転職活動の際は、応募先の企業に提出する書類や、在籍していた企業に返却するもの、受け取る書類など、さまざまな必要書類があります。本記事では、転職に関係のある必要書類を紹介します。転職活動を始める際、応募する際、内定を得た際など、シーンに分けて必要書類や受け取る書類を確認しておきましょう。


目次
転職活動を始める際に必要なもの

転職先へ入社するまでには、さまざまなものが必要です。転職活動をしていくうえで「必要となる物品」や「確認しておくべきこと」をチェックしていきましょう。
必要なもの
転職活動をしていくうえで必要となるものは、基本的にすでに所持しているものが多いでしょう。必要となるものは、以下のとおりです。
<応募先の企業とスムーズに連絡を取るために必要なもの>
・個人的に使えるメールアドレス
・携帯電話
・パソコン
<生活のために必要なもの>
・生活費や交通費として使える、ある程度のお金
<複数の企業の選考スケジュールに対応するために必要なもの>
・スケジュール管理ツール
・スケジュール帳
これらのうち、パソコンは応募先の企業との連絡だけではなく、応募書類の作成のためにも使います。インターネットカフェなどにもパソコンがあるものの、転職活動で使うときには多くの個人情報を扱うため、ほかの人も使える公共のパソコンはできるだけ使わないほうが良いでしょう。最近では、アプリを使えばスマホで応募書類を作成可能です。
お金は、転職によって年収が下がる場合や、転職活動が長期化した場合に備えた資金があるとなお良いでしょう。
確認すべきポイント
転職活動を始める際には、まず前職を実際に退職できる日はいつになるかを確認すべきです。実際に退職できる日がはっきりしていないと、転職活動をする際に希望する企業に対していつから働けるのかを言えません。
中途採用を実施している企業では、実際に入社して業務にあたってくれるのがいつからなのかを気にしているため、入社日が不明確では採用を見送られてしまうことがあります。そうならないように、転職活動を始める段階で退職できる日を確認しておきましょう。
また転職活動を始める際は、自分が転職する目的や転職先を選ぶときに重視するポイントが明確になるように、整理しておくことをおすすめします。自分が重視するポイントが分かっていないと、応募企業を選ぶ際に判断しにくくなり、転職を失敗してしまうことにもつながりかねません。
なお、もしも前職を退職してから再就職するまでに期間が空く場合は、すぐに転職する場合よりも公的な手続きが多く必要です。健康保険の変更や雇用保険の給付手続き、年金の変更、住民税の支払いなど、手続きをしなければならないものが増加するためその分必要な書類も増えます。


求人へ応募する際に必要な書類

求人へ応募する際には、「履歴書」「職務経歴書」「送付状」などの書類を用意する必要があります。また紙の履歴書を用いるのであれば、「写真」「印鑑」「筆記用具」などもほとんどの場合でかかせません。このうち、写真はデータとして送る場合もあります。
履歴書に貼る写真は、採用担当者に与える印象を変えることもあるものです。書類選考の結果を左右するケースもあるため、服装や髪型、メイクなどに気をつけましょう。
それでは、求人へ応募する際に必要となる履歴書や職務経歴書、送付状について解説します。
履歴書
履歴書は、市販のものを購入する場合と、インターネットからダウンロードしたものを使う場合があります。どちらであっても、求人へ応募する際に使用することには問題ありません。
履歴書に誤字脱字がある、用意されている欄になにも書かれていないなどの部分があると、採用担当者にネガティブな印象を与えてしまいます。「大切な書類を雑に扱う人だ」と思われないよう、書き終わってからも、誤字脱字や空欄がないか細部までしっかりとチェックしなおしましょう。
転職活動をする際は、複数の企業の求人に応募することが多いです。しかし、ほかの企業で使った書類の内容を使い回すと、採用担当者にすぐに見抜かれてしまいます。悪い印象を与えて合格の確率を低くしてしまう可能性があるため、志望動機や自己PRなどを書く際は、応募先企業ごとに十分に考えた内容を書きましょう。
職務経歴書
職務経歴書とは、仕事に関してどのような経験やスキルがあるのかをまとめた書類のことです。一般的に、職務経歴書はパソコンを使用して作ります。
職務経歴書には決められた形式がなく、さまざまなフォーマットで作成可能です。その分初めから作ることは大変なため、インターネットからサンプルをダウンロードして作成すると作りやすいでしょう。
履歴書も職務経歴書も、どちらもインターネットなどから気に入る形式のものを選んで書類を作れます。しかし、履歴書はある程度のフォーマットが決まっているものです。職務経歴書は表現の仕方やフォーマットの自由度が高いため、自身の経歴にあわせてアピールしやすいものを選択して利用すると良いでしょう。
送付状
求人へ応募する際、必要な書類を郵送する場合には、送付状・添え状を同封してください。送付状もインターネット上でテンプレートが配布されているため、うまく活用するといいでしょう。
送付状は、以下のような内容を記載します。
・希望職種を明記する
・同封している書類の種類を記載する
・履歴書などに興味を持ってもらえるように、短くアピール内容を書く
なお、求人へ応募する際にメールを使うケースもあります。メールで応募する場合は、PDF形式で送信すると良いでしょう。メールの本文は、「宛先・あいさつ・内容・締め・署名」が基本的な構成です。


