履歴書を手書きで作成し郵送する提出方法が主流だった時代から、履歴書のファイルデータを添付してメールで送信する時代へと移り変わりをみせています。応募先企業のWebサイトや募集要項などをチェックした際、履歴書をメールで送るよう指示されていた場合は、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。本記事では、メールで履歴書を送る際のマナーや、メールの作成方法などについて解説します。


目次
履歴書をメールで送るときに守るべきマナー
メールに履歴書を添付して送信する際には、最低限守らなければならないマナーがあります。社会人としてのマナーに加え、送り先企業に負担をかけないためのマナーも含め解説します。選考に悪い影響を与えないよう、ここでしっかりと正しい送り方を理解しておきましょう。
指示があり次第すぐに送信する
企業から履歴書をメールで送るよう指示があった場合は、できる限り早く対応しましょう。24時間以内に送信することが望ましいと考えておいてください。遅くても2〜3日以内には対応する必要がありますが、指示があってから送信までに数日か、それ以上かかるようであれば、先に提出予定日時を記載したメールを送信します。その際には、なぜ履歴書の提出が遅れてしまうのか、その理由も添えておきましょう。
履歴書の提出やメールでの返信が遅れてしまうと、「仕事での対応も遅いのではないか」「こまめに連絡や報告ができないのではないか」「入社したいという意欲が低いのではないか」など、ネガティブな印象を持たれてしまいかねません。メールの送信が早ければ早いほど入社意欲があることを伝えられるため、早めの対応を心がけましょう。転職活動において履歴書をデータで要求されるケースも珍しくなくなってきています。転職しようと考えた時点で用意しておくと、応募先企業からの要望にも即座に応えられるはずです。
パスワードを設定する
履歴書には個人情報が詰まっているため、メールで送信する際にはファイルにパスワードを設定しておくと安心です。万が一、応募先企業ではない企業や個人にメールを送信してしまっても、個人情報の流出を防ぐことができます。
パスワードを設定することには、個人情報を守る以外のメリットもあります。セキュリティ意識をアピールできる点です。パスワードを設定し鍵をかけること自体を、必須のマナーと考える企業ばかりではありません。特に気にしていない企業もありますが、ファイルにパスワードを設定し履歴書を送信することで、ネットでのやりとりに関する知識や危機管理能力の高さなどを暗に伝えることができるでしょう。とりわけ個人情報を扱う職種やセキュリティ関連の業界などに応募するのであれば、このようなアピールは重要な意味を持つことになるはずです。
履歴書のファイルを添付したメールと、ファイルを開けるためのパスワードを記載したメールは分けて送りましょう。履歴書のファイルを添付したメールを最初に送り、そこにパスワードを設定している旨を記載しておきます。その後、パスワードが記載されたメールを送り、ファイルの開封と確認をしてもらってください。同じメールでファイルとパスワードの両方を一度に送信してしまうと、パスワードを設定した意味がありません。メール1通で誰でも鍵を開けることができてしまうので、必ず分けて送信することを忘れないでください。


ファイル形式はPDFが基本
履歴書をExcelやWordで作成する人は多いでしょう。作成が完了したら保存をし、メールに添付すればよいと考える人もいるのではないでしょうか。しかし、履歴書をメールに添付して送る際には、PDFのファイル形式へと変換するのが基本です。PDF化することで、そのファイルの内容を修正したり削除したりなどができなくなります。第三者による改ざんなど不測の事態を防ぐことが可能です。また、ExcelやWordはソフトやバージョンによって文字化けが起こったり、レイアウトが崩れたりなどの恐れもあります。MacとWindows間のやりとりでは、よりそうした現象が起きるリスクが高まるでしょう。
