転職回数が多い人は、職務経歴書の書き方に注意が必要です。過去の職歴をただ羅列するだけでは十分なアピールにならないどころか、ネガティブな印象を持たれることもあります。ここでは職務経歴書の作成において重視すべきポイントを3種類のフォーマットとともに紹介します。


目次
職歴が複数社あるときは? 職務経歴書の書き方とルール
職務経歴書は、基本的にこれまでの職歴をすべて記載する必要があります。複数の職歴がある場合、すべてを書くとネガティブな印象を与えてしまわないかと不安になるかもしれません。後々のトラブルを避けるためにも、正しい職務経歴書の書き方を理解し、自身のアピールに役立てましょう。
職務経歴書には、すべての職歴を略さず記載する
2社以上の職歴があると、応募先の企業から「ストレス耐性がなく、少しのきっかけで辞めてしまいそう」と思われる可能性はあります。特に転職回数が多く、業種に一貫性がない場合は気になる人も多いでしょう。
それでも、職務経歴書の「職務経歴」欄には直近の職歴だけでなく、すべての職歴を略さず書く必要があります。
職歴が多くても、希望する職種への関連性や、退職理由によってはアピールポイントになります。どの職歴のどんな経験が評価されるか分からないからこそ、漏れなく記載してください。
職務要約欄は、200~300文字程度で簡潔にまとめる
職務要約欄は200〜300文字で簡潔にまとめましょう。文字数が多すぎると考えを簡潔にまとめられない、少なすぎてもいい加減だという印象を与えてしまいます。
転職が多く、文字数内に収めることが難しい場合は、応募企業との関連性の高い実績や経験に重点を置き、内容を絞るのも有効です。
参考:職務経歴書の「職務要約」はこう書く! 好印象を与える書き方&職種別例文
職務経歴書の枚数は、「A4用紙で2枚」がベスト
応募企業から指定がなければ、職務経歴書はA4用紙で2枚分とするのが一般的です。やむを得ない場合は3枚でも問題ありませんが、採用担当者への負担を考えると2枚までにまとめるほうが好印象につながります。
箇条書きや改行、罫線を用いて読みやすくする工夫も必須です。
自身の職歴がアピールしやすいフォーマットを選ぶ
職務経歴欄のフォーマットには、編年体式、逆編年体式、キャリア式の3通りがあります。
同様の職歴を記載していても、フォーマットの違いで強調できるポイントに変化をつけられます。より好印象を与えるためには、一目で応募先の求める人材であることが分かるよう、必要なポイントをアピールできるフォーマットを選んでください。


【記載サンプル】2社以上の職務経歴に使える3つのフォーマット
転職回数や業種、キャリアなど自身の状況にあわせて適切なフォーマットは異なります。それぞれの利点を確認し、自分の職歴にあったものを選んでください。
職務経歴書の定番書式「編年体式」
編年体式は時系列で古い職歴から記載していく、最も一般的なフォーマットです。一目で職歴を把握しやすく、成長過程が伝わりやすいといったメリットがあります。
編年体式は比較的転職回数が少なく、最新の職歴が応募職種と関連している、または最新の職歴がアピールポイントになる人に向いています。転職回数が多い場合には、最新の職歴が埋もれてしまい、転職回数が悪目立ちする恐れがあります。
サンプル:編年体式の職務経歴
・2012年4月~2016年3月
株式会社〇〇
業務内容:新規顧客開拓、既存顧客のフォロー
資本金:〇万円
売上:〇億円(〇年度)
従業員数:〇名
担当業務:営業担当として、法人顧客のサポート業務
・2016年4月~2017年3月
・同社人事部に異動
担当業務:新規・中途採用、社内研修の企画・実施
・2017年4月~現在
××株式会社
業務内容:ソフトウェア開発
資本金:×万円
売上:×億円(×年度)
従業員数:×名
担当業務:営業支援システムの設計、開発、導入、テスト
直近の職歴をアピールできる「逆編年体式」
逆編年体式は最新の職歴から過去の職歴へとさかのぼる順で記載していくフォーマットです。編年体式に比べ、用いる人は少ないものの、最新の職歴で大きな実績がある場合や応募職種と関連性がある場合に適しています。
デメリットとしてはキャリアの積み重ねが伝わりづらいことが挙げられます。
サンプル:逆編年体式の職務経歴
・株式会社〇〇
事業内容:建築・土木・設計
設立:〇年
資本金:〇万円
売上:〇億円(〇年度)
従業員数:〇名
非上場
2018年4月~2020年3月
担当業務:新卒採用、中途採用
2020年4月~現在
担当業務:入退社管理、勤怠管理、社内規則作成ほか
・株式会社××
業務内容:小売業
設立:×年
資本金:×万円
売上:×億円(×年度)
従業員数:×名
非上場
2008年10月~2018年3月
担当業務:伝票起票、会計ソフトへ仕訳の入力作業、現金出納管理・預金口座管理業務ほか
・株式会社△△
業務内容:小売業
設立:△年
資本金:△万円
売上:△億円(△年度)
従業員数:△名
非上場
2004年4月~2008年9月
担当業務:店舗スタッフとして売上管理など


