転職活動では不安なことや分からないことがたくさんありますよね。初めてであればなおさらです。そこで、今回は転職活動の各過程において、社会人として守るべきマナーや注意点をご紹介します。自信を持って転職活動できるようにしっかりと確認しておきましょう。


転職活動の準備段階における注意点
転職活動では、応募書類の作成や面接と同じくらい事前準備が重要です。そこで、この項目では転職活動の準備段階で気を付けるべき点をご紹介します。
転職活動を始める前に「なぜ転職したいのか」を明確にする
転職が失敗する原因として、目標が不明確であるという点が挙げられます。明確な目標がないまま転職活動をすると、自分自身が望んでいない職場に就くことになり、結果的に転職が失敗に終わる可能性があります。そのため「なぜ転職したいのか」という理由を明確にすることが重要です。
そこで、まずはなぜ転職したいのか、今回の転職で叶えたいことは何かを具体的に書き出してみましょう。例えば「今の職場の給料が低いから転職したい」というのが転職理由なら、次は今よりも給料が上がる企業に転職するというのが目標になります。
また、世の中には膨大な数の企業があります。その中から本当に自分に合う企業を見つけるのは至難の業です。転職する理由がはっきりしていると、今回の転職で優先する条件が把握できるため、選考を受ける企業を選びやすくなります。
自己分析を行い自分の強みやスキルを把握する
転職活動を成功させるためには、自己分析が欠かせません。自己分析をせずに転職活動をしても、条件に合う企業が見つからなかったり、採用担当者の目に留まる応募書類が作成できなかったりします。
転職の準備段階からじっくりと自己分析を行うことで、自分がどのような価値を持っているのか、何に向いているのかを客観的に把握できます。自分の強みやスキルを洗い出し、適した業種・企業を選ぶことで、転職活動がよりスムーズに進みます。
自己分析の具体的な方法としては、自分が得意なこと、興味を持っていること、過去の経験から学んだこと、自分がどのような性格であるかなどを振り返り、整理することが重要です。
また、自己分析を行うことで、自己PRや職務経歴書を作成する際にも役立ちます。自分の強みやスキルを明確にしておくことで、自己PRや職務経歴書に盛り込むことができ、採用担当者へのアピールとなります。
スケジュールをしっかり組んで転職活動を行う
転職活動をスムーズに進めるためには、スケジュールをしっかりと組むことが大切です。新しい職場に入社したい月から逆算して、情報収集や面接対策を始める時期や応募活動を本格的に進める時期などを決めておくことで、焦らずに計画的な転職活動が可能となります。
平均的な転職活動期間は3ヶ月前後といわれていますが、準備にかかる時間は人によって異なります。短期間に詰め込みすぎたスケジュールにしてしまうと失敗するリスクがあるため、余裕を持って計画を組むことが重要です。
また、転職を考える際に、在職中に転職活動を進めるべきか、それとも退職後にゆっくりと転職活動を行うべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。どのタイミングで転職活動を開始するのかは人それぞれで、どちらが正解ということはありません。しかし、安定した収入がない不安から焦って転職先を決めてしまうリスクを考えると、在職中に開始するのがおすすめです。
イメージだけで転職先を選ばない
転職を考える際、イメージだけで会社を選ぶことは避けるべきです。多くの人が転職先の雰囲気やイメージにひかれて転職を決めてしまいがちですが、それだけでは転職後のミスマッチにつながる可能性があります。
知名度や企業規模だけで選ばず、仕事内容や求めるスキルなど自分に必要な情報を多角的に集めて、自分に本当に合っているのか慎重に検討しましょう。
また、家族や友人の意見を聞くことは良いことですが、その意見に流されすぎないいように注意しましょう。


転職活動で応募書類を作成する際の注意点
仕事を探すうえで欠かせないのが履歴書や職務経歴書ですが、書き方やマナーには気を配る必要があります。企業には毎日多くの応募書類が届くため、適切なフォーマットで書かれた書類や内容の分かりやすい書類が求められます。
そこで、この項目では履歴書や職務経歴書などの応募書類を作成する際の注意点をご紹介します。
履歴書・職務経歴書の書き方やマナーを確認する
履歴書や職務経歴書はいきなり書き始めるのではなく、書き方やマナーを事前に把握することが大切です。
最近ではPCで作成した書類でも応募できる企業が増えているため、まずは手書きで作成すべきかPCで作成すべきかを確認しましょう。PCで書類作成が可能な場合は、WordやExcelで作成することでPCスキルをアピールできます。また、応募先企業に合わせて部分的に編集できるため、書類作成を効率化することも可能です。
しかし、企業によっては手書き指定の可能性もあります。その場合には、下記の注意事項は頭に入れておきましょう。
<応募書類を手書きするときの注意点>
- ボールペンの色は黒
- 消えるボールペンは使用しない
- 修正ペン、修正テープは使用しない
- 書類サイズに合わせて封筒を用意する
- 無色透明のクリアファイルを用意し、上から送付状、履歴書、職務経歴書の順に挟む
また、応募方法によってもマナーは変わりますので、事前に確認しましょう。
<メールで送る場合>
- PDF形式にする
- ファイルサイズはできれば1MB以内、最大でも3MBを超えないように
- 件名には用件と名前、本文には宛名、挨拶、内容、締めの挨拶、署名の順で記載
<郵送する場合>
- 都道府県名は省略しない
- 宛名面左下に「履歴書在中」と朱書きする
- 差出人住所を封筒裏に記入する


