転職活動の際の書類選考では履歴書や職務経歴書の内容も重視されますが、郵送の仕方にも注意が必要です。履歴書などに問題はなくても、郵送に関するマナーに問題があれば採用担当者に悪い印象を与えかねません。本記事では、転職活動における応募書類の郵送の際に守るべきマナーについて解説します。準備するものや封筒への記載内容、その他の注意点などにも触れるので、応募前に把握・確認しておきましょう。


目次
履歴書を郵送する際の準備物
応募書類を郵送する際には、封筒と切手を準備しなければいけません。ここでは、履歴書などを郵送するのに適した封筒と切手の選び方について解説します。
封筒
履歴書を入れる封筒のサイズは、角形2号を選びましょう。応募書類の多くは、A4サイズの大きさで作られています。二つ折りするタイプの履歴書なども折った際にはA4サイズになる製品がほとんどです。A4サイズの書類であれば角形A4号でも入れることは可能ですが、履歴書だけではなく職務経歴書、送付状、それらを収めるクリアファイルなども同封することを考えると少し窮屈になってしまいます。応募書類が多くても、角形2号の封筒を選んでおけば間違いありません。
封筒の色は白色を選びましょう。他の色の封筒と比べ、清潔感や洗練された印象を与える効果が期待できます。一般教養やマナーをわきまえている印象も与えられるのではないでしょうか。また、封筒には「履歴書在中」と赤字で記載しますが、白色の封筒であればその文字も目立ちやすく応募先企業に認識してもらいやすいメリットもあります。ただし、白色の封筒は素材次第では中身が透けて見える可能性があるため、なるべく厚みのあるタイプを選んでください。
一般的に使用される茶色い封筒で応募書類を送っても、決してマナー違反とはなりません。しかし、茶色い封筒は事務的な書類の郵送などに使用されることが多く、重要書類の郵送に向いているとはいえないでしょう。転職活動の際に応募企業に送る履歴書などは重要書類であり、立派なビジネス文書でもあります。少しでもよい印象を与えたいのであれば、茶色ではなく白色の封筒を選ぶことをおすすめします。
切手
履歴書などを郵送する際に必要になる切手料金は、書類を入れた封筒の種類や重さによって変わります。角形2号の封筒は定形外郵便に分類されるため、全体の重さが50g以内であれば120円、100g以内であれば140円、150g以内であれば210円で送ることが可能です。転職時には履歴書だけではなく職務経歴書や送付状も同封するケースが多く、大半の人がそれらをクリアファイルに入れたうえで封筒に収めるのではないでしょうか。それぞれ1枚ずつであれば、おそらく140円分の切手で送ることができるでしょう。
規定の料金を満たしていても、切手を5枚も6枚も貼ると見栄えが悪くなってしまいます。多くても2枚に収まるように計算して切手の種類を選んでください。切手の料金は、ちょうどである必要はありません。超える分には問題がないため、多少料金が超過したとしても2枚に収まるような組み合わせを選ぶことをおすすめします。
切手の柄に関してですが、キャラクターものや派手なデザインのものは避けましょう。ビジネス上のやりとりにふさわしくない切手を選んでしまうと、それだけで社会人としてのマナーを疑われる可能性が出てきます。自宅に余っているからといって適当なものを選ぶのではなく、ビジネスにふさわしい切手を選ぶことが重要です。また、慶事用や弔事用の切手ももちろんNGとなります。


履歴書を郵送する封筒に記載する項目
履歴書などの応募書類を収める封筒には、応募先企業の宛名や自分の住所・氏名など、記載しなければならない項目が多々あります。それぞれ記載する箇所なども決まっているので注意が必要です。ここでは、表面と裏面に分け、封筒に記載すべき項目や注意点などについて解説します。
表面の記載項目
封筒の表面には、応募先企業の郵便番号、住所、会社名、部署名などを記載します。郵便番号記載の際には「〒」のマークは必要ありません。郵便番号を記載する枠があれば、その中からはみ出さないように記載しましょう。枠がなければ、封筒の右上に記載してください。住所は都道府県から書き、番地やビル名、階数なども省略せずにすべて記載します。企業名も同様に、(株)や(有)などと略すことなく、必ず「株式会社」「有限会社」と書き、細かなところまで正式名称で記載してください。企業名にアルファベットが使われている場合には、大文字と小文字なども間違わないよう注意が必要です。
