転職活動では、応募先企業へ履歴書や職務経歴書などを郵送することも多いでしょう。履歴書などの内容も重要ですが、それらの応募書類を入れる封筒や郵送方法にも社会人としてのマナーが求められます。この記事では履歴書などを企業へと郵送する際の、封筒やペンの選び方や宛名の書き方、郵送方法などを解説します。採用担当者の受ける印象を落とさないよう、事前に履歴書の送り方のポイントを押さえておきましょう。


目次
履歴書を送る封筒に使うペンの種類
まずはペンの選び方についてです。履歴書を送る際の封筒に宛名などを記載するペンは、油性のサインペンもしくはボールペンを使用しましょう。雨などに濡れると文字が滲む可能性のある水性ペンは使用してはいけません。鉛筆や消せるボールペンの使用も控えてください。郵送の最中に文字が読みにくくなる可能性があります。宛名が滲んだり消えたりしてしまうと、応募先企業に応募書類が届かないケースも考えられるでしょう。届いたとしても、採用担当者からの印象を悪化させかねません。油性の太いマジックやマーカーは読みやすさはあるものの、インクが裏写りする可能性があるため使わない方が無難です。ペン先が平たい形状のペンも、文字が潰れて読みづらくなることがあるので使用は控えた方がよいでしょう。
筆ペンや万年筆は水性のものが多いので、選ぶ際には注意が必要です。ペンの色は黒を選んでください。詳細は後述しますが、一部赤色のペンも使用します。しかし、応募先企業の宛名や自身の住所・氏名などは必ず黒い色のペンで記載するようにしましょう。細すぎても読みづらいため、ペンの太さは1.0mm以上のものを選ぶとよいでしょう。文字一つで採用担当者に与える印象は変わります。当然のことですが、封筒に宛名などを書く際は丁寧さを強く意識し、誤字脱字のない綺麗な文字で書くように心がけます。また、事前に試し書きをし、ペンの選び方が間違っていないかの確認も徹底しましょう。
履歴書を送る封筒の書き方
封筒には表面と裏面がありますが、それぞれに何を書くのかはおおよそ決められています。また、書く位置も重要です。履歴書を送る際の封筒の書き方を解説するので確認しておきましょう。
【表】送付先の住所・宛名を書く
まずは封筒の表面です。表面には、応募先企業の住所や宛名を記載します。その前に、応募書類の正確な送付先を確認しましょう。企業によって本社の所在地であることもあれば、支社など各部署が送付先となっていることもあります。間違って記載すると採用担当者に届かないので注意が必要です。郵便番号に関して、封筒に郵便番号用の枠が記載されている場合は、そこに書き込みます。枠がない場合は、封筒の表面の右上に記載しましょう。封筒は縦書きでも横書きでも構いませんが、住所や企業名にアルファベットが含まれるのであれば横書きの方が自然であり、無理なく書けるのではないでしょうか。横書きで封筒を使う場合は、郵便番号用の枠がなければ左上に郵便番号を記載しましょう。
送付先住所は、縦書きの場合は右端に、横書きの場合は中央よりやや上に記載します。これは、応募先の企業名や部署名を封筒の中央に記載するためです。企業名や部署名は住所よりもやや大きめに書きます。文字数などバランスをみながら住所と企業名・部署名を記載することが重要です。また、企業や部署名は省略してはいけません。正式名称を調べたうえで記載しましょう。応募先が採用担当者個人の場合には個人名のあとに「様」を、企業や部署宛ての場合は企業名や部署名のあとに「御中」と記載してください。「行」や「宛」など募集要項に記載されたままを書くことはマナー違反なので注意が必要です。
【表】左下に「履歴書在中」と朱書きする
封筒の表面の左下には「履歴書在中」と赤字で記載します。この目立たせることを目的に赤字で書くことを朱書きと呼びます。「履歴書在中」と朱書きしたら、同じ色で文字の周囲を四角く囲みます。いびつな線とならないよう定規を使いましょう。封筒に入れる書類が履歴書だけではなく職務経歴書などもある場合は「応募書類在中」としても構いません。同封しているものに合わせて記載してください。朱書きする理由は、封筒に何が入っているのかを企業が認識しやすくするためです。企業には毎日多くの郵便物が送られてきます。それらに埋もれないため、また、採用担当者へとスムーズに届けるためにも「履歴書在中」の朱書きは欠かせません。
