コンサルは華やかで年収も高いイメージがあり、憧れる人は少なくありません。一方で、転職してから後悔する人が多いともいわれます。この記事では、なぜコンサルへの転職は後悔しがちなのかを解説したうえで、コンサル業の魅力やコンサルティングファームの種類などを紹介します。


目次
コンサルへの転職で後悔する人が多い理由とは?
ステータスや給与などに魅力を感じ、コンサル会社(コンサルティングファーム)へ転職しても、想像と違ったと後悔する人は少なくありません。コンサルになる夢を実現させたのにもかかわらず、ギャップはなぜ生まれてしまうのでしょうか。
ここでは、コンサル業界へ転職した後に不満が生じてしまう主な原因を5つ紹介します。
勤務時間が長い傾向にあるから
後悔するケースでよくあるのが勤務時間の長さです。所属するコンサルティングファームにもよりますが、コンサルは勤務時間が長く、ハードワークになりがちです。
コンサルへ転職する以上、ある程度の覚悟をもっている方は多いですが、想像以上の激務についていけない、体調を崩してしまったなどの理由で後悔するケースが散見されます。
近年は働き方改革の影響もあり、コンサルティングファームでもワークライフバランスの実現に取り組むケースが増えています。そのため以前と比べれば労働環境は改善しており、必ずしも「コンサル=激務」というわけではありません。
しかし、それでも事業会社と比較すると勤務時間は長いケースが多数です。クライアントから急に依頼があれば終電近くまで残業で処理をしたり、休日も仕事の時間をとられたりします。加えてコンサルとしてのスキルや能力を向上させるには、業務以外の時間に自己研鑽を続けることが必要です。プライベートの時間を充実させたり休日にゆっくり体を休めたりするのは難しいケースも多くあります。
コンサルはそもそも「コンサルティング」の略で、「課題解決方法の提供」を意味します。顧客であるクライアント企業が抱える課題について、さまざまな角度から詳細に調査を行い、解決に向けて伴走する仕事といってよいでしょう。
そのため、コンサルの仕事は一人で完結するような類いのものではなく、クライアント企業と密にやりとりしながら進めていきます。もちろん、それによって課題解決スキルが身に付き、厚い信頼関係を築けるといったメリットはあります。
一方で、常にクライアントの都合に合わせなければならない状況になりがちです。プロジェクトの進行中は自分のペースで働くことが難しく、それにより心理的な負担が増えることも多いため、予想以上にハードに感じられるかもしれません。とくにワークライフバランスを優先したい方や育児・介護中の方などは時間的な制約の面で厳しい面があるでしょう。


プレッシャーが大きい仕事だから
コンサルティングファームは実力主義の世界なので、成果を出せなければ当然評価されず、給与は上がっていきません。ほかの優秀なメンバーと比較して、焦ってしまうこともあるでしょう。年下の部下や後輩より成績が悪く、年収も少ないといったケースも珍しくはありません。
また、クライアントは高額のコンサル料を払ってまで解決したい課題があるからこそコンサルティングファームに依頼しています。その意味では、成果に対して大きな責任があるのがコンサルという仕事であり、その分プレッシャーも多大です。
コンサルへの転職をめざすなら、良くも悪くも実力次第の世界であると、覚悟を決めておく必要があります。仕事でうまくいかないことが続いたとしても、大きなプレッシャーに耐えられるように、自分自身のメンタル面を強化することも大切です。
未経験でコンサル業に就いた場合は、コンサルの基礎から学ぶことが必要です。コンサルならではの思考方法やデータの収集、分析手法、資料作成方法、プレゼンテーションスキルなど、高い成果を出すために身に付けなければならない要素は多く、ひとつずつクリアしていかなければなりません。地道な努力を続けていく覚悟も求められるでしょう。
時給換算すると給料が安い場合もあるから
一般的に、コンサルの年収はほかの業種や職種と比較して高いとされています。役職や業績など複数の要素による違いがあるため年収水準を一概に述べるのは困難ですが、20代の若さでも1,000万円を優に超える年収を手にしている人がいる世界です。
実力主義という厳しい環境にはあるものの、ハードワークを乗り切り結果を出すほど報酬も比例して高くなっていくのは夢のある話です。努力次第で高年収を稼げる環境に魅力を感じている方であれば、チャレンジする価値は十分にあります。
しかし、それはあくまで年収として見たときの話です。時給にして換算してみると、意外に低いと思われるかもしれません。先に述べたように、コンサルはシンプルに労働時間が長くなりがちです。
年収を総労働時間で割り、1時間あたりの賃金で見れば、ほかの業種とそう変わらないこともあります。そのため、給与に魅力を感じてコンサルの世界へ飛び込んだとしても、労働時間とのバランスを考えれば「それほど魅力的ではない」と不満に感じるケースがあります。
優秀な人が多く劣等感を抱きやすいから
コンサルは人気職種であるうえに業務内容の難しさから採用時の要求項目も多いため、転職すること自体のハードルが高めです。コンサルへ転職できるのは優秀なひと握りの人材だけであり、その意味ではコンサルとして転職できた自分に自信をもってよいでしょう。
しかし、コンサルティングファームは精鋭ぞろいなので、優秀なのは自分だけではありません。他業界で特筆すべき成果を上げた人、営業力や提案力に優れてクライアントから強く頼りにされている人、地頭がずば抜けてよい人など多くの優秀な人材がいます。自分よりも優秀で次々に成果を出していく人が多い環境を目の当たりにし、自分と比べて劣等感を抱いてしまうケースは、よくあることです。
想像以上に泥臭い業務が多いから
コンサルは華やかなイメージを持たれがちですが、地味な仕事も多くあります。具体的には、会議の議事録やクライアントへ提案するための資料作成、リサーチや分析作業、クライアントとの日程調整、ミーティングの準備などです。
コンサルというと「クライアントへ最適な提案をして成果を出す」といった結果のみをイメージし、「かっこいい」と思ってしまう人もいるでしょう。しかし実際にはコンサルティングを下支えする泥臭い業務が大半を占めています。そうした業務を忍耐強く行える人、細部まで手を抜かずに実行できる人でないと続けられませんし、結果を出すことは困難です。
転職を検討している場合は、華やかな仕事だけではなく、泥臭い仕事もふくめて地道にこなすことで、コンサルとして仕事の幅が広がり、成果につながっていくのだと意識を持つことが大切です。


