転職は若い方が有利だといわれていますが、30代ではどうなのでしょうか。20代と比較すると、転職が厳しくなるという話を聞いたことがあるかもしれません。ですが、30代ならではの強みを理解し計画的に動くことができれば、転職を成功させられる可能性は決して低くはないのです。
本記事では、30代の転職は本当に不利なのか、そして30代で転職するときの心構えや未経験でも応募できるおすすめの仕事を幅広く解説します。


目次
30代の転職は不利?厳しいと言われるのはなぜ?
結論からいうと、30代だからといって転職が不利になるわけではありません。確かに、ひと昔前はそういう時代もあったかもしれません。しかし、今は転職者の平均年齢は年々上がってきており、30代で転職する人もよく見かけるようになりました。むしろ、すでにある程度の経験を持っており、転職後に長く働ける年齢なので、転職向けの年代といえます。
厚生労働省の調査によると、2008年のリーマンショック時は30代に対する有効求人倍率が0.4倍と非常に低迷していたことがわかっています。しかし、その後徐々に回復し、2015年には30代前半で1.19倍、30代後半で1.14倍となっており、求職者が優位な状態となっているのです。
ただし、30代で転職活動を経験し、苦労したという話も確かに耳にします。30代の転職では即戦力を求められ、年齢に応じたスキルはあって当然という目で見られてしまうところが、そのような状況に陥った原因かもしれません。
確かに、20代のようにポテンシャル採用は期待しづらいのが正直なところです。しかし、そうした見る目を逆にうまく利用することも可能です。経験やスキルがマッチすれば、希望にあった仕事に転職しやすいと考えることもできるのです。


30代の転職成功のための心構え
続いて、30代で転職するときの心構えについて解説します。まず、30代で転職する場合、年収やポジションが下がるケースがあることを覚悟しておいてください。それは、今の年収やポジションは、同じ会社で継続して働いてきたことへの対価である場合も多いからです。会社が変われば前職の評価は一旦なくなってしまいます。前職の年収やポジションにこだわり過ぎていると、転職活動がうまく行かない可能性が高くなるので、注意が必要です。
30代ともなれば、それなりに社会人としての経験を積んでいるので、プライドが高い人もいるかもしれませんね。自分の仕事に誇りを持つことは大切なことです。しかし、高すぎるプライドは転職活動には不要だと知っておく必要があります。また、30代で転職をすると、転職先の上司が自分より年齢が下という状況も十分にあり得ます。プライドが高い人の場合、下手な対抗心を燃やしてしまい、人間関係を悪くしてしまうことも。特に新しい業種にチャレンジするときは、謙虚さと協調性をより意識しましょう。
また、過剰なやる気アピールも30代の転職にはふさわしくありません。20代であれば熱意で勝負する姿勢があっても良いですが、30代は落ち着いて、企業が求める経験やスキルを持っていることをしっかり伝えることが重要です。


30代で転職する場合のメリットとデメリット
30代で転職をしようとすると、自分のキャリアにふさわしい仕事にはつきやすいものの、未経験の分野には少し飛び込みにくくなりがちです。この段落では、30代で転職する場合のメリットとデメリットについて解説します。
30代の転職のメリット:キャリアアップ・年収アップのチャンス
30代で転職するメリットは、即戦力として採用してもらえるスキルや実績を持っていることです。自分のキャリアと企業のニーズが合っていれば、自分の経験や能力が十分に発揮できる役割を用意してもらえるでしょう。そして、もっとキャリアを伸ばしていけるはずです。
さらに、企業が求めるマネジメント能力を持っていれば、転職してすぐにプロジェクトリーダーや幹部などの管理職に抜擢されることもあります。そうなれば、年収アップも期待できるでしょう。経験やスキルが乏しい20代で転職した場合、すぐに管理職につくのは難しいことなので、その点は30代で転職するメリットといえます。
30代の転職のデメリット:未経験業界・職種はチャレンジ
30代で転職するデメリットは、20代に比べると未経験分野への挑戦がしにくくなる点です。20代では未経験であっても、ポテンシャル採用してもらえる可能性もあります。しかし、30代となると即戦力として期待されてしまうため、未経験分野へのチャレンジが厳しくなってしまうのです。また、未経験で採用されたとしても、その分野では新人と同等という状況です。そのため、現職よりも年収が下がってしまう可能性が高いのです。
また、30代向けの求人は、役職や管理職につくことを前提としているものも多いので、一般社員を募集している20代よりも求人の数が少なくなるのもネックです。特に、30代後半になるとその傾向が強いことを感じずにはいられないでしょう。


