転職活動の応募書類を用意するにあたり、履歴書のサイズについて迷った経験はないでしょうか。主流となっているA4とB5には、それぞれ特徴があります。たかがサイズと軽視していると、思いのほか上手に書けないと感じて焦るかもしれません。そのような事態に陥らないように、適切な判断ができるだけの知識を身につけましょう。本記事では履歴書に着目し、サイズ選びを中心としながら作成時の注意点なども含めて詳しく解説します。


目次
A4とB5が基本?履歴書のサイズ
さまざまな履歴書が販売されていますが、サイズに関しては基本的にA4とB5の2種類しかありません。A4のサイズは横210mm×縦297mmであり、ビジネスで使用されている一般的な書類もこの大きさです。一方、B5のサイズは横182mm×縦257mmで、このサイズは学習用のノートなどで定番となっています。また、A4の履歴書はA3やA判と表現されることもあります。二つ折りにしているときはA4のサイズですが、見開きにするとA3のサイズになるからです。B5の履歴書がB4やB判と呼ばれる理由も同様となっています。いずれにせよ、履歴書のA4やB5は、二つ折りにした状態のサイズを指していると認識しておきましょう。
このように2種類のサイズが存在することには、日本における紙の歴史が関係しています。両方が同じタイミングで普及したわけではありません。もともと紙の規格はB判しかなく、その歴史は江戸時代から長く続いていました。A判が普及するきっかけになったのは、1990年代に行政文書がそのサイズに移行したからです。そこからA判化の動きは企業でも進み、履歴書をはじめとしたビジネス文書もB判とA判に2分されるようになりました。
指定の有無をまずは確認!履歴書のサイズを選ぶときのポイント
A4とB5は履歴書の一般的なサイズであるため、どちらを選んでも大きな問題はありません。ただし、サイズに関して企業から指定がある場合はそれに従いましょう。また、選択時に考慮する要素として、履歴書に記載する量や世間の傾向が挙げられます。以下に履歴書のサイズを選ぶ際のポイントを紹介するので、基本知識として押さえておきましょう。
サイズ指定の有無
人材を募集する際、履歴書のサイズとしてA4とB5の一方を指定する企業も見受けられます。そのため、どちらでも構わないという認識は持たず、応募先ごとに確認しておくスタンスが必要です。サイズが指定されているにもかかわらず、それと異なるほうを提出した結果、書類選考で落ちてしまうケースもあります。指示を無視したことになり、社会人の常識やマナーが欠如していると見なされかねません。もしくは募集要項をしっかり確認しておらず、熱意が欠けていると判断されるリスクもあるので注意を要します。
企業から履歴書に関する指定がないなら、オリジナルのものを用意しても大丈夫です。ただし、そうする場合もサイズはA4とB5のどちらかにしておく必要があります。履歴書がそのサイズであることは慣習化していますし、他のサイズで作成すると採用担当者が扱う際に不便かもしれません。これらを踏まえて、転職活動におけるルールの一つとして守りましょう。
記載する量
企業からサイズの指定がなく、A4とB5のどちらの履歴書が良いか迷った場合、記載するボリュームを目安にするのも一つの手です。志望動機や自己PRをたくさん記述したいならA4を選択しましょう。B5よりサイズが大きく、その分だけ書けるスペースも広いからです。これまでに転職を繰り返して職歴が多い人や、大学院の博士課程まで卒業していて学歴が多い人などは、B5だと記載しきれない可能性があります。強引に書き込んでいくと見づらくなるため、そのような応募者に適しているのもA4のほうです。
別の見方をすると、記載する事柄が多くない場合はB5のほうが適しています。A4よりサイズが小さい分だけ、各欄のスペースも狭いからです。第二新卒であまり職歴がないなど、書けることが少ない人でもB5を選ぶと余白が目立ちにくくなります。志望動機や自己PRを箇条書きなどで簡潔にまとめる場合も、適切な分量を記載しているように見えやすいです。また、手書きで履歴書を作成すると、用紙のサイズが大きいほど、書き込む負担も大きくなってしまいます。それを軽減したい場合もB5のほうが良いでしょう。
世間の傾向
