう場合や、健康状態に影響を及ぼしてしまう場合など、耐えられない状態であればこの限りではありません。
新卒入社2、3 年目の転職は比較的有利
転職活動が比較的行いやすいのは、新卒入社2〜3年目です。従来は「とりあえず3年は続けるべき」という考え方が一般的でしたが、近年は20代の転職率が高まっているため、2年目での転職も問題はありません。第二新卒を積極的に採用する企業は多く、経験や志望動機をしっかりとアピールすることで転職を有利に進められます。
新卒入社2〜3年目が転職に有利な理由は、基本的なビジネスマナーなどが身についており、なおかつすぐに辞めるリスクが少ないと評価されるからです。特に3年目は第二新卒のなかでも経験が豊富でアピールできる項目も多く、実績を上げてきた人は即戦力として採用されるケースも少なくありません。3年目は第二新卒として転職する最後のチャンスでもあるため、キャリアチェンジ・キャリアアップの選択肢として検討されることもあります。
新卒入社2〜3年目の転職で注意するべき点は、企業によって重視するポイントが異なることです。「社会人経験がありつつも柔軟性を持つ若い人材が欲しい」「実績を持つ即戦力が欲しい」など、企業によって求める年齢やポテンシャル、実績などは違います。実績を求めている企業の場合、現職で経験を積めていない人は評価が得られないこともあるので注意しましょう。
加えて、現職で実績を上げている人は、転職によって年収が下がってしまうリスクが懸念されます。応募先の年収をあらかじめ確認したうえで、業務内容や職場環境、年収などの優先順位を整理しておきましょう。


第二新卒の転職におすすめの時期とは?
第二新卒の転職は1年を通して募集されますが、求人や採用ニーズが増えやすく、選考を有利に進められる時期があります。
1~3月は求人が増えやすい時期
第二新卒の求人が増えやすい時期は1~3月です。このタイミングで内定が出ると4月から入社でき、企業側にとっては新卒入社と同時に研修を行えるメリットがあるからです。また、人事異動や新卒辞退者による欠員で求人を出す企業や、3月の決算期が落ち着いた段階で求人を出す企業が多いことも、この時期に求人が増えやすい要因といわれています。
1~3月に転職活動を行い4月入社を目指すことには、転職者にとっても充実した研修を受けられるメリットがあります。未経験業界への転職や、キャリアチェンジを目指しての転職などであれば1~3月に転職活動をするのがおすすめです。
7~9月も採用ニーズが高まる
7~9月は移動や転勤が多く、欠員補充の求人が増えやすい時期です。内定をもらった人は10月入社となり、年齢や経歴などが異なる同期と一緒に研修を受けることになります。4月入社と比べると充実した研修を受けづらいデメリットはあるものの、すぐに即戦力として働きやすいメリットがあります。
また、ボーナスを受け取って退職する人も多いことや、会計年度の下半期が始まる時期であること、新卒者の人材育成が落ち着き早期退職者が出る時期であることなども、7~9月の採用ニーズが高まる要因といわれています。
時期にこだわらなくても転職できる可能性はある
上記で紹介したように、採用ニーズが高まりやすく求人が多く掲載されるのは1~3月、7~9月ごろです。しかし、その時期以外でも優良な求人が出ていることはあります。企業によっては1年を通して採用を行っており、退職や新事業の展開などで急きょ欠員が出ることも考えられます。おすすめの時期はあくまでも目安としてとらえ、こまめに求人サイトをチェックするなど、時期にこだわりすぎずに転職活動を進めるのが望ましいでしょう。


第二新卒はいつから転職活動を始めるべき?
第二新卒の転職は時期にこだわりすぎず、自身の事情を優先することが大切です。しかし、ベストなタイミングではないからと転職活動を先延ばしにしすぎると、希望に合う求職を見逃してしまうこともあります。現在の企業に勤めている段階で、辞職したいと思ったら転職活動自体はなるべく早めに始めましょう。
その理由は、転職活動で他社の状況や自分の実績、企業に求める条件などを分析するなかで、自分が仕事に対してどのように向き合っているかを再確認できるからです。「現在の仕事内容に満足しているのか」「どのような職場環境が自分に合っているのか」などを検討することで、キャリアプランを見つめ直すきっかけになります。今の仕事と転職先を比較しながら冷静に企業分析を進められるため、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながるでしょう。
加えて、第二新卒として扱われる期間は限られており、対象者でなくなると、柔軟性やポテンシャルを活かして転職活動を進めづらくなります。第二新卒を採用したいと考える企業は多いため、対象者であるうちになるべく早く転職活動を行いましょう。
ただし、第二新卒にこだわるあまり、急いで転職活動をするとかえって失敗することもあります。
企業分析が甘いと入社後のミスマッチが起こりやすく、むやみに転職をくりかえすことになりかねません。第二新卒としての期間に余裕がある人は、多少時間がかかっても納得のいく転職活動をするのがおすすめです。現職で社会人としての知識やマナーを身につけながら、求人情報を比較し、慎重に転職先を検討しましょう。
第二新卒の転職活動の期間はどのくらい?