30代で転職するときに考えておきたい3つのポイント
30代での転職は今後のキャリアを大きく左右するターニングポイントとなるため、慎重に行動しなくてはなりません。この段落では30代で転職するときに、考えておきたい3つのことについて解説します。
30代の転職のポイント1.会社を本当に今やめてもよいかどうか
転職活動をする前に、「会社を本当に今やめてもよいか?」をよく考えるべきです。ひと昔前までは「転職は35歳まで」という説が一般的でした。しかし、最近では30代の転職需要は高まっており、求人も多いので極端に焦る必要はないのです。現職で責任のあるポジションを担当しているのであれば、周りに迷惑をかけない時期を考慮して転職する気遣いを持つことも社会人として大事です。
また、30代ならば家庭を持っている人も多いでしょう。結婚して間もないときや、本人や妻が出産を控えているタイミングでは家族から転職を反対される恐れもあります。転職は自分自身の問題ではありますが、それによって少なからず家族にも影響が及びます。
ですから、家族との関係に亀裂が入るような強行突破は避けるべきです。家族からの反対にあったときは、応援してもらえるように話し合ったり、転職の時期をずらしたりすることも検討してみましょう。
転職市場を調査した結果、求められているスキルが自分に足りないと気づくケースもあるかもしれません。そのようなときは、焦って無理に転職せず、現職で経験を積んで機が熟すのを待つ、といった冷静な判断も必要です。
30代の転職のポイント2.なぜ転職したいのか
なぜ転職したいのか、については十分に整理しておきましょう。転職は、勢いだけで踏み切ると失敗しやすいものです。「今の仕事に飽きたので、違う仕事がしたい」「とりあえず楽な職場に行きたい」といった理由で転職したいと思った人には、自分のキャリアプランについてもう少し深く考える必要があると言わざるを得ません。また、「仕事の能力は誰にも負けない」といった、どこからくるのかよくわからない自信から新天地へチャレンジしようとする転職も、考え直したほうがよいでしょう。
理由が曖昧、または独りよがりな転職活動をしても、書類選考や面接で採用担当者を納得させるのは難しいでしょう。たとえ転職できたとしても、強い信念のない転職であれば、そのあと後悔する可能性もあります。転職を考え始めたら、まずは自分のキャリアを振り返り、棚卸ししてみましょう。そして、今までの実績や経験を踏まえて、自分のスキルとして何が身に付いているかを整理してみてください。自己分析する際は、自分の性格や嗜好を仕事と結びつけるのがコツです。その結果、やりたい仕事や能力をより生かせる仕事が見つかれば、転職活動に踏み切ると良いでしょう。
30代の転職のポイント3.同業種以外に可能性はないか
転職先として、同業種以外に可能性がないかどうかを検討しておくことがおすすめです。30代まで働いてきた人ならば、そこに至る数年間~10数年間の経験を無駄にしたくない、と考える人も多いでしょう。その考え方は間違っていません。確かに、転職は今までのキャリアを生かすために同業種を狙うのが一般的ではあります。しかし、よほど専門的な仕事でない限りは、自分が培ってきた経験やスキルは他業種でも生かすことができる場合が多いのです。
同業種だけにこだわるのでなく、他業種にも目を向けることで、より広い範囲で優良企業の求人を探せるようになるでしょう。「30代以上の転職では、未経験業種への挑戦が難しくなる」とお伝えしたこととは相反しますが、業界によっては未経験者を受け入れてくれるところもあるので、チャンスがないわけではありません。こうしたことを熟考したうえで、本当に未経験の分野への転職を望むのなら、転職できる可能性は十分にあるといえます。


