転職の際に提出を求められる履歴書には、専用の写真を貼る必要があります。転職活動において履歴書写真の役割は決して小さくはありません。特に書類選考がある場合は、一枚の写真が採用担当者の抱く印象を左右することになるでしょう。本記事では、転職活動で不可欠な履歴書写真の重要性や基本的なルール、きれいに撮るためのコツなどを解説。採用担当者や面接官に良い印象を与える履歴書写真のポイントを押さえておきましょう。


目次
履歴書の写真はどうして重要なの?
そもそも、なぜ履歴書写真が重要なのでしょうか。転職であれば前職の実績などキャリアの内容で勝負すべきと考える人もいるでしょう。確かにキャリアも重要ですが、履歴書の写真は多くの人が思っている以上に重要性が高いのです。採用担当者は転職希望者の履歴書をみた際、写真に必ず目をやります。書類選考がある場合は特に、応募者をイメージしやすくするために履歴書写真を見ながら職務経歴書にも目を通すことになるでしょう。その写真の印象が悪ければ、一緒に働きたいと思ってくれることはありません。写真に表れる表情や髪型、服装、雰囲気などは採用担当者が応募者に対して抱く第一印象に大きな影響を与えるのです。
また、応募者が社会人としてのルールやマナーを守れる人間であるかをチェックするポイントにもなっています。履歴書にふさわしい写真を撮影し貼ることができていれば、少なくとも社会人としての最低限の良識を持っていると認識してもらえるでしょう。履歴書写真に至るまで提出書類の準備をしっかりとできている人は、細かな仕事でも丁寧に取り組める人であるという印象も採用担当者に与えられます。写真一枚が重要なアピールの武器となるのです。
履歴書写真の基本的なルールとは
履歴書写真には共通の基本的なルールが存在しています。応募企業の業種や職種にもほぼ関係ないため、転職希望者はここで履歴書写真のルールをしっかりと押さえておきましょう。
サイズは縦4cm×横3cm
市販されている履歴書は就職活動用でも転職活動用でも、写真の貼付枠のサイズはほとんど変わりません。多少写真のサイズに違いがあっても貼り付けられるようにはなっていますが、履歴書全体の見栄えも考えると「縦4cm×横3cm」の写真を選ぶとよいでしょう。このサイズであれば履歴書の写真貼付枠にちょうど収まり、採用担当者や面接官にも違和感を与えません。スピード写真など街中にある簡易的な証明写真の撮影サービスを利用する場合は、必ず「履歴書用」を選んでください。縦4cm×横3cmの写真が複数枚印刷されて出てくるはずです。履歴書を自作する場合にも、このサイズの写真が収まるよう写真貼付枠を設けましょう。写真を切り取る場合はハサミよりもカッターの使用をおすすめします。ハサミは側面が歪んでしまうことが多いためです。定規をあてながらカッターで切るとまっすぐきれいに切り取ることができます。
3カ月以内に撮影したもの
履歴書用の写真は、履歴書作成から3カ月以内に撮影したものを用意してください。個人差はありますが、3カ月の期間で髪型の変化や体重の増減で印象が変わる人は少なくありません。履歴書の写真と面接時の姿に大きな差があると、それだけで面接官は違和感を覚えてしまうでしょう。それが即座にネガティブな印象に繋がるとは限りませんが、違和感は面接の受け答えの邪魔になることも十分に考えられます。履歴書の写真と変わらない印象で面接へと臨むことが理想です。撮影した時期が3カ月以内であったとしても、履歴書作成時と比較して髪色や髪型、肌の色やメイク、顔つきなど見た目の印象が変化しているようであれば、もう一度撮り直すことをおすすめします。
背景の色は白・青・グレー
写真の背景は、白・青・グレーのいずれかから選んでください。どの色でも背景は無地である必要があります。この3色であればどれを選択しても問題ありませんが、おすすめは淡い青もしくはグレーです。より人の肌の色が映えるため、暗い印象を与えずに済むでしょう。白い背景を好んで選ぶ人もいますが、白い色が強すぎると人の顔のトーンが下がってしまい、少し暗い印象を与えかねません。ほんのわずかな差ではありますが、より明るい印象を与えたいのであれば青かグレーの背景を選びましょう。


