転職活動の際には、履歴書や職務経歴書の提出を求められます。とはいえ、正社員の経験がなかったり、退職後にアルバイトとして働いた経験が長かったりすると、アルバイト経験を職務経歴書に記載するべきかで悩むでしょう。
今回は、職務経歴書にアルバイト経験を記入するべきかを解説します。併せて、履歴書の職務欄にアルバイト経験を書く方法、職務経歴書でアルバイト経験をアピールする記入方法について例文を交えて解説します。


目次
職務経歴書にアルバイト経験を書いてもいい?
結論から言うと、アルバイトも立派な職務経験であるため、職務経歴書にアルバイト経験を書いても問題ない場合が多いです。ただし、アルバイト経験を書かない方がいい場合もあるため、状況に応じて適切に判断することが大切です。
ここでは、アルバイト経験を職務経歴書に書くか書かないかを見極める判断ポイントについて解説します。
アルバイト経験を書いたほうが良い場合
アルバイト経験を書いてもいい場合として、以下のような状況を例として紹介します。
・アルバイト経験を応募企業で活かせる
・正社員退職後の離職期間が長い(3カ月以上を目安とする)
・社員と同等の業務をこなしていた
・業務改善に取り組んだ
・周囲から客観的な評価を受けた
雇用形態がアルバイトだったとしても、応募企業で活かせる経験があれば積極的に職務経歴書に書きましょう。採用担当者は職務経歴書の仕事内容を見ているため、企業が求めるスキルや経験を効果的にアピールできれば、評価してもらえる可能性が高いからです。
正社員の経験がある場合、アルバイトの職歴を記載しないのが一般的ですが、離職期間が3カ月以上あると、その間何をしていたのか疑問を感じます。きちんと働いていたことをアピールするためにも、アルバイト経験を記載するのが無難です。
また、アルバイトとして働いていても、リーダーとして現場をまとめたり、業務改善に取り組んだりと、社員と同じような経験を積んでいた場合、実績として応募先の企業にアピールできます。
アルバイト経験を書かないほうがいい場合
アルバイト経験を書かないほうがいい場合として、以下のような状況を例として紹介します。
・勤務期間が短い(3カ月以下)
・応募先の募集ニーズに該当するアピールポイントがない
・就業経験がない第二新卒
・正社員から正社員へブランクがない転職
経験やスキルをアピールできないようなアルバイト経験の場合、職歴に書かないのが無難です。第二新卒のように就業経験がない場合は、学生時代の活動をメインにした自己PRを作成するのも手段の一つです。
また、働けなかった事情がある場合は、嘘をつかずに素直に答えたほうが、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。


履歴書・職務経歴書にアルバイト経験を記入するときの書き方
応募時に履歴書とセットでの提出となる職務経歴書も、適切な書き方を覚えておくことが大切です。ここでは、履歴書と併せて、職務経歴書にアルバイト経験を記入するときの書き方について詳しく解説します。
履歴書に記入する場合
アルバイト経験を履歴書に記入するときは、基本的な書き方を理解すること、アピールの内容によって書き方を変えることが大切です。アルバイトで得た経験やスキルが応募先の企業で活かせるケースでは、履歴書にも記載してしっかりとアピールしましょう。
履歴書の職歴欄には、「株式会社〇〇(アルバイト)」といったように、会社名とアルバイトで働いていたことを明確に書くのがポイントです。また、アルバイトでどのような経験を積んだのかを詳しくアピールするためにも、職歴欄に売上管理やシフトの作成など細かい業務内容まで含めて記載します。
アルバイトで働いた経験が短かったり、アピールできることがない場合は、アルバイト経験を書かなくても問題ありません。しかし、職歴を空欄にしたままだと採用担当者がよくない印象を抱くこともあるため、「退職後(卒業後)、○○職として短期間のアルバイトに従事」というように簡潔に書くのがおすすめです。
職務経歴書に記入する場合
アルバイト経験を職務経歴書に記入する場合、履歴書よりも詳細に書くことが求められます。以下に、書くべき項目5つと書き方のポイントについて解説します。
・職務要約
これまでの職務を要約して記入します。経験した職務についてできるだけ多く盛り込みたくなりますが、採用担当者に効果的にアピールするためにも、応募先の企業で活かせる経験をメインに簡潔にまとめることです。目安として2~3行以内に内容を集約しましょう。