住所のあと、企業名のみであれば、そのうしろに「御中」と記載します。部署名まで記載する場合も、そのうしろに「御中」と書きましょう。採用担当者の氏名がわかっているのであれば、企業名、部署名、採用担当者名を書いたあとで「様」と記載します。「御中」と「様」の使い分けにも十分に注意してください。
履歴書を企業へと郵送する際には、封筒に必ず「履歴書在中」や「応募書類在中」と記載します。封筒の表面、左側の下あたりに赤いボールペンなどを使用し朱書きしましょう。手書きの場合には「履歴書在中」と記載した赤いペンで四角く囲んでおくと丁寧です。
「履歴書在中」のスタンプも市販されているので、複数の企業へと応募する予定のある人は、このようなスタンプを用意しておくと便利なのではないでしょうか。ミスを減らすことができ、かつ応募先企業に悪い印象を与えることもないため、転職活動の際には一つ手に入れておくとよいでしょう。
裏面の記載項目
封筒の裏面には、自分自身の郵便番号、住所、氏名を記載します。記載の位置は、封筒の左下です。応募先企業の住所などと同様に、都道府県から記載し、マンション名やアパート名、部屋番号まで略さずに書きましょう。左上には、履歴書などの投函年月日を記載してください。和暦か西暦かは履歴書に合わせます。職務経歴書や送付状も含めてですが、応募書類に記載する年号の形式はすべて統一しなければいけません。
応募書類をすべて封筒に入れたら封を閉じ、「封字」を記載します。この封字は、送り主から送り先へと届くまでの間に、誰にも開封されていないことを示す印です。もし封字にズレなどがあれば、第三者が開けたことになります。封字は封筒を糊付けし、乾いてから記載するのがポイントです。履歴書は非常に重要な書類のため、マナーの一つとして、この封字も忘れずに記載しておきましょう。手書きではなく、印鑑を押しても構いません。その場合も封筒を糊付けしたあと、封筒のフタと本体のつなぎ目に印鑑の中心がくるように押します。コピー用紙などを折り練習を重ねてから行うと失敗も少なくなるはずです。


履歴書を封筒に入れるときの注意点
二つ折り仕様の履歴書の場合は、真ん中で綺麗に折ってから封筒へ入れましょう。折り目がしっかりとついていないと、封筒の中で本来の折り目とは異なる箇所で折れてしまう可能性があるため注意しなければいけません。応募書類を折る際は、必ず記載面を外側へと向けます。三つ折りの履歴書や、真ん中で一度折ってから、それをさらに三つ折りにするタイプの履歴書もありますが、このような仕様のものはできる限り避けてください。折る箇所が増えると破れやすくなる可能性が高まったり、折り目が多くなることで読みづらくなる恐れがあるためです。
応募書類は、まとめてクリアファイルに入れておきましょう。履歴書などが郵送中に折れたり汚れたり、あるいは湿気でシワになったりすることを防げます。封筒には、送付状、履歴書、職務経歴書、その他書類の順番で入れます。封をする際には、セロハンテープの使用は避けてください。剥がれやすく、また、他の郵送物に粘着面がくっついてしまう恐れもあるためです。液体糊や両面テープを使いましょう。あらかじめ両面テープがつけられている封筒であれば、それを利用しても構いません。いずれにしても封をする際には汚れや失敗が発生しやすいため、細心の注意を払う必要があります。
履歴書を郵送する際の基本的マナー
履歴書の郵送には、押さえておきたいマナーがいくつかあります。採用担当者によっては採否に影響が及んでしまう可能性もあるため、一般教養が備わっていないと誤解されないためにも、ここで解説する基本的なマナーについて理解しておきましょう。
郵便局の窓口から普通郵便で送る
履歴書などを入れる封筒に貼る切手に関する注意点を解説しましたが、特段の理由がない限りは郵便局の窓口から送りましょう。ポストの投函と違い自ら切手を貼る必要はなく、料金不足の切手で送ってしまうなどの失態も防げます。確実に企業へと届けられるはずです。郵便局の窓口から郵送する際には速達や簡易書留などではなく、普通郵便を選択してください。速達では、応募期限に間に合うよう慌てて応募書類の作成や提出をしたという印象を抱かせてしまいかねないでしょう。
