本記事では、20代から30代前半の若い人たちが希望の企業に転職しようとするときに、最も気になる履歴書選びについて解説しています。100均の履歴書で応募しても大丈夫なのか、履歴書の種類やサイズ、選び方や記載の仕方などについてわかりやすくまとめています。


目次
100均の履歴書は転職の選考に影響する?
履歴書にはA4とB5の2種類のサイズがあり、内容も一般向けのものから中高年用、転職者用、パート・アルバイト用まで、さまざまなものがあります。これらは転職の応募先企業や重視される記載内容などによって使い分けます。
履歴書の購入先としては文具店やスーパー、100均などが挙げられますが、できれば就職活動にはあまりお金をかけたくない、100均の履歴書でも大丈夫なのであれば、なるべく安いものですませたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
100均で販売されている履歴書を使うと、転職の選考時に何か影響が出るのでしょうか。
100均の履歴書でも選考には影響しないので買っていい
履歴書で重要視されるのは記載されている内容はもちろん、文字の丁寧さや添付されている書類の内容といったことです。必要とされる形式を満たしているものであれば、履歴書が100均で購入したものか、文具店で購入したものかは問題ではありません。ダイソーやセリアといった大手100円ショップでは、だいたいどこの店舗でも履歴書を扱っています。使用されている紙も上質紙なので、文具店などで販売されているものと変わりません。
履歴書を選ぶ際には、まず企業からの指定があるかどうかを確認します。指定がある場合は、それを使用します。特に指定がない場合には、パソコンで作成するのがよいのか、手書きした方がよいかのを考えます。IT企業やスタートアップ企業、インターネット関連企業などでは、パソコンで作成した方が好印象を持たれる可能性が高そうですが、一般的にはパソコンで作成しても、手書きするにしても、採用担当者の印象はあまり違いはないでしょう。
パソコンで作成した履歴書にも手書きの履歴書にもメリット・デメリットはあります。パソコンで作成した場合には、まずパソコンを使用できるスキルがあることをアピールできます。さらに入力ミスがあった場合に簡単に修正でき、文字が読みやすく、担当者のストレスが少ないことがメリットです。
パソコンで履歴書を作成するデメリットとしては、手書きの履歴書を丁寧な字で記入するという過程を重んじている採用担当者だった場合、手を抜いた、あるいは履歴書作成に時間をかけていないと考えられてしまう可能性があることです。
手書きでの履歴書作成のメリットはまず、きれいな字、丁寧な字で履歴書が書かれていると、その人柄が感じられることです。パソコンのように簡単に書き損じを修正できず、応募先に対して毎回新しく履歴書を記入しなければならないことから、採用担当者が応募者の誠意を感じられることです。
逆に汚い字で書いたり、雑な記入の仕方をしてしまうと採用担当者が不快な気分になり、かえってデメリットになりますので注意してください。
企業から履歴書の指定がある場合は注意
応募先企業によっては、使用する履歴書が指定されていたり、パソコンで履歴書・職務経歴書を作成して応募するよう指示があったりする場合があります。このような場合には、指示に従って履歴書を作成してください。指示を守らずに、あるいは指示を確認することもなく、独自の履歴書を提出した場合には、企業の指示に従わない人間であると誤解されてしまう恐れがあります。まずは、応募要項に見落としがないかどうかを念入りに確認してください。さらに採用企業の応募フォームなどが指定されている場合は必ず指示に従うようにします。
100均で売られている履歴書の種類
100均のダイソーやセリアで販売されている履歴書にはA4/B5各サイズの二つ折りのもの、大型封筒付きのもの、パートアルバイト用、職務経歴書付き、封筒なしのものなど、さまざまな種類があります。以下では、100均で販売されている一般用、転職者用、パート・アルバイト用、JIS規格の各履歴書について見ていきます。
