職務経歴書を作成する際に、退職理由を記載すべきかどうか、迷っていませんか?記載するならどのように書けばよいのか、書き方も悩ましいところです。本記事では、退職理由を書いた方がよいケース、書き方、書く場所などをくわしく解説します。書き方については、病気、結婚、リストラなど退職の理由ごとに、例文を交えながら具体的に紹介します。


目次
職務経歴書に退職理由は書かない? 判断のポイント
まず、職務経歴書に退職理由を書く必要があるのか否かを判断するためのポイントについて解説します。
指定がなければ退職理由の記載は不要
応募先の企業から指定がない限り、職務経歴書に退職理由を記載する必要はありません。職務経歴書は履歴書とは異なり、自分のスキルや経歴をアピールするために提出する書類です。退職理由を記載すると、書き方によっては採用担当者にネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。
記載するにしても「給与面に不満があったから」「社風が合わなかったから」などと端的に書いただけでは、退職に至った背景や事情を正しく伝えることはできません。自分勝手な人なのではないか、神経質な人なのではないか、という風に捉えられてしまうリスクもあります。
退職理由は面接では必ず聞かれる質問です。そのときに背景や事情を含めてしっかりと伝えることをオススメします。
転職回数の多さや就業期間の短さによっては退職理由を書いた方がよい
特に求められてはいない限り、職務経歴書に退職理由の記載は不要であると前述しましたが、なかには書いた方がよいケースもあります。転職回数が多い場合や就業期間が短い場合です。
何度も転職を繰り返していたり、一社での就業期間が極端に短かったりすると、長く勤めてほしいと考えている企業側にとっては不安要素になります。「辞めグセがついているのではないか」「採用しても、またすぐに辞めてしまうのではないか」と思われたとしても不思議ではありません。複数の職種を転々としている場合なら、キャリアに一貫性がないと捉えられてしまう恐れもあります。
離職してから数年経っている場合であっても、「この期間はどのように過ごしていたのか」と採用担当者は疑問を抱くはずです。
退職理由を記載しておかなければ転職活動が不利になると思われる場合は、職務経歴書に記載しましょう。倒産やリストラなどの会社都合による退職の場合も、退職理由を書いた方がよいと考えられます。


できる限り前向きに! 職務経歴書へ退職理由を書く際の考え方
退職理由を書く際は、書き方に注意が必要です。なぜならマイナスな理由をそのまま書いてしまうと、採用担当者に不安要素を与えてしまう恐れがあるからです。
給与や社風、労働時間、仕事量など、会社に不満があって退職した場合であっても、ありのままを記載することは控えましょう。ネガティブな内容をそのまま書くと、愚痴や不満を述べているだけだと思われ、採用担当者の印象が悪くなります。「不満があれば、また辞めるだろう」と思われても仕方がありません。
退職理由を書く際のポイントは、転職希望先への志望動機にも絡めながら、できる限り前向きに書くことです。退職理由と志望動機には一貫性があることが重要であり、採用担当者はこの二つが一致しているかどうかを確認します。「キャリアアップを目的に退職」「家族が増え、収入アップを図るために退職」など、ポジティブな印象を与えられる言葉を使った書き方を意識しましょう。
職務経歴書で退職理由を記載する場所に決まりはありません。「職務経歴」の職務内容の最後に記載するのが一般的です。ただし、転職回数が複数回に及ぶような場合は別に項目を作成し、まとめて記載した方がわかりやすくなります。
【例文あり】辞める理由別! 職務経歴書への退職理由の書き方
退職理由はほとんどの場合、「一身上の都合により退職」などの定型文で十分です。しかし、転職回数が多かったり、就業期間が短かったり、離職期間が長かったりする場合には、これから紹介する例文を参考に記載してみてください。
自己都合退職(一身上の都合)の場合
退職理由が自己都合による場合は「一身上の都合により退職」と記載するだけで問題ありません。職務経歴書ではよく使われる定型句です。ただし、自己都合退職でも次のような場合はくわしく記載することをオススメします。理由別に具体的な例文を紹介します。
病気や体調不良に伴う退職
病気や体調不良が原因で退職に至った場合は、現在治癒していることを必ず付け加えておきます。「病気療養のため退職(○月○日現在、完治して勤務に支障はありません)」「病気の治療に専念するためにやむを得ず退職しましたが、現在は完治し、業務に支障がないほどに回復しています」というように、仕事に影響はないことを強調することにより、採用担当者の不安を払拭できます。
結婚・出産に伴う退職
退職理由が結婚や妊娠、出産の場合は、基本的にポジティブな理由として捉えられます。「一身上の都合により退職」として理由を曖昧にするよりも、「結婚に伴い退職」「出産に伴い退職」と理由を明確に記載した方が好印象を持たれます。「結婚に伴い、配偶者の家業を手伝うため退職しました」「勤務が交代制だったため、育児との両立が難しく退職に至りました」などとくわしく記載してもよいでしょう。