第二新卒の転職期間は比較的短く、1〜3ヶ月ほどが一般的です。新卒採用よりも選考が早いため、2ヶ月未満で終了するケースも少なくありません。企業もなるべく早く欠員を補充したいと考えることから、短期間で選考を進める傾向があります。
ただし、現在の企業に就職したまま転職活動をする場合は、スケジュールの調整などで相場よりも時間がかかる可能性があります。3ヶ月ほどを目安と考え、なるべく早く転職活動を始めることが大切です。


第二新卒の転職活動を成功させるポイント
第二新卒の転職活動では、なるべくポジティブに転職理由を伝え、自分の経験やスキルをわかりやすく話すことが大切です。また、企業に求める条件や自分の未来像をはっきりと決めておき、軸をぶれさせずに企業を選定するとよいでしょう。
計画的に転職活動を進める
転職活動は、具体的な目標やプランがなければ、なかなか終わりを見つけるのが難しいものです。数多くの企業が1年を通して求人を掲載しているため、行き当たりばったりで始めると企業を絞り込めなかったり、判断基準がぶれたりして転職先を決められないケースも少なくありません。転職活動をはじめるときは、目指すキャリアプランに沿ってあらかじめ計画を立てておきましょう。
おすすめなのは、第二新卒の転職に有利な1~3月・7~9月ごろを基準に、逆算してスケジュールを立てることです。在職中の場合は「いつまでに退職の申し出をするべきか」「引き継ぎにどれくらいの時間がかかるか」などを早い段階で確認しましょう。
加えて、転職活動をむやみに長引かせないために、完了の時期やゴールなどの基準を決めておくことも大事です。「3ヶ月で終わらせる」「この企業に内定をもらう」などの目標を決めることで、転職活動をスムーズに進められるだけでなく、より具体的な計画を立てやすくなります。
転職後の未来像をはっきりさせておく
転職活動でおちいりやすいのは、やみくもに応募を繰り返してしまう失敗です。自分に合った企業を選定できず、内定をもらったとしても入社後に仕事内容や労働環境などでミスマッチが起こってしまう可能性があります。数ある求人のなかから最適なものを見つけるには、自己分析や企業分析などで、転職後の将来像をはっきりとさせておくことが大切です。
将来のビジョンを明確にさせておくメリットは、自分に適した企業を選べることや、転職後のモチベーションを高く保てることです。今の業務が目標としている仕事につながると考えられれば、転職した意義や目的を感じやすいでしょう。「転職先で将来どのような仕事をしていたいのか」「どのような環境で働いていたいのか」など、具体的な未来像を考えながら、より理想にちかい企業を選定しましょう。
また、未来像を考えるうえでは、下記のポイントを参考とするのもおすすめです。
・5年後・10年後にどのような社会人になっていたいのか
・挑戦したい仕事や将来的なキャリアビジョン
・自分が好きな仕事・評価される仕事
・理想とする職場環境
・仕事に対する考え方
自分のスキルや経験を確認する
第二新卒の転職においては、社会人経験や実績、スキルが評価に影響を与える重要なポイントです。経歴書や面接ではそれらを効果的に伝えることが必要不可欠であるため、まずは自分がどのような経験・スキルを持っているのかを把握しましょう。
おすすめなのは「キャリアの棚卸」と呼ばれる方法です。キャリアの棚卸とは、これまで行ってきた仕事を時系列で書き起こしていく作業です。大きな成果を残した仕事や印象に残っている業務だけをピックアップするのではなく、日頃当たり前のように行っている業務や、何気なく行っている仕事などを詳細に洗い出していきましょう。
キャリアの棚卸をするメリットは、自分でも気づいていない業務の向き・不向きや、仕事に対する姿勢などを把握するきっかけになることです。また、これまで行ってきた業務を一覧で確認できるため、自分のスキルや経験を客観的に判断する材料にもなります。経歴書を書くときや面接で自己アピールをするときなど、企業にマッチする自分の強みを伝えやすくなり、転職をスムーズに進めるうえで役立つでしょう。


絶対に譲れない条件を決めておく
転職先の職種・業種などを絞り込んだとしても、まだまだ掲載されている求人は多く、最適なものを見極めるのが難しいものです。企業を絞り込むうえで大切なのは、転職の軸となる絶対に譲れない条件を3つほど決め、優先順位を定めることです。自分の希望を全て叶える転職先を見つけることは難しいため、自分のなかで最も重要な条件をあらかじめピックアップしておきましょう。