簡易書留は普通郵便と異なり、受け取り側に手間をかけさせてしまいます。迷惑であると認識されれば採否に影響を及ぼしかねないので注意が必要です。応募締切日に十分間に合うよう余裕をもって窓口へと持って行けば普通郵便でもまったく問題はありません。ちなみに、履歴書をゆうメールやクリックポストなどのメール便で送ると、郵便法違反になるので利用は避けてください。
履歴書を郵送したことをメールで連絡
履歴書を郵送したあと、企業にメールでその旨を連絡しておきましょう。特に、事前に企業とのやりとりがあり応募書類の郵送を指示されていたのであれば必須の作業となります。企業側は応募書類の届く日付をおおよそ把握できるので対応しやすくなり、また、逐一連絡ができる丁寧さやマナーを備えているといった印象も抱きやすくなるはずです。もし、郵送した履歴書が届かなかった場合、企業側に早い段階で気付いてもらい、連絡してもらいやすくなるメリットもあります。郵送上のトラブルにより応募がなかったことにならないよう、忘れずにメールしておきましょう。
メールでの連絡は、履歴書などを郵送した当日に送信します。郵便局から帰ったら、すぐにメールを作成し送信してください。挨拶や履歴書の送付日、署名となる個人のメールアドレスなどを含め、事前に文面を考えておくとスムーズに送れるはずです。目的は応募書類の郵送完了を伝えることのため、メールの文面が長文にならないよう気をつけなければいけません。開封前に用件が把握できるよう、件名には「履歴書送付の件」などと記載し、自分の名前も入れておくとよいでしょう。


履歴書に送付状を添付しておく
すでに少し触れていますが、履歴書を送る際には送付状を添付しましょう。誰が何を送ったのかを受け取る側が一目で把握するための書類が送付状です。挨拶の役割も果たすので、非常に重要な書類となります。ビジネスマナーの一つでもあるため、内容などにも注意を払わなければなりません。送付状に記載するのは、書類の送付日、企業の宛名、自身の住所、氏名、電話番号、挨拶を含めた本文、同封書類の情報などです。
挨拶文では、頭語に「拝啓」を、結語に「敬具」を記載することも忘れないでおきましょう。送付状に自己PRや志望動機を記載しても構いません。しかし、送付状の目的はあくまでも挨拶と送付した書類の内容を伝えることです。自己PRなどを書く際は履歴書や職務経歴書の内容と齟齬がないよう、3〜4行程度でコンパクトに書くことを意識してください。また、送付状は必ずA4用紙1枚にまとめます。送付状の目的から逸脱しないこともマナーの一つとなると理解したうえで作成しましょう。
切手を貼る位置にも気を配る
もし、自身で封筒に切手を貼るのであれば、必ず封筒の左上に貼りましょう。封筒の左の角から横3.5cm、縦7.5cmの範囲に貼ります。この位置に貼るのは、郵便局内で機械が切手を認識する際に誤作動を起こさず仕分けしやすくするためです。ただし、封筒から少しでもはみ出すと他の郵便物と接触するなどして剥がれやすくなるため、余白を設けて貼ってください。切手は正しい向きでまっすぐに貼り、シワになったり端が剥がれたりしないよう注意しなければいけません。
複数枚貼る場合は、縦に並べて貼ります。この際も各切手の位置が極端にずれないよう、まっすぐ貼ることを意識しましょう。封筒が応募先企業へ届いた際、受け取った採用担当者が切手の位置でマナーや一般常識などの確認を行う可能性も否定はできません。細かいことですが、履歴書を郵送する際の重要なマナーであると認識し、正しい方法で届けられるようにしておくことが大切です。
履歴書郵送のマナーを守り細かいところにも気が付くアピールを
履歴書の郵送に関するマナーを守れていなかったとしても、それが不採用を決定づけるとは限りません。しかし、ネガティブな印象につながるリスクが生じることは考えられます。封筒のサイズ選びや切手の貼り方など非常に細かなことですが、これらはマナーや常識の一環として採用担当者にチェックされていると認識すべきです。転職活動において履歴書など応募書類を提出する際には、郵送方法も含めアピールすることを心がけましょう。
