転職活動では、書類選考を通過して面接が実施される流れになったら、事前に企業から日程調整に関するメールが来ることが一般的です。このメールが単なる事務的な連絡だと考えて気を抜いてはいけません。ビジネスメールであることを意識し、マナーを押さえて返信することが大切です。この記事では、面接の日程調整メールに対する返事の書き方や押さえておくべき基本のマナー、ケース別の返信例文について解説します。


目次
面接の日程調整メールに正しく返信する必要はある?
面接日程調整メールの中には、決定した面接日程を知らせる内容のものもあります。指定された面接日時で問題がない場合でも、返信は必ずしましょう。返信がなければ、企業の人事担当者は応募者に面接日程がきちんと伝わったという確信が持てません。日程確定メールが無事に届き、きちんと内容を確認したと先方に伝えるためにも返信することが大切です。また、企業側が提示する複数の候補日のなかから都合が良い日を選ぶよういわれたり、希望する面接日時を提示するよう要請されたりしている場合は、もちろん速やかに返信する必要があります。
日程調整メールへの返信は、応募書類の提出や面接などと比べると気を抜いてしまうところがあるかもしれません。しかし、選考は応募の段階から始まっています。企業とやり取りするすべてのステップで、自社の社員として相応しいかチェックされていると考えたほうが良いでしょう。日程調整メールへの返信は人事担当者が直接確認するものであることを考えると、ビジネスマナーをしっかり守って返信することが不可欠です。
新卒採用とは異なり、中途採用の場合は社会人経験があるのだから応募者はビジネスマナーを守れて当然だと企業は考えています。マナーに反することがあれば特に評価が下がる可能性が高いため、十分に注意しましょう。反対に、マナーを押さえた返信ができれば「丁寧な仕事をしそう」「信頼できる仕事ぶりだ」など好印象を持たれやすくなります。


面接の日程調整メールに対する返信の書き方
面接の日程調整メールに対して返信を作成するときは、ビジネスメールのフォーマットに沿って作成することが大切です。ここでは、構成順にメールの書き方について解説します。
宛名
返信メールの本文では、冒頭に送信先の宛名を記載します。宛名の構成は「志望企業名・担当者の所属部署名や役職・担当者氏名(フルネーム)」です。以下のように書きます。
株式会社○○
人事部○○ ○○様
このとき、志望企業の会社名は「(株)ABC」などと省略せず、「株式会社ABC」など正式名称で書きましょう。人事担当者の所属部署や役職と氏名は、会社名の下に書きます。とはいえ、担当者の氏名が分からないこともあるでしょう。その場合は「採用ご担当者様」としても問題はありません。なお、企業から届いた日程調整メールの下部には、企業名や担当者名が記されていることがよくあります。企業名は正式名称で、担当者名もフルネームで書かれていることが多いので、先によく確認しておくと良いでしょう。名前の間違いは失礼にあたるため、メール作成後にも再度確かめることがおすすめです。
挨拶
宛名のあとは、いきなり用件に入らずに導入の挨拶と名乗りを入れましょう。挨拶といっても、例えば「陽春の候、貴社におかれましてはますますご清祥のことと…」などと長々と時候の挨拶を書く必要はありません。ビジネスメールでの挨拶は、初めてのやり取りのときは「お世話になります」、2回目以降は「お世話になっております」とすれば事足ります。挨拶文に続けて、自分の名前をフルネームで記載しましょう。例えば、以下のように書きます。
・「お世話になります。貴社の営業職に応募させていただきました○○です。」
・「お世話になっております。〇月〇日に一次面接をしていただきました○○です。」
なお、在職中の転職活動であっても、名乗りの際に現職の企業名や部署名を記載する必要はありません。
内容・締めの言葉
挨拶文と自分の氏名を記載したら、一行空けて本文に入ります。本文では、まずは「この度はご連絡いただき、ありがとうございます」など連絡をいただいたことに対する感謝を述べましょう。続いて本題に入ります。人事担当者は何かと忙しいため、メールの要点をすぐに理解できるように、結論から述べることが大切です。本文を書き終わったら「お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします」など相手への謝意や気遣いを示す文言をいれて締めとします。本文を書くときは、「見やすさを意識する」ことが大切です。適度に改行したり段落を分けたりして、適切な余白を設けるようにしましょう。挨拶・名乗りのあとに1行空けて本文に入るのも、見やすくするためです。