PDFファイルは使用するパソコンの環境などに左右されることがありません。スマートフォンやタブレットなどオフィスソフトが入っていない端末での確認も可能で、文字化けやレイアウトの崩れも起きず、印刷などもスムーズに行えるなど多くのメリットがあるのです。PDFファイルへの変換方法も特に難しくはありません。ExcelやWordでの履歴書作成が完了したら、「ファイル」のタブから「名前をつけて保存する」を選択し、さらに「PDF」を選択することで変換して保存できます。他の形式のファイルなどに変換する際にも応用できるため、ビジネススキルの一つとして覚えておくとよいでしょう。
メールアドレスは個人用を使用
履歴書の送信に使用するメールアドレスとしては、個人用に取得したアカウントを利用してください。在職中に転職活動をしている人は、働いている企業から与えられたメールアドレスや、仕事用に取得したアカウントで社内の人たちや取引先などとやり取りをしているのではないでしょうか。非常に便利であり、いつでも確認可能なメリットもありますが、転職活動での社用アドレスの使用はマナーや一般常識の観点から正しいとはいえません。社用のメールアドレスではなく、必ず個人のみで使用しているメールアドレスから応募先企業へと履歴書を送りましょう。
使用するのは、Gmailなどのフリーアドレスでも問題ありません。ただし、ドメイン指定受信設定によっては応募先企業からのメールが届かない可能性があるため注意してください。また、フリーアドレスには設定した氏名が相手の受信ボックスに表示されるものがあります。普段使用しているアドレスをニックネームで登録している人は本名に設定し直すか、転職活動用に本名を設定した新しいアカウントを作成するなどしてから履歴書を送信しましょう。
同様に、メールアドレスの英数字の羅列に個人の趣味や嗜好を色濃く反映した箇所がある場合や、顔文字などが入っている場合も、それをそのまま使用することは避けてください。転職用に無難なアドレスを新規で取得することをおすすめします。メールを受け取った応募先企業にどのような印象を与えるかイメージし、アカウント名やメールアドレスにまで気を配りながら履歴書を送信することが重要です。
できるだけ営業時間内に送信
マナーとして、履歴書を添付したメールは、可能であれば営業時間内に送信しましょう。メールは電話とは異なり、受信側のタイミングで確認などが行えます。そのため、送信の時間帯は電話や訪問ほど気を遣う必要はありません。しかし、最初に触れたように営業時間内に送信することをマナーであると捉える企業もあります。採用担当者ごとに考え方は異なりますが、わざわざ深夜や早朝など極端な時間帯に送る必要はないでしょう。受信時間は履歴として残るため、それを見た採用担当者が悪い印象を抱かない配慮が求められます。
採用担当者によっては、メールをスマートフォンなどでも受信できる設定にしていることがあります。仕事に関する連絡を、常に受けられるようにするためです。そのようなケースでは、応募者が履歴書を添付したメールを送ると同時に、担当者のスマートフォンが鳴ることになるでしょう。メール作成が深夜になってしまったのであれば、翌日の営業開始の時間にメールが送られるように送信予約しておくのも一つの手です。採用担当者の出勤のタイミングでチェックしてもらいやすくなります。


履歴書添付メールの具体的な作成方法
履歴書を添付したメールでは、必要な情報を簡潔かつ具体的に伝えることが重要です。ここでは、履歴書をメールで送る際の作成方法について解説します。不備が生じないよう、しっかりと確認したうえで送信しましょう。
件名
メールには件名を入力する必要があります。シンプルで分かりやすい件名を心がけましょう。採用担当者が一目で「応募者からの履歴書添付メールである」と気づくことが何よりも重要です。例えば、「履歴書ご送付の件」「〇〇職応募の件」などと記載します。氏名が表示されれば誰からのメールかは分かりますが、これら用件のあとには、必ず自分の氏名も記載しておきましょう。件名のみで、メールの内容とともに差出人が認識できるようにするのがポイントです。
企業から送られてきたメールに返信する形で履歴書を添付し送り返す場合には、基本的に件名を修正する必要はありません。返信を意味する「Re:」が付いていても、元の件名のままで送り返しましょう。ただし、企業から送られてきたメールの本文に件名を変更するような指示があれば、必ずそれに従います。
本文