職務経歴書は見やすさを大切にする
職務経歴書は見た目にこだわりましょう。派手な装飾をするのではなく、見やすいフォーマットであることが重要です。見た目が悪いと、書類をまとめるスキルが伴っていないと判断される可能性があります。採用担当者がプリントアウトすることも考慮し、A4用紙1~2枚にまとめるようにしましょう。
また、職務経歴書に記載した内容をもとに面接で質問されることも多いため、面接を想定しながら作成するのがおすすめです。
職務経歴書に書く実績や経験は具体的に伝える
職務経歴書は、自分の実績やスキルを採用担当者に伝えるために作成する重要な書類です。そのため、どのような業務を担当し、どのような実績を残したかなど、具体的に伝えることが求められます。
具体的な実績や経験を伝えるためには、数字や固有名詞などを使うことが有効です。例えば、売り上げが何%増加したか、導入したシステムの名称や規模、受賞した賞の名称などです。このような具体的な情報を盛り込むことで、採用担当者があなたの業務内容や実績をより詳しく把握できます。
ただし、具体的な情報を盛り込むために文章を長くしてしまうと読みにくくなるため、要点を簡潔に書くことが大切です。
応募書類を使い回さない
転職活動をする際、応募書類を使い回すことは避けるべきです。企業によって求められるスキルや経験、アピールすべきポイントが異なるため、複数の企業に同じ履歴書や職務経歴書を提出すると適切なアピールができません。
例えば、営業職を希望する場合、企業Aでは顧客開拓力が重視される一方、企業Bでは数字管理能力が求められるかもしれません。企業が求めているスキルや経験とは異なる内容が記載されていると書類審査も通りづらくなるため、その都度応募書類を書き換えることが重要です。


転職活動の面接における注意点
無事書類選考が通過したら次は面接です。いざ面接となると、いろいろなマナーが守れているかは誰しもが気になるものです。
ここからは転職の面接で注意したいことをご紹介します。
面接のマナーを確認しておく
面接は会場に到着した時点から始まっていると考え、受付から面接中、退出に至るまでのマナーを把握しましょう。
<受付~控室まで>
- コートなどの上着は建物に入る前に脱いでたたむ
- 建物に入る前に身だしなみを確認
- 携帯の電源は切る
- 会場への到着は15分前まで、受付は5分前までに
- 受付でははきはきと、「本日○時より面接の○○と申します。(担当者が分かれば)○○部の○○様にお取次ぎをお願いします。」と伝える
- 移動中の社員と思われる人とすれ違うときは軽く会釈する
- 控室では携帯を見たり読書をしたりせず、姿勢よく座って待つ
<入室~着席まで>
- ノックは3回、返事があったら「失礼します」と言ってドアを開ける
- 振り返って静かにドアを閉める
- ドアの前で挨拶、一礼
- 椅子の横に立ち、再度挨拶
- 接官から声をかけられてから着席
- 鞄は足元に、コートは鞄の上に置く