署名
必要な内容を漏れなく記載したら、最後は「署名」です。署名は「差出人の氏名・詳しい連絡先」で構成されます。本文との区切りを明確に示すため「—–」や「=====」などを使って枠を作ると良いでしょう。区切りの下に、自分の氏名(フルネーム)・住所・電話番号・メールアドレスの順で記載します。なお、メールソフトの設定で署名が自動的に追加されるようにしている場合、十分な注意が必要です。友人たちとの間で使っているニックネームなどになっていないか確かめておきましょう。在職中の場合は、現職の会社名や部署名、会社の連絡先などが入っていることがあります。これもうっかりそのまま応募企業に送信してしまわないよう、十分に気を付けましょう。


面接の日程調整メールへの返信マナー
面接の日程調整メールに返信する際は、いくつか押さえておきたいマナーがあります。ここでは、特に重要なマナーをみていきましょう。
24時間以内に返信する
ビジネスでは、メールに限らず、連絡を受けた際はなるべく早く返事をすることが基本のマナーです。返事が早いほど、先方も連絡の内容に合わせて段取りを進められます。日程調整メールも、応募者からの返事がなければ人事担当者は面接のスケジュールを組むことができません。連絡が早いほど調整しやすく、人事担当者からの印象も良くなります。複数の応募者がいる場合、もたもたしているうちに希望の日程が先に埋まってしまうこともあるでしょう。そのため、日程調整メールを受け取ったら、すみやかに連絡することが大切です。どれだけ遅くなっても、メールを受け取ってから24時間以内に返信しましょう。
とはいえ、在職しながら転職活動をしている場合、すぐに都合の良い日程が分からないこともあります。そのようなときは、取り急ぎ「今すぐには予定が分からないため、〇日までに連絡する」との主旨のメールを送りましょう。例えば、以下のような返信です。
「誠に申し訳ございませんが、業務の都合で都合の良い日程が今すぐには分かりかねます。〇月〇日までにご連絡させていただきますので、お待ちいただけますでしょうか。」
なお、メールを送るときは、送信の時間帯にも注意が必要です。「都合の良いタイミングで開封するからいつ送っても良い」と考える人がいる一方で、「深夜や早朝などにビジネスメールを送るのは非常識だ」と感じる人もいます。志望企業の就業時間内に返信するのがもっとも無難です。
件名に要件・差出人を含める
返信の件名は、「誰から」「どのような用件で」きたメールかひと目で分かる件名にします。これは、企業の人事担当者は応募者からのメールを1日に何通も受け取っている可能性が高いからです。採用関連以外の業務を担当している場合もあり、1日にやり取りするメールは非常に数多いでしょう。そのため、ほかのメールに埋もれてしまわないためにも、すぐに分かる件名にすることが不可欠です。企業からのメールに返信する場合は、件名に自動的に「Re:」がつきます。これはそのままにして、最後に自分の名前を加えると良いでしょう。
例えば、志望企業から「面接の日程調整に関するご連絡」とのタイトルでメールが来たとします。これに返信する場合、件名は「Re:面接の日程調整に関するご連絡【○○ ○○(自分の氏名)】」のようにすることが望ましいです。とはいえ、何往復かやり取りすると、件名にたくさんの「Re:」がついて見づらくなるでしょう。そのような場合は、「Re:」を1つだけ残して削除してもかまいません。
元の本文を残す
企業から届いたメールに返信する場合は、「引用返信」にしましょう。これは、引用返信にすると元メールの本文が残るため、返信を受け取った人事担当者が何に対する返信なのかすぐに把握できて便利だからです。何度もやり取りしている場合も、これまでの経緯を追うことができます。人事担当者は、多くの応募者にさまざまな内容でメールを送っているでしょう。そのため、元メールの本文が引用されていないメールが届くと、何に対する返信かとっさに判別できません。過去のメールを探すなどの手間をかけさせてしまう恐れがあります。引用返信にすると、人事担当者に余計な手間をかけさせずに済むだけでなく、認識の相違や日にち間違いなどのミスを予防するにも有効です。
社用メールは使わない
在職しながら転職活動する場合、今の職場のパソコンから社用メールを使って応募企業とやり取りすることは避けましょう。職場で付与されたメールアドレスは、業務で使うことを前提とするものです。転職活動に使用すると、応募企業の人事担当者から「社用メールを使うとは常識に欠ける」と判断されかねません。当然、印象や評価は悪くなってしまうでしょう。また、社用メールで送受信した内容はチェックされる場合があり、転職活動をしていることが露見する恐れがあります。
