【採用担当者向け】オンライン面接で人柄や社風との適性を掴むには

オンライン面接が浸透する一方で、オンラインでは得られにくい情報もあるようです。オンライン面接でほしい人材採用を実現するために工夫すべきことは何か。組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに聞きました。

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粟野 友樹(あわの・ともき)さん
組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタント。筑波大学・大学院にて人材教育ファシリテーション等の経験を積み、大学院を修了後に、GMOインターネットグループにて求人広告営業とマネジメントを経験。外資系金融機関を経て、パーソルキャリア株式会社にて主にキャリアアドバイザー業務に従事。2018年9月にSeguros(組織人事コンサルティング)を開業。延べ約3000名のキャリア面談、500名以上の転職支援等といった求職者向けの実績と、20数社の企業採用担当として、採用の上流工程から担当する。保有資格:国家資格キャリアコンサルタント。

その他、働くことに関わるPodcast番組「アワノトモキの読書の時間」を運営

オンライン面接はミスマッチを生みやすい

企業のテレワークの浸透とともに広がったオンライン面接。対面での面接と比較し、「日程調整しやすい」「交通費がかからず地方からでも受けやすい」「リラックスして話しやすい」といった応募者の声をよく聞くようになりました。一方で、企業側、応募者側ともにオンラインならではの弊害も感じているようです。

私が採用をお手伝いしている企業では、

  • 応募者の反応や表情がつかみにくい
  • 職場環境や社員の雰囲気を伝えにくい
  • 面接時以外の部分(立ち居振る舞いや雑談の様子など)を判断材料にできない

という意見が上がっているほか、「通信トラブルで面接がスムーズに進まない」「音声や画像が途切れる」という機能面の問題もあります。これらは応募者も同様であり、お互いの理解が深まりにくいことで、入社後のミスマッチにつながる可能性もあるでしょう。

オンライン面接では視覚情報が限られる

そもそもオンライン面接では、画面上で動きが少なく表情も読み取りにくいことから、視覚情報が限定されてしまいます。そうなると対話のキャッチボールがしにくく、聴覚情報も限られるため、言語情報に頼らざるを得ません。 結果として、総合的に得られる情報が少なくなってしまうと考えられます。

相手の情報を受け取る際、参考になるのが「メラビアンの法則」です。

「メラビアンの法則」とは、カリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱したもの。彼は「言葉に対する態度が矛盾していたとき、人はそれをどう受け止めるのか」を調べました。それによると、情報が人に与える影響度は、

表情や視線など見た目や仕草による「視覚情報(Visual)」は55%
声の大きさや話すスピードなどの「聴覚情報(Vocal)」は38%
会話そのものの内容である「言語情報(Verbal)」は7%

であったといいます。

オンライン面接がミスマッチを生む理由

視覚情報が限られることによってミスマッチが生じる具体的な理由には、主に下記のようなことが挙げられます。

非言語的な情報を得られない

対面の面接であれば、企業側も求職者側も、相手の細かな表情(笑顔、身振り、目線やまばたきの頻度など)や声のトーン、姿勢や背格好、服装などから、お互いの雰囲気を感じ取ることができますが、オンラインでは五感による非言語的な情報のキャッチが難しくなってしまうのです。

応募者側は職場をチェックできない

また、オンライン面接では、面接の前後にオフィスを見て、働く社員の様子を感じるのも難しくなります。

実際に応募先企業へ足を運んだ場合では、オフィス内の掲示物、デスクの配置(フリーアドレスかそうではないか)、会議室の数や共有スペースの広さなどを見て、求職者は自分に合った働き方ができるかをイメージしやすくなるでしょう。

しかし、オンライン面接の場合は、そうした情報や、社員同士で会話が多く活発な様子なのか、静かに仕事に集中しやすい環境なのかといった、社風を理解する重要なチャンスが十分に得られないのです。

タイムラグや通信トラブルが発生する

そもそもオンラインツールは、対話や議論よりも、プレゼンテーションやセミナーのような一方からの情報共有に適したものです。音声や画像にタイムラグがあるため、オンライン面接においても、

  • 対話が弾まない(弾んでも、同時に話し始めるとお互いの声が聞き取れない)
  • 音声の被りなどを気にして積極的な発言に躊躇が生まれる
  • 発信のタイミングを逃して、言いたいことを伝え切れない

などの事態が生じやすくなります。

 オンライン面接を良い人材獲得につなげる4つのPOINT

とはいえ、オンライン面接は行うべきではないかといえば、そうではありません。

設定のしやすさから、時間や距離の制約を超えて、より多くの候補者に出会える可能性が高まるというメリットもあります。そこで、オンライン面接を活用するポイントを考えていきましょう。

適性・性格検査の導入

適性・性格検査を導入することで、オンライン面接では判断しづらい人柄、コミュニケーションスタイル、ストレス耐性、価値観などを把握することができます。検査結果をもとに、気になった部分を面接で質問できればより理解が深まります。

例えば「ストレス耐性が弱い」という結果に対し、どういったときにストレスを感じ、これまでどう解消してきたかを聞くことで、弱点を克服する本人の姿勢が見えてくるかもしれません。

構造化面接の導入

オンラインには、自然な流れに依存する対話より、あらかじめ設定された質問項目に沿ってスクリプト化された構造化面接法が適しています。

企業側は、自社の基準に沿って聞きたいことを網羅的に聞くことができます。求職者側にとっても、面接の流れが明確で回答しやすいでしょう。

オンライン面接以外に対面で会う場を設ける

オンライン面接のほかに、カジュアル面談や、入社後の配属予定先の上司や同僚との面談を対面で設けたり、社内イベントやオフィス見学に来てもらったりするのもいいと思います。

また、複数回面接のうち1回は対面で行うなど、オンラインと対面のハイブリッドも検討してみましょう。

面接以外で会社の情報を提供する

対面実施が難しい場合でも、会社の情報の発信方法はさまざま考えられます。

採用ホームページで社員紹介や仕事紹介、インタビュー記事の掲載や、動画や採用ブログの配信、採用イベントの実施など、面接だけでは不足する社内情報を積極的に提供していきましょう。

まとめ

オンライン面接で伝えにくい情報は何か。対面との違いをよく理解した上で、効率的な採用活動につなげる工夫を重ねていきましょう。

ライター:田中 瑠子

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