約6割の企業がテレワークを実施!テレワークの課題と今後について【人事調査】

約6割の企業がテレワークを実施!テレワークの課題と今後について【人事調査】

新型コロナウイルスの登場により、一気に加速が進んだテレワーク。政府は、働き方の多様性を促進するために、2004年ごろから「テレワークセキュリティガイドライン」を作成するなど、テレワークを推進してきました。企業の人事・採用担当者は、テレワークについてどのような課題を感じているのでしょうか。そこで、現在の課題や今後の運用方針について、アンケート調査を行いました。データとともにご紹介します。

【調査概要】
調査名:「中途採用の人事担当者に関する調査」
調査機関:マクロミル
調査対象者: 人事担当者336名
調査期間:2022年6月20~6月30日

約6割の企業がテレワークを実施!テレワークの課題と今後について

テレワークの実施状況

まず、回答者が所属する企業のテレワークの導入状況について聞いてみたところ、「全社員を対象にテレワークを導入している」と答えたのは20%という結果でした。「一部部門・社員を対象に導入している」答えた方は41%。これら2つを合計し、約6割の企業がテレワークを導入しているということになります。一方で、テレワークを導入しておらず、「今後も導入予定はない」と回答したのは32%でした。

テレワーク導入状況

業種別では、IT・通信系が導入率No.1

テレワークの導入状況を業種別に集計してみたところ、IT・通信系業種は導入率9割と、他の業種と比べて圧倒的にテレワークの導入が進んでいることが分かりました。また、商社系やメーカー系も導入率が7~8割に及ぶなど、高い導入率となっています。

一方で、不動産・建築系や医療・福祉などの業種は現場で働く方が多く、IT・通信系のようにテレワークに移行しにくい傾向があります。そのため、テレワークの導入率は全社員対象だと3~5%と、とても少ない結果に。なお、「その他」の回答も、「現状導入しておらず、導入検討/準備予定もない」という回答が4割を超えましたが、業種の内訳は「運輸」「自治体」「教育」などが多く見られました。

業種別テレワーク導入状況

約8割の企業が週に1度以上のテレワークを実施

テレワークを実施している企業に対して、テレワークの頻度も聞いてみました。頻度にはかなりばらつきがありましたが、約8割の企業が週に1度以上のテレワークを実施していることが分かりました。また、回答が一番多かったのは「週2日程度(26%)」、続いて「週3日程度(17%)」「週1日程度(17%)」という結果になりました。調査結果では、週に4~5日と、ほぼテレワークになっている企業は約2割程度です。

テレワークの頻度

テレワークのメリット・デメリット

アンケートでは、テレワークのメリットやデメリットも聞いてみました(複数回答)。

テレワークのメリットの1位は「移動時間・通勤時間の削減」

テレワークのメリットとして一番大きかったのは、「移動時間・通勤時間の削減(49%)」でした。テレワークになると、通勤に対する負担がなくなるばかりか、取引先や会議室への移動時間も短縮することができます。もちろん、交通費の削減にもつながるでしょう。

テレワークのメリット

2つ目のメリットに挙げられたのは、従業員のワークライフバランスの向上(39%)」です。オフィスへの移動時間がなくなるため、その分をプライベートの時間に充てることができます。他にも、「残業時間の削減(27%)」「ストレス軽減(27%)」「従業員のモチベーション向上(22%)」など、テレワークは「従業員の働き心地の改善に一役買っている」という認識があることが分かりました。従業員の満足度が上がり、交通費やオフィスの維持管理費、残業代などを削減し、勤務地に縛られない多様な人材を確保・定着が実現できると、メリットばかりのようですが、もちろんデメリットもあります。

テレワークのデメリットの1位は「勤怠管理の難しさ」

テレワークのデメリットの上位3位は、「勤怠管理が難しい(41%)」「社内のコミュニケーションに支障が出る(40%)」「評価・マネジメントが難しい(35%)」という結果でした。勤怠管理のために、「始業時・終業時や休憩時に必ず報告を入る」「勤怠管理ツールを入れる」という企業が増えていますが、「コーヒー1杯入れるにも報告が必要?」「子供が家にいる場合はどうする?」など、どこまで勤怠管理をするかの線引きが課題となります。また、コミュニケーションについても、「オンラインで働いている姿をモニターに映し続けて職場にいるかのように会話できるようにする」「チャットなどのコミュニケーションツールを導入する」など、積極的なコミュニケーション促進を図っている企業もありますが、勤怠管理同様に、「勤務時間中に業務に関係のない会話をしてもいい?」「チャットは打つのに時間がかかる」など、コミュニケーションコストをどこまで許容するかという線引きが求められるでしょう。