転職活動を開始する際には専用のフリーメールアドレスを取得するのがおすすめです。もちろん、メールのやり取りは自分のスマホやパソコンのみで行うようにします。アドレスを作成するときは記号などを入れず、ビジネス向きのシンプルな文字列だけで構成することも大切なポイントです。


【ケース別】面接の日程調整メールへの返信例文
これまでに述べた宛名や挨拶、締めの言葉や署名の書き方は、どのようなビジネスメールを送る場合でもほぼ共通しています。面接の日程調整メールに対する返信を送る場合、状況や回答内容に応じて本文のみ適切な内容に変えることが必要です。ここでは、よくある状況別に、返信の例文を紹介します。
決定した面接日の変更をお願いするケース
企業から面接の日時を指定されたものの、都合が悪く行けない場合もあるでしょう。そのようなときは、まず連絡に対するお礼を述べたあとで、都合が悪いため変更してほしいとお願いします。都合のつく日程を複数挙げて、そのなかで調整してもらえるか聞いてみると良いでしょう。候補日は最低でも3つ程度あることが望ましいです。最後に締めの挨拶と署名を記載し、送信しましょう。例文を以下に示します。
○○株式会社
人事部○○ ○○様
お世話になります。
面接日程のご連絡をいただいた○○と申します。
この度は面接日程のご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
大変恐れ入りますが、ご提示いただいた日程は出張の予定が入っており、貴社にお伺いすることが難しい状況です。
つきましては、以下の日程で再度調整をお願いすることはできますでしょうか。
・〇月〇日(〇)〇時以降
・〇月〇日(〇)〇時~〇時
・〇月〇日(〇)終日
勝手を申しまして誠に恐縮ですが、ご検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。
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名前
住所
電話番号
メールアドレス
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面接を辞退するケース
面接の日程調整メールを受け取ったものの、なんらかの事情で面接そのものを断りたい場合もあるでしょう。その場合も、もちろんすぐに連絡する必要があります。内容が日程調整ではないため、件名は消して「面接辞退のご連絡【○○ ○○(自分の氏名)】」などに変えましょう。宛名と挨拶のあとに連絡をいただいたお礼を述べ、次いで面接を辞退したいこととお詫びの言葉を続けます。必ずしも辞退の理由を述べる義務はありませんが、ここまで時間を割いてくれたことへの感謝と期待に添えなかったことへの謝罪の意を示すためにも簡単に辞退理由は伝えることがベターです。家庭の事情など、伝える必要のない場合は「諸般の事情で」「一身上の都合」のような伝え方をしても問題ありません。最後に締めの言葉と署名を記載して送信します。例文は以下のとおりです。
○○株式会社
人事部○○ ○○様
お世話になっております。○○ ○○です。
この度は面接日程をご連絡いただき、誠にありがとうございます。
誠に恐縮ではございますが、諸般の事情により面接を辞退させていただきたく、ご連絡いたしました。
お忙しいところ、時間を割いてご対応いただきましたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
本来ならば直接お伺いするべきところ、メールでのご連絡になりましたことも重ねてお詫び申し上げます。
末筆ながら、貴社ますますのご発展をお祈り申し上げます。
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名前
住所
電話番号
メールアドレス
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マナーを守った面接日程の返信メールで好印象を与えよう!
面接の日程調整メールに対する返信は、選考とは直接関係ないと考えて油断する人がいます。とはいえ、日程調整メールへの返信も立派なビジネスメールです。ここで紹介したポイントを参考に返信メールを作成・送信し、志望企業の人事担当者に良い印象を持ってもらいましょう。
