転職を志望する企業に履歴書や職務経歴書などの書類を送る際、封筒に「応募書類在中」と書くのが一般的ですが、これは本当に書かなくてはならないのでしょうか。
また、「履歴書在中」とは何が違うのか疑問に思っている人もいることでしょう。本記事では応募書類在中と履歴書在中の違いについて解説します。封筒に応募書類在中を書いたほうがよい理由や書き方、封筒を提出するときのその他マナーなども併せてお伝えします。


目次
応募書類在中と履歴書在中の違い
企業に提出する封筒は中に何が入っているかを明確にしなくてはなりません。そのために「応募書類在中」と書くわけですが、よくある「履歴書在中」との違いがわからない人もいることでしょう。履歴書在中と書いてよいのは封筒の中身が履歴書だけのときです。
履歴書だけでなく、職務経歴書やポートフォリオ、企業から指定されたその他の書類などを同封しているのであれば、応募書類在中と書くのが正しいといえます。
この場合は、手元に履歴書在中と印字された封筒があってもそれで代用するのはやめましょう。仮に封筒に応募書類在中と書いていないとしても、それが原因で不採用になるケースはほぼありませんが、企業や採用担当者への配慮として記載するのが一般的です。
封筒に応募書類在中を書いた方がよい理由
封筒に「応募書類在中」と書き忘れたとしても合否の判断基準には基本的に関係しません。ただし、応募書類在中を書くことで期待できるメリットがいくつかあることは知っておきましょう。ここでは、封筒に応募書類在中を書いたほうがよい理由について解説します。
採用担当者に確実に届く
封筒に「応募書類在中」と明記することで、採用担当者に確実に届きます。企業の採用担当者の元には、選考の応募書類以外にもたくさんの郵便物が届きます。通常、採用担当者は採用シーズンには各種連絡や調整などで多忙を極めており、郵便物を一つひとつ開封して中身を確かめる余裕がないことも珍しくありません。
パッと見て封筒の中身の判断がつかない場合、間違って他の部署に回されたり、採用担当者の手元に届くのが遅れたりする恐れがあります。最悪のケースでは社内で行方不明になったり、関係ない部門のところで破棄されたりといったことも起こり得ます。
たった一言ですが、封筒に「応募書類在中」と書かれていれば中に応募書類が入っているのが明白になり、一目で採用担当部門宛てだとわかるため、他の書類に紛れて届かないといったリスクを防止できるのです。
慎重に開封してもらえる
封筒に応募書類在中と書いておくことで、慎重に開封してもらえるメリットもあります。外側に応募書類在中と書いてあれば、採用担当者も封筒を丁寧に取り扱うはずです。封筒を開封する際にハサミやカッターなどを使う場合は多いでしょう。その際、油断していると書類まで切ってしまうことがあります。
しかし、中身が選考のための応募書類と把握できていれば、深くハサミを入れずに慎重に開封してもらえるため、中の書類を傷つけるトラブルも回避できます。応募書類在中と書くことで採用担当者への注意喚起になることを覚えておきましょう。


応募書類在中を書くときのポイント
「応募書類在中」と書くときには、封筒の表面の左下に文字を入れる、文字枠には定規を使うなど、守りたいルールがいくつかあります。ここからは、応募書類在中を書くときの5つのポイントについて解説します。正しいやり方を理解して、悪目立ちをしないようにしましょう。
基本位置は封筒の左下
応募書類在中を書く基本的な位置は封筒の表面のやや左下です。郵便法に基づく内国郵便約款では宛名記載部分に宛名以外の情報を書いてはならないと定められていますので、応募書類在中の文字が宛名に近くなり過ぎないように注意しましょう。応募書類在中の文字の大きさは宛名の会社名と同じぐらいかやや小さめが目安です。
また、宛名よりも下の位置に書くことで、バランスが良くなります。大事なのはメリハリです。「送り先の住所」「会社・部署名」「応募書類在中」とそれぞれの情報を分けて認識してもらえるよう、文字の大きさや位置に気を付けましょう。インターネットで「応募書類在中」や「履歴書在中」のキーワードで検索すれば、サンプルで大体のレイアウトを確認できますので、念のためチェックしておくとよいでしょう。
赤の油性ボールペンを使用する