コンサルの仕事にはやりがいと魅力がある
よくあるイメージだけでコンサルに憧れて入社すると、これまで述べてきたようなギャップに悩みがちです。ただ、もちろんコンサルならではの魅力もあります。
たとえば、事業会社の若手なら関われないような、経営に直結した仕事に携われるのは大きなメリットでしょう。企業の経営者やエース級の人材、スペシャリストなど高度人材と直接話をする機会も多いため、精神的に刺激を受けたり、経営知識が身に付いたりと、自身のキャリアによい影響があるでしょう。
優秀なメンバーと共に大きなプロジェクトに参画できることもあります。経営課題を解決することでクライアントから感謝され、大きな充実感ややりがいを感じられる場面もあるでしょう。
努力して成果を出せば、年収という目に見えるかたちで還元されるため、向上心が高く野心が大きい方にとっては魅力ある仕事です。仕事をこなしていくうちに、論理的思考力や分析力、提案力など汎用性の高いのビジネススキルを磨けるのもメリットです。ほかの業種や職種でも通用する人材として成長できるため、コンサルを経てさらなるキャリアアップを目指す方にも貴重な経験となるでしょう。
また、外資系のコンサルファームでは、海外企業との取引で、英語力やコミュニケーション力を身に付けられるチャンスが多くあります。グローバルな環境の中で活躍したいと考える方にとっても魅力的な仕事です。
コンサルティング業界に向いている人の特徴
コンサルティング業界は大きな魅力があるものの、実際には向いている人とそうでない人がいます。適性を踏まえて転職しないと後悔する可能性が高まるため注意が必要です。
以下では、コンサルの仕事に就くのがおすすめな人の特徴を紹介します。
スキルを身に付けたいと考えている
「どこに行っても通用するようなスキルを身に付けたい」と考えている方にとって、コンサルティング業界は適した環境です。スキルが身に付けばコンサルタントとして成長できるのはもちろん、さらなるキャリアアップを目指して他業界へ転職する場合や、起業する場合などにも活かせます。
コンサル業で成果を上げようとするなら、スキルアップは欠かせません。まず、さまざまな書籍を読んだり、最新の情報をインターネットで収集したりすることは基本です。さらにクライアント企業が置かれている市場の動向や、財務情報などをチェックすることで、よりニーズに合致した課題解決の提案をできるようになります。クライアントごと、案件ごとに勉強する内容は異なるため、日々の研鑽が不可欠です。
もし仕事でうまくいかないことがあった場合も、自分に不足しているところは何だったのかを分析して改善すべき点を抽出し、次の仕事に活かしていくといったサイクルを回すことで、おのずと成果を上げられるようになります。
このようにスキルを磨き、専門性を高めたいと考えている向上心の高い人は、コンサルに向いています。


