履歴書を作成する際には、さまざまな項目欄を埋めていかなければいけません。その中でも意外と多くの人が悩んでしまうのが「特技欄」ではないでしょうか。「特技が思いつかない」「どのような特技でも書き込んでよいのか」など、特技欄の埋め方に頭を抱え込んでしまう人もいるでしょう。本記事では、履歴書の特技欄の書き方のポイントや特技の見つけ方などを解説・紹介します。転職活動の際には、ぜひ参考にしてください。
目次
履歴書になぜ特技欄がある？
そもそも、履歴書にはなぜ「特技欄」が設けられているのでしょうか。転職に必要なのかと疑問に思う人もいるでしょう。まずは履歴書に特技欄が設けられている理由や、その欄を埋めるメリットなどを解説します。
履歴書に特技欄を設ける目的
履歴書に特技欄が設けられている理由は、採用担当者が応募者の人柄や嗜好などパーソナルな部分を把握するためです。人のパーソナルな部分は学歴や職歴からはあまり読み取れません。しかし、特技や趣味からは応募者の興味や関心、価値観などを読み取ることができます。特技欄に書かれた内容は、より深く人間性を掘り下げるために活用されることが多いのです。面接時に、話の「ネタ」として利用されることも少なくないでしょう。特技や趣味について聞かれると、応募者も自分の好きなことや興味関心の強いことのため、面接官に対しても話しやすくなるのではないでしょうか。面接官が応募者の緊張をほぐす目的で履歴書の特技欄を活用することも少なくありません。
履歴書に記載された特技が業務やポジション、社風などに合うかチェックされているケースもあります。特技によって、結果を出すまでコツコツと頑張れる人なのか、あるいは短期的に成果を出すことにこだわっているのかなどの判断がある程度可能です。他の人では取り組まないことにチャレンジする意識の高さや視野の広さ、さらには強い精神力を持っているかも把握できるのではないでしょうか。採用担当者はこうした点に着目し、企業との相性や迎え入れる価値のある人材かなどの判断材料とすることがあるのです。仕事や能力に関係がないからと軽視せずに、履歴書の特技欄はしっかりと埋めておかなければいけません。
履歴書に特技を記載するメリット
履歴書は、採用担当者に自分を最初に知ってもらうための重要な書類です。当然、履歴書を提出するのは自分だけではありません。採用担当者は応募者すべての履歴書に目を通しているので、ありきたりな内容ではその他大勢の応募者に埋もれてしまうでしょう。特技欄にも力を入れて他の応募者と異なり注目に値する内容を記載できれば、少なくとも採用担当者の印象に残してもらうことはできるのではないでしょうか。面接の前に書類選考がある場合は、「会って話してみたい」「この特技について詳しく聞いてみたい」と思ってもらうことができ、選考を突破できる可能性が高まります。
履歴書の特技欄は、自己PRの一環として捉えることも重要です。自己PRへとつながる、あるいは応募書類の自己PR欄と関連した特技を記載することで自分の強みの根拠づけができるでしょう。応募書類にも一貫性が生まれ、トータルで評価してもらいやすくなります。ライバルと差をつけるためには、このような工夫も求められるのです。履歴書に特技を記載するメリットを最大限に生かすことを心がけてください。
履歴書に記入する特技のポイント
履歴書に特技を記載する際のポイントについて解説します。以下のポイントを踏まえつつ、応募先企業へ適切なアピールができるよう工夫しながら埋めていきましょう。
空欄のままにしない
大前提として、履歴書の特技欄を空欄にして提出してはいけません。たとえ自慢できるような特技がなかったとしても、何も記載せずに提出することは避けましょう。その理由は、採用担当者に「熱意が感じられない」と判断されかねないためです。他の応募者は必ずといってよいほど、特技欄を含めたすべての項目欄を埋めてきます。そんな中、空欄のある履歴書が送られてきたらどうでしょうか。企業への入社を特に強くは望んでおらず、適当に履歴書を送ってきていると捉えられても仕方がありません。
また、「得意なことが一切ない人である」とみなされる可能性もあります。中途採用を考えている企業は、当然ながら仕事ができる人や一生懸命業務に取り組む人を探しているはずです。直接仕事と関係がない特技だったとしても、それが履歴書に記載されていれば「物事に打ち込める人」「結果や成果を出すまで続けられる人」と認識してもらうことも期待できます。逆に空欄であれば多くの企業は採用に二の足を踏み、結果的に他の応募者を選択するでしょう。不利になるケースが多いので、必ず特技欄を埋めて提出してください。
「特になし」と記載する方法も考えられますが、その書き方では採用担当者に与える印象は空欄とあまり変わりません。もし特技が一切なく何も書けない場合は、特技欄の存在しない履歴書を使用してみてはどうでしょうか。市販されたものが手に入らなければ特技欄を設けずに履歴書を自作する方法もあります。出来る限り採用担当者にネガティブなイメージを与えないよう工夫し、履歴書を完成させましょう。
わかりやすく簡潔にまとめる