応募書類在中の文字は赤の油性ボールペンで書くのが基本です。赤が基本なのは、応募書類在中の文字は目立たせる必要があるためです。ここだけを赤色で書くことで、採用担当者の目に留まりやすくなります。
また、油性がよいのは、万が一、雨で濡れても問題がないためです。水性のペンは雨や手汗などでにじんでしまうので避けましょう。こすると消えてしまうフリクションタイプのボールペンも、正式書類には使うべきではありません。大事な部分を書く道具ですので、できるだけ書き慣れたもの、疲れにくいものを用意しておきましょう。
枠は定規で綺麗に
応募書類在中の文字は、より目立つように赤の油性ペンで周りを長方形に囲みます。この際、枠は定規で綺麗に仕上げましょう。定規を使ってまっすぐな直線を引くというひと手間で、見栄えが大きく変わります。枠の横幅もできるだけ均一にしましょう。
フリーハンドで書いてしまうと、丁寧にやっているつもりでもゆがんだり曲がったりするので、雑な印象を与えてしまいます。文字の視認性を上げるためには、文字ギリギリに枠の線を引くのではなく、上下左右に少しだけ余裕を持たせましょう。
横書きは応募書類在中も横書き
封筒の宛名や住所を横書きに書いている場合は、応募書類書在中の文字も横書きになります。赤の油性ボールペンを使う、長方形の枠で囲むなどのルールは縦書きと同じですが、横書きでは応募書類在中の位置は封筒の表面の右下になります。宛名の位置からは離しましょう。
宛名よりも右寄りに書くと全体のバランスが整います。応募企業から指定がない場合、横書きだからといって選考に影響することは基本的にないはずですが、国内企業への提出書類では縦書きが一般的です。
また、漢字を書いたときに縦書きのほうが綺麗に見えやすいという利点もあります。一方、外資系などで、応募企業の表記名がアルファベットの場合には横書きが適しています。応募先などによって臨機応変に対応するとよいでしょう。
スタンプを使ってもよい
応募書類在中は手書きである必要はないため、文房具店や100円ショップ、ネットなどで売られているスタンプを使用してもかまいません。自分の文字に自信がない人や枠を綺麗に書くのが苦手という方はスタンプを使うとよいでしょう。
また、複数の企業に応募するつもりであれば、スタンプを使用したほうが効率的です。インクは目立つ赤色のものを購入しましょう。スタンプを使う際に注意したいのはインクの汚れです。ほんの少しであっても、汚れの付いた封筒の印象はよくありません。手に付いたインクで封筒を汚さないように、またインクが乾かないうちに上に別の書類を重ねないようにしましょう。
封筒自体に「応募書類在中」と書かれたものがあれば、それを使うのも手です。応募書類在中のシールも市販されていますが、こちらは途中で剥がれる恐れがあるためおすすめしません。


応募書類の入った封筒に書くべき内容
応募書類の入った封筒には「応募書類在中」以外にも、住所や宛先を記載しなくてはなりません。併せてそれぞれの書き方のマナーを押さえておきましょう。
まず、住所は郵便番号、都道府県を正確に記載します。住所の文字サイズは宛名より小さめを心がけ、縦書きであれば右側の3分の1、横書きであれば上側の3分の1の範囲までに収めます。番地の途中など、住所が区切りの悪いところで改行されるのは不格好ですので、余白と文字の大きさとのバランスに注意しましょう。
宛先で社名を書く際には、株式会社を(株)と略さず、正式名称で書きます。会社名は絶対に間違えてはならない部分です。必ず公式サイトなどで正しい表記をチェックしましょう。宛先が個人名になっているときは「様」を語尾につけ、人事部など部署に宛てるときは「御中」を語尾につけます。
自分の住所や氏名は封筒の裏面に記載します。位置は左下です。こちらも略さないのがマナーですので、郵便番号や建物番号などは正確に書きましょう。
応募書類の入った封筒を提出するときのマナー
応募書類の入った封筒には「応募書類在中」と書き、採用担当者に中身が一目でわかるようにしておくべきと前述しましたが、提出するにあたって他にも知っておきたいマナーがいくつかあります。最後に、応募書類の入った封筒を提出するときのマナーについて解説します。
封筒は角形2号の白色を選ぶ
