転職で年収が上がることは多くの人にとっては嬉しいことでしょう。しかし、上がりすぎると逆に不安になってしまい、ストレスに感じる場合もあります。この記事では、転職で年収が上がりすぎる理由や上がりすぎる人の特徴、そうした状況に置かれた場合の注意点を解説します。


目次
転職で年収が上がりすぎて怖い! 考えられる理由
一般に、転職するにあたっては、前職よりも高い年収を期待する人が多いでしょう。しかし、その差が大きすぎると、かえって「怖い」と感じる人もいるかもしれません。そこで、転職で年収が大幅に上がるケースにおいて考えられる理由を4つ紹介します。
年収の高い外資系企業に転職した
転職で年収が上がる理由のひとつとして、年収の高い外資系企業への転職が考えられます。
一般に、日系企業から外資系企業に転職した場合、年収が上がる傾向にあります。外資系企業の多くは、従業員の成果に応じたインセンティブ給を採用しており、年功序列制でベース給(基本給)を採る日系企業よりも平均年収が高くなっているためです。外資系企業では、若手社員のうちから成果を出せば、高年収を獲得できる可能性があります。
転職にあたって、スキルや知識を評価されて雇われたのであれば、大幅な年収アップが実現しても不思議ではありません。ただし、外資系企業では給与体系や社風などが日系企業と異なります。年収が上がりすぎることのリスクというわけではありませんが、そうした違いも理解した上で転職を決めましょう。転職で年収が上がりすぎる理由としては、転職した業界が他の業界と比べて平均年収が高いケースも考えられるでしょう。平均年収は業界や企業によって大きな差があります。たとえば、IT・通信、金融、メーカー、総合商社などは平均年収が高いため、転職できれば年収が上がることになる一方で、サービス、小売・外食業などの平均年収は低くなっています。
あるいは、国税庁が示す統計調査によれば、業種別の平均給与でもっとも高いのが化学工業の568万円、次いで金融保険・不動産業の558万円で、逆にもっとも低いのは農林水産・鉱業の298万円です。
参照元:民間給与実態統計調査「1.平均給与」〔業種別の平均給与〕|国税庁
これに基づいて考えると、仮に農林水産業から化学工業に転職した場合、年収が200万円以上もアップする計算になります。年収アップを目指すのであれば、平均年収の高い業界への転職を検討するのも一案でしょう。
前職が平均年収のかなり低い業界だった
上記とは逆に前職が平均年収のかなり低い業界だった場合にも、年収が上がりすぎる可能性があります。年収が上がるというのは、あくまでも相対的なものです。したがって、前職の年収が平均よりも相当低かった場合には、転職先がどの業界や業種でも年収が高いと感じられるでしょう。
たとえば、サービス業や製造業など、平均年収の低い業界から金融業界などに転職すると、年収が大幅にアップすることがあります。転職で平均的な年収になり、これまでに得たスキルや経験を転職先で活かすことで、給料が上乗せされて年収が上がりすぎだと感じることもあるでしょう。このように、前職と転職後との平均年収の差が「上がりすぎ」と思わせる要因になることもあります。
キャリアアドバイザーのサポートに恵まれた
キャリアアドバイザーのサポートによって転職した場合もまた、年収が上がりすぎることがあります。
転職する際には、キャリアアドバイザーのサポートが重要です。「自分は転職しても大丈夫なのか?」といった悩みから特定業界の転職市場のトレンドまで、転職に関するあらゆる相談に対応してもらえます。また、年収アップの条件を相談したり、面接のアドバイスを受けたりすることで、自分に合った転職先を見つけることができます。
孤独になりがちな転職活動で「強い味方」となるキャリアアドバイザーのサポートに恵まれた場合、年収が大きく上がる可能性が高いでしょう。


年収が上がりすぎる人に見られる特徴
転職をきっかけに年収が上がりすぎる人の特徴を5つ紹介します。
これまでに培った経験・スキルを活かせる企業に転職している
これまでに培った経験やスキルを活かせる企業に転職しようとする人は、前職と同じ業界や職種であれば経験を活かせるため、即戦力として期待も大きくなり、高い報酬を打診されやすくなります。さらに、マネジメントや社員育成の経験がある場合は、はじめから管理職候補として採用されることで、年収アップにつながるでしょう。
現在の市場で需要の高いスキルを身に付けている
現在の市場で需要の高いスキル、たとえばITやデジタルマーケティング、経理などの専門分野に関する能力を身に付けている人は、転職を機に年収アップしやすくなります。また、実務で十分に通用するレベルの英語を活かした転職でも、年収が上がる可能性があるでしょう。