世間の傾向にもとづいて、履歴書のサイズを選択することも悪くはありません。たとえば、転職の応募に関しては、A4よりB5の履歴書を使用する人のほうが若干多い傾向にあります。また、ビジネスシーンではB5のほうが古くから定着しているため、世代が上の人はA4よりも使い慣れていることが多いです。自分は若い世代でも採用担当者は年配者かもしれません。平均年齢が高い企業に応募するなら、そのような可能性も考慮して、B5を選んだほうが良い場合もあるでしょう。
一方、さまざまな業界でグローバル化の流れがあり、履歴書に関しても同様の変化が見られます。A4のサイズは国際規格であるため、そちらを推奨する企業も多くなりました。グローバル化は進む一方なので、この傾向は今後も続いていくことが見込まれます。少なくとも新卒に関しては、A4の履歴書を提出することがセオリーになってきました。その流れは転職活動にも及び、応募の際にA4を選択する人が増えつつあります。ちなみに、アルバイトやパートの応募で圧倒的に多いのはB5となっています。記入欄が少ないので職歴が短い人でも書きやすく、そもそもアルバイト用として販売されている履歴書はB5が大半を占めているからです。


転職活動に合ったフォーマットを!履歴書の種類
履歴書のサイズは2タイプしかありませんが、用紙のフォーマットはもっと種類があります。そのなかで代表的なのは「一般用」「JIS規格」「転職者用」の3種類です。一般用の履歴書の特徴は自己PRの欄が広めに設けられていることで、この分だけ職歴の欄がやや狭くなっています。社会人経験が浅くて職歴のアピールが難しい人なども、使い勝手が良いと感じられるタイプです。また、JIS規格の履歴書は日本工業規格にもとづいています。一般用と比べると、職歴や学歴の欄にスペースが広く割かれており、自己PRの欄は多くありません。実績や経験を具体的にアピールしやすい書式なので、社会人としての活動期間が長い人に向いています。
転職者用の履歴書は文字どおり転職活動に特化したものです。たとえば、退職理由を記載できる欄が設けられています。転職の回数が多くても、その事情を説明できるため、ネガティブに評価されることを避けやすいです。なお、上記の3種類以外として「新卒用」や「アルバイト用」が挙げられます。それらのフォーマットは転職希望者にあまり適していないため、履歴書を購入するときは間違えないように注意しましょう。
標準の設定で問題ない?履歴書向きのフォントサイズと種類
パソコンで履歴書を作るときは、フォントのサイズや種類に気を使いましょう。作成にはWordやExcelがよく利用され、それらの標準文字サイズは10.5ポイントであることが一般的です。特にこだわりがないなら、文字サイズは変更しなくても構いません。書きたいことがたくさんある場合、文字サイズを標準より小さくしたいと思うこともあるでしょう。たしかに内容を詰め込みやすくなりますが、字が細かくなった分だけ採用担当者は読みづらくなってしまいます。悪い印象につながるリスクもあるので、文字サイズを下げることは控えるのが無難です。
反対に、文字を大きくすることにも問題があります。記述できる文字数が減るため、アピールする内容が薄くなりかねません。文字サイズを上げたくても微調整で留め、11ポイントより大きくするのは避けましょう。なお、履歴書に適しているフォントの種類は明朝体です。業務報告書や会計帳簿など、多様なビジネス文書に使われています。可読性が高いフォントとして知られており、印刷したときも読みやすいことが特徴です。ゴシック体は文字の太さが均一で、こちらも見やすさには定評があります。ただし、字面にややカジュアルな雰囲気が漂う点に注意が必要です。したがって、どちらかというと履歴書には明朝体のほうが合っています。
サイズによって違う!履歴書の印刷の仕方
パソコンで履歴書を作って印刷する場合、見開きと片面のどちらを選択するかによって、用紙サイズが異なります。見開きはサイズが大きいので、自宅で印刷しようとしても困難なケースもあるでしょう。ここでは見開きと片面の両方に関して印刷方法を解説します。
見開きの場合