履歴書写真を撮る3つの方法!
履歴書写真を撮影する方法は主に3つあります。それぞれの方法の特徴を紹介していきましょう。
1.写真館でプロに撮影してもらう
まず紹介するのは、写真館でプロに撮影してもらう方法です。写真館での撮影は、プロの写真家に服装や姿勢などをチェックしてもらいながら行われます。客観的な視点から履歴書に最適だと感じる写真を撮ってもらえるでしょう。撮影の設備や機材が充実しており、プロが撮影するため技術も優れています。他の方法と比較し、きれいな写真に仕上がることが最大のメリットです。撮影した写真のデータをもらえる写真館も少なくありません。データがあれば写真が必要になった際には改めて撮影する必要がなく新たな写真を手に入れられます。デメリットは他の方法よりもコストがかかってしまう点です。また、仕上がりまでに時間もかかってしまうでしょう。長くても1時間ほどですが、履歴書の提出時間に間に合うよう余裕を持って撮影することが求められます。
2.スピード写真を利用する
街中にあるボックスに入り、自分でお金を入れて写真を撮影するサービスがスピード写真です。手軽に撮影できる点がメリットでしょう。所要時間も多くのスピード写真で10分未満となっています。費用も800円程度で複数枚の履歴書用写真を手に入れることが可能です。スピード写真は鏡のように映る自分の姿を見ながらガイドに沿って表情や姿勢、髪型などを整え撮影に臨みます。表情や姿勢のチェックは可能ですが、他人から見た際に良いと感じるものが撮影できるとは限らない点には注意が必要です。
写真のクオリティも写真館には劣ります。色調補正のあるスピード写真も普及してはいますが、全体的に凹凸が少なく加工していることが伝わってしまう写真に仕上がることが多いでしょう。また、撮影回数が限られているため、その回数以内に気に入った写真が撮影できない可能性もあります。慣れていなければ納得のいかない写真しか撮れず、それを履歴書に貼り転職活動に臨まなければいけないケースが出てきてしまうため注意してください。
3.アプリなどを使って自撮りする
スマートフォンのアプリなどを利用し、履歴書用の写真を自撮りする方法もあります。無料アプリであれば、撮影の費用はかかりません。所要時間も数分程度と、他の方法よりも素早く撮影できます。納得できるまで何度でも撮影できる点もメリットです。背景や肌の色合いなどの加工も可能です。ただし、写真そのもののクオリティは他の方法と比べて劣るので注意しなければいけません。スマホ上で見るぶんにはきれいに撮影できますが、印刷して履歴書に貼ることを考えると、やはり写真館やスピード写真のクオリティには及ばないでしょう。写真館のようにプロからの指示もなく、スピード写真のようなガイドもないため、角度や光の調整にも少し手間取りそうです。


履歴書写真を撮るときのチェックポイント
サイズが適正で写真のクオリティが高くても、写っている本人の身だしなみなどに問題があれば履歴書写真としては不適切です。採用担当者に良い印象を与えるためのチェックポイントを押さえておきましょう。
髪型
顔がよく見える髪型に整えましょう。男性であれば、軽くワックスでまとめると清潔感も生まれます。ただし、毛先で遊ぶようなワックスの使い方は、職種によっては避けた方が無難です。おでこを出すように前髪を上げ、毛先が尖ったり飛び出したりしないようにまとめます。女性の場合は、髪が顔にかかる長さの場合は耳にかけたり後ろでまとめたりしておきましょう。ヘアアクセサリーは使わないか、もしくは写真に写らないようにしてください。男女ともに耳を出すと、より表情が明るく見え元気な印象を与える効果が期待できます。
服装
転職活動の場合、服装はスーツを着用して写真撮影することをおすすめします。黒か紺のスーツに白のワイシャツもしくはブラウスを着用しましょう。男性はネクタイも締めてください。その際、派手なものではなく紺地にストライプなど無難なデザインを選びましょう。履歴書用の写真は頭から胸あたりまでしか写りませんが、中にはスーツの着こなしや乱れもチェックしている採用担当者もいます。ごまかせると安易に考えず、また、適当な着方で写真撮影に臨むことも避けるべきでしょう。特にサイズ感は重要です。シャツもジャケットも自分の体型に合ったサイズのものを着用してください。シワや汚れなどがないか撮影前の確認も徹底します。清潔感があり、かつシンプルにまとめることを意識しましょう。
姿勢
履歴書写真では、姿勢も非常に重要です。必ず正面に向かって背筋を伸ばした状態で写真に収まります。左右どちらかの肩が下がったり上がったりしないよう注意しましょう。あごも上がりすぎても下がりすぎてもいけません。猫背にも注意し、顔が前に出すぎたり逆に背筋を伸ばしすぎて胸を過剰に前に出したりする姿勢もNGです。肩の張りすぎも避けてください。これらの点に注意しながら余計な力を入れず自然な姿勢で撮影に臨みます。撮影前には違和感がないか、必ず鏡などでチェックしましょう。
表情
写真撮影時は、口を閉じ口角を軽く上げて微笑む程度の表情で撮影すると明るい印象を与えられます。ただし、極端な笑顔になってしまうと履歴書用の写真にふさわしくないと捉えられてしまうケースもあるので要注意です。一部の業界や職種では歯を見せて笑顔を作っている写真を求められることもありますが、一般的な転職活動では歯を見せずに写真を撮影した方がよいでしょう。大げさな笑顔は必要ありませんが、無表情にならないように注意してください。普段あまり笑わない人は表情筋が硬くなっていることもあります。本人は微笑んでいるつもりでも無表情や暗い表情になっている場合もあるので、撮影前には柔らかい表情を作る練習をしておくことをおすすめします。緊張でこわばった表情にならないようにも注意が必要です。口元だけではなく目も含めて顔全体で柔和な表情が作れるようにしておきましょう。
メイク
メイクをする場合は健康的でナチュラル、かつ落ち着いた印象が与えられるよう意識しましょう。転職する業界や企業によって基準は異なりますが、あまり濃いメイクは避けた方が無難です。特に、派手な印象を与えてしまう濃いマスカラやアイライナーなどは履歴書用写真には向きません。奇抜な色の使用も避け、自分の肌に近い色合いのメイクを意識してください。リップも赤すぎる色は避け、落ち着いたナチュラルなカラーを選択します。黒目の色を変えるようなカラーコンタクトも避けましょう。
履歴書用の写真は何よりも清潔感と自然体を意識しましょう。自分をよりよく見せたい気持ちは理解できます。しかし、転職の際には派手なメイクは逆効果になるケースが多いことを認識しなければいけません。違和感を与えたり他の応募者から浮いてしまったりしないことを意識して履歴書写真の撮影に臨みましょう。


