履歴書を書くとき、必ず書く必要がある項目の1つが学歴で、採用の合否に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。書くこと自体はそれほど難しくないはずですが、いざ書こうとすると意外とどう書けばいいのか迷うことが多いものです。
しかも、間違って書いてしまった場合、最悪の場合には経歴詐称とされてトラブルになることもあります。この記事では、履歴書の学歴を書く際に守るべき基本や注意点について解説します。


目次
年号は西暦?和暦?履歴書の学歴を書くときの基本的な決まり
履歴書の学歴を書くのが不慣れな人には、和暦と西暦を混在したり、学校名を正式名称で書かず省略して書いたりというようなミスがよくみられます。まずは、履歴書の学歴を書く際の基本的な決まりについて詳しく解説します。
1行目に「学歴」と記載する
まず、学歴・職歴を書く欄の1行目に「学歴」と記載します。学歴と職歴はどちらも同じ欄に記載する様式になっているので、どこからどこまでが学歴で、どこからどこまでが職歴だとひと目でわかるよう、それぞれの1行目に「学歴」「職歴」と見出しを記載するようにしましょう。
この「学歴」「職歴」は見出しなので、欄の中央に記載するようにします。左端や右端に寄せて書くのは一般的ではありません。よりバランス良く見せるためには、「学」と「歴」、「職」と「歴」の間に1文字程度の余白を設けると良いでしょう。
西暦か和暦かは揃える
学歴を書くときにまず悩むのが、自分がいつ学校に入学し、卒業したかがすぐにわからないことではないでしょうか。今は、インターネットで履歴書の書き方を調べると、自分の生年月日を入力するだけで入学・卒業の年度を自動計算してくれるツールがたくさん見つけられます。何かしらの事情で留年や休学などをした人は注意が必要ですが、大体の年度の流れを把握することが可能です。
さて、学歴に実際に年号を記載するときの注意点ですが、西暦で書くか和暦で書くかで迷う人もいるでしょう。これは、どちらでなければいけないということはないので、好きな方を選んで書けば大丈夫です。
西暦で書く場合には、年月を書く欄にそれぞれ数字だけを書くようにします。数字は漢数字ではなく、算用数字を使用してください。例えば、2022年4月であれば、年の欄に「2022」、月の欄に「4」と記載しましょう。和暦の場合には年の欄にすべて省略をせず和暦を書くようにします。
例えば令和4年3月に学校を卒業、令和4年4月に次の学校に入学した場合には、年の欄に「令和4」、月の欄に「3」と記載しましょう。次の行に移っても「令和」を省略してしまわずに、年の欄に「令和4」、月の欄に「4」と記載するようにします。書くのは西暦でも和暦でもどちらでも構いませんが、どちらかに決めたらすべてをどちらかに統一するようにしましょう。
最初は西暦で書き始めたのに、途中から和暦に変わってしまったのでは、履歴書を見る側にとっては時系列がわかりづらく、混乱してしまいます。統一感がない履歴書は、適当につぎはぎの情報を寄せ集めたような印象を見る人に与えるでしょう。たくさんの履歴書に目を通さなければならない立場の人からは、見る人の気持ちを考えずに履歴書を書いているいい加減な人と思われても仕方ありません。
関連記事:西暦と和暦の違いとは?履歴書で間違えやすい記載方法についても詳しく解説


和暦は省略しない
和暦を使用する場合、年号を書くときにはすべて和暦を省略せずに書くのが基本です。なかには、昭和をS、平成はH、令和をR、というように略称を使い慣れている人もいるでしょう。しかし、履歴書のような正式な書類では、このような略称を使用するのは望ましくありません。
それ以外にも、年月日を「/」で区切って記載したり、同上の場合に繰り返し記号の「〃」を使ったりするのも避けましょう。見る人の気持ちを考え、何度も同じことを書くことを面倒と思わず丁寧に書くことが大切です。
学校名や学部を省略しない
次に、学校名についてですが、これも省略はせずにきちんと正式名称を書くのが基本です。学校が公立なのか私立なのかが区別できるよう、公立なら○○県立、〇〇市立、などと都道府県や市町村名から記載し、私立なら学校名の前に私立と必ず記載するようにします。よくある間違いですが、高校の場合は「高校」は略称で、「高等学校」が正しい名称です。
大学の場合には学部や学科、専攻なども記載します。もし正式名称をきちんと書くと長くなって1行に収まらなくなってしまう場合には、無理に1行に収めようとせず2行にわたってしまってもかまいません。学校名を正式名称で書くことの方が大切です。
また、これも面倒に思う人が多いかもしれませんが、ある学校に入学・卒業などをしたとき、入学と卒業はそれぞれ2行に分けて書く必要があります。まったく同じ学校の正式名称を長々と2度書くのは確かに面倒なものですが、その形式が履歴書のルールなのです。