市販されている履歴書は基本的に見開きであり、印刷する場合もそれにならうのが理想です。とはいえ、家庭用のプリンターは、A4までの用紙にしか対応していない製品がほとんどです。見開きで印刷するには、A3やB4の用紙を扱える必要があります。また、本来のサイズから縮小すれば、A4の用紙で見開きを印刷することも可能です。しかし、文字がかなり小さくなって読みにくくなり、各種フォーマットもサイズ的に違和感が生じます。証明写真とのバランスも悪くなるので縮小は避けましょう。
自宅のプリンターで印刷できないなら、コンビニのプリンターを利用するという手があります。A3やB4の用紙に対応しているだけでなく、画質も家庭用のものより高品質です。履歴書のデータが入ったUSBメモリやSDカードなどを持っていき、プリンターにセットすると1枚あたり10~100円ほどで印刷できます。そのような記録メディアがないなら、データを送信して印刷するネットプリントが有効です。ただし、コンビニのプリンターのなかには、WordやExcelのファイル形式を読み込めない機種もあります。そのため、履歴書のデータはPDF形式に変換しておくと安心です。
片面の場合
見開きをA3やB4の用紙に印刷するのが困難なら、左右のページを個別に印刷するという解決策もあります。A4が2枚、もしくはB5が2枚という組み合わせによって対応が可能です。また、2枚に分けるのではなく、両面印刷をして1枚に収める方法もあります。しかし、この方法は採用担当者が確認しづらくなるので良くありません。履歴書の確認時に何度もひるがえすのは面倒であり、イメージを悪くするリスクが生じます。
したがって、A4やB5の用紙を使うなら、必ず片面印刷を選んで2枚に分けましょう。印刷を終えて2枚をまとめるにあたり、ホッチキスやテープを使うのは厳禁です。採用担当者が外す手間を増やしてしまいます。一方、クリップでまとめ、クリアファイルに入れて提出すると丁寧な印象を与えられます。


封筒のサイズは?応募書類の正しい送り方
応募書類の正しい送り方も把握しておく必要があります。履歴書だけでなく、その他の書類も提出を求められることが少なくありません。この場合は各書類ごとにクリップでとめてから封筒に入れます。履歴書が一番上で職務経歴書はその次、残りの書類は最後という順番で重ねましょう。あいさつや内容物の一覧を記した送付状を添える場合は、履歴書の上に載せておきます。なお、封筒のサイズに関しても企業の指定に従うことが基本です。指定がないなら、書類を折らずに収められるサイズの封筒を準備します。
ただし、書類より封筒が極端に大きいと違和感があるので、サイズの選び方には注意しなければなりません。具体的には、A4の書類が1枚でも含まれているなら「角型2号」、すべての書類がB5なら「角形4号」を選択します。
用紙サイズ以外にも色々ある!履歴書を作成するときの注意点
履歴書のクオリティを高めたいなら、用紙のサイズ以外にも気を配りましょう。作成に取り掛かる前に、応募先の企業が何らかの指定をしていないか確認しなければなりません。たとえば、エントリーシートを独自に用意しているケースや、手書きの履歴書にこだわっているケースなども見受けられます。そのような場合に、自分の好き勝手に作ってしまうと、書類選考の通過が難しくなるので注意が必要です。また、証明写真のサイズは履歴書のサイズにかかわらず同じです。A4とB5のどちらでも縦4cm×横3cmが基本となっています。証明写真が履歴書から剥がれた場合に備え、裏面に氏名を書くことも忘れてはいけません。
なお、履歴書に空欄がある状態で提出すると、その部分は記入漏れと見なされます。よって、書く内容がない欄については「特になし」と記載しておきましょう。空欄がなくても、敬語の使い方や経歴などに誤りがあると、マイナスの評価につながります。西暦と和暦を統一できていないなど、うっかり見過ごしやすい点に注意しながら、全体を十分にチェックすることが不可欠です。
適切なサイズを選択して読みやすい履歴書を作成しよう
応募先の企業が履歴書のサイズを指定していなければ、A4とB5から自由に選んで構いません。どちらにするのか迷った場合は、記載したい内容のボリュームを目安にするのが得策です。また、用紙のサイズ以外にも、送り方や書き方などに細心の注意を要します。採用担当者が好印象を抱いてくれるように、本記事を参考にして読みやすい履歴書を作成しましょう。