譲れない条件を決めるとき、まずは現在働いている企業の状況を整理しましょう。現在の仕事で満足している点や継続したい点、反対に「もっとこうしたい」という希望などを書き出していきます。そのうえで、転職先に求める条件を洗い出し、最も優先順位の高い3つを絞り込みましょう。
条件として考えられるのは、業務内容や収入、福利厚生、雇用形態、働き方、ワークライフバランス、昇進、企業の経営方針などです。大まかな希望ではなく「月あたりの残業が20時間以内」「従業員数500人以上の上場企業」など、数値などを含めた具体的なものを決めるとよいでしょう。
転職理由はポジティブな内容にする
第二新卒の面接では、必ずといっていいほど転職理由について質問されます。新卒から3年未満で転職をする人は、業務内容が自分に合っていなかったり職場環境に不満を持っていたりと、ネガティブな理由により検討するケースも少なくありません。
しかし、ネガティブな転職理由をそのまま面接官に伝えると「忍耐力がないのかもしれない」「自社でも同じような理由で辞職されるのでは」といった悪い印象を与える可能性があります。無理に理由を後付けする必要はありませんが、本音をうまくポジティブに伝える努力が必要です。
例えば、残業が多かったのであれば「業務のオン・オフを大切にメリハリを持って仕事がしたい」、人間関係に悩んでいたのであれば「コミュニケーションやチームでの連帯感を大切に働きたい」などと言い換えることができます。あくまで本音を伝えることを前提に、入社の意欲や努力した点などに置き換え、印象のよい言い方を心がけましょう。
また、大切なのは志望動機や転職理由に一貫性を持たせ、ちぐはぐな印象にならないようにすることです。ポジティブな言い方を心がけるあまり自分が思っていないことを伝えてしまい、入社後にトラブルが起きてしまう失敗や、面接官に熱意が伝わらない失敗などは多く見受けられます。嘘をついたりマニュアル本をそのまま流用したりするのは避け、自分の経験をもとにした内容を考えましょう。
面接や履歴書などは自分の経験をアピールする
面接や経歴書・職務経歴書は、自分の経験をアピールできる内容にすることが大切です。「今までどのような業務を行ってきたのか」「どのようなスキルがあってそれをどう活かせるのか」などをわかりやすく伝えましょう。
加えて、第二新卒の採用選考では、若い人材ならではの柔軟性やポテンシャルを重要視される傾向もあります。そのような人材を求めている企業には、学習意欲が高く未経験の業務にも前向きに取り組めることなどを伝え、ポジティブな志望動機があることをアピールするとよいでしょう。
また、第二新卒は前職を早い段階で辞めていることから「再び早期退職されるのではないか」という懸念を持たれる可能性があります。「経験を活かしてキャリアアップしたい」「自分に合った職場環境で経験を活かしたい」などポジティブな志望動機を伝え、すぐに辞めてしまうことがない旨をしっかりと伝えることが大切です。
転職支援サービスを活用する
効率よく転職活動を進めたい人は、転職支援サービスを活用するのがおすすめです。転職支援サービスとは、キャリアアドバイザーが転職のサポートをしてくれるサービスのことです。キャリア設計のプロが企業選定の相談にのってくれたり、個性や行動特性などをもとにした経歴を考えてくれたりと、転職をスムーズに進められるさまざまなサービスがあります。
転職支援サービスを利用するメリットは、自分にマッチした転職先を見つけられる可能性が高いことです。自己分析や企業分析は多くの項目があるため、自分だけで行おうとすると多くの時間や手間がかかります。また、初めて転職をする人にとっては「客観的に自分のスキルを把握できているのかわからない」「効果的な自己アピールが作成できているのか心配」などの不安を抱えるケースも多いでしょう。キャリアアドバイザーの助言を参考にすることで、限られた時間を有効に使いながら、満足度の高い転職活動を実現できます。
第二新卒での転職は早めにスタートしましょう
第二新卒の転職では、有利とされる時期はあるものの、それにこだわりすぎず、転職したいと思ったときになるべく早く始めるのがよいでしょう。
第二新卒の転職を効率よくすすめたい人は、転職支援サービスを活用するのがおすすめです。経験豊富なキャリアアドバイザーが、自分の強みや経験、スキルを見つけたり、最適な企業を選んだりするのをサポートしてくれます。転職を検討している人は「PaceBox」へお気軽にご相談ください。