一般用
一般的に広く使用されている上質紙使用の罫線付き履歴書です。ダイソーで販売されているA4版のものは3枚入りで、履歴書を折らずに入れられる大型封筒が付いており、写真を貼るための両面テープも付いています。封筒も上質紙で作られています。サイズは履歴書が29.6×42×0.02cmで3枚入り、封筒が31×22.8×0.05cmで2枚入り、シールが3.5×2.4×0.02cmで4枚入りです。
A4サイズとは別にB5サイズのものもあります。いずれのサイズのものも複数枚入りで、大型封筒付き、証明写真貼付用シールも複数枚が付いています。さらに卒業年度早見表も付属します。
転職者用
一般的な履歴書用紙に加えて、職務経歴書が付いています。学歴・資格記入欄も多めに取られているので、自己アピールをたくさん書きたい転職者に適しています。
パート・アルバイト用
パート・アルバイト用の履歴書では、シフトの希望曜日や希望時間帯など、本人希望欄以外にも細かく希望を記載できるようになっています。
JIS規格
履歴書は、履歴書様式の基準となるJIS規格のものを使用するのが一般的です。ただし、パート・アルバイト用やアピールしたい項目が多いときなど、特別に記載したい項目がある場合には規格外の履歴書を使用しても差し支えありません。
100均で販売されているものでも多くはJIS規格に準拠しています。通常は「JIS規格帳票」と記載されているので、ひと目でわかります。企業によってはJIS規格の履歴書を提出するよう求められることがあるので、その場合には必ずJIS規格準拠の履歴書を使用します。


100均で履歴書を選ぶ際の注意点
100均で履歴書を選ぶ際に注意したい点は、まず自分がどの項目をどのぐらいの分量で記載したいのかをはっきりとさせることです。次に履歴書を折らずに入れられる大型封筒が必要かどうか、履歴書とは別に職務経歴書が必要かどうかなどによって選んでいきます。
記入したい項目のある履歴書を選ぶ
新卒で就職する場合は、職務経歴書は必要ありません。転職の場合は職務経歴書または職務経歴欄のある履歴書を選ぶ必要があります。パート・アルバイト用には職務経歴欄以外に希望のシフトや勤務可能な時間帯を記入する欄があり、時短勤務や週数回の勤務を希望する場合に適しています。
記入する量にあったサイズを選ぶ
企業からの指定がなければ、職務経歴や保有している資格が多いなど、記載したい項目が多い人は大きいサイズの履歴書を選び、シンプルにまとめたい人は小さめを選ぶとよいでしょう。市販されている履歴書のサイズはA4またはB5サイズ(広げるとA3またはB4サイズ)です。大型封筒が入っていない場合は、折りたたまずに入れられるサイズの封筒も購入しておくと安心です。
100均の履歴書を書く際のコツ
応募先の企業から常識がないと思われないための、履歴書に記入する際の注意点がいくつかあります。
履歴書はコピーしない
複数の企業に履歴書を提出する場合、毎度同じ内容を記入するのが面倒になってしまい、全項目に記載済みの履歴書をコピーして使用したくなることがあるかもしれません。しかし、コピーした履歴書での応募は絶対にやってはいけません。履歴書をコピーしないということはいわば暗黙のルールであり、マナーです。企業側からすると、自社が軽く扱われているのではないかと受け取ってしまいます。すべての項目を手書きで丁寧に記入し、その企業に入社したいという気持ちを伝えましょう。少々面倒だと思っても必ず手書きで記入していくことが大切です。
書き間違いは修正せず最初から書き直す
たとえ100均で購入した履歴書とはいえ、1枚あたり数十円はします。ほとんどの項目を記載し終わっているのにミスをしてしまったら、修正ペンで消して、書き直したくなるかもしれません。しかし、書き間違いの修正も企業からすると印象がよくありません。書き損じをしてしまったら、面倒でも最初から書き直しましょう。
消せるボールペンは使わない
