「休職中の転職活動は法に触れるのか」「転職活動が休職中だった場合、転職先にはバレるのだろうか」休職の経験がある人なら疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
本記事では休職中の転職活動について解説します。転職先に事情を話すべきか、転職活動に良いタイミングはいつかなどがわかるので、参考にしてください。


目次
休職中の転職活動は違法?
企業に勤めているけれど、ケガや留学などの都合で休職する場合があります。まとまった時間がとれることから、これを機会に転職活動をしてみようかと思うことがあるでしょう。しかし、現在、雇用契約のある企業から休みをもらっている状態で転職活動をしてよいものか、違法ではないのかと不安になる人は多いです。
結論から言うと、休職中であっても、転職活動を行うことは違法ではありません。
そもそも休職とは、企業に勤めている従業員が、病気やケガなどで働けなくなった期間や、災害ボランティアといった社外で活動したい期間に利用する制度です。休職は、会社都合休業とは異なり自己都合による休暇なので、勤めている企業によって、取得を認めてもらえるかどうかは異なります。
つまり休職は、「企業が認めた休み」なので、その休みを何に使うかは、法律でしばられてはいないのです。
しかし、休職理由は別にあるのにもかかわらず転職活動を行うことは、違法ではないかもしれませんが、在籍中の企業にとっては良くないことでしょう。復職前提のため、社会保険料を企業が企業負担分を支払ってくれていることからも、好ましくないことだと考えられます。
「休職中の転職活動である」ということは、転職先にとってもあまり良い印象を持たれない可能性があります。本来の目的とは異なった休暇の使い方をしている、モラルに反すると解釈されることがあるからです。「休職=心身に不調がある」と思われ、転職活動に不利に働くこともあるでしょう。
また、企業によっては「休職中に転職活動をしてはいけない」と定めていることがあります。違法ではなくても在籍企業の就業規則に違反することがあるので注意が必要です。
休職中の転職活動がバレるケースとその理由
休職理由を話したくない、などの理由で休職中であることを隠して転職活動をしていても、バレてしまうことがあります。バレる主な理由を5つ解説します。
転職後に源泉徴収票を提出してバレる
入社後に、転職先企業から前職の源泉徴収票の提示を求められ、バレるケースです。源泉徴収票には、1年分の給与総額や支払った所得税額、前職の情報などが記載されています。
休職中は給与がもらえないため、源泉徴収票に記載されている給与総額と申告していた前職の給与額に相違が出て、違和感を持たれてしまうのです。前職の給与額を申告していなくても、給与総額が低すぎれば、無給期間、あるいは減俸処分などがあったのでは?と疑われるため注意が必要です。
基本的に提出した源泉徴収票を確認するのは経理担当者ですが、金額に違和感があった場合、現場の管理職まで情報が伝わることがあります。
休職を隠していたことが原因で信頼関係が崩れてしまうこともあるので、あらかじめ正直に話しておくか、休職がバレないように源泉徴収票を提出せず、自分で確定申告を行うなどの対策をする必要があるでしょう。
住民税の納税額からバレる
住民税は給与から天引きされるため、住民税の額を確認され、低すぎると休職がバレてしまう可能性があります。
一人ひとりが支払う住民税は、前年の給与額によって決定されるため、住民税が少ないと給与も少なかったということになります。源泉徴収票のケースと同様に、申告していた給与額に対する納税額にしては少ないことで、気づかれてしまうでしょう。
住民税に関しては、会社員は自分で納税する方法に切り替えられません。そのため、経理担当者には必ず知られます。しかし、基本的に経理担当者しか気づかないため、直属の上司に報告などがいかなければ、あまり追求されることはないでしょう。
健康状態に関わる提出書類でバレる
健康状態を申告する書類でバレるケースもあります。履歴書には健康状態を記入する欄があり、疾患に関する情報を記入すれば、「そのような疾患があるのなら、休職期間があるのでは?」と思われる可能性があります。
履歴書は公的文書なのでウソを書いてはいけませんが、企業側が何を知りたいかをくみ取ることは必要です。採用担当者が健康状態を知りたいのは、「通常業務に支障がある疾患があるかどうかを確認したい」という理由からです。通院の必要があり、入社後の協力を得たいなどの特別な事情がない限りは、履歴書の健康状態欄には「良好」と記載しましょう。
また、入社してから健康状態の自己申告書の提出を求められることがあります。このときに記載した既往歴などにより、休職が疑われます。「すでに完治している」など、転職先が不安にならないように工夫して報告することが大切です。
傷病手当金の申請でバレる
業務に関係ない事由でケガをしたり病気になったりして休職した場合、条件に当てはまれば傷病手当金を受け取れます。前職の在職期間中に受給していた場合、転職先でも傷病手当金を申請すると、以前にも受給していたことがわかります。その際に、休職していたことがバレる可能性があるのです。
1つの病気やケガにつき、傷病手当金の支給期間は、支給開始日から1年6カ月以内と決まっています。そのため、同一の病気で以前に傷病手当金を申請した場合、2度目の申請時点が期間内であるかどうかを確かめる必要があるのです。
しかし、傷病手当金は非課税所得なため、源泉徴収票に記載されたりはしません。そのため、同じ病気になって過去の利用履歴を照会されなければ、そこから休職期間があることがバレることはないでしょう。
SNSの投稿内容からバレる
TwitterやInstagramなど、SNSで自身の情報を発信することにより、休職していることが転職先や面接などを受けた会社にバレてしまうことがあります。
採用担当者は、人柄や発信力、フォロワーの数などを見るために応募者のSNSアカウントをチェックすることがあります。採用担当者に休職中であることがバレてしまうと、その投稿内容によっては採用可否に影響がでるかもしれません。誰が何をどう解釈するかはわからないので、SNSで自身が休職しているという情報、また、休職が疑われる情報は出さない方が無難です。
また、自分でSNSを利用し発信していなくても、友人や職場の同僚などのSNSからバレてしまう可能性もあるので、むやみに自分の情報を周囲の人に伝えない方がよいでしょう。休職がバレて心証が悪くなる可能性を避けるためには、誤解を与えるような投稿は避ける必要があります。


転職先企業に休職していたことがバレるとどうなるのか?