・職務経歴
経験した職務の会社名、会社規模、事業内容、雇用形態、在籍期間を記載します。会社名については略称ではなく、正式名称で記載するのがマナーです。
・主な職務
職務経歴の詳しい内容を記載します。さまざまな業務を経験している場合でも、応募先の企業へのアピールポイントとなるような内容に的を絞って書くことが大切です。
・保有資格
保有資格・免許とその取得年月日を記載します。資格や免許名は正式名称で書くことが基本です。保有資格や免許の数が多すぎて全てを記載できそうにない場合は、応募先で役立ちそうな資格や免許を厳選して記載するのがおすすめです。
・自己PR
自分自身のアピールポイントや就業に対する意欲や熱意を積極的に伝えます。これまでの職歴で得た実績や経験、応募先で活かせそうなスキル、仕事に対する姿勢などを盛り込みましょう。
職務経歴書の例文は、最後に記載していますので参考にしてみてください。
関連記事:効果的な自己PRの書き方は?基本の作成手順と好印象を与えるポイント


職務経歴書でアルバイト経験をアピールするためのポイント3選
アルバイト経験でも、書き方・言い方次第で効果的なアピールポイントになります。ここでは、職務経歴書でアルバイト経験をアピールするためのポイントを3つ解説します。
アルバイトで働いていた理由を明確に伝える
アルバイトで働いていた理由を明確に伝えることが1つ目のポイントです。なぜ正社員ではなくアルバイト経験しかないのかを疑問に思う採用担当者は少なくないので、面接時に聞かれる確率が高いからです。
そこで、事前に答えを準備しておくか、自己PRに盛り込んでおきましょう。正社員として働いていない理由の回答例を以下に挙げます。
「取得したい資格があり、勉強と両立させるためにアルバイトを選びました。結果として資格は取得できませんでしたが、資格取得のために得た知識を活かし仕事に取り組んでいきたいと思います」
「夢を実現させるために時間の融通が利きやすいアルバイトに専念していました。今後は夢を諦めて仕事で結果を出せるように尽力したいと思います」
など、理由と共に応募先の企業での活躍や貢献を意欲的に伝えられると、効果的なアピールができるでしょう。
応募先の仕事に活かせる業務内容、経験をアピールする
応募先の仕事に活かせる業務内容と経験をアピールすることが2つ目のポイントです。ただし、求人の内容によって求められるスキルや要素が異なるため、応募先の企業に合わせてアピールポイントを変えることが大切です。
例えば、販売員など接客業やサービス業に応募するときには、コミュニケーションスキルや積極性をアピールできるように以下のような経験を書きます。
「飲食店でのアルバイトでは、お茶やお水のおかわりや食べたお皿を下げるなど、各テーブルに細かく気を配り、お客様が気持ちよく過ごせるように努めました」
「忘年会の予約を増やすために、手作りでのチラシや街頭でのPR活動に力を入れて、予約率を前年比130%に拡大することができました」
また、経理に応募する場合は、以下のような経験を書くと効果的にアピールできるでしょう。
「飲食店でのアルバイトで、売上集計を任されており、売上の伝票と、レジ内の現金やクレジット伝票との集計が一致するかを確認していました。この経験を御社の経理業務で活かせると思います」
アルバイトでの経験が限られていても、応募する職種や企業に合わせて臨機応変にアピールポイントを変えることで、応募先の企業にアルバイト経験をより効果的に伝えられます。
入社後の目標を語り、意欲を伝える
入社後の目標と意欲を伝えることが3つ目のポイントです。採用担当者は、募集している業務への意欲や熱意があるかを職務経歴書から読み取ります。仕事への意欲や責任感を伝えるために、アルバイト時代に自分なりに工夫して仕事を進めたことを具体的に盛り込みましょう。
正社員は言われたことをこなすだけでなく、会社へ貢献するために自ら動けるかを問われます。そこで、アルバイト時代に、求められた仕事だけでなく、自らどのようなアクションを取ったのかをアピールできれば、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
特に、アピールできそうな実績がない場合は、長期的に活躍したいことを記載するのがおすすめです。応募時にスキルや経験が不足していたとしても、「これから一生懸命に学んでいきたいと思います」など、意欲を見せましょう。企業は、募集要項に記載されている条件をすべて満たす人材だけを求めているわけではなく、可能性を考慮して意欲が重要視されるケースが多いからです。