履歴書をしっかりと埋めることは重要ですが、文字量が多ければよいわけでもありません。特技欄は特に自身をアピールしたいがために、細かな文字で項目欄いっぱいに埋めがちです。読みにくくなってしまうと逆効果となる恐れがあるため、できる限り簡潔にまとめることを意識してください。特技が複数ある場合は、まず箇条書きでまとめましょう。それぞれに対し短い説明文を添えて補足とします。読んだらすぐに理解できるよう、端的にまとめることがポイントです。
このような書き方ができれば、自己中心的ではなく「読み手に配慮ができる人」と認識してもらえるでしょう。また、要点をうまく伝える能力があることもアピールできるのではないでしょうか。好印象へとつながり、特技の内容も含め自身の能力や特徴などを確実に認識・理解してもらうことへとつながるはずです。
ウソをつかない
当然ですが、虚偽の内容を記載してはいけません。採用担当者へのアピールのために見栄を張った内容や、他の応募者との差別化のために珍しい特技を記載することなどは、もしそれらがウソだとわかれば大きなダメージとなるので絶対に避けましょう。履歴書に記載された特技の内容は、面接時のネタ、つまりアイスブレイクとして活用されることが少なくありません。面接時に特技について尋ねられた際、虚偽の内容を履歴書に記載していると、うまく答えることができないはずです。その時点で面接担当者に不信感を抱かれる恐れがあります。
もし、採用前の段階で虚偽の記載があったことが企業側へと伝われば、履歴書や職務経歴書、面接で話したことすべてにウソの内容が混ざっているのではないかと疑われかねません。入社後もミスを隠したり虚偽の報告をしたりするのではないかと警戒されても仕方がないでしょう。当然、不採用となる可能性が高まります。入社後に虚偽であると判明した場合、内容次第では詐欺罪に該当し、解雇されることも考えられます。さまざまな場面で不利な状況になる可能性が高まるため、履歴書の特技欄には事実のみを記載してください。
印象の良くない特技は書かない
特技欄は、基本的には何を書いても構いません。個人の自由です。しかし、採用担当者からネガティブな印象を抱かれてしまうものもあるので記載の際には注意が必要です。例えば、パチンコや競馬、競艇などのギャンブル系は記載しない方が無難です。ギャンブルにのめり込んでしまうと仕事に悪影響が及ぶと考えられてしまうためです。また、計画性や金銭感覚などにも問題があると捉えられてしまいかねません。
政治や宗教など特定の思想が関連する特技も記載するのは避けた方が良いでしょう。他の従業員と思想や価値観で対立しトラブルを引き起こしかねないと警戒されるケースも少なくありません。わざわざ履歴書に記載されていれば、よほど強い思想を持っていると捉えられてしまいます。そのような応募者を積極的に採用したいと考える企業はあまり多くはないでしょう。
大量の飲酒や連日の夜更かしなどを連想させる特技の記載も避けることをおすすめします。採用しても体調を崩すなど健康面に対する不安を与えてしまうためです。その他、犯罪やそれにつながることをイメージさせる特技の記載も避けましょう。企業はトラブルの回避を真っ先に考えるため、本人はそのつもりがなくても履歴書には記載しない方が無難です。
応募先の企業や職種にマッチした特技を選ぶ
履歴書の特技欄を埋める際には、まず、応募先企業や職種、ポジションなどに合う特技がないか考えてみましょう。そのような特技を記載できれば、履歴書の他の項目欄や職務経歴書と合わせて自らをアピールできます。応募動機の補完としても活用できるはずです。例えば、外資系の企業へと応募するのであれば語学力をアピールしてみてはどうでしょうか。営業職であれば体力やコミュニケーション能力が伝わる特技を記載すると、より強力なアピールとなります。
ただし、誇張したり虚偽の内容を記載したりすることは避けなければいけません。適性など応募先企業へのアピールは特技欄以外でも可能です。特技ではないことをアピールのために特技として記載することは避ける必要があります。面接官に質問をされた際に効果的に、かつ的確に回答できない内容は逆効果となるので記載しないよう注意しましょう。
採用担当者の印象に残る特技を書く
特技欄は、あくまでアイスブレイクとして使われるケースが多いので、これで選考の合否が決まることはほとんどありません。ただし、もし応募者が多数いるような企業で、ほぼ同じ経歴を持っている応募者の中から1人を書類選考通過させるとしたら、経歴以外の部分で興味を惹かれた人を選ぶ可能性はあります。少しでも書類通過の可能性を上げるためのテクニックとして、ユニークな特技をアピールするのは一つの手です。
例えば、自分の見た目や経歴からはイメージしづらい特技が記載されていれば、印象に残してもらいやすくなるのではないでしょうか。意外性やギャップの提示は、とても効果的です。特技まで昇華させている趣味があれば、ユニークだと思われる特技の一つとなるでしょう。ユニークであればあるほど、面接中にも話題として取り上げられやすくなるはずです。採用担当者や面接官の印象に残る可能性も高まるでしょう。
