転職活動を成功させるには、採用担当者の心に響く志望動機を作成しなくてはなりません。
しかし、いざ作成しようとしても、「転職の志望動機がない」「志望動機が思いつかない」といった方もいるかもしれません。
本記事では、転職活動で重要な志望動機が思いつかない理由や、転職活動で志望動機がない、思いつかない場合の対策について解説します。


目次
転職の志望動機は何をチェックされている?
転職の志望動機は、履歴書に記載を求められるほか、面接でも高い確率で質問されます。
採用担当者が、応募者の志望動機から何を読み取ろうとしているのかを理解しておけば、適切な対策が可能です。
業務に合ったスキルで貢献し成長する意欲があるか
企業の採用担当者が応募者に志望動機を質問する理由は、自社の業務を遂行できるだけの知識やスキルを有しているかどうかを確認するためです。
また、保有するスキルや知識、経験を活かして自社に貢献できるか、業務を通じて成長したい意欲を有しているか、といったこともチェックされています。
企業が人材を採用するのは、組織のさらなる発展や事業規模の拡大を見込んでのことです。そのため、人材を採用する際には自社の業務にマッチした知識やスキルを有するだけでなく、組織とともに成長したいと考えている人材かどうかを見極めようとします。
志望動機を伝える際には、過去の経験から得たスキルをどのように応募企業で活かせるのかを明確に示し、組織に貢献できる人材であることをアピールしなくてはなりません。
自社の企業文化に合わせて働けそうか
企業文化は、企業と従業員とのあいだで共有される規範や価値観であり、企業によって大きく異なります。歴史ある企業ほど、長きにわたって築きあげられてきた企業文化があり、人材を採用する際にはその文化に適応できるかどうかをチェックします。
どれほど実務に秀でたスキルを有する人材であっても、組織の文化や風土にマッチしないと早期離職につながり、再度人材を選考する手間やコストが発生します。
このようなリスクを回避すべく、採用担当者は応募者の志望動機から、自社の企業文化に合わせて働けるかどうかを読み取ろうとします。
選考をクリアするには、応募企業の文化や風土にマッチした人材であるとの印象を採用担当者に与えなくてはなりません。
そのためには、応募企業がどのような価値観を従業員と共有しているのか、どういった風土が形成されているのかなどを事前にリサーチしておく必要があります。
自社に長く勤めてくれそうか
企業の採用担当者がもっとも危惧しているのは、採用した人材がすぐ辞めてしまわないかどうかです。
企業は採用活動に多大なコストと手間を費やしているため、せっかく獲得した人材が早期に離職してしまうと、それらが無駄になってしまいます。
そのため、採用担当者は応募者の志望動機から、長く勤めてくれそうな人材かどうかを見極めようとしています。
採用担当者に「長く働いてくれそうだ」と思ってもらうためには、応募企業の業務に合ったスキルを有していること、企業文化にマッチしていることを示しつつ、長く働きたい思いや意欲をアピールするのが有効です。
長く働けることをアピールするには、長期的な目標を伝えるとよいかもしれません。思い描く将来的なキャリアパスを具体的に示すことでアピールが可能です。
たとえば、「3年後には製作部門のマネジメント業務を担当したい」「5年後には営業部長になりたい」といった具合です。


転職先の志望動機が思いつかない理由
志望動機が書けないのは、自己分析が不足しているためと考えられます。
また、なんとか書けても、企業研究や業界研究が不足していると、採用担当者の心に響く志望動機にはなりません。給与がよい、福利厚生が魅力的、などの条件面だけで応募先を決めた場合にも、志望動機が思いつきにくいため注意が必要です。
自己分析が足りていない
自分がなぜ転職しようと考えているのか、将来どうなりたいのか、といったことが明確になっていない状態では、採用担当者に響く志望動機は作成できません。まずは己のことを知り、そのうえで志望動機の作成に取りかかるのが基本です。
志望動機では、自分にどのようなスキルや知識があり、応募企業へ入社した際どう貢献できるのか、といったことを伝えなくてはなりません。そのためには、自分のスキルや強みなどを把握しておく必要があります。
自己分析を行えば、自分の強みや目指すべき方向性、仕事の向き不向き、今やるべきことなどさまざまなことが分かります。志望動機を作成する際に必要な情報を整理できるため、自己分析にしっかりと時間をかけましょう。
自己分析を行うのなら、フレームワークの活用が有効です。小学校や中学校、高校、大学など過去の歴史を振り返って整理する自分史や、大きなテーマから思考を枝分かれさせていくマインドマップなどを活用してみましょう。
自分の強みや将来の方向性、やりたいことなどのほか、性格や価値観も整理しておくと、志望動機を作成する際の材料として活用できます。
企業研究や業界研究が足りていない
応募企業や業界について調べていないと、説得力のある志望動機を作成できません。将来のキャリアパスも描けず、薄っぺらい志望動機になりかねないため、企業研究や業界研究に十分な時間を割きましょう。