面接の際に必要な書類

オンライン応募の活用などによって、面接のときまでに履歴書や職務経歴書を提出していなかった場合などは、面接の際に応募時の必要書類を持参します。念のために、応募先の企業の連絡先と住所をメモして、必ず持っていくようにしましょう。面接でのやり取りをメモできるように、筆記用具も用意しておきます。
応募先の企業の連絡先と住所のメモは、場所が分からなくなってしまったときや、約束の時間に遅れてしまいそうなときなどに役立ちます。スマホでも同様の情報を保存しておくと安心です。また、約束の時間に遅れてしまうなどのトラブルがないように、面接会場までの道を確認し、余裕が持てる時間に出発しましょう。
面接の際の服装は、基本的に特別な指定がない限りはスーツを着用します。身だしなみで清潔感を出せると面接での印象が良くなるため、スーツを事前にクリーニングに出し、ブラウスやシャツにアイロンをかけておくのがおすすめです。服装だけではなく、髪型やメイクまでしっかりとチェックしておきましょう。
また、面接で話す内容がまとまっているかどうかも、事前に確認して練習しておくべきです。面接を受ける際は、携帯電話やスマホの電源を切っておきましょう。
履歴書
先述のとおり、履歴書などを送付せず、面接の際に提出するケースがあります。また、すでに応募書類を提出していたとしても、場合によっては面接の際に再度提出を求められる可能性もあるため注意が必要です。応募書類を提出済みの場合でも、念のためにきれいな封筒に入れて持参すると良いでしょう。
カバンの大きさによっては、持参する履歴書や職務経歴書が折れてしまう可能性があります。面接を受けにいく際は、大切な書類をきれいな状態で持ち運べるように、A4サイズのものがすっぽりと収まる大きさの、シンプルなカバンを使用するのがおすすめです。
職務経歴書
同様に、職務経歴書もきれいな封筒に入れて持ち運びます。職務経歴書はフォーマットの自由度が高いです。一般的には、A4用紙1~2枚程度にまとめることが多いです。
履歴書に記載できない今までの自身の経験を詳しく書き、応募企業でどのように生かせるかを採用担当者にアピールしましょう。採用担当者は職務経歴書を用いて、求める実務能力を応募者が満たしているかどうかをチェックします。
職務経歴書は、書類選考の際だけではなく、面接の際にも確認される書類です。面接の際は職務経歴書の内容から質問されることが多いため、面接の前に改めてチェックしておくと良いでしょう。


