転職活動で職務要約の書き方にお困りの方へ、作成のコツをまとめました。職務経歴書の冒頭に記述する職務要約は、採用担当者に訴求する大きな武器となります。では実際にどのように書けばいいのでしょうか。押さえるべきポイントや職業別の書き方など、具体的な例文とともに職務要約作成のコツを紹介します。


目次
職務要約とは、自身のキャリアを端的に伝える重要項目
職務要約とは、職務経歴書の冒頭部分に書く短い文章のことです。応募する職種や採用担当者が求める人物像に適任かどうかを判断するための参考情報となる部分です。職務経歴書の中でも、多くの採用担当者がまず目を通す箇所であるため、これまでの経歴を簡潔かつ伝わりやすいようにまとめましょう。
採用担当者が注視している評価基準には、「スキル」「前職もしくは現職での職務内容」「転職先で生かせる経験があるか」「実績」などが挙げられます。求めている人材とのマッチングを見ているため、これらの情報のうち、自身の強みが伝わるように書きましょう。
「職務要約はいらない」は嘘!職務経歴書を見てもらえるかがここで決まる
職務要約は職務経歴書の概要でしかないため、要約は不要なのでは、と考える人もいます。しかし、通常業務をおこないながら採用活動にも携わっている採用担当者にとって、書類選考はまずこの職務要約から大体の経歴を把握します。そこから魅力を持った応募者の職務経歴書を読み進めていく、というプロセスが一般的です。応募者が多い場合は書類選考が厳しくなるため、特に職務要約が必須となります。職務経歴書の隅々まで丁寧に目を通されないことを想定したうえで、簡潔にまとめた要約を冒頭に記すことが重要です。
好印象を与える職務要約の書き方は?押さえるべき3つのポイント
では、採用面接者の目に留まるような魅力ある職務要約を作成するには、どのようなことに注意すればいいでしょうか。ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
1. 3~5行で端的にまとめる
通常の採用時では応募者が複数人になるため、採用担当者が職務要約に目を通す時間は限られています。そのため、たとえアピールしたい内容が多くあったとしても、要約は簡潔で読みやすいものにする必要があります。
具体的には、3行から5行ほどにまとめることが望ましいです。文字数でいうと、おおよそ200文字から300文字までの間です。これまでの経歴を、社名や職務内容とともにまとめ、経験年数や実績などは具体的な数字を明記するようにしましょう。どのような職務に何年間携わっていたのか、どのような実績を積んできたのか、どのようなスキルを有しているのか、といった情報を明記することが大切です。
2. 応募先の企業に合った内容をピックアップする
企業が応募者に求めるスキルや経験をアピールすることも重要なポイントです。採用サイトや求人票に掲げられる「求める人物像」の内容をよく確認し、自身の経験と照らして強調するべき内容を吟味しましょう。応募先の企業にとって即戦力となれることがアピールできれば、書類選考で有利になります。
未経験分野にチャレンジする際は、募集の業種と同等の経験や実績がないことも考えられます。そのような場合は、偽りの情報を書くことは避け、意欲や志望動機をアピールするようにしましょう。
参考:【例文あり】志望動機は書き出しが最重要!好印象を与えるコツを紹介
3. 具体的かつ客観的な実績を記載する
客観的な事実だけをまとめることも心に留めておきましょう。「興味がある」「自負している」などといった主観は、職務要約では必要ありません。これまでに経験した職務内容や経験年数など、事実だけを端的に記述します。実績や勤務年数などを具体的な数値などで説明することにより、簡潔な要約でも説得力が増します。
参考:実績なしでも職務経歴書は書ける!作成のステップやコツ・注意点まとめ


【職種別】もう悩まない!職務経歴書の“職務要約”例文まとめ
ここからは、具体的な職務要約の書き方を職種ごとに紹介します。要約作成のポイントを踏まえた例文を参考に、職務要約の書き方を学んでいきましょう。
一般事務
【例文】
