事務職に応募するとき、応募書類の志望動機欄をどのように書けば熱意が伝わるのか悩んだ経験はないでしょうか。
転職活動を成功させるためには、履歴書や面接で自分の持ち味を最大限アピールする必要があります。
なかでも志望動機は採否を左右するくらい重要なものです。この記事では、事務職の志望動機の書き方や面接での伝え方について解説していきます。


目次
志望動機に説得力を持たせるための事前準備
応募先企業に採用されるためには入念な事前準備が必要です。もちろん、志望動機の内容も例外ではありません。こちらの段落では、志望動機に説得力を持たせるためには何をすればよいのかについて解説していきます。
事務職の種類と仕事内容の違いを理解する
事務職の仕事を大きなくくりで考えると、ほかの職種をサポートする仕事といえます。ほかの部署のように商品の製造や販売を行わないため、企業の業績アップに直結することはないかもしれません。そのため、地味な職種だと考えている人も少なくないでしょう。
しかし企業を支える部署の存在なしでは、社員が気持ちよく働くことはできません。事務職は、そのために必要な部署といえるでしょう。事務職に応募する際には、これらの点を理解しておくことが大切です。
また、事務職にはさまざまな種類があり、それぞれ仕事内容も異なってきます。一般事務や経理事務をはじめ、人事事務などの専門事務が存在します。
そのため、事務職に応募する際には、単に事務職に就きたいと思うだけではなく、どのような仕事をやりたいのかを決めることから始めましょう。もし、それぞれの仕事内容が把握できていないと、自分がアピールしたいポイントがわからなくなり、志望動機の内容が薄くなってしまいます。
もちろん、デスクワークが中心という点は共通していますが、そこから一歩踏み込んで理解しておかないと志望動機がぼやけてしまうのです。説得力の弱い志望動機で転職活動に挑んでも、採用担当者の心に響くことは難しいでしょう。
そうならないためにも、事務職それぞれの仕事内容についてしっかり理解しておくことが重要です。その結果、応募先企業の絞り込みができるだけでなく、自分の強みをアピールしやすくなります。
応募先企業についての情報を集めて理解する
転職活動の際には、応募先企業について事前に情報収集したうえで、きちんと理解しておく必要があります。事務職の仕事内容には大差がないとか、どこで仕事をしても内容は同じだと思ってしまいがちです。
そのため、応募先企業について調べないままで志望動機をまとめようとすると、どうしても行き詰まってしまうのです。なぜその企業を選んだのかという具体的な志望動機が見えてこないので、説得力に欠けてしまいます。「それなら弊社でなくてもよいのでは?」など、採用担当者に誤解されても仕方ないかもしれません。
志望動機のなかでも特に重要なのが、その企業を選んだ具体的な理由です。例えば「家から近くて通いやすい」「福利厚生が整っている」などは、よく見かける志望動機です。
また、企業のことを調べずに内容をまとめようとすると、このような「ありきたりの内容」になってしまいます。もちろん、間違いではありませんが、採用の決め手としては十分ではありません。もし、「家から近くて通いやすい」などを伝えるのなら、履歴書に記載するのではなく面接時に話すとよいでしょう。
やはり、採用を勝ち取るには、応募者の本気度をアピールすることがポイントです。そのためには、企業が展開しているサービス内容や商材を具体的に把握する必要がでてきます。
また、中途採用者へのサポート体制が整っている、社員一丸となって仕事に取り組んでいるなど、応募先企業ならではの魅力を知っておくことも重要といえるでしょう。このように業界や企業について調べることにより、その企業の事務職に何が求められているのかがわかってくるのでアピールすべき点も見えてきます。


事務職の種類と仕事内容
志望動機を明確にするために、事務職の種類と仕事内容を理解する必要があることは先述したとおりです。事務職にはさまざまな種類があり、仕事内容も異なってきます。こちらの段落では、事務職の種類と仕事内容について説明していきます。
一般事務
一般事務は、組織内のそれぞれの部署において事務作業全般を担当する仕事です。また、各部署の職務がスムーズに進むようにサポートする役目も担っています。
