転職活動を始めるのに、履歴書とあわせて必要になるのが職務経歴書です。しかし、職務経歴書に書くことがない、思いつかないといった悩みを持つ人もいます。そういった人に向けて、この記事では書けない状況別に、あるいは営業・人事・IT技術職といった職種別に、職務経歴書へ書くべきポイントについてのヒントを紹介します。


目次
職務経歴書に書くことがない場合でもうまく作成するコツ
転職にあたり職務経歴書に何を書けばよいのか分からない、書くことがないといったことは、ありがちなパターンです。採用担当者や面接官は、職務経歴書で応募者の人となりやスキルを汲み取ろうとしています。そこで、職務経歴書をうまく仕上げるコツについて解説します。
応募先が求める人材や募集要項を把握する
これまでの仕事で経験やキャリアが十分ある場合はそれらをアピールすればよく、特に迷うことはありません。しかし、経験が浅くキャリアが不足している場合は、「何を書けばよいのか分からない」となりがちです。
そのようなときは、まず、応募しようとする企業が公表している、人材募集要項をしっかり読むことから始めてみましょう。企業側が希望するスキルや経験、理想とする人物像を把握できます。
ゴールのポイントを押さえることが出来ると、それに合致するように書く内容を検討し、職務経歴書に反映させていきます。例えば「部署間の連携役」を求められているのなら、「コミュニケーション力が高い」ことをアピールできるように、具体例も交えながら書くといった具合です。
経験やキャリアを見つめ直す
これまでのキャリアを振り返った際、どのような仕事をしてどのような成果を挙げたかを、すべて思い出していないこともあり得ます。そのため、職務経歴書を目の前にして書くことがないと困ってしまった場合は、最初に仕事を始めたときから取り組んだ業務内容や具体的な実績について、できるだけ細かく棚卸しする方法がオススメです。
経歴を箇条書きにしてリスト化すれば、すっかり忘れてしまっていたことも思い出す可能性があります。アピールポイントとして書ける内容を掘り出していくイメージで振り返ってみましょう。
これまでの経験やキャリアがそろえば、応募先企業が求めている人物像に合うよう、ピックアップしてまとめていきます。
具体的な業務内容から自分の強みにつなげる
マニュアルどおりに日々コツコツこなしていくルーティーン業務だと、具体的な実績や数値の提示が難しいことも多く、アピールポイントが見つけづらいと考えてしまう人もいます。しかし、そんなことはありません。
例えば、二重の手間がかかっていた業務をツールでまとめて効率化した、といった創意工夫による業務改善の成果があれば、その人のスキルが活かされた結果と評価されるため、十分アピールポイントになります。残業を減らすための工夫や、チームメンバーの仕事量に偏りがないよう調整できる仕組みの構築なども、課題発見力や解決力があると評価されるポイントです。
実際に経験し改善された点を具体的に記載することで、実績や数値でなくても採用担当者に強みとして伝わります。
自己PRで強みをアピールする
これまでの経歴を掘り起こしてみたがアピールできるものがない、といった場合も諦めることはありません。職務経歴書には自己PR欄があるため、そのスペースで自身の強みをしっかり伝えられれば、アピールになり得ます。
まず、これまでの職場においてどのような意識で仕事に向き合い、どう取り組んできたのかを書きましょう。課題が生じた際にはどう対処したか、苦手分野をどう克服したか、ほかの人と比較して自分が得意なのは何か、なども書ける内容です。それらを転職先でどのように活かせるのかをあわせて記載しておくと、自社にとって必要な人材だと評価してもらえるかも知れません。
次に、現時点で取得していない場合でも、資格のための勉強やスキルアップに励んでいたりすることも書いておくと、採用担当者や面接官に好印象を与えられることもあります。
参考:転職の自己PRで集中力をアピールするコツ! 伝え方の例文や注意点
転職先で活かせるスキル・資格を記載する
職務経歴書には、これまで培ってきたスキルや取得した資格を記載する欄があります。ここでのポイントは、応募した先の職種で活かせそうなものを書き出すことです。資格もただ取得したという結果だけではなく、それが仕事にどう活かされてきたのかもアピールできると、好印象になります。
気をつけたいのは、持っている資格・スキルは全部書けばよいわけではない、ということです。転職活動を成功させるためには、どのようなスキルが求められているのかを確実に把握し、それに合うような資格やスキルを書くことが大切です。もし複数の募集職種へ応募する場合は、しっかり確認したうえで書くべきスキルを変えるようにしましょう。


職務経歴書に書くことがない!状況別の対処法