企業研究の第一歩は、応募企業のコーポレートサイトをチェックすることです。企業理念や事業の方向性、代表の挨拶、従業員のインタビューなどから得られる情報が多々あります。また、会社説明会への参加や、経営者が執筆した著書を読む、SNSや採用サイトをチェックするなども有効です。
併せて、業界研究にも取り組みましょう。市場の規模や将来性、競合他社と応募企業との関係性などをリサーチします。業界団体のホームページを閲覧する、新聞やニュースから積極的に情報を得る、業界に関する専門書を読むなどの方法で研究、分析が可能です。
業界研究を行う際には、業界の動向や構造などを広く浅く把握します。そのうえで、企業間における関係性や業績の推移などを狭く深く調べていくとよいでしょう。
条件だけを見て転職先を選んでいる
転職先を選ぶうえで条件面のチェックは必須です。自身の生活にも関わってくるため、給与や福利厚生を確認するのは重要であるものの、それだけで転職先を決めてしまうと、説得力のある志望動機を作成できません。
実務の内容や職場環境、企業文化などから目を背けてしまっているため情報不足となり、その結果志望動機が思いつかないといったことは多々あります。
条件だけで転職先を選ぶのは、さまざまなリスクを招くためおすすめできません。
仮に入社できたとしても、望んでいない職場環境で働くことになってしまった、自分に合わない業務だった、といったことになりかねず、早期退職につながるおそれがあります。
志望動機を作成できない以前の問題なので、条件面だけで転職先を選ぶのはやめておきましょう。
事前に実務の内容や職場環境、文化、風土などをきちんとリサーチし、そのうえで条件面と照らし合わせつつ考えなくてはなりません。


転職の志望動機を考える際にやりがちな失敗
志望動機は、転職活動の成否を分ける重要なコンテンツと言っても過言ではありません。
にもかかわらず、志望動機の作成時に失敗してしまうケースが多々あります。
転職の志望動機を考える際のよくある失敗をお伝えするので、注意しつつ作成に取り組みましょう。
どの企業にも当てはまる無難な内容を書く
どの企業にも該当するような内容を書いてしまうと、採用担当者に「それなら自社でなくてもよいのでは」と思われてしまいます。
このような、当たり障りのない志望動機ができあがってしまう原因は、企業研究や業界研究不足です。
企業研究や業界研究をしっかりと行えていないと、実際の業務内容や業界の特徴などが分からず、ありきたりな志望動機ができあがります。
採用担当者に、自社の魅力や特徴を理解していない、研究不足である、といったネガティブな印象を与えかねないため注意が必要です。
転職活動をしている方のなかには、志望動機を使いまわしている方もいるかもしれません。
採用担当者は採用のプロなので、このようなことをしてしまうと「志望動機を使いまわしているな」と気づかれる可能性が大です。
それ以前に、説得力がない薄っぺらい志望動機となり、採用担当者の心にも響きません。複数社に応募する際にも、使いまわしはせず、個々の企業に特化した志望動機を作成しましょう。
年収や待遇などの条件で選んだと書く
正直な気持ちをストレートに書きすぎて失敗してしまうパターンです。
給与が高くて魅力的だった、福利厚生が充実しているから応募したなど、条件面で選んだと志望動機に書くのは控えましょう。
最終的に、年収や待遇が決め手となることはあると考えられます。年収や待遇などの条件は、職場選びにおいて重要なポイントのひとつであるため、それ自体に何の問題もありません。
ただ、こうしたことを正直に志望動機へ含めてしまうと、採用担当者にネガティブな印象を与えるおそれがあります。
「給与が高ければ自社以外でもよいのではないか」と思われても不思議ではないため、たとえ条件面が決め手となったとしても、志望動機には含めないようにしましょう。
どうしても含めたいのなら、「働きやすい環境」や「モチベーションが高まる職場」など、表現に注意しなくてはなりません。ストレートに伝えようとするのは原則NGです。
「学ばせていただきたい」と受け身の姿勢を見せる
企業が人材を採用するのは、あくまで自社の発展や拡大のためです。
もちろん、その過程で自社の人材が成長するのは喜ばしいことではあるものの、最初から受け身の姿勢では積極性が足りない、組織への貢献意識が低い、とみなされるおそれがあります。
企業が求めているのは、スキルや経験をもとに自社へ貢献してくれる人材です。
企業活動を通じた利益の獲得、拡大が企業の根幹であり、人を育成する教育機関ではありません。転職希望者は、こうした根本的な部分を理解しておく必要があります
学びたい、成長したい、といった文言を使用するにしても、表現に注意しましょう。
「貴社で学びつつ組織の発展に貢献したい」といった具合に、消極的な受け身の姿勢と受けとられないような表現を用いるのもひとつの手です。
上から目線になっている
自分のスキルや経験などに多大な自信をもっている方にありがちな失敗のパターンです。
転職活動において、スキルや知識、経験をアピールするのは重要です。ただ、だからといって「私を採用すれば必ず会社は成長する」といった発言をしてしまうと、採用担当者に何様だと思われてしまうかもしれません。