必要な情報を余すことなく正確に!学歴を書くときのポイント
履歴書の学歴は、入学と卒業だけとは限りません。間に休学したり、留学したりしたことがあれば、それも必要な情報なのできちんと書く必要があるのです。この段落では、学歴を書くときのポイントについて解説します。
書き始めは高等学校から記載する
学歴はどこから書くのが正しいのでしょうか。特に明確に決まっているものではありませんが、一般的には高等学校入学から書くことが多くなっています。
小学校・中学校は義務教育で誰もがその教育を受けているのが当然という前提があることから、義務教育が終了した中学校卒業から書く場合もありますが、義務教育以降の学歴がわかれば良いという考えから、高等学校入学からの学歴を書くのが一般的なのです。新卒の就職活動や学生のアルバイト応募の場合には、中学校の卒業から記載するのが一般的となっています。
もちろん、義務教育とはいえ学歴は学歴ですから、小学校・中学校の学歴が書いてあったほうが丁寧ではあります。しかし現実問題として、中途採用の場合には企業側が重視するのは学歴ではなく職歴です。
それに、人によっては転職を何度も繰り返していることもあり、職歴を重視して記載していくと小学校・中学校の学歴までを記載する物理的な余裕がなくなってしまいます。そのため、どうしても小学校・中学校の学歴を省くのは致し方ないということになるのです。
中退や休学の情報も記載する
もし学校中退や休学などの経験があれば、それも学歴に記載する必要があります。浪人や留年の場合には入学年・卒業年からわかるので、特にそれについて改めて書く必要はありません。
まず、中退に関してですが、中退は中途退学の略語なので、きちんと「中途退学」と書くようにしましょう。また、中退の理由を尋ねられる可能性があります。それについて答えられるよう、正当な理由を考えておくといいでしょう。
例えば経済的な事情や家庭のやむを得ない事情などであれば、それについて簡単に書き添えておくことで誤解を防げます。人によってはネガティブな事情があってどうしても明かしたくないこともあるかもしれません。そのような場合には「一身上の都合で」としておけば大丈夫です。
次に、休学についてです。「〇〇大学〇〇学部〇〇学科入学」の次の行に、「〇〇大学〇〇学部〇〇学科休学」と記載します。その下の行に、休学期間や簡単な休学理由を記載しましょう。
一般的に休学は、採用する側にはあまり良いイメージを持たれません。何かしらの理由を書いておかないと、授業についていけなかったのではないかなどと誤解されがちになります。病気で休学していたのであればやむを得ないと思ってもらえるでしょうが、今後の体調を心配されてしまわないよう「現在は完治しているため、勤務に支障なし」のように追記しておきましょう。