とりわけ最近では、年収の高いプログラマーやエンジニアの需要が高まり、プログラミングスクールで学ぶ人が増えています。スクールに通うのは費用がかかりますが、しっかりスキルを身に付けることで高年収の転職が実現すれば、すぐに回収することも可能です。自己投資として検討する余地があるでしょう。自分を磨くことで他業界や異業種から転職できる場合もあり、年収アップを狙えます。
会社の利益に貢献できる
会社の利益に貢献できる人は、その対価として給与もアップするため、年収も上がりすぎることがあります。特に売上などが可視化されやすい営業職では、成績が給料や賞与に反映され、同期入社でも大きく差がつくことは珍しくありません。優秀な営業が引き抜きなどによって転職した場合、年収が大幅アップすることもあるでしょう。
また、転職活動において生産性の高さや利益に対する貢献度を数字でアピールできれば、高年収で採用される場合があります。転職を希望する企業に対し、自分が具体的にどのような貢献ができるかを示せる人は、年収も上がりがちです。
将来性のある業界を見極めて転職している
転職にあたって将来性のある業界を見極められる人も、年収が上がる傾向にあります。給与は企業の経営状況や業績に左右されるため、成長が期待できる企業に転職することで、会社の売り上げが増え年収も上がるという流れです。たとえば、ITなどの分野は社会的ニーズが高まっており、将来的に需要が増えることが予想されます。
転職によって年収を上げたいのであれば、各業界・業種の情報収集を行い、希望の転職先に将来性があるのか判断するようにしましょう。
面接で自分を適切に売り込めている
面接で自分の強みや経験を適切に売り込むことで、採用担当者の興味を引き、高い年収を提示されることがあります。
いくら転職による年収アップを希望しても、企業側が評価しなければ採用に至りません。自分にどのようなキャリアがあって、どういった形で会社に貢献したいのかを企業側に伝え、年収アップの希望や採用するメリットをアピールできる人は、年収が上がりやすくなるでしょう。


転職で年収が下がってしまう人の共通点
転職を機に年収が下がってしまう人は、次のような5つの共通点があります。
自分が能力のレベルを理解できていない
自分が持つ能力のレベルを理解できず過大評価してしまう人は、能力に釣り合わない高い年収を希望する傾向があります。自分を過大評価すると、転職後の職場が実力に見合わず早々に退職してしまい、職を転々とする結果となりかねません。
転職で年収を下げないためには、自分の能力を客観的に把握し、転職先で活躍するために必要なスキルや知識を身に付けることが大切です。常に自己分析を欠かさず、等身大の実力を発揮すれば、高年収の企業に転職できる可能性があります。
転職によって役職・ポジションがなくなる
転職先で、前職のような役職やポジションが保証されるとは限りません。管理職だった人が転職し、役職やポジションがなくなれば、管理や責任が減るため年収は下がることが多いでしょう。
一方、中小企業から大企業に転職した場合は、役職やポジションが下がったりなくなったりしても、年収は上がる可能性があります。転職前に自分が望む役職やポジションを明確にし、年収ダウンを回避することが重要です。
年収の交渉がうまくできていない
転職時に年収交渉がうまくできない人は、年収が下がってしまう可能性が高くなります。ただ、年収の交渉をしたとしても、自分の市場価値を正しく評価できておらず年収交渉がうまくできなかったり、交渉する好機を逃してしまったりして、増額に結び付かないことはあるでしょう。
自分の市場価値を正しく理解し、金額が見合っていないと感じるのであれば、年収の交渉はしたほうがよいといえます。交渉を効果的に行なうためには、実績をアピールできる資料などを事前に準備することも必要です。そうした交渉をうまくできる自信がない方は、キャリアアドバイザーに相談してみるとよいでしょう。
転職先の選択が誤っている
転職先の選択が誤っている人も年収が下がりがちです。転職先の選択を誤るケースとしては、2つ考えられます。
まず、自分の強みを活かせない転職先を選ぶケースです。たとえば、自分のキャリアプランや目標を考慮せず、単に給与だけに注目してしまい、自分に合わない転職先を選んでしまうといった状況が挙げられます。この場合、自分が持っているスキルや経験を必要としている企業に転職できれば、年収アップにつながるでしょう。
次に、成長が期待できない企業や業界などに転職した場合も、年収は下がる傾向があります。企業や業界自体に、人件費へ割けるだけのリソースが不足しているためです。成長性の有無を知るには、あらかじめ応募先の企業・業界研究を十分に行なうことが大切です。
自身の価値を高めるための努力を怠っている
自分のスキルや経験を積極的にアップデートし、付加価値を高めることができなければ、転職で年収アップを目指すことは難しいでしょう。特に、常に技術が進歩するような業界では、学ぶことを怠ると遅れをとってしまいます。
