ベンチャー企業が抱える最大の採用課題「知名度の低さ」を乗り越える、SNS活用方法とメリット

ベンチャー企業が採用活動をする上で、「知名度がないため母集団形成に苦労している」という課題をよく耳にします。社名を聞いただけでイメージの湧くような大手企業や上場企業と違い、ベンチャー企業の場合、採用ターゲットが自社を知らないケースも。そのため、採用活動と並行して、採用マーケットでの効果的なPRやブランディングを行う必要があります。そこで今回は、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしている株式会社キープレイヤーズ代表取締役の高野さんに、母集団形成の手法の一つであるSNSの活用方法について伺いました。

高野 秀敏(たかの・ひでとし)さん
株式会社キープレイヤーズ 代表取締役。ベンチャー、スタートアップ企業の採用支援を行うキープレイヤーズの代表として活躍するとともに、エンジェル投資家としても活動。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談に乗っている。また、55社以上の投資と、5社上場経験も。

ベンチャー、スタートアップ企業の採用支援を行うキープレイヤーズ

採用活動でSNSを活用するメリットとは

母集団形成においてまず大切なのは、周囲を巻き込んであらゆる手段を尽くすことです。100%確実な方法はないので、できることはすべてやるくらいの意識が重要です。採用は人の人生に関わる仕事ですし、信頼関係の構築には時間がかかります。採用したい人材がいれば、「まずはその人とのつながりを持つ」「自ら行動して人にリーチする」「採用・広報の発信する」といったことを怠らずに継続していってください。

これを大前提として、今回はベンチャー企業にとって有用なSNS活用のメリットについて説明します。

世の中には数多くの採用手法がありますが、ベンチャー企業の採用でよく使われるのが、自社の社員から友人や知人などを紹介してもらうリファラル採用です。世の中での知名度が低い会社でも、自社の魅力をリアルに知っている社員が信頼関係のある友人に情報を届けることで、その企業への信頼度が増すといったメリットがあります。しかし、社員の数にも、その友人の数にも限界があります。その枠を超えてリアルな情報を発信していく手段として有効なのが、SNSです。

知名度を高めるためにはメディアへの露出を増やす広報活動が必須となりますが、SNSは自社発信での広報活動が可能です。しかも、コストを抑えて取り組める採用ブランディングですから、やらない手はありません。具体的には、企業アカウントを用意し、経営者、人事担当者、社員などが分担していく方法のほか、ベンチャー企業やスタートアップでは、経営者自らが積極的に自社のコンセプトや情報を発信していくこともよくあります。SNSを通して発信を重ねることで、経営者や人事担当者の人となりを伝え、会社の社風や文化を感じさせていければ、自社のスタンスに共感している人を効率よく採用につなげることが可能です。

昨今は採用する側も採用される側も、検索して情報を取得しにいくことが当たり前の時代になっているので、FacebookやTwitterの情報は最低限、揃えておきましょう。重要なのは、「会社名」「代表名」などで検索をかけた時に、どれだけ充実した内容が掲載されているかです。ベンチャーやスタートアップ企業に挑戦することは、応募する側にとって不安を感じるケースも多々あるので、必要な情報を充実させることが安心材料になります。また、採用においてはWantedlyやLinkedInといったビジネス特化型のSNSや、採用ターゲットや活用目的によってはInstagramやYouTubeなども活用できます。

SNS活用で陥りがちなワナと運用術

SNS活用は、企業の認知度向上や採用強化につながる欠かせない要素ですが、一朝一夕で結果につながるものではありません。中長期的な視点で取り組む必要がありますが、途中でネタ切れになってしまい、継続することが難しいという声もよく聞きます。また、発信する情報がつまらないことばかりでは、むしろマイナスにもなりかねません。そこで、SNS運用のポイントをご紹介します。

・KPIを置くなど、過度に戦略的にTwitterを「運用」しない

私の感覚ですが、「運用」という言葉の響きがビジネスライクすぎて、Twitterとの相性が悪い気がしています。「すぐに結果が出る」といった過度な期待はせずに、楽しんでやることが大切ですね。私は趣味だと思ってやっていますし、そのくらいの気持ちの方が長続きします。

・いいね!が多かったものはストックする

いいね!が多かったものを眺めていくと、だんだん共通項が見えてきます。伸びるツイートの傾向がわかってくるとツイートすること自体も楽しみになりますし、マーケティング目線で見ることで次に活かすことができます。また、自分がいいね!が多かったものをストックするために、ブックマーク機能も使いますし、Googlekeepに保存しておきます。そうすることで、FacebookやLinkedinにも活用できます。

・「いいね!」する!リプライする!コメント付きリツイートする!

企業・個人問わず関係を温めやすいのがTwitterの良さです。人はやはり「自分自身」に興味がいきがちなので、いいね!やリプライ、リツイートすることで、相手の方は喜びを感じます。現実社会と同じように、Twitterでも他人のためになることを意識してみましょう。

Twitterを成長させるポイント

「Twitterを始めてみたものの、なかなかフォロワー数が伸びない。」
「フォロワーが少なければ、情報の発信力や拡散力はそれほど見込めない。」
そんなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。Twitter採用に成功するためのヒントをご紹介します。

・役に立つ情報と意見を発信する
これは一番の正攻法。役に立つ情報や意見を発信して、それが人に届けば自ずとフォロワーは増えていくはずです。

・自分の意見を吐露する
投稿を見ることでお人柄や性格を見ている方もいるようです。自分の意見をしっかり持ち発信していくことが中長期的な採用広報にも繋がります。ただし、ネガティブな投稿は厳禁なので、ご注意ください。

・感情を吐露する
上記のように有益なツイートをしようと考えすぎると、つい機械的に役に立つ情報を発信してしまうケースもあるようです。人は感情に動かされる生き物でもあるので、バランスをとりながら、自分の感情も吐露するようにしましょう。

・プロフィールのPDCAを回す
フォローをコンバージョン(CV)と考えると、プロフィールによって大きくCV率が変わります。「私をフォローすると○○が分かります」のようにフォローするメリットを訴求するやり方もありますが、こまめに見直して手を入れていくのもポイントの一つです。

・番号で箇条書きをする
箇条書きにわかりやすく、一目見てわかる内容にまとめることが大切です。さらにフォロワー側の視点で言うと、1など番号をつけた方がその後のリプライやリツイートで言及しやすくなります。「・」や文章だと、言及する際に、文章ごと引用しないといけなくなりますよね。そのため「3.4には強く同意!」など、手軽に引用リツイートやリプライができるように数字で箇条書きにしておくことが有効です。

・引用リツイートされた時にさらにそれをツイートする
他の方が引用リツイートしてくれたら、その引用リツイートをリツイートし返してあげましょう。その方が引用リツイートしてくれたことで、あなたのツイートを目にする人が増えています。これは恩返しの精神で、相手にも流入を増やしてあげる意味でも、リツイートするといいです。最終的には全体のインプレッションが大きくなるので、お互いにとって意味のある行動になります。

まとめ

SNS活用に関して、多くの業務を抱えている人事担当者や経営者が自らで全てを運用するのは、負荷になることも少なくありません。そこで、オンライン秘書サービスやSNS採用支援サービスなどと連携しながら取り組んでいる方も多くいます。SNSをビジネスや採用に活かす場合は、何よりも大切になるのが戦略と実行ですから、こうしたプロの力を借りるのも一つの手法。

ただアカウント運用するだけでなく、実際の数値を見て検証し、次の仮説を立て直しながら実行を繰り返しながら、ぜひ自分や自社に合ったSNS活用スタイルを見つけていってください。

ライター:関口 朗子

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