内定を得た際に受け取る書類

無事に面接などの採用試験に合格し、内定を得たときには、「内定通知書」「労働条件通知書」などの書類を受け取ります。内定を得て現職を退職するときには、さまざまな手続きが必要です。現職の有休を消化しつつゆっくりとしたいところであるものの、実際にはやるべきことが多いことを理解しておきましょう。
それでは、まずは内定を得た際に応募企業から受け取る2つの書類について解説します。
内定通知書
内定を得ると、応募した企業から内定通知書が送られてきます。タイミングに決まりはないものの、一般的には最終面接の1週間~10日後までに送付されることが多いです。
内定通知書とは、企業が応募者に対して内定の意思を通知するための書類です。内定通知書の発行は、内定者に対する労働契約の承諾を意図して送られるものであり、多くの判例では内定が出されたときに雇用契約が成立すると解釈されています。ただし、企業からの内定の取り消しもありえるものであり、さらに応募者からの内定辞退も可能です。
労働条件通知書
内定通知書と一緒に、労働条件通知書や内定承諾書も同封している企業は多くあります。労働条件通知書とは、就業場所や業務内容、休日休暇といった労働条件を記した書類です。
記載されている内容を確認し、希望どおりの内容かどうかをしっかりと確認しましょう。もしも複数の企業から内定を得られた場合には、それぞれの条件を比較してから入社する会社に承諾の意思を伝え、辞退する企業にもその旨を伝えます。
また内定承諾書とは、内定通知書に記載された労働条件を内定者が同意したと記録しておくための書類です。内定通知書と労働条件通知書は、兼用する場合もあります。


退職の際に提出・返却する書類

転職活動をする際は、もともと働いていた職場を退職するために提出・返却したり、現在の企業から受け取ったりする書類があります。退職の際に提出・返却したり、受け取ったりする書類は、以下のとおりです。
・退職願
・健康保険被保険者証
・雇用保険被保険者証
・源泉徴収票
一般的に、退職の1ヶ月半~2ヶ月ほど前から直属の上司に退職の意思表示をします。退職の1ヶ月前ぐらいに退職願の提出や業務の引き継ぎをおこない、2週間前ごろから取引先へあいさつ回りをします。退職当日には貸与・支給されていた備品などを返却し、必要書類を受け取り、社内の関係部署などへあいさつをするという流れです。
それでは、退職する際に関係のある書類の内容などを解説します。
退職願
在職中の企業を退職する意思が固まったら、いつごろに退職したいと考えていることを願い出る「退職願」を提出しましょう。退職が決まってから、さらに「退職届」を提出します。企業によっては、退職願や退職届の書類を提出せず、口頭での連絡のみで終わる場合もあります。
退職願のフォーマットが定まっている企業もあるため、どのように対応すればいいのかを就業規則で確認しておくと良いでしょう。
健康保険被保険者証
健康保険は、勤め先の企業を辞めた時点で脱退することになります。そのため、健康保険の被保険者証を在籍していた企業に退職時に返却する必要があります。
最終出社日に有給休暇を取得している場合など、直接返却できないようであれば、後日郵送で返却しましょう。健康保険組合を組織していない企業で働いていた場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険証を返却します。
また社員証や入館証、IDカード、社章など、貸与・支給されていた備品などもあわせて返しましょう。
雇用保険被保険者証
もともと在籍していた企業から退職する際に、雇用保険被保険者証を受け取ります。雇用保険被保険者証とは、雇用保険に加入していたことを証明する書類のことです。
入社時に交付されるケースが多いものの、企業に預けていた場合には退職する際に受け取ります。年金手帳も同様に、在籍していた企業に預けていた場合は受け取りましょう。
雇用保険は、正社員や契約社員ならば加入しているはずです。雇用保険に加入していれば、失業時や雇用の継続が困難なときに、生活や雇用の安定を図ることを目的とした給付を受けられます。
源泉徴収票
退職する際には、在籍していた企業から源泉徴収票も受け取ります。源泉徴収票は、所得税の年末調整をするために必要です。
会社から支払いのあった給与の総額と、会社が納税のためにあらかじめ給与から差し引いていた所得税の金額が記載されています。源泉徴収票は、従業員が退職してから1ヶ月以内に交付するように、所得税法で定められている書類です。
会社を退職したと証明する書類である「離職票」も、同様に企業から受け取ります。失業保険の申請に必要な書類であり、退職日から10日以内に会社が手続きするように雇用保険法で定められています。