業界の最新動向を追いかけ、新しいスキルや知識を身に付けるためには、セミナーや勉強会に参加したり、書籍やオンライン教材で学んだりすることが必要です。自己投資をすることで、自身の価値が上がり、年収アップにつなげることができます。
転職で年収を上げるためのコツ
転職の目的として多いのが、収入のアップです。ここでは転職で年収を上げるためのコツを4つ解説します。
まずは自分の市場価値を確かめる
転職の際は、企業側から応募者の市場価値を判断されます。市場価値とは、応募者の実績・スキル・経験を見て採用したいと思う企業がどれだけあるかという意味です。採用を望む企業が多い、いわゆる引く手あまたの人材であれば、市場価値もそれだけ高くなります。
転職前に自分の経験やスキルを客観的に評価し、市場価値を把握しておくことで、効率的な求人探しができます。自身の能力を適正に評価できていれば、それに見合った年収交渉もしやすくなるでしょう。
年収が上がりやすい企業や業界を選ぶ
年収を上げるためには、平均年収が高い企業や業界を選ぶことが重要です。もちろん、平均年収が高いからといって自分の年収が上がるとは限りません。しかし、平均的な能力を有している場合は、平均年収の高い企業や業界のほうが、年収は上がりやすくなるでしょう。 特に、ITや金融業界などの専門職や、成果主義を導入している企業は年収が高い傾向にあります。
また、外資系企業や将来性が見込めるベンチャー、自分が有するスキルの希少性が高い他業界でも年収アップが期待できます。業界や企業の特徴を把握して、自分に合った選択をすることが重要です。
企業研究はしっかりと行う
求人票の内容から自分が興味を持っている業界や企業をピックアップし、企業研究をしっかりと行いましょう。年収の高さだけで企業を判断してしまうと、後悔する可能性があるからです。労働条件には、さまざまなものがあります。福利厚生や労働環境、賞与の条件などを把握しておくことも大切です。こうした企業研究を徹底すれば、転職先の企業とのミスマッチを防げて、納得のいく転職ができる可能性が高まります。
キャリアアドバイザーに相談する
年収アップに結び付く転職の仕方がわからない場合は、キャリアアドバイザーに相談し、サポートを受けましょう。キャリアアドバイザーはさまざまな業界・業種に精通しており、自分のスキルや実績の中で、年収アップにつながるものを教えてもらえます。
新卒での就職活動とは異なり、多くの転職活動では、働きながら転職先を探す形となるでしょう。こうした場合にも、キャリアアドバイザーに相談すれば適切なアドバイスが得られ、効率的な転職活動が可能になります。


転職で年収が上がりすぎた場合の注意点
転職による急激な収入アップは、人生における大きな変化の一つであり、慣れるまで落ち着かなさを感じることもあるでしょう。そこで、注意点を2つ解説します。
ストレスを感じすぎないように注意する
人によっては、年収が急激に上がることでプレッシャーに押しつぶされそうになり、強いストレスを感じることがあります。自分を追い込んでしまうと仕事のパフォーマンスが低下し、分不相応な高収入を得ているように感じるといった悪循環に陥るリスクが出てきます。新しい環境に慣れるためには時間も必要です。ストレスを感じすぎないように、手は抜かなくとも肩の力を抜いて、目の前の仕事に取り組みましょう。
また、ストレスを感じたときは、ストレス解消の方法を見つけることが大切です。たとえば、趣味に打ち込む、スポーツで体を動かす、気の置けない仲間と過ごすなど、自分に合った方法を見つけましょう。セルフケアの方法を自分なりに確立することで、心身の健康を保ちやすくなります。
年収が上がりすぎたことに対して気後れや遠慮をしないこともストレスをためない方法です。気負わずに、転職に成功した自分を認めてあげるのもよいでしょう。
正当な評価を受けたと前向きにとらえる
年収が急激に上がったとしても、それは正当な評価なのだと自信を持って受け止め、前向きにとらえることが大切です。
年収が上がりすぎていると、本当に大丈夫なのかと不安に感じることもあるかもしれません。しかし、年収は転職先の企業がきちんと評価した結果として決められるものです。理由や根拠なしに年収が上がりすぎることは考えにくいでしょう。そのため、周りへの遠慮は不要です。
とはいえ、自分自身に甘えず、常に成長を続けることも大事です。周りの人々への感謝も忘れず、自分を取り巻く環境を大切にしましょう。
転職で年収が上がりすぎることは実際にある
外資系企業やIT業界への転職、前職が低収入だったことなどの理由により、転職で大幅に年収が上がることはあります。ただ、そうした場合は人によってストレスを感じることもあるため、前向きにとらえることが大切です。自身の価値を高め、適正な年収を得るためには、市場価値の把握や企業研究、キャリアアドバイザーへの相談を行うとよいでしょう。