封筒は角形2号の白色を選びましょう。履歴書のサイズは基本的にA4判(A3二つ折り)かB5判(B4二つ折り)のどちらかです。したがって、いずれのサイズでも元の二つ折りの状態で入れられる角形2号の封筒を選ぶのが正解です。書類を二つ折りよりもさらに小さく折らないと入らないサイズの封筒は避けましょう。折り目が多いほど雑な印象となり、文字も読みづらくなります。
封筒の色は白色で中が透けない厚手のものを選ぶのが基本です。茶色でも悪くはありませんが、白色のほうがフォーマルなイメージを与えます。
また、白色のほうが折れにくく硬い素材でできているのも利点です。加えて、一般的に通常業務に使われるのは茶封筒のほうが多いため、採用担当者の手元でその他のものと混ざったときにも白のほうが目立ちやすいといえます。
応募書類を入れる順番は送付状が一番上
書類を入れる順番は送付状(添え状)が一番上になります。複数の書類を入れる際には送付状を一番上に置き、履歴書、職務経歴書、その他の書類の順番で重ねるのがマナーです。
送付状とは履歴書や職務経歴書を送付する際に、書類の内容や簡単な挨拶を記載したものです。最初に送付状が目に入るようにしておくことで、採用担当者に何の目的の書類かを端的に伝えられます。書類の見落としも減らせるでしょう。
書類を正しい順番で入れたつもりでもうっかり封筒の表裏を間違えると、順番が逆になってしまうので注意しましょう。書類はクリアファイルに入れておくと、まとめやすく折れないので便利です。防水効果も期待できます。クリアファイルも百均などで売っています。スタンプを買いに行く際に併せて買っておくと効率的です。中身が見えづらい半透明のものは避けましょう。
手渡しのときも応募書類在中は書く
手渡しのときも応募書類在中は書くのがマナーです。手渡しで直接封筒を渡す際には、応募書類が入っていることを口頭で伝えればよいので「応募書類在中」と書かなくてもよいと考える人もいるかもしれませんが、手渡しのときも応募書類在中と書くようにしましょう。
前述したように採用シーズンの採用担当者は多忙を極めていることが多いため、口頭だけでは忘れられてしまう可能性があります。担当者が後から思いだせるよう、文字でもきちんと内容を記載しておくほうが親切です。
なお、裏面には住所と氏名も書いて、どの応募者の書類かも判別できるようにしておきましょう。
また、転職活動においては面接担当者以外に応募書類を手渡す状況も多いものです。例えば、選考会場で受付担当者に封筒を渡すケースなども想定されます。他の書類に紛れるリスクを回避するためにも、手渡しでも郵送でも「応募書類在中」と書いて中身がわかるようにしておくことが肝心です。
応募書類を封筒に入れる前に最終確認する
応募書類を封筒に入れて封をしてしまう前に、最後に今一度応募書類をチェックしましょう。宛先や住所に誤字脱字がないか、履歴書の押印や写真を忘れていないかは必ずチェックしてください。
なお、応募書類の日付の欄は書き忘れることが多いので要注意です。ここには提出日を記入します。その他、フリガナを書き忘れていないか、写真が剥がれそうになっていないかなど、細かい点も見落とさないようにしましょう。
書類選考を突破すると面接に進みますが、面接では応募した書類の内容に沿って質問されます。志望動機についてあらためて聞かれたり、前職での経験について確認されたりするでしょう。面接対策をするためにも応募書類のコピーは必ず取っておきましょう。最後に、書類の順番に間違いがないことを確認してから、封をします。
封筒はセロハンテープではなくしっかりとのり付けして、「しめ」の封字のマークで封印するのがビジネス上のマナーです。封字は封筒が未開封であることの証しであり、また途中で開封されることを防ぐ役割もあります。
封筒に「応募書類在中」と書くのは応募の際のマナーと心得よう
応募書類を封筒に入れて提出するときは、郵送でも手渡しでも「応募書類在中」を書くのがマナーです。応募書類在中を書かずに提出してしまうと、最悪のケースでは他の書類に紛れてしまい、採用担当者に届かない恐れがあります。
また、封筒は白色のものを使う、書類を入れる順番に気を配るなど、提出時のマナーもしっかり押さえ、書類選考を無事突破できるようにしましょう。