<面接中>
- 忙しい中、面接の機会をいただいたことのお礼を伝える
- 応対はハキハキと明るく、面接官の目を見て話す
- 回答はできるだけ簡潔に、結論から話す
- 面接官の話にはうなずいたり、相づちを打ったりする
<面接後~退席>
- 再度お礼を伝え、立ち上がって挨拶と一礼
- 部屋を出るとき、エレベーターに乗るときなど最後に一礼
- 上着は建物を出てから着る
また、面接にふさわしい服装、髪型、持ち物も確認しましょう。面接官は第一印象を重視しています。清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。
<男性の場合>
- スーツにネクタイ着用、華美なものは避ける
- シャツにはアイロンをかける
- ネクタイが緩んでいないか、曲がっていないか注意
- 寝ぐせは直し、ワックスで清潔感のある髪型にセットする
- 前髪は目にかからないように
- かばんはリュックではなくA4サイズの入るビジネスバッグがベター
- 靴が汚れていないかチェック
<女性の場合>
- パンツスーツかスカートスーツかはどちらでもよい
- 髪が長い人は、後ろで一つにまとめるかハーフアップにする
- 前髪が長い人はピンで留める
- 健康的に見えるようナチュラルメイクをする
- かばんや靴の手入れも怠らない
- A4サイズの書類が入る落ち着いた色のかばんを持つ
- ヒールは高すぎないものを選ぶ
- オープントゥは避ける
- 派手なネイルは落としておく
「私服でお越しください」など、私服の指定がある面接では、オフィスカジュアルを準備しましょう。Tシャツやジーンズ、パーカー、露出が多い服装はNGです。
シャツにジャケットやカーディガンを羽織る、女性はシャツをブラウスにするのもおすすめです。
また、以下の持ち物も忘れないようにしましょう。
<持ち物>
- 筆記用具
- 履歴書、職務経歴書
あらかじめ要点を整理しておく
転職活動の面接では、よく聞かれる質問がいくつかあります。それらに対しては事前に要点を整理して、スムーズに回答できるように準備しましょう。また、履歴書や職務経歴書に記載した内容と矛盾がないように回答を考えることも大切です。
<よく聞かれる質問>
- 志望動機
- 自己PR
- 転職理由、退職理由
- 自身の強み、弱み
転職理由を聞かれたときはできるだけ前向きな内容で答えましょう。誰にでも転職する理由にマイナス要素はありますが、勤めていた会社のことを悪く言う人は印象がよくありません。
また、回答を考えるうえでおすすめできない方法は、一言一句暗記することです。面接では緊張するとせっかく覚えた文章が出てこないこともよくあります。さらに、面接官からひねった方法で質問されたときに臨機応変に回答できなくなることもあります。
要点を頭に入れて、面接官の質問に対して適切な形で答えるようにしましょう。
できるだけ逆質問をする
逆質問とは、面接官から「何か質問はありますか」と聞かれることです。逆質問しないことで見送りになるわけではありませんが、いくつか逆質問をしたほうが積極性や入社意欲をアピールできます。
企業ホームページや求人票に書いてあることなど調べれば分かる内容、自信のなさや弱気であることが伝わる内容、福利厚生などの逆質問は印象がよくありません。
事前にリサーチしたうえで、もっと知りたいと思ったことや分からなかったことを聞くようにしましょう。また、分からないことをあらかじめ聞いておくことで、入社後の不安やギャップを軽減できます。


転職活動におけるその他の注意点
転職活動では、それぞれの過程以外にも注意したいことがいくつかあります。
転職しないという道もあると考える
一度転職活動を始めたら絶対に転職しなければならないというわけではありません。
いろいろ面接を受けてみたけど納得できる企業から内定がもらえなかった、今の企業のほうが条件面でよかったなどの理由で、現在の会社にとどまることを決断する人もいます。
焦って転職先を決めても、入社後に不満を持ってしまっては意味がありません。転職活動をしているうちに、現職の業務や会社への気持ちが変わる可能性もあるため、転職しないという選択肢も持っておくことも一つの方法です。
転職活動をしていることは隠しておく
転職活動をしていることが周囲に伝わると、現職場でのマイナス評価につながる可能性があります。また、途中で転職活動を辞めた場合に居づらくなってしまいますので、転職活動をしていることは隠しておいたほうがよいでしょう。
最終的に転職を職場に伝えるのは内定をもらった段階で、直属の上司にだけ伝えましょう。
円満に退職できるようにする
退職時のマナーを徹底することは、職場や後任に対する最低限の敬意として重要です。引継ぎの資料を作成したり後任と一緒に挨拶回りをしたりと、退職後に迷惑をかけないように配慮することで、円満に退職できる可能性が高まります。
また、職場内でお世話になった人には最終出勤日までに挨拶をしておきましょう。上司や同僚に対して感謝の気持ちを示し、今後の人間関係を大切にすることが重要です。
そのほか、退職日によっては自分で事務手続きをする必要があるため、事前に確認をしておきましょう。具体的には、退職から次の企業への入社まで1日でも期間が空く人は、健康保険や年金の手続きが必要となります。必要書類を確認して、近隣の役所で手続きをしましょう。
注意点を把握して、転職活動の成功確率をあげよう!
転職活動を通して不安なことがあれば、キャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。転職活動にはいろいろな注意点があります。成功させるためにも、注意点を把握して転職活動に臨みましょう。