異業種の職歴もうまくアピール「キャリア式」
キャリア式は職務や業務経験ごとに区分けして記す方法です。時系列に沿わないため、職歴が多い場合も悪目立ちしづらく、転職回数が3回以上の方に適しています。
デメリットとしては最新の職歴が埋もれやすく、成長過程が伝わりづらい点が挙げられます。専門性の高さなどのアピールポイントが明確な場合はキャリア式が向いています。
サンプル:キャリア式の職務経歴
・ソフトウェア開発関連
2019年4月~現在
〇〇株式会社
業務内容:大学検索システムの開発テスト
設立:〇年
資本金:〇万円
売上:〇億円(〇年度)
従業員数:〇名
非上場
担当業務:クライアントへのヒアリング、仕様書作成やシステムの開発、運用、保守メンテナンス
2014年4月〜2019年3月
××株式会社
業務内容:生命保険会社契約書管理システム開発
設立:×年
資本金:×万円
売上:×億円(×年度)
従業員数:×名
非上場
担当業務:ユーザーインターフェース設計やプログラムコーディングなど
・人事管理関連
2010年4月~2014年3月
△△株式会社
業務内容:小売業
設立:△年
資本金:△万円
売上:△億円(△年度)
従業員数:△名
東証一部上場
担当業務:入社・退職手続き、人事評価精度の企画・運用
2005年4月~2010年3月
□□株式会社
業務内容:IT・PC関連機器の販売
設立:□年
資本金:□万円
売上:□億円(□年度)
従業員数:□名
東証一部上場
担当業務:新卒採用、中途採用ほか


転職回数が多いのは不利? 職務経歴書の作成時に気を付けるべきポイント
一般的に、転職回数が多いとストレス耐性に疑念を抱かれ、採用後の離職リスクを懸念される可能性があります。
しかし、実際には転職理由から前向きな姿勢が感じられ、納得ができれば転職回数はそれほど気にしない企業も少なくありません。
ここからは、マイナスイメージを払拭するためにどのような形で職歴をアピールするべきか、ポイントを紹介します。
転職理由や目的を、前向きかつ明確に記載する
業務や会社への不満と取られかねない、消極的な理由はなるべく挙げず、スキルアップや成長を目指しているなど前向きな目的での転職であることをアピールしましょう。
例えば、社内の人間関係に悩んでの転職ならば「社内外問わず、より多くの人と積極的にコミュニケーションをとり、業務に活かしたい」と、ポジティブな理由に言い換えられます。残業への不満からの転職なら「ワークライフバランスを高め、より能力を発揮できる環境に身を置きたい」といった理由を挙げられます。
共通する強みを見つけ、自己PRに活用する
異業種での転職を繰り返しているなど、キャリアに一貫性がない場合は、即戦力として活躍できる能力があるかどうかに注目されることが多くなります。
疑念を抱かせないためにも、これまでの職歴全体を通じて共通する強みを見つけ、明確に書き示すことが重要です。
例えば、PCの操作に自信があれば「PCスキルの高さ」や、社内外の人と会話する機会が多ければ「人脈やコミュニケーションスキル」などをアピールすることでイメージアップを図りましょう。
関連性の高い職歴は、文字数を増やしてアピールする
基本的に職務経歴での業務内容は端的にまとめるべきですが、応募先企業との関連性が高い職歴については詳細にアピールしたほうが好印象を与えられます。
あえて重要なポイントでは文字数を増やすなど、メリハリを意識してアピールを明確にすると効果的に訴えかけることができます。


Q&Aで解決! 複数社の職務経歴を書くときによくある疑問
ここからは、職務経歴の書き方について、よくある質問とその答えを紹介します。
職務経歴書には何社までの職歴を記載する?
転職回数が多くても省略せず、すべての職歴を記載します。転職回数が多い場合は、その後ろめたさから職歴を省略したくなるかもしれません。しかし、職歴の省略は、故意に隠したことが判明すると経歴詐称と見なされる恐れもあります。
職歴が多ければ、アピールできる内容の選択肢も増えます。応募する職種に直接的な関係はなくとも、思わぬ点で評価されるケースは少なくありません。職歴をすべて記載することを前提として、応募先にあわせたアピールを検討しましょう。
職務経歴書の2枚目以降の書き方は?
職務経歴書が複数枚にわたる場合にはいくつかのルールが存在します。
次のページにうつる際に、内容をいったん区切ると読みやすくなります。文章がページをまたがないよう、ページ内で文が終わるように調整してください。
また、職務要約、学歴、職種などの項目の切れ目でページを分けるとスッキリとした見た目になります。余程不自然でない限りは、多少の余白があっても問題はありません。
改ざんや書き足しを防ぐ役割があるため、最後に「以上」と締めくくります。次ページの最上部に「以上」だけを書くことのないように注意してください。どうしてもページ内に収まらない場合は、文章を削るなどして対応します。
また、2つのページを両面印刷するのは避けましょう。裏返す手間がかかり、全体が把握しづらくなってしまうためです。
職歴が多い場合でも、一部の内容を端的にするなど工夫し、A4用紙2枚程度に収めるのが理想です。2枚にわたる場合は、クリップで留めてまとめましょう。
アルバイト・パートなど、職務経歴はどこまでさかのぼるべき?
学生時代のアルバイトは省略可能ですが、職歴にアルバイトやパートしかない場合は、すべて書いて問題ありません。
また、アルバイトの業務内容が応募先の企業と関連しているなら、即戦力としてのアピールにつながります。この場合は、社員としての経歴に加えて記載したほうがよいでしょう。
正社員退職後のアルバイトやパートは、空白期間ではない証明にもなります。さりげなくアピールするためにも記載してください。
あまり書きたくないアルバイトやパートに関しては、経歴として触れつつ業務内容などはごく簡単に留めることもできます。
複数社の職務経歴は、略さず上手に自己アピールへつなげよう!
複数社の職務経歴は、書き方次第で強力な自己アピールへつなげることができます。転職回数が多い場合も、省略はせずに自身の長所が引き立つ内容を選んで記載しましょう。前向きな転職理由であれば、回数はそれほど気にしない企業もあります。職歴に適したフォーマットで、存分にアピールしてください。