転職先の入社手続きに必要な書類

転職先の企業の入社手続きをするために必要な書類は、健康保険被保険者証や雇用保険被保険者証、源泉徴収票などです。これらは、退職の際にもともと勤めていた企業から受け取る書類や返却するものとほぼ重複しています。
特に、雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票は、ほとんどの入社先企業での提出が必要です。また、給与の振り込み先を伝える書類である「給与振込先届出書」や社会保険の加入手続きで必要な「扶養控除等申告書」、扶養家族がいる場合に提出を求められる「健康保険被扶養者異動届」などもあります。
それでは、転職先の入社手続きに必要な書類や手続きなどをチェックしていきましょう。
健康保険被保険者証
健康保険は、前の会社を辞めたときに脱退し、転職先企業の健康保険に新たに加入するものです。扶養家族がいる人は、健康保険被扶養者異動届を提出します。
また、転職先が決まっている場合であっても、入社までに日数があるならば、健康保険の切り替え手続きが必要です。国民健康保険に加入するか、健康保険の「任意継続被保険者」になるか、どちらか選択しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、一般的に転職先に提出してから返却され、自分で保管することが多いです。もしも紛失してしまった場合は、ハローワークで再発行できます。また、被保険者番号のみで転職先の入社手続きをおこなうことも可能です。
雇用保険は、前職を辞めてから受給せず、1年以内に別の会社に入社した場合、雇用保険の期間を通算できます。万が一の失業に備えられるよう、転職先の会社への提出を忘れないようにしましょう。
源泉徴収票
以前働いていた企業から退職する際に受け取った源泉徴収票は、転職先の企業への提出が必要な書類です。確定申告や年末調整で使うため、特に退職と転職先企業への入社が同じ年であれば提出するようにしましょう。
基本的に退職後に発行する書類のため、前の会社から受け取れるタイミングが入社日よりも遅れる場合があります。入社日に提出できない場合には、新しい転職先にまだ提出できないことを伝えておきましょう。
マイナンバー
マイナンバー(個人番号)も転職先への提出が必要です。社会保険や雇用保険の手続きのために用いるものであり、個人番号が確認できる、マイナンバーカードの写しや住民票などを提出します。もしも扶養家族がいて、健康保険被扶養者異動届を提出する場合には、被扶養者にあたる人達全員のマイナンバーが必要です。


年金手帳
年金加入手続きをするために、年金手帳も転職先へ提出します。とはいえ、2006年以降は原本の提出義務がなくなったため、年金手帳や基礎年金番号通知書自体を用意しなくても、基礎年金番号が分かれば良い場合も多いです。基本的には提出を求められないものの、提出が必要な企業もあるため、念のために準備しておくと良いでしょう。
健康診断書
健康診断書も、転職先の企業へ提出するケースがあるものの、必須ではありません。どのような健康状態かを記載した書類で、病院などで発行してもらえます。対応は企業によって異なり、前に勤めていた企業で受けた定期健診の結果表で良い場合もあれば、会社によっては指定された医療機関の健康診断を受ける必要がある場合もあります。
身元保証書
身元保証書とは、身元保証人を立てる必要がある場合に転職先の企業へ提出する書類です。その人の身元を担保し、なにかあった場合に賠償責任を負うことを保証します。多くの企業で提出を求められているもので、保証人となってもらった人の署名や捺印が必要です。
親族の緊急連絡先を提出するのみで良い場合が増えているようです。ただし、親族に記入してもらえないと保証人を探さなければならないため、用意に時間がかかる場合があります。
資格や免許の証明書
必要な場合のみ、資格や免許の証明書も転職先の企業へ提出します。資格や免許の証明書の提出を求められるのは、転職先で特殊な免許や資格を持っていなければならない場合です。また、資格手当がもらえる企業でも提出を求められます。
卒業証明書
卒業証明書は、中途採用の場合には求められるケースは少ないです。しかし、第二新卒として就職する場合には必要なケースがあります。
提出を求められた場合には、各教育機関で卒業証明書を発行してもらいましょう。郵送で受け取る場合には到着まで1週間ほどかかることがあります。窓口でしか手続きや受け取りができない場合もあるため、卒業証明書を発行してほしい学校での対応をチェックして早めに用意しましょう。
転職活動に必要な書類を忘れず準備しよう

転職活動をする際は、活動を始めたときや求人に応募したとき、面接のときなど、タイミングごとにさまざまな書類が必要です。前職を退職する際にも提出や返却が必要なものが多いうえに、退職の1ヶ月半~2ヶ月ほど前から直属の上司に退職の意思表示をするなど、やるべきこともあります。転職活動の開始から入社までの流れをスムーズにできるように、必要な書類などを理解して準備しておきましょう。