企業によっては、自信に満ちあふれた若者、とポジティブな印象を抱いてくれるかもしれません。ただ、そのような企業は少数派です。
日本人の国民性から考えても、自信過剰な発言は好まれない可能性が高いため、スキルや経験をアピールする際にも表現に気をつけなくてはなりません。
実際に、スキルや経験に絶対の自信があったとしても、オブラートに包んでアピールしましょう。
あまりにも自信過剰すぎるアピールをし、入社後に思うほどの成果を上げられなかったとなると、かえって評価が下がるおそれがあります。
前職のことを悪く書いてしまう
前職の会社はブラック企業だった、社長のワンマンだった、など志望動機に前職のことを悪く書いてしまうのは、自身の評価を下げかねないため注意が必要です。
このようなことを書く応募者を採用すると、自社に入社したあとに同じようなことを言われてしまうのではないか、と採用担当者は危惧すると考えられます。
人によっては、応募企業をもちあげるために前職のことを悪く書いてしまうことがあるかもしれません。
「御社の素晴らしさに比べて、前職の〇〇はどうしようもない企業です」といった具合です。
このような内容も、採用担当者にネガティブな印象を与えかねないため、書くのは控えましょう。


転職の志望動機がない・思いつかない場合の対策
志望動機が思いつかないのなら、まずは自分がなぜ転職を考えているのか明確にしましょう。
そのうえで、応募企業の仕事内容を調べてキャリアパスを描きます。
採用担当者にスキルや経験もアピールする必要があるため、過去を振り返りつつ自分のスキルや経験も整理しましょう。
転職の理由を明確にして自分の軸を作る
思考を整理するため、転職の理由を明確にしましょう。なぜ前職を辞めたいと考えたのか、どうしてその企業へ応募したいのか、これから先どのような人生を送りたいのか、といったことを洗い出します。
応募企業へ入社したあと、何を実現したいのか、どう成長したいのかも洗い出しましょう。これらを明確にすれば、転職活動における軸が見えてきます。軸を中心に考えつつ、応募企業の仕事内容や文化などと結びつけて志望動機を考えていきましょう。
転職を希望する企業の仕事内容を調べてキャリアパスを描く
入社後のキャリアパスを描くことで、説得力のある志望動機を作成できます。そのためには、応募企業の事業内容や実務、業績、求めている人材像などを把握しなくてはなりません。
やるべきことは情報収集です。まずは、応募企業のコーポレートサイトにアクセスしてみましょう。コーポレートサイトから得られる情報は多々あります。どのような思いで事業を営んでいるのか、ここ数年における業績はどうなのか、といった情報も入手できます。
採用サイトのチェックも欠かせません。採用サイトやコーポレートサイトの求人ページには、企業が求める人材像が記載されているケースが多く見受けられます。
どのような人材を求めているのかを把握できれば、それに合わせて採用担当者の心を打つ志望動機の作成が可能です。
SNSのアカウントを開設しているのなら、活用しない手はありません。
現在では、多くの企業がTwitterやFacebookといったSNSを活用してさまざまな情報を発信しています。情報収集に便利なツールなので、SNSも有効活用しつつ情報を集めましょう。
キャリアパスを描く際には、自分にとっての最終的なゴールを設定します。ゴールを設定しないと、自分が何をすべきか、どう進んでいけばよいのかも分かりません。
応募企業の仕事内容を把握したうえでキャリアのゴールを設定し、そこへ到達するのにどのようなスキルが求められるのか、自身に適性はあるのか、といったことを考えましょう。
アピールするためのスキルや実績を整理する
採用担当者に、魅力的な人材であると思ってもらうためには、スキルや実績をしっかりとアピールしなくてはなりません。そのためには、保有するスキルや知識、過去の実績などを事前に整理しておく必要があります。
過去を振り返りつつスキルや実績を整理すれば、自分にどのような強みがあり、応募企業へ入社後どう貢献できるかが見えてきます。説得力のある志望動機の作成に必須なので、このプロセスを省かないようにしましょう。
基本的に、これを行うのは自己分析や企業研究のあとにします。自己分析をしていないと、そもそも自分にどのようなスキルや強みがあるのか分かりません。応募企業での実務に、自身のスキルがどう役立つのかをアピールするには、事前の自己分析と企業研究が不可欠です。
自己分析でスキルや強みを抽出するには、マインドマップや自分史などのフレームワークが有効です。現在ではインターネット上で無料利用できる自己分析ツールもあるため、そのようなツールを利用するのもよいかもしれません。
転職の志望動機の相談にもPaceBox
企業の採用活動においては、応募者の志望動機を入念にチェックするため、ポイントを踏まえたうえで作成しなくてはなりません。
志望動機を相談したい場合は、「PaceBox」の無料のキャリア面談がおすすめです。
志望動機のベースとなる、自分の転職の軸の整理から相談に乗ってくれるので、自分らしい志望動機の作成の大きな助けになるでしょう。