テレワークのデメリット

人事・採用担当者の声

●勤怠管理が難しい(41%)

  • オンとオフの境が難しく、公私混同が判断できない(メーカー系)
  • 勤務に集中できているのかが不明である(専門コンサル系)
  • 普段から見える人柄から、「テレワーク=休み」的な活用をしている人は必ずいると思っています。業務開始・終了時には所属長への報告が必要ですが、解消はできません(サービス系)

●社内のコミュニケーションに支障が出る(40%)

  • コミュニケーションの量が減るため、質を向上しないと情報の停滞や関係の希薄化を起こしてしまう(IT・通信系)
  • 組織への帰属意識がなくなる。新入社員の場合、人間関係を構築することが難しい。(IT・通信系)
  • ちょっとしたやり取りにインターバルがある(メーカー系)

●評価・マネジメントが難しい(35%)

  • テレワーク勤務者のメンタルを含む体調面の把握が難しいこと(サービス系)
  • 時間内の仕事が可視化できておらず、特定の個人に仕事が偏っている(商社系)
  • 目標管理において定量目標は簡単ですが、定性目標の判断が曖昧になっているところ(その他)

コミュニケーション、情報セキュリティ、就業規則…テレワーク導入への課題

テレワークを導入・実施するにあたり、何が課題になるのかを聞いてみました。どのような企業でも、全ての従業員がテレワークで完結できるとは限らず、「出社しなければ対応できない業務がある(47%)」が1位となりました。3位の「一部社員にしかテレワークを適用できない(30%)」も、仕事内容や役割によってテレワークを適用できない従業員がいるという、1位と類似の課題になります。

また、デメリットでも上位になっていた「社員同士のコミュニケーションが希薄になる(39%)」が上位に。テレワークにおけるコミュニケーションは今後も解決したい課題の一つと言えそうです。

テレワーク導入の課題

他には、「コピー機やスキャナなど、オフィスに設置されている機器にアクセスしにくい(28%)」「情報セキュリティ面の整備が不十分(24%)」など環境整備への課題のほか、「テレワークを運用・管理する上での社内規定が整備されていない(23%)」「人事評価制度が整備できていない(22%)」と、就業規則や評価制度の設計が追い付いていないという人事ならではの課題感も見られました。

今後のテレワークの方針とその背景

今後のテレワークの方針について聞いてみたところ、およそ6割の方が「全社員を対象にテレワークを実施する」「一部部門・社員を対象にテレワークを実施する」と回答。一方で、「出社日を増やす(9%)」「テレワークを廃止する(2%)」という結果になりました。それぞれの声をご紹介します。

今後のテレワーク方針

人事・採用担当の声

●全社員を対象にテレワークを実施する(18%)

  • 既にオフィスを縮小しており、全員を受け入れるだけのスペースがない。社員がリモートワークを強く要望している(IT・通信系)
  • 場所を選ばず仕事ができた方が、採用の幅が広がる(その他)
  • 今後の世の中の傾向が、テレワーク常態化になると思っているから(IT・通信系)

●一部部門・社員を対象にテレワークを実施する(40%)

  • 顧客対応および機密データへのアクセスなど、全社でのテレワークは現実的でないため、間接部門を中心に行うことにしています(その他)
  • 営業やサービスエンジニアなど、一部の職種では顧客企業がテレワークを廃止したことによって、基本出勤となりつつあるため(IT・通信系)
  • 出勤が必要な業務がある一方で、テレワークを希望する従業員用の業務を切り出すことができたため(53歳 サービス系)

●出社日を増やす(9%)

  • テレワークでできない仕事も多く、不公平感をもたらしかねない(商社系)
  • 社員間でのコミュニケーションを取りやすくするため(IT・通信系)

●テレワークを廃止する(2%)

  • ごく一部の職員しかテレワークができないので、テレワークをする意味があまりない(49歳 その他)
  • 勤怠管理のシンプル化や業務効率化(サービス系)
  • 労働生産性の低下(メーカー系)

●今後もテレワークを導入しない(30%)

  • テレワークできる職種もあるが、できない職種からの不公平感がある。そのため全社的にテレワークを行わないことにした(メーカー系)
  • 現場作業の社員が95%だから(サービス系)

最後に

テレワークの導入は、従業員のワークライフバランスを向上させ、コストダウンも実現できますが、一方で勤怠管理やマネジメント、コミュニケーションに難しさがあります。今回の調査結果を、自社に合うテレワークのあり方を考えるためのヒントにしてみてください。

ライター:只野 志帆子
記事を書いた人
kaneko-eri
金子絵里

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