30代の転職はどれぐらい時間がかかる?
転職にかかる時間は人によります。一概には言えませんが、3ヶ月以上かかる人がほとんどでしょう。現職の仕事をしながら、自己分析や企業の情報を集めるだけでも、1ヶ月程度はかかります。さらに、30代は求人の数が20代に対するものよりも少なく、書類選考のハードルも高くなっているので、20代より時間がかかる傾向にあります。
また、管理職への応募になると、企業は新人採用よりも選考に時間をかけるので、結果が出るのが遅くなるのです。転職活動は、希望するタイミングで自分にマッチする仕事が出てくるとは限らないので、長期戦になることも覚悟して臨んでください。「もう30代だから、早く転職しないとその先が短くなる」などと考えて焦らないことが大切です。
一般的なスケジュールについては、下記を参考におさらいをしておきましょう。
【転職活動の流れ】進め方やスケジュール、必要な準備やよくある質問


30代の転職で求められるスキル
30代に求められる代表的なスキルのひとつとして、マネジメントスキルが挙げられます。この能力に関しては、どのような業界、職種でも求められ、20代よりも転職を有利にするための重要なポイントになります。特に、30代後半で転職しようとする人にとっては、必須スキルとなるでしょう。では、マネジメントスキルとは、どのようなものでしょうか。それは、チームをまとめるリーダーシップ、部下を教育するための指導力など、組織をスムーズに運営するための能力のことです。
さらには、多少の変化があっても環境に適応できるスキルが、30代の転職者には求められます。30代の社員は上司にも部下にもなる可能性があるので、柔軟な対応ができる人材が重宝されるのです。もし、未経験の業界に挑戦するのであれば、資格を取っておくのもおすすめです。例えば、不動産業界にチャレンジするのであれば宅地建物取引士、介護・福祉業界であれば介護福祉士、金融業界であれば証券アナリストなどです。資格を取っておくことで業界の勉強にもつながるので、その業界への本気度が高いのであれば、やってみて損はありません。
未経験の30代におすすめの仕事とは
30代の転職でも同業種に転職するのがセオリーですが、未経験の仕事にチャレンジする人も少なくありません。むしろ、異業種に転職した人の方が多いというデータもあるぐらいです。例えば、営業職や接客業はコミュニケーションスキルが重要な仕事です。そのため、30代までに培ってきた対応力を、さまざまな業種で発揮しやすいといえます。接客業のなかでも、ホテル業界は一流のサービスが求められるので、ホテルでの実務が未経験であっても、営業職や接客業で色々な経験をしてきた30代を歓迎する企業もあるわけです。
参考:営業未経験の30代でも転職は可能?成功するためのポイントを解説
また、ITエンジニア職も未経験者を積極的に採用しています。それは、システムエンジニア(SE)やインフラエンジニアなどであれば、30代でもチャレンジがしやすいからです。さらに、万年人手不足といわれている介護業界にもチャンスがあります。40代や50代が中心に活躍している業界なので、30代未経験者でも若手として入り込む余地があるのです。働きながら介護福祉士などの資格を取得し、キャリアアップしていける施設もあるので、介護業界を検討している人はチェックしてみてください。その他にも、ドライバー業界や製造業界も多くの求人が出ており、30代の募集も多いです。
企業側から見て、30代の転職者に求めるものは20代に求めるものとは異なるということを理解しておきましょう。30代は、やる気だけでキャリアをどうこうできる年齢ではありません。むしろ、アピールできる実質的なものを持っていることが大事だということを忘れないでください。
自分のこれまでのキャリアを棚卸ししたら、そこから実績や強みを導き出してアピールすることが大切です。同業種に転職して、さらなるキャリアアップを目指すのが有利ですが、未経験業種へのチャレンジもギリギリかなえられるのが30代の転職です。自分のキャリアが生かせる職種が、未経験業種のなかに見つかる可能性も十分にあります。特定の業種にこだわり過ぎず、視野を広げ、柔軟な考えをもって転職活動を進めていきましょう。


30代としての実績や強みを整理してマッチする企業を探そう
今や30代での転職は、普通のことです。求人も多く、実際に30代で転職をしている人も数多いです。年齢で転職を諦めたりせず、まずは自分としっかり向き合ってみてください。
そして、本当に転職したいのか、すべきなのか。どのような道に進みたいのか、進むべきなのか。今までとこれからのキャリアパスがしっかりとつながるように自分を見つめ、確固たる信念を持って企業の求人を探せば、転職はきっと成功するでしょう。
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