アルバイト経験しかない場合でも、決して気後れしないことです。今までの仕事内容や経験から自分のアピールポイントを分析し、応募先の職種や業務に合わせて職務経歴書に記載しましょう。
職務経歴書はこう書く!アルバイト経験の例文を紹介
例文を確認することで、自分の経験に合わせた職務経歴書を作成するのに役立ちます。ここでは、職務経歴書の例文として、「コンビニエンスストアで働いていた場合」「飲食店のホールスタッフとして働いていた場合」の2つを紹介します。
コンビニエンスストアで働いていた場合
コンビニエンスストアで働いていた場合の職務経歴書の例文を紹介します。
■職務要約
大学を卒業後、就職はせずにアルバイトとして接客業に従事してきました。
主にコンビニで接客を行い、自ら率先して行動することで店長から良い評価を得てきました。
今後は、これまでアルバイトとして培った経験を活かして、飲食業界で正社員として活躍したいと考えております。
■職務経歴
○○○○株式会社 20XX年XX月~現在
事業内容:コンビニエンスストアの運営
資本金:〇〇〇百万円
売上高:〇〇〇百万円(20xx年)
従業員数:〇〇〇名
雇用形態:パートタイマー
【職務内容】
主な職務内容は以下のとおりです。
・接客
・商品の品出し
・新人育成
・シフト管理
・売上集計
■保有資格
・日商簿記2級
■自己PR
私の強みは、責任感が強いことだと考えています。前職のコンビニでは、マニュアルどおりに業務に取り組むだけではなく、自ら問題点や改善点を洗い出し、品出しの配置を工夫するなと、業務改善に取り組んできました。その働きが評価され、アルバイトリーダーに抜擢されました。どんなときでも、仕事に対して責任を持ち、プロとして振舞い行動することは簡単なようで難しく、すぐに行動に移せる実行力は私の大きな強みであると考えています。
この強みを活かして、今後は飲食業界で活躍できる人材になっていきたいと考えております。


飲食店のホールスタッフとして働いていた場合
次に、飲食店のホールスタッフとして働いていた経験を職務経歴書に記載した例文を紹介します。
■職務要約
○○○○株式会社のパートタイマーとして、ファミリーレストラン△△の○○店でホールスタッフを5年間経験しました。ホールスタッフとしてお店で接客をしながら、3年目からは昼の時間帯のアルバイトリーダーに指名され、新しいアルバイトスタッフへの研修や業務指導といった育成とサポート、業務マニュアルの作成補助など新人教育全般にも携わってきました。
■職務経歴
○○○○株式会社 20XX年XX月~現在
事業内容:飲食業(ファミリーレストラン)の経営、企画、運営
資本金:〇〇〇百万円
売上高:〇〇〇百万円(20xx年)
従業員数:〇〇〇名
雇用形態:パートタイマー
【職務内容】
主な職務内容は以下のとおりです。
・店舗での接客業務(案内・注文・配膳・会計・片づけ)
・備品の在庫管理
・新人アルバイトの指導とサポート
・新人アルバイト向けのマニュアル作成補助
・電話応対
・売上集計
■保有資格
・普通自動車第一種運転免許(20XX年XX月)
■自己PR
私の強みはコミュニケーション能力が高いことです。
2年前から昼の時間帯のアルバイトリーダーとして、年代や経歴の異なる新人アルバイトの教育担当、業務マニュアルの作成補助に携わってきました。アルバイトスタッフ全員と円滑にコミュニケーションをとるために、個々の仕事の様子を丁寧に観察し、良いところは積極的に褒め、改善すべき点は前向きな言葉で注意を促すなど良好な関係を築けるように努めました。
その結果、新しく入ったアルバイトから仕事の相談を受けるなど、周囲から信頼を得ています。また、ピーク時はスタッフへの声かけを増やし、状況に応じて指示を出すなど注文から配膳まで効率アップを意識した仕事を心がけています。
アルバイトは立派な職務経験。職務経歴書には積極的に記載しよう
アルバイトは、職務経歴書に記載できる立派な職務経験です。これまで培ってきた経験が、応募先の企業にアピールできるようであれば、積極的に職務経歴書に記載しましょう。
ただし、勤務期間が短すぎるなど、状況によってはアルバイト経験を書かないほうがいいケースもあるため、記載の是非を慎重に見極めて適切に判断することが大切です。