職務経歴書に書くことがないと感じるのには、いろいろな理由が考えられます。ここでは、「前職での実績がない」「ブランクがある」という2パターンについて、それぞれどのように対処すればよいのかを解説します。
前職で実績や成果を残していない場合
これまでの仕事で実績や成果を挙げられなかったと自己評価している場合、同じような職歴を持つライバルに負けてしまうような気がして職務経歴書がなかなか書けない、といったこともあり得ます。
しかし、採用担当者や面接官は、立派な実績のある人材だけを採用したいと思っているわけではありません。実績だけでなく、設定した目標に対し自らどう考えて行動したのかといったプロセスや、その意識もしっかり見ています。
そのため、業務効率化のために工夫したことや、上司やチームメンバーに提案したことなどがあれば、その過程、周囲の反応などに注目してもらえるよう具体的に書きましょう。自分では書けるような成果や実績がないと思っていても、歩んできた道のりについて書ける要素は意外にあるものです。
ブランクがあってどう書いたらいいかわからない場合
就業していなかったブランク期間があると、「この人はなぜ仕事をしていない期間があるのだろうか」と疑念を持たれたり、ネガティブなイメージを持たれたりしないか、不安になるものです。しかし、職務経歴書では書き方次第でカバーできる可能性があります。ポイントは「ポジティブな理由にすること」です。例えば、ブランクの理由が「海外留学・海外ボランティア」や「資格取得」などであれば、スキルアップのためにあえて設けた期間として評価してもらえるでしょう。
成果や結果がどうであったかにかかわらず、その目的やその期間で何を学んだのか、また業務でどう活かしていきたいのかをアピールポイントにすれば問題ありません。
職務経歴書に書くことがないと感じるときは基本項目をおさらい!
職務経歴書に書くことがないと感じる場合、そもそも職務経歴書の各項目について何を書けばよいのかを正しく理解できていない可能性もあります。そこで、基本に立ち戻り、どの項目に何を書くべきかをあらためて確認していきましょう。
職務要約
職務要約は、職務経歴書の冒頭に書くのが一般的です。文字数は200~300字程度で、前職の会社名や勤務していた期間、従事していた業務内容などを端的に書きます。
その中に、自分の経歴で最もアピールしたいことを織り込むようにします。意気込みなどはここには書きません。多忙ですべてを読み切れないこともある採用担当者に、ひと目で経歴とアピールポイントが伝わるものにします。
参考:職務経歴書の「職務要約」はこう書く! 好印象を与える書き方&職種別例文
職務経歴
職務経歴は、過去の経歴について細かく記載する、職務経歴書の中でメインとなるパートです。これまでに就業した会社、期間、部門、役職、担当業務、扱った商品やサービス、実績などを記載します。
また、成果を挙げるために意識してきたことなどを具体的に書くのも大切なポイントです。業務を遂行した結果として、実績も忘れてはなりません。具体的に数値化することで、きちんとした評価を受けられるようになります。
スキルや知識
これまで培ったスキルや知識を記載していく欄です。応募要項などを参照し、必要とされるスキルや知識を把握したうえで、それに合致するものを書きましょう。
例えばPCスキルは、あらゆる業界で求められる必須スキルです。業界ならではの知識を持っていたり、英語をはじめとする語学スキルなどを習得していたりしている場合も、十分アピールポイントになります。
資格や免許
保有している資格や免許について記載する欄です。応募先の業務に活かせる資格や免許を優先的に書いていくと、アピールポイントになります。前職で活かすために取得した資格などもあれば、書くことをためらう必要はありません。
また、まだ現時点で取得できてはいないものの、応募する職種に関連のある勉強中の資格などがあれば、書いておくのも問題ありません。努力して取得した、あるいは勉強中の資格や免許を、ぜひアピールポイントにつなげていきましょう。
自己PR
職務経歴書では最後に自己PRを書くことが一般的です。ここでは、自身の強みについてしっかりアピールすることが大切です。
まず、これまでの実績から、成果を挙げるために意識してきたことをまとめます。そして、自身ならではの強みを、応募先の職種でどう活かせるのかを書いていきましょう。この際に「職務経歴」の内容とリンクさせるように気をつけましょう。説得力を出すために必要なことです。
採用担当者は、自社の業務に適性がある人材を探しています。貢献できる強みについてしっかり伝えられれば、「この人と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる可能性が高まります。


職種ごとの書くべきポイントを見極めよう!
