転職活動を始めようとしている人にとって、職務経歴書の書き方はとても重要なポイントです。特に、志望動機の記載は欠かせません。本記事では、職務経歴書における志望動機部分の重要性や、転職を有利にするための書き方、そして職種別の例文を紹介します。


目次
職務経歴書にも志望動機は必要!履歴書と合わせてアピールしよう
職務経歴書には、志望動機を書くことが必須ではありません。しかし、志望動機でうまく応募先企業に対する熱意や興味をアピールすることが望ましいとされています。
履歴書の志望動機とは異なり、職務経歴書の志望動機は、自分自身の経歴やスキル、職務経験と応募先企業とのマッチング度合いなどを説明するために記載するものです。自分自身がどのような成長を望み、応募先企業でどのような貢献ができるかをアピールする部分でもあります。そのため、履歴書の志望動機欄と比較して、より自由に工夫してみるとよいでしょう。
具体的なアピールを書く際には、自分が持つスキルや職務経験を活かし、応募先企業が抱える課題を解決することで、自分自身の成長と企業への貢献を実現するといった視点を取り入れるのがおすすめです。
職務経歴書への志望動機の書き方と、知っておくべき基本ルール
履歴書には志望動機欄がありますが、職務経歴書にはありません。そこで、職務経歴書に志望動機を上手に記載する方法や、基本ルールについて解説します。また、具体的に職種ごとの例文なども紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
志望動機を書く場所は「職務経歴のあと」が無難
志望動機は、「職務経歴のあと」に書くのが無難です。自分の経歴やスキルを示したあとに志望動機を盛り込むことで、自己PRを補完できます。なお、自己PRと志望動機の書き分けについては、自己PRでは自分のスキルや強みを、志望動機では応募する企業や職種に対する熱意や興味を、それぞれアピールすることが大切です。
志望動機を書く際には、具体的で説得力のある内容を書くことが重要です。
例えば、営業職の場合には、自分の営業経験や営業スキルについて述べた上で、営業職においてどのような成果を出したいのか、なぜその企業で働きたいのかを具体的に述べるとよいでしょう。いろいろと工夫しながら、職務経歴書に志望動機を上手に盛り込む方法を考えてみてください。
文字数は「300~400文字」にまとめる
一般的に、志望動機の記載は300~400文字程度でまとめるのが適切とされますが、文字数にこだわりすぎると必要な情報を削ってしまい、逆に伝わりにくくなることもあります。
また、職務経歴書に記載する志望動機が長くなってしまう場合は、別途「志望動機書」を作成する方法もあります。ただ、応募先企業が志望動機書を要求しているわけではないため、必要以上にボリュームを出すことは避けるのが無難です。
一文は60文字程度で読みやすくなるよう文字数や行数にこだわりつつ、企業に対する熱意や自己アピールをうまくまとめた志望動機を記載することが大切です。自分自身の経験やスキルをしっかりとアピールしながら、企業に対する熱意や志望動機を示す文章を作成しましょう。
構成づくりは「フォーマット」を意識する
志望動機を上手にアピールするためには、適切なフォーマットを意識することが重要です。一般的なフォーマットとしては、以下の3つが挙げられます。順番に組み立てて書くと効果的です。
1.応募企業を志望した理由
応募企業に興味を持ったきっかけや、その企業が持つビジョン・理念に共感した点などを明確にしましょう。企業研究や業界情報の収集などを踏まえて具体的に記載することが大事です。
2.その事業・ポジションを志望した理由
応募する事業やポジションが、自分にとってどのような魅力を持つのか、また自身のスキルや経験と合致するのかを説明します。自分がどのような価値を提供できるかをアピールするために、これまでの実績やスキルについても触れるとよいでしょう。
3.そのポジションで応募企業に貢献できる根拠
自分がどのような貢献をすることができるのか、具体的な提案やアイデアを示しましょう。その提案やアイデアが応募企業にとってどのようなメリットがあるのかも併せて記載するとより良くなります。
このように、応募企業やポジションについての理解と自己分析、具体的な提案やアイデアの提示などをうまく組み合わせることで、効果的な志望動機を作成できます。


職務経歴書の志望動機で好印象を与える3つのポイント
応募先企業へ熱意や適正をアピールするにあたり、ただ志望理由を箇条書きで列挙するだけでは、印象に残らないかもしれません。職務経歴書の志望動機で好印象を与えるためには、内容の一貫性と具体性、企業にとっての採用するメリットの提示が必要です。
1.職歴や実績をうまく絡めて、一貫性のある内容にする
職務経歴書に記載する志望動機は、履歴書に書くものとは異なり、より詳細かつ具体的な内容を求められます。ポイントは、自分の職務経験や実績をうまく絡めることです。実務経験を踏まえた志望動機を記載することで、より一貫性のある内容に仕上がり、自分のキャリアやスキルアップに対する意欲や熱意をアピールできます。