株式会社○○にて、7年間総務職として従事してまいりました。300人規模の企業で、文書作成や来客対応、電話・メール取り次ぎなどの業務を担当し、社員研修や備品管理などにも携わってまいりました。その間、社会保険労務士の資格を取得し、業務に役立ててまいりました。今後は社員間のコミュニケーションを大切に、社労士としての知識を貴社で生かし、貢献したいと考えております。
【解説】
一般事務職での実績を数値で表すことが難しい場合は、勤続年数や企業規模などの数値を明記するようにしましょう。経験した職務は多岐にわたると思いますが、応募要件に合ったものをピックアップして書くことが重要です。取得した資格がある場合は明記することでスキルを端的に証明できるため、業務に役立つ資格は書くようにしましょう。
経理
【例文】
2019年に株式会社○○に入社して以来4年間、経理業務に従事してまいりました。現金出納や仕訳処理などの日次業務をはじめ、月次では売掛金買掛金の処理・経営資料作成、年次では決算業務にも携わってまいりました。使用経験のある会計ソフトは、クラウド会計ソフトfreee会計です。日商簿記2級を取得しており、現在は1級取得に向けて勉強中です。
【解説】
経理の実務経験は、日次業務だけでなく月次や年次の業務について書くことで、より詳細かつ具体的な内容となります。決算業務の経験や簿記などの資格はスキルの証明になるため、必ず書くようにしましょう。また、操作経験のある会計ソフトも有効な情報となるため、省略せずに書いてください。業務改善の実績があれば、それも明記します。
営業
【例文】
2015年に人材派遣企業である株式会社○○に入社いたしました。営業担当として、派遣先企業や新規開拓先への提案型営業や、派遣スタッフへのフォローをおこなってまいりました。同部署の5名から構成されるチームリーダーとして、エンジニア職を中心に約○○人の派遣スタッフへのフォローにも携わりました。新規開拓では、市場シェアの○%拡大に貢献し、売り上げを○%伸ばすことに成功しております。
【解説】
業務内容を書く場合は、営業手法や実績を踏まえて書きます。売上達成率や利益率の改善などの数値は有効なアピールポイントとなります。またプロジェクトリーダーなどのチームを率いた経験は、調整力やマネジメントスキルのアピールにつながります。職務上で工夫した経験があれば、それも明記しましょう。
生産・製造
【例文】
株式会社○○で7年半にわたり、乗用車の部品組み立ておよび取り付け業務を担当いたしました。2018年からは主任として6人の部下をまとめ、新入社員育成にも携わりました。作業効率アップのためにマニュアルを改善し、○%の作業時間短縮に貢献いたしました。フォークリフト運転技能講習を修了しております。
【解説】
これまでに経験した作業内容を詳しく書き、即戦力となることをアピールします。リーダー経験があれば、構成員数や教育の内容などを書くことで調整力や指導力をアピールすることが可能です。また、募集内容によっては資格重視で採用を進める企業もあるため、取得済みの資格があれば明記しておきましょう。使える機材やソフトウェアの名称は省略せずに書きます。
人事
【例文】
私は株式会社○○(従業員数:500人)の人事部にて8年間勤務し、新卒採用や中途採用、社員研修などを担当いたしました。2019年には、プロジェクトリーダーとして3名の部下とともに、新入社員研修や階層別研修の企画運営に携わりました。また現場のニーズや課題を把握するための調査を実施し、採用計画や研修カリキュラムの策定に取り組みました。その結果、離職率○%削減に貢献いたしました。
【解説】
人事業務は多岐にわたるため、職務要約を書く際は応募先企業の求めるスキルに合致する内容に絞って書くようにしましょう。企業規模も重要となるため、明記しておきます。また、リーダーとして取りまとめた業務があれば明記し、プロジェクトの目的や工夫した点、成果などの情報を具体的に書きます。
ITエンジニア(SE等)
【例文】
株式会社○○で、SEとして10年間勤務してまいりました。その間にプロジェクトリーダーとして、建設企業にて顧客管理システムの開発に携わりました。プロジェクト要員15名とともに、要件定義・基本設計・プログラミング・単体テスト・結合テストを担当いたしました。顧客との交渉やメンバーの進捗管理などで問題点を洗い出し、納期を順守しました。Linux・Windowsを用いた環境設計、Java・JavaScriptを用いたコード記述および改修の経験がございます。