具体的な内容は多岐にわたるため「社内での人材サポート」と企業と「社内外のサポート業務」とに大別するとわかりやすいかもしれません。前者のなかで、書類作成やファイリング、データ入力、社内環境の整備などは代表的な存在です。一方、後者の仕事には、来客応対や伝達業務、小口金管理や伝票処理、郵送物の管理や発送などが挙げられます。
事務職に応募する際、多くの人が思い浮かべるのは一般事務です。また、仕事のやり方や担当範囲は企業によって異なるとはいえ、どの企業にも存在する部署といえるでしょう。社内外との伝達業務には電話やメールなどを使う機会が多いので、事務処理能力だけでなくコミュニケーションスキルが求められることも知っておきましょう。
専門事務
事務職には、特定の業務に特化した専門事務もあります。こちらに応募するためには、どのような仕事をするのかを把握しておかなければなりません。この段落では、専門事務それぞれの特徴について解説していきます。
営業事務
こちらは営業部門をサポートする仕事で、自社商品やサービスを販売促進する重要な役目を持っています。仕事内容は多岐にわたり、顧客管理はいうまでもなく、電話やメール応対なども欠かせません。
さらに、見積書や発注書、請求書などの作成、プレゼン資料の準備やデータ集計など、幅広い内容を受け持つ必要がでてきます。営業の仕事をスムーズにするには、それを支える営業事務の存在が大きいといっても過言ではないでしょう。
営業事務の仕事には、事務処理能力に加えて、コミュニケーションスキルや接客力が求められます。取引先や顧客など外部の人と良好な関係を築く必要もあり、コミュニケーションスキルなどが大きくものをいうからです。
このような理由から、営業事務経験者は、営業職をサポートしてきた経験が強みになってきます。また、営業事務職の経験がなくても、営業職や販売職など顧客対応をしてきた人は、その経験をアピールすることで有利になるでしょう。
経理事務
経理事務は経理スタッフの補佐をする仕事で、企業の経営状態を客観的に把握するための重要な役割を担っています。企業によっては、経理スタッフと経理事務、双方の線引きがなく、経理全般を担当するところもあります。
どのような体制を取っているのかは、経営規模などにもよるので一概にはいえません。そのため、経理関係の仕事全般を担うものが経理事務だと考えておいたほうがよいでしょう。
経理事務の仕事として、日常的な伝票整理をはじめ、データ入力、給与計算などお金の動きに関するものが挙げられます。また、売掛金や買掛金の処理、入出金の管理、出納記帳及び管理なども担当です。
さらに、決算に付随する書類作成も経理事務の仕事になります。これらの書類を作成するには簿記の知識が欠かせません。そのため、簿記の資格取得者や取得予定者、税務の知識を持つ人が有利になることが多いでしょう。
その他の事務
専門事務は、より専門知識が求められる仕事で、代表的なものとして「総務事務」「法務事務」「貿易事務」「人事事務・労務事務」があります。
総務事務の仕事として、備品管理や施設管理、社内行事の企画が挙げられます。また、電話応対や来客対応、書類作成なども含まれています。仕事範囲が多岐にわたるため、日頃から細かな確認作業が欠かせません。さらに、社内外とのコミュニケーションスキルが問われることも多い仕事です。
法務事務の仕事には、企業内で法務を扱う部署のほか、法律事務所での業務もあります。契約や会社登記に関する書類作成や管理を行うため、実務の経験や法律の知識があると強みになります。
貿易事務は、貿易を行う企業で輸出入の事務手続きや申請を行う仕事です。これらに必要な専門知識に加え、海外の人とやり取りするための語学力が求められることも少なくありません。
人事事務や労務事務は、人事部門において社員の採用や退職、異動に関する手続きを担当します。また、勤怠管理、給与計算、社会保険や労働保険の手続きなども担うため、労務関係の資格があると有利です。


事務職に共通して求められるスキル
事務職には多くの種類があるので、それぞれの特徴を理解することが大切です。また、どの種類にも共通して求められるスキルが存在します。この段落では、具体的なスキル3つについて説明していきます。
コミュニケーションスキル
一般事務と専門事務、どちらの事務職に就く場合でも電話応対や来客応対をしなければなりません。接客態度によっては取引先や顧客からの信用を失うこともあるので、事務職が担う責任は重大です。その一つ、営業事務は典型的な事例といえるでしょう。