ボールペンでも、あとから消せる製品があります。このタイプのボールペンは記入ミスをしても消して書き直せるので便利ですが、これも使ってはいけません。履歴書は一度記入したら訂正や書き直しをしないことが前提になっています。さらに、消せるボールペンには摩擦によって無色になるインクが使われています。なんらか拍子に擦れてしまうと、書き込んだ文字が薄れてしまう可能性もあります。ボールペンは消せないタイプの、インクのにじみにくいゲルタイプのものを使用するとよいでしょう。万年筆や水性タイプは乾きにくく、書き損じの原因にもなりやすいのでオススメできません。
西暦か和暦かの表記はどちらかに統一させる
1枚の履歴書の中で西暦と和暦を両方使ってしまうと一貫性がなく、雑然とした印象を与えてしまいます。履歴書に書く「年」の記載方法には決まりはありませんが、必ず西暦か和暦かのどちらかで統一します。西暦を使用する場合は「’23年」などと省略せず、「2023年」ときちんと4桁で書きます。和暦を使用する場合は、R(令和)、H(平成)、S(昭和)などの省略された元号は使わず、必ず令和、平成、昭和と正式な元号を記載します。


100均の履歴書の各項目を作成するポイント
100均の履歴書の基本情報欄、学歴・職歴、免許・資格、志望動機、自己PRなどの各項目を作成する際のポイントを説明します。
基本情報欄
履歴書の基本情報欄には、日付や氏名、年齢、住所、電話番号、連絡先、メールアドレスなどを記載します。このうち日付については、面接があって履歴書を応募先企業に持参する日か、またはポストに投函する日を記載します。押印欄がある場合には、自分の印鑑を押します。このときスタンプ式ではない、認印を使うようにします。
貼付する写真は、証明写真機を使えば自分で簡単に撮影できますが、金銭的・時間的な余裕があれば、スタジオでプロに撮影してもらうことをオススメします。髪の整え方などをアドバイスしてくれたり、顔色を補正してくれたりするので、採用担当者によい印象を与える写真に仕上がります。撮影時はできればスーツを着用し、モノクロではなく、カラーで撮影してもらいましょう。
学歴・職歴
学歴欄の1行目の中央に「学歴」と記入します。2行目以降に自分の学歴を記載します。義務教育の中学までは省略しても差し支えありませんが、一般的には中学卒業から記入するのがよいとされています。入学や卒業は○年○月といったように、年と月を記載します。また「○○高等学校入学」「○○大学○○学部○○学科卒業」「○○大学院修了」というように、正確な学校名、学部・学科名を省略せずに記載します。
職歴欄も1行目に「職歴」と記入します。過去に働いたことのある企業名は省略せずに記載します。企業名だけでなく、所属部署や、正規雇用のほかにアルバイト・パート経験などがあれば、そうした雇用形態も正確に書きます。前職以前の入社時期や退社時期も学歴同様、○年○月で記載します。
応募先企業の業務に関連のある職歴があれば、職務内容に関してなるべく詳細に記載することをオススメします。過去の職場で取得した資格などもアピール材料になりますので必ず記載します。さらに、営業成績で表彰歴などがあれば、アピールポイントになりますので忘れずに記載します。もちろん罰則を受けた過去があるのであれば、隠すことなく記載します。
前職の退社理由や職歴の空白期間は「一身上の都合により退社」「○○の都合により」と書けば十分です。もし、「○○の資格取得の勉強のため」などの具体的な理由があるのであれば、そのまま書いた方が応募先企業に対して前向きな印象を与えられます。
免許・資格
応募先企業で活かせる可能性のある免許や資格、技術などはすべて記入します。記載する順番は、まず免許を先に列挙し、次に資格を記入していきます。学歴や職歴と同様に、免許・資格についても省略したりすることなく、正式な名称を記載します。
免許・資格の取得年月の記載方法は学歴・職歴に合わせます。学歴・職歴は和暦、免許・資格は西暦というようなことがないように注意してください。取得した免許や資格がない場合でも、免許・資格欄を空白にはしません。記載漏れと間違われないために「特になし」と記載します。