黒色のペンと比較すると赤い色のペンは、少々見づらくなってしまうことがあります。細いボールペンではなく、少し太めのサインペンを使用し記載しましょう。複数の企業へと応募する予定があるのであれば、「履歴書在中」のスタンプを購入してもよいのではないでしょうか。100円ショップなどでも取り扱っているので探してみてください。手間も省け、失敗も防ぎやすくなるでしょう。封筒に赤字で記載するのは、「履歴書在中」や「応募書類在中」の文字のみです。住所や宛名などは朱書きをせず、必ず黒のペンを使用して書いてください。


【裏】発送日と住所・氏名を書く
封筒の裏面には、投函年月日と自分の住所・氏名を記載します。投函年月日は封筒裏面の左上に記載しましょう。基本的には応募書類を発送する日付を書きますが、履歴書や職務経歴書の記入日と差がない方がスマートな印象が伝わります。発送の準備ができた段階で応募書類と封筒に同時に日付を記載してください。封筒裏面の左下に、自宅の郵便番号と住所、自分の氏名を記載します。応募先と同様に、省略せず正式な住所を記載しましょう。特に都道府県やマンション・アパート名は省略しがちです。部屋番号も含め、正確な住所の記載が求められます。自分の氏名は、住所よりも少し大きめに書くとよいでしょう。表面と同様にバランスをみながら記載してください。
また、縦書きか横書きかは表面に合わせます。表面と裏面で書き方や形式が異なることがないよう注意しましょう。
【裏】封緘印を書く
履歴書や職務経歴書など、応募に必要な書類をすべて封筒に入れたら、糊で封を閉じます。その後、封を締めた印であり第三者が開封していないことを示す封緘(ふうかん)の印をつけます。封筒のフタを糊付けしたあと、フタと封筒の裏面の両方に載るよう締めのマーク「〆」を記載しましょう。これは「×」とは異なるので注意が必要です。書き慣れていない場合は事前に練習をしてから記載します。封筒のフタにあらかじめ両面テープがついているものではなく、自身で糊付けするタイプの封筒を使用する場合は、必ず糊が乾いてから封緘印をつけましょう。糊が乾く前は封筒の耐久性が弱まっていることがあるので、ボールペンで強く書くと破れる可能性があります。また、封筒が水分を吸っている状態ではうまくインクが載らないこともあるので、乾くまで待ってから記載してください。
この封緘の印は、縦書きの封筒を使用する際に記載するものです。横書きの場合には記載しない方が無難でしょう。縦書きの封筒であっても、必ずしも記載しなければならないものでもありません。しかし、記載しているとビジネスマナーや一般教養に関する知識を持っていると認識してもらうことができます。小さなアピールの積み重ねが、採用担当者に好印象を抱いてもらうポイントの一つです。特段の事情がない限り封緘印もつけ、完璧な状態で履歴書などを送りましょう。
履歴書を送る封筒のサイズ
市販の履歴書の多くは、真ん中で二つ折りするタイプです。履歴書などを郵送する際は、基本的にそれ以上折り曲げずに封筒に入れます。二度三度と折ってしまうと、採用担当者に読みづらく保管もしづらいと感じさせてしまうでしょう。相手への配慮の欠けた送り方であると判断されるリスクが高まるため、最初からついている以上の折り目は可能な限り、つけないでください。二つ折りの履歴書が入る封筒は角形2号のサイズです。A4サイズに対応した封筒のため、市販の履歴書であれば問題なく入るでしょう。応募書類を自作する際も、市販の履歴書のサイズに合わせます。角形2号サイズの封筒に綺麗に収まるサイズで作成してください。
茶封筒でも問題はありませんが、おすすめは白封筒です。フォーマルであり清潔感のある印象も与えられるでしょう。記載した文字も目立ち、多くの応募者がいたとしても埋もれてしまうことはまずありません。ただし白い封筒は汚れも目立つため、取り扱いには十分な注意が必要です。汚れやインクの擦れなどがあると逆に印象を悪くしてしまいかねません。また、封筒によっては透けて中身が見えてしまうものもあります。可能な限り厚手の白封筒を選ぶとよいでしょう。


封筒への履歴書の入れ方
適切な封筒を選び住所などを記載したら、履歴書を封筒へと入れます。その際のポイントを解説します。
送付状を作成する
履歴書や職務経歴書とは別に「送付状」を作成し同封します。ビジネスシーンでは書類を郵送する際に、しばしば挨拶や送付物の内容を伝える送付状を添付します。ビジネスマナーの一つにもなっているので採用担当者へのアピールの一環として、履歴書などを送付する際には、この送付状を作成し、同封しましょう。送付状には、挨拶や同封されている書類の種類や枚数などを記載します。あくまでも挨拶や確認のための書類です。志望動機や自己PRを長文で記載することは逆効果となるので避けてください。送付状はパソコンで作成し、A4サイズ1枚にまとめます。宛名や日付なども記載するため、バランスがよく読みやすい送付状となることを意識して作成しましょう。