メール本文には、まず「応募先企業名」「部署名」「採用担当者名」などの宛名を記載します。企業名は、省略せずに必ず正式名称で書きましょう。担当者の氏名が不明であれば、「採用ご担当者様」の記載で問題ありません。次に、挨拶文を記載します。「お世話になっております」などの文言に続き、自分の氏名を名乗りましょう。そのメールが最初のコンタクトなのであれば、その旨も記載しておくと受け取った側も分かりやすいはずです。転職活動は個人で行うもののため、在職中であっても現在勤めている企業名や部署名に触れる必要はありません。
用件は簡潔にまとめましょう。応募の経緯や履歴書を添付している旨などを端的に伝えます。志望動機や自己PR、これまでの経歴などは履歴書に記載しているはずなので、メールの本文への記載は避けてください。用件の記載が終わったら、締めの挨拶文を添えます。「大変お忙しい中恐れ入りますが、何卒よろしくお願い致します」などと記しておきましょう。メールや添付した履歴書の確認に相手の手間や時間をかけさせていることを自覚し、その点についても触れておくことで、少なくともマナーや常識を備えていることは伝えられるはずです。丁寧な文章を記載して損をすることはありません。最初から最後まで、失礼がないような文章を心がけてください。
署名
本文のあとには署名を入れます。送信者、つまり自分の氏名や連絡先などの記載が署名です。転職活動に伴う履歴書添付のメールを送る際には、氏名、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレスを順番に記載しましょう。住所は略さずに、すべて正確に記載してください。電話番号は、企業から連絡が入った際に対応しやすいものを記載しておきます。在職中に転職活動をしている人は、企業名や部署名の記載があった方が違和感がないと感じるでしょうが、応募先企業へのメール内には、それらを記載する必要はありません。また、氏名に難読漢字や一般的な読み方とは異なる読みをする漢字が含まれている場合には、ふりがなを振っておくとよいでしょう。本文との区切りが分かりやすいよう、「-」や「=」などの羅列を署名部分の上下に記載し囲むこともメールを送る際のマナーとなります。
データの添付
送信前に、履歴書のファイルデータを添付します。メールソフトにより添付方法は異なりますが、クリップのアイコンで添付ファイルを選択するタイプが多いのではないでしょうか。「日付」「履歴書」「氏名」をファイル名とし、日付はメールの送信日を記載しましょう。手書きの履歴書と同様に、顔写真を貼り付けることも忘れないでください。顔写真のデータファイルを履歴書とは別にメールに添付するのではなく、履歴書の顔写真欄に自分の顔写真データを貼り付け、手書きのもの同様1枚の履歴書として完成させておきます。デジカメで撮影してパソコンに取り込む方法や、画像データを受け取れる写真館などで撮影し利用する方法などのなかから好きなもの、作成しやすいものを選択しましょう。


履歴書をメールで送信するときにやってしまいがちな失敗
他のファイルを間違えて添付してしまうミスは、履歴書をメールで送信する際にやりがちです。応募企業が複数ある場合に発生しやすいミスの代表例でしょう。メール本文の内容、特に敬語の使い方や改行、段落分けなどが一般常識から外れていると、採用担当者からの印象が悪くなる可能性が出てきてしまいます。
確認不足や、Webサイトの内容をそのままコピーして貼り付けることなどが原因で、応募先の企業や職種にふさわしくない文面になってしまうこともあるので注意したいところです。
また、応募先企業から履歴書を受領した旨を知らせるメールがくる場合がありますが、これに対しての返信は基本的に必要ありません。採用担当者は日々多くの人物とメールのやり取りをしていると考えられるため、不要なメールを送信し余計な手間を増やす行為は避けるべきでしょう。
履歴書添付メールは手軽に送信できるからこそ確認が重要
メールで送る履歴書は郵送よりも手軽ではあるものの、ミスなどには十分に気をつけなければいけません。ミスや手抜きがあれば、ビジネスマナーや一般常識などを疑われてしまいます。本記事で解説した内容を参考にし、履歴書ファイルや添付方法などに不備がないかよく確認してから送信してください。また、企業からの指示にすぐに対応できるよう、早いうちに履歴書データやメールの文面などを用意しておくことをおすすめします。