人間関係のトラブルが原因の退職
人間関係のトラブルはネガティブな退職理由として捉えられるため、ストレートに記載することは避けた方が無難です。「原因はあなたにもあったのではないか」「また人間関係でトラブルを起こすのではないか」と悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。しかし、改善しようと努力し、安易に退職を決めたわけではないことを伝えれば、ポジティブな印象に変えることができるかもしれません。「前職の経験を活かし、チームワークを大切にしながら働きたい」などと、前向きな表現に言い換えることが大切です。
長時間の残業など、労働環境を理由にした退職
長時間の残業や休日出勤の多さなど、労働環境が理由で退職する場合は、不満だけを記載しないように注意しましょう。「月80時間の残業が常態化しており、プライベートの時間を確保できなかった」「心身ともに疲れて退職」などといった退職理由は、採用担当者にネガティブな印象を与る可能性があります。「月80時間の残業が常態化していたため、増員や納期の見直しなどを提案してみましたが、改善は見込めませんでした」「残業時間を減らすため、効率よく業務をこなせるよう工夫をしました」など、状況を改善すべく自分が取った行動を具体的に記載することで、ポジティブな印象に変わります。
仕事内容への不満が原因となった退職
仕事内容への不満が原因で退職に至った場合は、志望動機に転換して記載します。例えば、「○年間○○の仕事ばかりで、スキルアップを望むことができなかったため退職しました」という書き方では、前職への不満にしか捉えられません。「○○のスキルを身につけたいのですが、前職は○○の仕事が中心でした。貴社では仕事の幅を広げ、スキルアップできると考えております」という書き方であれば、採用担当者にポジティブな印象を与えられるでしょう。前職では担当できなかった仕事内容を、応募先の企業では実現したいという内容をうまく伝えることがポイントです。
会社都合退職の場合
会社都合による退職は自分ではコントロールできるものではありません。退職勧奨に応ずる退職であっても、マイナス評価が付けられることはありません。会社都合退職とは、基本的に倒産やリストラなど、会社側からの一方的な契約解除による退職を指します。賃金の未払いや大幅な減給などで会社側に非がある場合が会社都合退職に該当します。上司からパワハラやセクハラの被害に遭っていたり、同僚か嫌がらせを受けていたりして、自分から退職を申し出た場合であっても会社都合退職と判断されます。これらは、会社側が安全配慮義務を怠ったがゆえに起こった不法行為であり、退職に際して本人の非は認められないからです。
倒産や人員整理(リストラ)による退職
前述の通り、会社都合退職として認められる、倒産やリストラによる退職理由の具体的な書き方を紹介します。「リストラによって退職を余儀なくされました」と記載するだけでもよいですが、応募先の企業に入社したときに貢献できることをプラスして記載した方が好印象を持たれます。「前職では○○という目標を持ち、○○の資格も取得しましたが、倒産に伴い退職しました。貴社の〇〇の事業には、前職での経験を活かせると考えております」というように、どのように貢献できるのかを具体的に記載することをオススメします。採用担当者に自分のスキルをアピールすることにより、ポジティブな印象を与えられます。


職務経歴書の退職理由に関する、よくある質問
退職理由は職務経歴書のどこに記載するのか、履歴書にはどのように書くのか、疑問を抱く方は多いはずです。よくある質問をまとめました。
退職理由は職務経歴書のどこに書く?
前述の通り、職務経歴書に退職理由を記載する場合、書く場所に決まりはありません。一般的に、転職回数が少ない人は、職務経歴欄の職務内容の最後に記載します。転職回数が多い場合は、職務経歴欄にそれぞれ記載すると見にくくなってしまうため、「退職理由」という欄を作成し、1か所にまとめて記載した方がよいでしょう。退職理由を志望動機に絡める場合は、志望動機欄に書くことも有効です。「親の介護に伴い退職したことがきっかけとなり、介護業界で働いてみたいと考えるようになりました」「留学のために退職しましたが、留学で培った英語力を活かした仕事を希望しています」というように、意気込みや自己PRに退職理由を交えると、志望動機と退職理由の両方の納得度が高まります。
履歴書への退職理由の書き方は?
転職活動では、多くの場合、職務経歴書とあわせて履歴書の提出も求められます。履歴書には退職理由を書く必要がありますが、定型句のみを記載すれば問題ありません。退職理由は「一身上の都合により退職」「会社都合により退職」「契約期間満了につき退職」を使い分けてください。「○○年〇〇月 一身上の都合により退職」というように、退職年月とともに記載します。
職務経歴書の退職理由は「転職先に不安を抱かせない」ことが大切
職務経歴書に退職理由を記載した方がよいのは、転職回数が多い場合や就業期間が短い場合などです。書き方のポイントは、ネガティブな理由はポジティブな表現に言い換え、採用者側に不安要素を与えないことです。退職理由を書くべきかどうかや、具体的に書き方の相談をしたい場合には、転職サイト「PaceBox」の利用もおすすめです。