ただし、あまり奇抜すぎる特技の記載は避けましょう。線引きは難しいところですが、企業の理念やイメージなどと照らし合わせながら、記載するか否かを判断することが大切です。変わった人材を求めている企業であれば問題がない場合もあるでしょう。しかし、一般的な企業であればあまりに奇抜すぎる特技は「変わった人」という印象を強めるだけです。採用リスクが高いと捉えられかねないため、記載は避けた方が無難です。
特技が思いつかないときの見つけ方
履歴書の作成に取り組む際、特技がどうしても思いつかない人もいるのではないでしょうか。そのようなときは、以下の方法で自分の特技について考えてみましょう。
自分が好きなことを考える
特技の多くは、自分の好きなことや興味を抱いていることです。それらがないかを今一度考えてみましょう。小さなことでもよいので、好きなことや興味を抱いていることを書き出してみてください。高いレベルに到達していなければ履歴書の特技欄に記載してはいけない、ということではありません。好きなことを続けていたら特技になっていることもあれば、自分では大したことがないと思っていても、他者からみれば十分に特技と呼べるものになっていることもあります。
また、好きなことや興味のあることには情熱を持って取り組める人が多いでしょう。特に苦痛を感じることなく続けられている、あるいは苦労はしながらも好きだから続けていることもあるのではないでしょうか。そうしたことを履歴書の特技欄に記載しておくと、面接で話題にのぼった際にもスムーズに話せるはずです。本当に好きで取り組んでいることが伝われば、少なくともその場では好印象を与えることが期待できます。空欄にしたり「特になし」と書いておくよりも効果的なアピールとなるため、自分の好きなことで特技欄を埋めておきましょう。
習慣を振り返ってみる
日々の行動や習慣を振り返ってみましょう。長年続けていることはないでしょうか。自分では当たり前のように続けていることでも、周囲からは特技であると認められることがあるケースもあります。これも好きなことや興味を抱くことと重なる場合もありますが、仮にそのような感情がなかったとしても、継続できていれば立派な特技となっていることは少なくありません。
例えば、整理整頓や掃除、料理や散歩など、日常生活で当たり前のようにやっていることでもよいでしょう。今や、整理整頓や掃除の得意な人がテレビに出て人気者になったり本を出版したりする時代です。料理も同様に、毎日のように作っていれば立派な特技といえます。週末のみであっても力を入れて取り組んでいれば、特技として履歴書に記載しても問題はありません。習慣化しているものを得意なものとして捉え記載することで、やはり面接の際にその話題に触れてもらえれば、生き生きとアピールできるはずです。
家族・友人に尋ねる
自分で自分のことを振り返っても、いまいち特技らしいものが見つからない場合は、家族や友人に尋ねてみましょう。自分では気づかない特技といえるようなものを教えてもらえる可能性があります。周囲が認めるものであれば、立派な特技として履歴書に記載が可能です。むしろ、自分一人で思い込んでいることよりも客観性が強いため、より効果的にアピールできる可能性もあります。家族や友人を比較対象とし、特に自分が優れているもの、得意なこと、継続していることなどを探してみるのも一つの方法です。
一般的な特技を参考にする
自分自身について考えてみたり周囲に尋ねてみたりしても特技が見つからない場合は、一般的な特技を参考にしてみましょう。多くの人が特技とするようなジャンルや行為の中で、自分にも当てはまりそうなものや仕事に役立ちそうなものを探してみてください。例えば、「誰とでもすぐに仲良くなれる」という特技はコミュニケーション能力のアピールへと繋がります。特殊な特技や能力ではないものの、多くの仕事でコミュニケーション能力は重要視されるため、それが自分に当てはまっているのであれば履歴書に記載することでアピールの一つとなるでしょう。
例えば、「タイピングが早い」という特技は事務処理能力のアピールへとつながります。パソコンに触れ慣れていることを伝えられるため、事務職などへの応募には最適な特技として履歴書に記載できます。注意点としては、「自分にも当てはまっている」ことをしっかりと確認することです。実際の自分の能力とかけ離れた特技を選び記載してしまうと、面接時の受け答えで困るなどリスクが生じます。一般的な特技を参考にする際も、必ず自分自身に備わっている能力や得意なこと、他者よりも少しは優れているものなどを選択しましょう。
特技欄を工夫して採用担当者に覚えてもらおう！
志望動機や自己PRと比べておろそかにしがちな履歴書の特技欄ですが、上手に工夫することで他の応募者との差別化に成功し採用担当者に強い印象を残すことが可能です。特に面接の前に書類選考がある企業へ応募する場合は、決して手を抜くことができません。今回紹介した内容を元に、特技欄を軽視せずにしっかりと内容を練り工夫しながら履歴書を埋めていきましょう。