書類をクリアファイルに入れる
応募書類はクリアファイルに収めてから封筒に入れます。これもビジネスマナーの一つです。クリアファイルに入れることで、応募書類が水に濡れることや折れ曲がるリスクを回避できます。また、封筒から取り出しやすく保管もしやすいため、採用担当者にもよいイメージを抱いてもらいやすいでしょう。クリアファイルは無色透明のものを用意してください。安いものは最初から折れていたり傷がついていたり、あるいは端が切れていたりするものもあるので事前の確認が必要です。
メーカー名やブランド名などが記載されているものも避けましょう。応募先の業種にかかわらず、特定の企業を連想させるものは極力使用しないようにします。また、クリアファイルは新しいものを用意してください。古いものを使い回さないようにしましょう。クリアファイルに入れる際は、一番上に送付状、その次に履歴書、そして職務経歴書の順番に重ねます。応募書類はクリアファイルからはみ出さないように入れましょう。


履歴書を送る方法
履歴書を封筒に入れ封をしたら、いよいよ郵送準備に入ります。応募先企業や採用担当者に失礼や負担がないよう、応募書類の送り方もしっかりと押さえておきましょう。
郵便局の窓口で料金を確認する
履歴書などを郵送する際には、封筒に切手を貼ります。切手の料金は封筒の大きさや重量によって変わるため注意が必要です。転職の場合は職務経歴書が数枚に及ぶこともあるでしょう。クリアファイルの重さもあるので、それも考慮して料金を算出しなければなりません。もし郵便料金が足りなければ自宅へと返送されるか、企業側が受け取る際に不足料金を支払う必要に迫られます。前者であれば締め切りに間に合わず、転職のチャンスを逃しかねません。後者であれば企業の受付や採用担当者に負担をかけるため、応募書類の内容や経歴にかかわらず早々に悪い印象を与えかねないでしょう。
おすすめは、郵便局の窓口への持ち込みです。普通郵便で郵送したい旨を窓口で職員に伝えてください。その場で封筒の重さを計り、郵送に必要な料金を教えてもらうことができます。
普通切手を購入する
履歴書入り封筒の郵送に必要な料金が確認できたら、郵便局やコンビニなどで切手を購入し、封筒の左上に貼りましょう。横書きの場合も封筒を縦にし、左上に切手を貼り付けます。切手の有無や料金は郵便局の機械で認識しているため、横書きであっても縦書きの封筒と同じ位置に切手を貼ってください。切手を購入する際には、デザインがシンプルな普通のものを選びます。派手なものやキャラクターものはビジネス向きではないので避けた方が無難でしょう。自宅に切手がある場合は使用しても構いません。ただし、見栄えが悪くなるので細かい金額の切手を何枚も貼ることは避けます。できれば2枚以内に収めましょう。
コンビニでは取り扱い切手の種類に制限がある場合があります。郵送料金とまったく同じ額の切手が揃わないときは、少しオーバーしてもよいので2枚以内に収まる組み合わせで購入するのがおすすめです。あるいは、郵便局の窓口でそのまま封筒を預かってもらうことも可能です。窓口で伝えられた郵送料金を職員に支払いましょう。職員が料金分の郵便証紙を貼り、郵送してくれます。自分で切手を貼る手間や郵便ポストへと投函する手間も省けるのでおすすめです。
メール便やバイク便は使用しない
履歴書などを送る際は、メール便やバイク便の使用は控えましょう。履歴書は手紙と同様、信書に該当し、これは郵便局や特別に許可を受けた業者しか配達することができません。メール便や宅配便は履歴書などの信書を送ることが禁止されています。そもそも履歴書の配達を請け負ってもらうこともできないでしょう。仮にできたとしても、採用担当者に非常識な人であると判断されるリスクが高まります。応募の締切日に間に合わないからとバイク便の利用を検討する人もいると思いますが、これもおすすめはしません。バイク便の荷物の受け取りは企業が直接個別に対応します。手続きなどの手間をかけさせてしまうため、やはりよい印象を抱いてもらうことが難しくなるでしょう。
封筒にも気を抜かない!万全を期して履歴書を送ろう
履歴書などの応募書類を送るための封筒は単なる入れ物ではありません。書き方やサイズ選び、入れ方など細かいポイント一つ一つに、社会人としてのマナーや教養が現れます。特に面接前に書類選考がある場合は、応募書類の段階である程度ふるいにかけられ勝負が決まることも少なくありません。非常識な書き方や送り方で採用担当者からの印象を悪くしないよう、今回紹介した内容を押さえながら正しい方法で応募書類を送付しましょう。