現在、勉強中でこれから取得する予定の免許・資格などがあれば、免許・資格名とともに取得予定の年月を記載することも応募先企業へのアピールになり、メリットがあります。
志望動機
志望動機は、履歴書の中で面接時に何よりもチェックされる項目です。職歴・資格ももちろんですが、志望動機は特に力を入れて書く必要があります。
新卒の場合は応募先企業の業務内容や社風など、自分が感じている魅力を述べることが中心になりますが、転職の場合は、これらの内容に加えて、「なぜ、応募先企業に入社したいのか」という応募理由と結び付けて書くようにします。応募理由が給与などの待遇面であるのか、もっとやりがいのある仕事を求めてなのかも記入します。志望動機を記載する際には、自身のスキルや実績とあわせて書くと、応募先企業へのアピールにもつながります。
志望動機は、志望動機欄がある場合はそこに記入します。志望動機欄がない履歴書の場合は、職務経歴書上部の5行程度を使用して書くか、または志望動機書を別途、作成して履歴書に添付して提出するかします。自分の記載したい志望動機の分量に合わせて、どちらを選んでも差し支えありません。
自己PR
自己PR欄には学校や前職で取り組んできた職務内容や実績などを記載します。具体的には「○○という改善策を策定・提案し、当該改善策を実施した結果、業績が○○%アップした」「○○年○○期の営業成績がトップで表彰された」「長期間の実績のある企業との取引において、トラブルが発生したが、○○のアイデアでピンチを切り抜け、さらに取引量を○○%増やすことができた」などの実例を挙げて記入すれば、自分の能力をアピールすることができます。
自己PR欄で最も大切なことは、応募先企業に入社した場合に、自分のスキルで、その企業のどの事業にどの程度の貢献ができるのかということをアピールすることです。この場合も数字を出すことによって、より具体性が増します。もし、実績などで特に記載できるものがない場合には、忍耐力や積極性などの性格面をアピールすることになりますが、その際にも応募先企業での業務内容にその性格・特性がどのように有利に働くのかをアピールすることをオススメします。
自分の特性やスキルをアピールするうえで気を付けたいのが、具体的な事例を挙げることです。例えば、ボランティアを経験したことで人間関係を築くのが得意なので営業に向いているとか、毎日パソコンを使用して仕事をしてきたのでパソコンの操作には自信があるといった事例を示すと、採用担当者へのよいアピールになります。
自己PRはあまり長くダラダラと書かない方がよいでしょう。採用担当者は多数の履歴書に目を通します。本当にアピールしたい点に絞って記入するのがベストです。企業から文字数を指定されていれば、その文字数の8割を少し超える程度の文字数で記入します。指定がなければ400字前後の文字数でまとめます。あくまでも伝えたいことを簡潔にまとめることがポイントです。
その他
本人記入欄は基本的に「貴社の規定に従います」と記入します。絶対に譲れない希望の職種や勤務条件がある場合は傲慢ととられないよう、謙虚さを前面に出して記入します。
自分の希望をすべて履歴書の本人希望欄に記入してしまうと、企業側から見ると、条件の多い難しい応募者と思われてしまうかもしれません。面接にこぎつけたあとに、どうしても譲れない点があれば、そこだけをお願いしてみる方法をオススメします。
趣味・特技欄に関しては、よほどのことを書かない限り、採用に大きく影響することはありません。無難に読書やスポーツなどと書くことが多いと思いますが、ここは面接でも話の取っ掛かりとして面接官に聞かれることもありますし、もしかすると採用担当者も同じ趣味を持っている場合があります。嘘偽りなく、本当の趣味や特技を記載しておきましょう。
100均の履歴書は使用しても問題なし
転職で応募先企業に履歴書を提出する場合、100均で販売されている履歴書を使っても採用に影響することはありません。重要なことは履歴書に記載する内容や表現方法です。100均だけでもさまざまな種類のものが販売されていますが、自分に適した履歴書を選択すればよいでしょう。