【例文】
「現在の職場では、企業の財務戦略を担当しており、経営者の決断を支えることが多くあります。そうした中で、応募先企業の財務戦略にも興味を持ち、更なる成長を求めて応募いたしました。」
2.入念なリサーチを元にした、具体的な志望理由を記載する
企業を志望する理由の具体的な記載は、志望動機をより説得力のあるものにするために重要です。志望理由を具体化するには、その企業を入念にリサーチし、どのような点が魅力的であるかを探る必要があります。
例えば、求人情報や企業のWebサイトを調べ、その企業のビジョンやミッション、製品やサービスなどを把握するのは基本として、可能であれば志望する企業の社員に直接話を聞いてみるのもよいでしょう。そのうえで、自分自身がその企業に興味を持った理由を具体的に記載すれば、面接官にその企業に対する真剣な関心と意欲をアピールできます。
企業に対する綿密なリサーチと、それをもとにした具体的な志望理由を記載することが、職務経歴書の志望動機で好印象を与えるポイントの一つです。
【例文】
「貴社が掲げている『環境に配慮した商品開発』に興味があり、このような企業で働きたいと考えました。特に貴社のエコ商品は、他社に比べてリサイクル素材の使用率が○%高いなど、環境に配慮している点が魅力的です。」
3.自分が入社した際の「企業にとってのメリット」を明記する
転職活動においては、新卒での就活以上に「自分が入社した際に企業が得られるメリット」のアピールが大事です。なぜなら、企業からすると、すでに社会人として一定の経験やスキルを有していることを前提としているからです。
企業は、採用することで自社のビジネスを成長させ、利益を増やせる人材を求めています。職務経歴書には、自分の能力や経験、貢献できる内容を具体的に示しましょう。
【例文:営業職志望の場合】
「私は前職でも営業を行っており、月間成約率が部署内でトップだったことにより、社内で表彰されたこともあります。自分が持つセールス経験やコミュニケーション力を生かし、新規顧客の開拓や既存顧客のフォローアップを行い、売上アップに貢献できます。」
【例文:IT企業を志望する場合】
「自分はプログラマとして○○や△△といった大型案件に携わってまいりました。こうした経験を通じて培ったプログラミングスキルを活かし、システム開発や業務効率化に貢献できます。」
【職種・状況別】転職時に使える! 志望動機の例文5パターン
実際に志望動機をどのように書いていいのか悩んでしまう方も多いでしょう。以下では、職種や状況に応じた志望動機の例文を5パターン紹介します。自分のケースに合った例文を参考として、効果的な志望動機を作成しましょう。
一般事務への転職を希望する場合
一般事務から一般事務への転職を希望する場合、志望動機には、前職での業務経験を生かし、さらにスキルアップを目指すという意欲を示すことが重要です。
【例文】
「前職での一般事務業務において、データ入力や電話応対、来客対応などの経験を積んできました。今後は、さらに多角的な業務に挑戦したいと思い、貴社に興味を持ちました。また、貴社での業務を通じて自分自身を成長させ、スキルアップを目指したいと考えています。」
営業職への転職を希望する場合
営業職から営業職へ転職する際の志望動機例としては、以下のようなものが考えられます。
【例文】
「前職では営業職として、新規開拓や既存顧客のフォローアップ、契約交渉など幅広い営業業務を担当していました。営業職としての更なる成長やキャリアアップをしたいと考え、転職活動を行っています。顧客満足度を重視する貴社の理念に共感を覚えたことに加え、難度の高い業務に関われると思い、貴社を志望しています。現職で培ったスキルや経験を活かして、貴社の発展に貢献したいと考えています。」
経理への転職を希望する場合
経理から経理への転職を希望する場合、実務能力や経験をアピールすることが重要です。
【例文】
「現在の職場で経理業務に従事する中で、経理業務における幅広い業務経験を積め、より専門的な知識やスキルを身につけられる環境に魅力を感じ、貴社を志望しました。私はこれまで、日々の経理業務や月次決算・年次決算業務、税務申告業務を担当し、その中で多種多様なデータを扱うことで、コミュニケーション能力や細かなミスをも見逃さない注意力、問題解決力を身につけてきました。貴社において、高度な業務や新たな業務にチャレンジすることで、更なるスキルアップを目指し、貴社の発展に貢献できるよう全力で取り組みたいと考えております。」
ITエンジニアへの転職を希望する場合
ITエンジニアへの転職にあたっては、資格や経験、扱えるプログラミング言語やコミュニケーション能力が重視される傾向にあります。
【例文】
「私は現在SEとして勤務しており、これまでの経験を生かしてITエンジニアとしての転職を希望しています。SEとしての業務に携わりながら、システム開発やプログラミングにも興味を持ち、自己学習を続けてきました。SEとしての業務とともに、プログラムの開発や改善にも取り組んできた経験を生かして、システム開発や運用に携わりたいと考えています。また、この業界は常に進化していくため、自己学習に励み、最新技術にも精通したエンジニアとして成長したいと思っています。」