職務経歴書に何をどう書けばよいのか悩んでしまう人は、職種ごとにある特徴を理解することで、書くべき内容が浮かんでくるかも知れません。ここでは、代表的な3つの職種について、特徴と書きやすいポイントを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
営業職なら成果・実績・提案力をアピール
そもそも営業職は、自社の商品・サービスを顧客へ提案するのが主な仕事です。そのため、過去に取引し売上アップにつながった経験について、まとめていくのがオススメです。取引の対象、提案活動の内容、実績はもちろん、提案するのに自身で工夫したことがあれば、ぜひ添えましょう。
営業職では、顧客が望んでいるニーズを的確にとらえ、そのために何をすればよいかを考えられなければ、提案も改善への行動もできません。そのため、営業職に求められるスキルの中でも、特に課題発見力や提案力、行動力といったものは不可欠です。
上記のように職務経歴書をまとめる際には、こうしたスキル面にも力を入れつつ、具体的なエピソードもふくめて記載していくと、営業職として適性があるとして、よい評価を得られやすくなります。
人事職なら知識・対人能力をアピール
人事職は、社内にこもって仕事をしているイメージがあるかも知れませんが、社内外の人々とかかわる機会が多い職種です。特に採用活動を担当すると、「会社の顔」として仕事をすることになるため、ますます高い対人能力が求められます。そのため、もし前職で人事経験がない場合も、コミュニケーション力や対人能力の高さをアピールできる実績があれば、それを盛り込んでいきましょう。
また、雇用、労働、社会保険、マイナンバーなどの法律に関係した知識も求められる職種でもあります。人事経験がなくとも、もしすでにそうした資格・スキルなどを習得、あるいは習得に向け勉強しているなら、それもアピールしておくと印象がよくなります。
IT技術職なら専門スキル・資格をアピール
IT部門で活躍する技術職の場合は、より専門的な知識やスキルが必要になります。システム開発の業務であれば、主要なプログラミングは必要不可欠です。また、業務内容に応じて資格を取得しておくと、職務経歴書でアピールしやすくなります。
ただ、技術職が未経験の場合は、何を書けばよいのか悩んでしまうかも知れません。もし募集要項で未経験でも可能な旨が明記されていたなら、職務経歴書には、何を、どういったレベルまでできるように勉強したい、という意欲であれば書けるはずです。これまでの経歴が異なる職種であっても、職務経歴や自己PRを見れば、応募者がどう考え行動できる人なのかがうかがい知れるため、よい評価を得られる可能性は十分あります。
小さいことでも転職先で活かせるならアピールポイントに!
職務経歴書を書く際には、小さなことでもアピールできるポイントを探すことが、成功のカギです。今回紹介したポイントを踏まえて、再度内容を検討してみましょう。それでも書くことがないという場合は、キャリアアドバイザーに相談するのもオススメです。