転職先の企業に在籍中の企業、または前職で休職していたことを隠しており、バレてしまった場合はどうなるのか、3つのケースを解説します。
入社前なら内定取り消しになる可能性がある
入社前の内定が出ている段階で休職していたことが発覚すると、内定取り消しになる可能性があります。なぜなら、履歴書や面接での発言に虚偽があったとみなされることがあるからです。
内定後に提出する書類には、源泉徴収票や健康状態の申告書などがある場合があります。また、企業によってはリファレンスチェックを行います。リファレンスチェックでは、前職での実績・スキル・給与額などをチェックしており、場合によっては休職履歴が発覚することもあるので注意が必要です。
申告した内容とズレがあると、不信感を抱かれるでしょう。業務への支障を危惧され、内定が取り消されることもありえます。
また、内定通知書には内定の取消事項に「健康状態の悪化やそれに準ずるもの」などと記載されていることもあるため、休職の原因を追及され、病気やケガなどが完治していない場合でも内定が取り消される可能性があります。入社した後に前職での休職がバレた場合、解雇されることがあります。
入社後なら解雇になる可能性がある
企業によって異なりますが、休職理由が業務を遂行できないほどの病気やケガで、それが完治しておらず報告もしていない場合は、解雇される可能性があります。基本的に企業側は簡単に解雇できませんが、著しく業務に不利益を与えると判断された場合は解雇に踏み切ることができるのです。
また、解雇まではされなくても、虚偽の報告などが発覚した時点で信頼関係は崩れてしまい、今後の業務や仕事仲間との関係性が悪化することも考えられます。転職後に信頼してもらおうと思うなら、自身の情報は正確に伝えておきましょう。
業務内容が変更される可能性がある
前職で休職していたことがバレた場合、ステップアップにつながる仕事や企業側にとって大切な仕事を回してもらえなくなる可能性があります。場合によっては部署異動などがあり、希望の業務に携われなくなってしまうこともあるでしょう。
休職していたこと自体よりも、休職を隠していた事実は、悪印象につながります。企業側は社運をかけた企画や業務を信用の置けない人には任せません。
後から休職の過去がバレると、正直に伝えていた場合に比べて圧倒的に信用を失いやすいです。思うような業務に就きたいと思うなら、転職活動時にしっかりと事情説明をし、転職先の信頼を獲得しておきましょう。
転職活動を行う適切なタイミング
休職中でも職業選択の自由は法律(日本国憲法)で守られています。休職中の転職活動は、スケジュール調整がしやすかったり、転職活動がうまくいかなくても復職すればよかったりとメリットはあります。
しかし、転職活動を実行するには、より適切なタイミングで行うことが大切です。病気やケガによる傷病休職であれば、心身ともに健康な状態にもどり、復職できてから改めて転職活動を行うとよいでしょう。
ボランティア活動などの自己都合による休職や留学休職も、自身のステップアップとなる活動であり、転職先にアピールできる経験となっているかもしれません。正直に、前職在籍中に経験したことを話せると転職に有利となる可能性もあります。
また、休職中に転職活動を行うと、休職中であることがバレるのが不安で、面接で挙動不審になったり、自信を持って面接官の質問に答えられなかったりします。バレたときに信用を失う可能性があることも覚悟しておかなければいけません。
休職中であるが、復職が難しい事情がある場合は退職をし、改めて求職活動を行うとよいでしょう。どうしても休職中に転職活動を行う場合は、在職中企業の就業規則を確かめ、転職活動が違反にあたらないかを確認し、転職先企業には休職中である旨を正直に伝えることをおすすめします。


休職後の転職活動で休職理由を伝えるときのポイント
休職後、転職活動において転職理由を正直に伝えた方が、後から判明するよりは印象が良いです。伝えるタイミングや伝え方を押さえておく必要があるので、解説します。
家庭の事情で休職していた場合
介護や子どもの病気、育児により休職していた場合は、正直に伝えましょう。とくに隠すことでもないため、本人に病気やケガがあるわけではなく、健康体であることを伝えてください。
その上で、今後同じ理由で休職する可能性があるかどうかも正直に伝えるのが重要です。休職する可能性があると、前向きに採用を検討してくれないことも考えられます。そのため、介護や病気による世話が必要になったとき、どのように対策をするのかを答えられるようにしておくとよいでしょう。他にサポートしてくれる人がいるなどアピールしておくことが大切です。
心身の問題により休職していた場合