未経験の職種へ転職を希望する場合
未経験の職種への転職を志す場合でも、現職での知識や経験がまったく活かせないということはありません。自分自身の強みや、なぜ未経験の職種を志望するのかといった理由を示すようにしましょう。
【例文】
「幼児からシニアまで幅広く愛される食品の開発を行う貴社の経営活動に魅力を感じ、応募いたしました。前職では飲食業に従事しておりましたが、接客のみならず調理担当として厨房を任される中で、店舗のオリジナルメニューを提案するなどの取り組みも行っています。そうした日々の中、食品開発という仕事に興味をもつに至りました。食品開発職は未経験ではありますが、飲食物を取り扱う貴社と前職は共通する部分も多く、これまで培ったスキルや経験を活かして、貢献していきたいと考えております。」


こんな志望動機はNG!職務経歴書の「ダメな記載例」と改善のコツ
志望動機のダメな記載例を知ることで、失敗を避けることが可能です。ここでは改善のコツと合わせて紹介します。
自分ならではのオリジナルな内容になっていない
志望動機を作成する際、例文を参考にするのは一つの手段ですが、真似しすぎもよくありません。例文をそのままコピーするのではなく、自分ならではのオリジナルな内容にすることが大切です。そのためには、自分が過去に経験したことや、今までのキャリアで身につけたスキル・知識を踏まえた上で、志望する職種・企業とのマッチングを意識した内容にすることがポイントです。
また、いくら内容がオリジナルだとしても、すべての会社にあてはまるような内容にするのはNGです。志望する企業の文化や価値観、求める人物像を調べ、その企業に応じた志望動機を作成しましょう。
志望動機はただ単に自己PRをするためのものではありません。企業側が抱えている問題や課題を理解し、自分がその解決に貢献できることを示すのが大切です。例えば、ある企業が海外進出を目指している場合、自分が語学堪能であることや海外でのビジネス経験を持っていることをアピールできます。
あくまでも自分自身の経験や考えをもとに、オリジナルな志望動機を作成する必要があります。
顧客目線で受け身なアピールに終始している
企業に対する興味は重要ですが、それだけではなく、自分が提供できる価値や目指す目標、成長へのビジョンも必要です。例えば、「企業のファンであること」や「学びたい」といった受け身なアピールだけでは、企業に対して仕事への意欲が伝わりません。
志望動機の改善にあたっては、自分がどのようなスキルや経験を持ち、それをどのように活かして会社に貢献できるかを具体的に示すことが大切です。また、入社後にどのような成長をしたいのか、どのような役割を果たしたいのかといったビジョンも明確にすることが求められます。
NG例:
「貴社は素晴らしい企業であり、貴社の製品も常々愛用しているので、是非入社したいと思っています。貴社で学びたいことがたくさんあります。」
改善例:
「プロジェクトマネジメントを行い、担当エリアでの売上額アップを実現させてきた経験を活かして、私自身も愛用する貴社の製品の販売拡大を支えたいと考えています。また、自己成長を続け、マーケティングや営業などの領域でキャリアアップを目指しています。」
動機の主軸が、働きやすさや給与などの待遇面になっている
待遇面を重要視すること自体は、転職を考える上で当然のことでしょう。しかし、そのことを主軸にした志望動機では、仮に採用したところで、より高待遇な別企業への転職も懸念されるため、あまり好印象を与えません。働きやすさなどの条件に主軸を置かず、自分がどのように働いていきたいか、貢献ができるかを中心に、前向きな姿勢をアピールするとよいでしょう。
NG例:
「充実した福利厚生と、高い平均賃金に惹かれて貴社を志望しました。」
改善例:
「社会のインフラを下支えするという貴社の経営理念に共感し、現職で培ったスキルを活かせると考えたため、志望しました。また、充実した福利厚生にも魅力を感じています。」
職務経歴書と履歴書の志望動機がかぶるときの対処法
職務経歴書と履歴書の志望動機には一貫性が必要です。ただ、ほとんど同じ内容だと、採用担当者に焼き直しとして認識され、アピールの機会を逃してしまうことになります。そこで、履歴書には志望動機の概要を簡単に記載した上で、「詳細は職務経歴書に記載」とするのもよいでしょう。
職務経歴書にはこれまでの職歴や実績、転職理由などと絡めた具体的な志望動機を書くことで、自分なりのアピールポイントを主張できます。自己PRに必要な情報を、履歴書と職務経歴書で分けて提示し、採用担当者にアピールする機会を増やすのがポイントです。
履歴書での志望動機と職務経歴書での志望動機は役割が異なることを意識し、自分自身の魅力をしっかりと示すことが重要となります。
職務経歴書の志望動機で、ライバルに差をつけるアピールを
職務経歴書に記載する志望動機は、応募先の企業に自身の熱意や強みをアピールする役割を果たします。一貫性や具体性、自分を雇うことでの企業側のメリットを意識し、企業とのマッチングを図れるよう考えながら書いてみてください。