留学経験もできるだけ学歴に入れる
留学した経験がある場合には、職種や業務によっては大きなアピールポイントになるため、できるだけ学歴に含めるのが望ましいでしょう。
語学力や留学先の地域についての知識が直接仕事に活かせる場合もあります。ただし、留学と言ってもいろいろあり、学歴の中に含めることがおすすめできるのは「正規留学」といって、海外の正規の教育機関に在籍し、現地の学生と同じように勉強して学士・修士の習得や卒業を目指すもの、そして「交換留学」といって日本の高校や大学に在籍したままで、海外の提携校に通学するものの2つです。そして、いずれの場合も留学期間が1年以上の場合なら、学歴欄に記載するに値するでしょう。
留学について学歴欄に記載する際には、留学期間、留学先の国名、正式な学校名と専攻を正しく記載します。正規留学の場合は、例えば高等学校を卒業してから渡航し、渡航先の大学など正規の教育機関に入学し、卒業するまで通学することになるでしょう。まず年月を記載し、「アメリカ合衆国○○大学○○学部○○学科入学」、次の行に年月と「アメリカ合衆国○○大学○○学部○○学科卒業」などと記載することになります。
交換留学の場合にはまず日本で大学に入学していることになるので年月ともに「○○大学○○学部○○学科入学」と書いた次の行に、「令和2年3月までアメリカ合衆国□□大学□□学部□□学科に交換留学」、その次の行に「○○大学○○学部○○学科卒業」と記載します。
留学先の学校名の書き方については、ここでは例としてわかりやすく日本語を交えて書きましたが、アルファベットで書くかカタカナ表記で書くかでも迷うかもしれません。これは、どちらでも構いませんが、応募先の企業が外資系でなければ、カタカナ表記で書いたほうが具体的に伝わりやすいでしょう。
他の留学の形としてよくあるのが「語学留学」や「短期留学」です。語学留学は正式な分類では留学ではなく「語学研修」とされてしまうので注意しましょう。これらの留学経験がある場合には学歴欄には記載せず、自己PR欄などに記載してアピールするようにします。
学歴詐称は絶対にしない
当然のことですが、学歴詐称は絶対にしてはいけません。少しでも嘘の学歴を書いてしまうと、学歴詐称になる可能性があります。例えば、高校や大学を中退しているにもかかわらず、卒業と偽って記載してしまえば、それは紛れもなく学歴詐称なのです。本人にその意図がなく、本当にケアレスミスで学歴が間違えて記載されてしまっている場合もあるかもしれませんが、実はそれも学歴詐称とみなされてしまいます。
重要なのは履歴書の学歴として記載してあることが、事実そのものであるかということです。学歴詐称だとみなされてしまえば、最悪の場合にはせっかく就職できた会社を解雇されてしまうこともあります。意図的に詐称するのは絶対に駄目ですが、うっかり学歴を書き間違えたまま提出することがないよう、事前に細かくチェックするようにしましょう。


こんなときどうする?履歴書の学歴に関するQ&A
これまで履歴書の学歴の書き方について解説してきましたが、元号が変わった最初の年の書き方、転校したときの書き方など、特殊な場合の学歴の書き方を知りたい人もいるのではないでしょうか。この段落では、履歴書の学歴の書き方でありがちな疑問について解説します。
元号が変わった最初の年の書き方は?
学歴欄は横書きであるため、年月などの数字は基本的に漢数字ではなく算用数字を使って記載します。ただし、元号が変わった最初の年のみは、1年ではなく元年と書くのが良いとされています。
これは、昭和から平成に元号が変わったときに、法務省より「元年」と表記するよう通達があったためです。そのため、平成1年は「平成元年」、令和1年は「令和元年」と記載するようにしましょう。
転校したり学部を変えたりしたときは?
次に、転校や学部・学科などを変更した場合についてです。高校を転校した場合には「転入学」、大学や短大で編入した場合には「編入学」と記載します。その際には転校先・編入先の学校名や学部・学科名も省略することなく正式名称を記載しましょう。高校を転校した場合には、「〇〇高等学校入学」の次の行に、「□□高等学校編入学」と記載します。
学部や学科を変更した場合には、「〇〇大学〇〇学部〇〇学科入学」の次の行に、「〇〇大学□□学部△△学科編入学」と記載しましょう。短大などを一度卒業した後に大学に入った場合には、「〇〇短期大学〇〇学部〇〇学科卒業」の次の行に、「□□大学△△学部□□学科編入学」と記載してください。
社会人になったあと学生になったケースは?
一度社会人になってから、学び直しが必要と感じて再び大学に入るなどして学生になることもあるでしょう。そのような場合、時系列が複雑にはなりますが、学歴にまとめて記載しても何も問題はありません。むしろ、職歴の欄に学歴を書き加えてしまうのは適切ではありません。
年月を正しく記載してさえあれば、学歴と学歴の間に少し長いブランクがあったとしても、職歴を見ればその間社会人であったことがわかるため、問題はありません。ただし、社会人になってから再び学生になった理由を聞かれる可能性は大きいので、そのための回答は考えておくようにしましょう。
履歴書の学歴はルールを守り不備がないものを提出しよう
履歴書の学歴は、一度書いてまとめてしまっておけば、また必要になったと故意に使い回しすることが可能です。しかし、その内容は完璧に正しい状態である必要があるので、入念にチェックしておきましょう。
うっかりミスでも学歴詐称とみなされてしまうので、そのような事態だけは絶対に避ける必要があります。履歴書は正式な書類ですからしっかりとルールを守って、自分の学歴を正確に伝えられるものとして仕上げましょう。