一方、社員の声に耳を傾けたり、社内にルールを周知したりすることもあります。そのためにはコミュニケーションスキルが重視されるのです。事務職にはパソコンや机に向かっているイメージが強いかもしれません。しかし、実際は、ほかの社員のサポートをする仕事です。社内の人とは日常的に関わることが多いので、双方の信頼関係を築くことが重要になるのです。
また、事務職にはコミュニケーションスキルが求められるため、事務経験がなくても、接客や販売、営業などの経験があれば活かすことができます。
これらの仕事経験者は人と接する機会が多かったので、コミュニケーションのポイントがわかっていることが大きな強みです。社内外の人との意思疎通を図り、周りとの連携をスムーズにさせることで仕事がしやすくなります。
パソコンスキル
企業の経営規模にかかわらずパソコンを導入するところが一般的になりました。パソコンがあると書類作成に便利なほか、データ入力などへの活用も可能です。
そのため、事務職の種類を問わず、基本的なパソコンスキルが求められます。Word、Excelの基本的操作はもちろん必須です。また、専門事務では中~高度な技術が求められることもあります。そのため、MOSなどのパソコン資格を取っておくとよいでしょう。
スピードと正確さの両立
事務職は仕事の範囲が広いため、1つの作業に時間を費やすことができません。そのため、いかに効率よくスピーディーに動けるかが重要です。しかも、想定外の仕事も多いので、状況に応じて優先順位を決めることもあるのです。
しかし、どのようなときでも書類の作成やデータ入力は正確に行わなければなりません。ミスをすると修正のために余分な時間がかかってきます。その結果、企業に損失を与えることも少なくないのです。
「忙しいから間違えた」などは言い訳にはなりません。事務職には速さと正確さ、その両方を兼ね備えている人が求められることを知っておきましょう。


志望動機を構成する3つの要素
志望動機は採否に関わるものだけに、内容に悩むことも少なくないでしょう。しかし、3つの要素を組み立てれば簡単にまとめることができます。ここでは、構成する3つの要素について解説していきます。
志望理由
最初に書くのは「志望理由」です。なぜ事務職を希望するのか、その企業に応募するのかという2つの点をまとめて、簡潔にわかりやすく書きましょう。そのためには、社風や事業内容など、応募企業ならではの情報を織り込むことがポイントになります。
さらに、事務職のどのような仕事に興味を持ったのか、その点を取り入れるのも一案です。特に、同じ事務職からの転職を希望する場合は、採用後にやりたい内容をアピールするとよいでしょう。
志望に至った具体的なエピソード
志望理由に合わせて、その結論に至った理由を具体的に書いていきます。これは、志望理由に説得力を持たせるために大切な役割を担う部分です。過去の経験や自分の価値観などを棚卸ししたうえで、自分ならではの切り口でアピールしましょう。
事務職がサポート役であるのを理解していれば、エピソードも書きやすくなります。これまで誰かをサポートして喜ばれたこともエピソードに挙げてもよいでしょう。
入社後に取り組みたいこと
志望動機の締めの部分として、入社後に取り組みたいことを書きます。こちらは入社後の意欲や熱意を伝えるためにも重要な部分です。前職で培ったスキルをどのような形で活かせるのかが大事なポイントです。
応募先企業では即戦力を求めることが少なくありません。活かしたいスキルを具体的に示すことで、企業の採用担当者は入社後の働き方をイメージしやすくなります。
事務職未経験の場合は何をアピールすればいい?
事務職未経験者が事務職へ転職する場合、前職での経験をアピール材料として使うことができません。しかし、事務職への適性や熱意をアピールすることは十分可能です。地道な作業が得意な人や、サポート業務などに興味を持っている人は、それらを有効活用しましょう。
また、事務職では、コミュニケーションスキルや正確でスピーディーな作業が欠かせません。もし、それらにまつわる具体的なエピソードがあれば有利になります。事務職に役立ちそうな資格を持っている人は、アピール材料に加えてもよいでしょう。
事務職への理解度が志望動機に反映される
応募先企業での採用に至るまでには、書類選考や面接試験を通過しなければなりません。そのためには「志望動機」が重要な鍵を握ります。
応募に際しては、事務職の志望動機に説得力を持たせることが必要です。また、事務職の仕事内容の理解も不可欠になります。転職活動に挑むときは、職種や企業の特徴など、求められる条件をきちんと理解してから応募するようにしましょう。