病気が原因による心身の問題で休職しているのであれば、どのような病気かを正直に伝えましょう。現在の病状を明確に伝えておくことも重要です。業務に支障をきたすことはなく、問題なく働ける状態であることをしっかり説明します。
もし働く上で行動制限や条件があるのであれば、あらかじめ伝えておくことも大切です。転職先企業の了承を得ておくと、入社後に無理をしないですみます。
また、休職理由がパワハラやセクハラなどのコンプライアンス上の問題による心身のダメージであるならば、言える範囲で伝えておきましょう。理解を示してくれる企業であれば、採用の可否に休職が影響することはないでしょう。
スキルアップのために休職していた場合
資格の取得や留学などによるスキルアップのための休職だった場合は、休職期間中に得られたスキルや知識を伝えるのが重要です。得たスキルを面接先の企業でどのように役立てられるのかも伝えましょう。
前向きな理由での休職なので、相手に悪印象を与える可能性は低いです。しかし、以下について整合性がとれている必要があります。下記についてしっかり答えられるようにしておきましょう。
- なぜそのスキルを得る必要があったのか
- 休職してまでする必要があったことなのか
- 復職ではなく、なぜそのスキルを転職先で活かしたいのか
また、「再度スキルアップのために、自社でも休職する可能性があるのでは?」と転職先企業に思われる可能性があります。その可能性についても正直に伝えておくことが大切です。


休職後の転職を成功させるためのコツ
休職中、今後の転職のために何かできることはないか?という人のために転職を成功させるために実践できることをお伝えします。ぜひ参考にしてください。
休職中は転職の準備に力を入れる
休職中でも、今後の転職活動のためにできることはあります。少しでも時間の余裕があるときに、準備をしておくのがおすすめです。具体的には、以下のような準備ができます。
- 転職したい業界や企業のリサーチ、研究
- 自己分析
- キャリアプランの作成
- 必要な資格があれば、資格取得のための勉強
- 実際の面接時の想定問答を考えておく(休職理由の説明などをふくむ)
- 履歴書や職務経歴書の用意
上記の作業は意外と手間や時間がかかるため、復職後に行うのは難しくもあります。しっかり準備を行っておけば、復職後・退職後にスムーズに転職活動をスタートできるでしょう。
ただし、休職理由が病気などの体調不良であれば、無理をしすぎないようにしてください。
休職期間に関する情報は正しく伝える
休職期間に関する内容を正しく伝えることは、信用につながります。休職理由を前向きな印象にするためにも、以下をごまかさずにきちんと伝えましょう。
- 休職期間の長さ
- 休職の理由
- 休職したことによる現状
休職期間中どのように生活していたかを伝える必要はありませんが、正しい情報を伝え、休職したことで万全に働ける状態であることをアピールしましょう。
キャリアアドバイザーに相談する
ひとりで転職活動について悩んでいる場合、キャリアアドバイザーに相談するのも一つの方法です。
現在休職中であればすぐには転職活動を行えませんが、キャリアアドバイザーに休職・復職・転職についての不安を相談することは可能です。今後のキャリアプランについても相談し、適切なアドバイスをもらいましょう。履歴書や職務経歴書、自己PRの内容も休職のことを加味しながら一緒に考えてくれるので、力強い存在となってくれるでしょう。
休職中の転職準備はPaceBoxがおすすめ
休職中の転職の準備には、オファー型転職サイトの「PaceBox」がおすすめです。
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希望を明示しておけば、それに合ったオファーが届きやすくなりますし、休職の理由も記載しておけば、それを理解している企業からオファーが届きます。
休職中にプロフィールを準備し、復職したらオファーを受け取り始めることができるので、自分のペースで転職活動を進めることができます。
また、PaceBoxのキャリアアドバイザーには、書類作成や面接対策のほか、「休職について企業にどう伝えたら良いか」といった具体的な相談もできます。
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休職中であることは正直に伝えるのが相手と自分のためになる
休職中の転職活動はバレたときのリスクが大きく、内定取り消しや解雇をされる可能性もあります。そのため、転職活動は、休職中ではなく復職・退職後に行いましょう。
休職によって転職がうまくいくか不安なら、キャリアドバイザーの力を借りるのがおすすめです。