履歴書写真をきれいに撮るポイント
履歴書写真は、工夫次第でさらにきれいに撮影できます。簡単にできるコツやポイントを紹介しましょう。
ひざに白いハンカチを広げる
写真を座って撮影する際、膝の上に白いハンカチを広げてみましょう。撮影の瞬間に機材が発する光が反射し、顔の下側からも明るく照らしてくれます。これにより目の下のクマや頬の下にできがちな影を薄くする効果が期待できます。白いハンカチが、いわゆるレフ板の役割を果たしてくれるのです。スピード写真や自撮りの際にも効果が期待できるので試してみましょう。白いハンカチが用意できない場合はコピー用紙でも構いません。その際は、できる限り白色度の高いコピー用紙を使用してください。何もない状態で撮影するよりも明るく鮮明な写真に仕上がるでしょう。
適度に補正機能を使う
スピード写真やスマホのアプリを使用して写真を撮影する場合は、備わった機能を活用し適度に補正するとよいでしょう。スピード写真では、肌の色を明るくしたり肌質を良く見せたりできる補正機能を備えたものも出てきています。補正機能のない写真と比べると料金は高くなりますが、採用担当者からの印象が少しでも良くなることを考えれば、適切な出費となるのではないでしょうか。スマホのアプリにはさらに多くの補正や加工の機能が備わっています。肌の色や質感を補正する程度であれば、さまざまな機能を試してみてもよいでしょう。
ただし、目の大きさや輪郭を変えるような補正や加工は行ってはいけません。顔の印象が変わってしまうため、3カ月以内に撮影した意味もなくなってしまいます。面接の際には写真と実物の印象が異なることで、面接官の抱くイメージも悪くなりかねないでしょう。適度な補正や加工にとどめながら、履歴書用写真にふさわしい一枚に仕上げてみてはどうでしょうか。


写真を履歴書に貼る方法
履歴書用写真を撮影したら、履歴書に貼る前に必ず裏に自分の名前を書いておいてください。剥がれてしまった際に、誰の写真か人事担当者などがすぐにわかるようにするためです。両面テープやテープのりを使用すると、ベタつかずにきれいに貼れるでしょう。液体のりは塗ったり貼ったりする際に履歴書を汚してしまう可能性もあり、また、剥がれやすいものも多いので避けた方が無難です。履歴書に印刷された写真貼付枠の中に収まるようきれいに貼ることも心がけましょう。写真の貼り方一つでも採用担当者の印象が変わることがあります。適当に貼って印象を悪くしてしまうことは避けなければいけません。
きれいな履歴書写真で良い印象を残そう!
写真撮影や貼り方の基本的なルールやマナーを守るだけで、履歴書を受け取った採用担当者にポジティブな印象を与えることができます。決して、誰も見ていないだろうなどと考えてはいけません。写真がきれいであることは当たり前であり、それができなければマイナス評価になると考えておく必要があります。履歴書の中で唯一カラーの部分が写真です。採用担当者は必ず目にします。そこで印象を落としてしまえば、自己PRや職務経歴書に目を通してもらえない可能性も出てくるでしょう。それほど履歴書写真は重要なものであると理解したうえで、転職の準備を整えることが重要です。