【解説】
ITエンジニア募集で企業が特に注視する点は、テクニカルスキルやマネジメントスキル、交渉スキルです。これまでに携わったプロジェクトの予算や規模、担当したフェーズについて具体的な数値を交えて書きましょう。また、使用実績のあるOSやプログラミング言語は明記することをおすすめします。
リーダー経験がある場合は、人数やプロジェクト完遂までの期間、業務内容などを具体的に書くことで、顧客対応力やリーダーシップをアピールできます。


こんなときどうする?職務経歴書の職務要約が書けないときの対処法
転職経験が多い場合や、勤続年数が少なく実績に乏しいケース、アルバイトでしか働いた経験がない場合などでは、職務要約に何を書けば良いか迷ってしまいがちです。そのような場合は、どういった点に注意すれば良いのか、対応策をまとめました。
転職回数が多く、複数社の経歴をまとめるのが難しい場合
転職回数が多い場合、「定着しない人物だと採用担当者に判断されるのでは」と不安になります。そのような印象を与えないためには、これまでやってきたことの一貫性を強調するようにしましょう。転職回数が多くても、キャリアアップのためであるならば悪い印象は残りません。
経験豊富な点をアピールの軸とし、スキルや資格、実績などを具体的な数値とともに明記しましょう。
【転職回数が多い場合の例文】
OA機器メーカーの総務部門にて3年間、社内文書作成や備品管理、勤怠管理などを担当してまいりました。その後、不動産企業で2年間、営業アシスタントとしてメール・電話応対やスケジュール管理、書類整理・発送業務に携わりました。現在は食品販売企業で、顧客管理や納品書作成に従事しております。異なる業界で事務経験を積み重ねることで、顧客対応スキルを磨いてまいりました。マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)Word2019を取得しております。
既卒・第二新卒で実績が少ない場合
既卒や第二新卒で転職活動をおこなう場合、スキル・経験が不足しているために職務要約でアピールする内容が見当たらず、困ることが考えられます。既卒の場合は職務経験がありませんが、「職歴なし」とは書かず、アルバイト経験も含めて職務要約を書くようにしましょう。第二新卒の場合は、勤続年数が短くてもその期間に学んだことをまとめましょう。
企業側が既卒や第二新卒に求める条件は、スキルや経験ではなく若さや意欲であるため、自己分析および企業研究をしっかりおこなったうえで要約作成に取り組むことが重要です。
【第二新卒における例文】
大学卒業後、食品販売企業である株式会社○○にて、営業職として新規顧客開拓・ルートセールスを担当した経験がございます。主に商品提案や手配業務、商品レイアウトの提案に携わり、顧客対応について学びました。この時に培った「課題を発見し、解決する力」を生かして、貴社で新たな挑戦をしてまいる所存です。
これまでの就労経験がアルバイトしかない場合
何らかの事情により就職できなかったなどで就労経験がない場合でも、職務要約の記述が難しくなります。しかしたとえ就労経験がなくても、アルバイト経験による実績やスキルもアピール材料として有効です。働くうえで工夫した点や成果など、具体的なエピソードをまとめましょう。職歴なしだからと諦めず、自身の強みをアピールしましょう。
【社会人経験がない場合の例文】
○○大学の在学中に、書店販売員として2年間アルバイトに従事した経験がございます。来客対応をはじめ、レジ対応、本棚の整理、新刊コーナーの作成などを担当し、顧客対応スキルやレイアウトの基本を学びました。私は働くうえで、客観的に物事を判断し、「自分が今、何をするべきか」という課題を見つけるようにしております。今後は学びの姿勢を持ち続け、日々の課題をクリアしながら業務に取り組む所存です。
職務要約が職務経歴書の印象を決める!質を上げてライバルに差をつけよう
職務要約は、これまでの経歴を簡潔にまとめ、職務経歴書の冒頭に記載するものです。何をどのように書けばいいか分からない、とお悩みの場合は、オンラインで利用できるPaceBoxを活用しましょう。経験豊富なキャリアアドバイザーの指導のもと、魅力的な職務経歴書を作成しませんか。