知的好奇心が旺盛
どのようなことにも興味や関心を持っている知的好奇心が旺盛な人も、コンサルに向いています。そうした人は、知ったかぶりをせず、さまざまな情報を自ら積極的に取り入れていく姿勢があるため、日頃から情報収集や勉強を欠かさないでしょう。すると、必然的にそうでない人と比べて知識やスキルが身に付くのも早まります。コンサルタントとして成長するスピードもおのずと上がるでしょう。
自分自身が得た多くの情報の中から、クライアントに必要な情報をピックアップ、整理して提供すれば、厚い信頼関係を築けるようになります。やがてコンサルとしての業績へも反映されていくでしょう。
ロジカルシンキングが得意
ロジカルシンキングとは、「論理的思考」とも呼ばれ、ビジネスで成果を出すための基礎となる能力です。コンサルはクライアント企業に必要な情報を整理して説明する力が必要です。さまざまな実態をくわしく調査して導き出した結論や課題に対する解決策を伝える際、ただ結果だけを説明してもクライアントは納得できないでしょう。なぜその結論だといえるのかを、合理的かつ分かりやすく説明する必要があります。
こうしたロジカルシンキングは、とくにコンサルにとって業務のベースとなる欠かせないスキルであり、選考でも確実に見られている要素です。コンサル未経験でも、ロジカルシンキングが得意であればコンサルとしての適性があると判断され、ポテンシャルも加味したうえで採用される可能性があります。
ロジカルシンキングの手法として使われるのが「演繹法」や「帰納法」、「弁証法」です。「演繹法」は、一般的に誰もが認識しているルールや大前提と、観察事項を組み合わせて結論を導く手法で、いわゆる「三段論法」とも呼ばれています。「帰納法」は主にマーケティング調査でよく使われ、複数ある個別の事柄から、全体を見て結論を出す方法です。「弁証法」は、対立した2つのもののいいとこ取りをして、よりよいものを創り出す手法とされます。
コンサルへ転職したいけれどロジカルシンキングができているか自信がないといった方は、こうした手法を学びつつ、日頃からトレーニングして鍛えるのもよいでしょう。
実力主義に抵抗がない
コンサルはほかの職種と比べると年収が高いといわれる職種であるものの、あくまで幅広い知識や高いスキルを持ち、実力を持っていることが前提の場合です。言い換えると、実力がなければ評価されず、年収アップにもつながりません。
これまで伝統的に多くの企業で採り入れられてきた年功序列制度も基本的になく、実力主義の厳しい世界です。こうした環境に抵抗がなく、「バリバリ働いて成長していきたい」「むしろ厳しい環境に身を置くことでモチベーションが上がる」といったバイタリティあふれる方には適性があります。
一方、「成果よりも仕事の過程を評価されたい」「与えられた業務をそつなくこなし、そこそこの給与をもらえればよい」といった方には向いていません。
年収アップしたいと思っている
国税庁が実施した「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は男性が545万円、女性は302万円でした。コンサルの年収と単純に比較するのは難しいものの、コンサル業界では1,000万円以上稼ぐ人も珍しくないことを考慮すれば、コンサルへの転職で年収が上がる可能性は十分にあるでしょう。
また、厚生労働省が公表した「令和2年転職者実態調査の概況」の離職理由に関する調査項目では、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」が28.2%と最も高いものの、「賃金が安かったから」も23.8%と比較的高い割合となっています。仕事への満足度と賃金は密接にリンクしており、年収を上げるために転職するのも自然なことです。
コンサルティングビジネスは今や広く認知されており、コンサルティングファームの評価体制や業績次第では数千万円の年収を稼ぐことも夢ではありません。そのため、新卒のみならず転職もふくめ、職種としての人気が高い状況です。激務を乗り越えてでも、とにかく年収をアップさせたいといった人には、コンサルも有力な候補となるでしょう。


コンサル転職で後悔しないためのコツは?
これまでコンサルとして働いてきた人なら、基本的な仕事の進め方や業務内容などは理解できているため、転職後のギャップに悩むケースは少ないかもしれません。
しかし、未経験で転職する場合は、まったく知らない世界に飛び込むことになるため、注意しなければならない点があります。ここでは、コンサルに転職してから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、あらかじめ気を付けるポイントを3つ紹介します。
コンサルの仕事を正しく理解しておく
まず大切なポイントは、コンサルの仕事についてよく調べ、正確に理解してから転職することです。「年収が高い」や「かっこいい」だけの偏ったイメージを持ち、転職して後悔する人は少なからず存在します。たしかにメディアなどで取り上げられるコンサルを生業としている有名人を見れば、「自分もこのような人になりたい」と思うのも無理はないでしょう。
しかし、コンサルは地道な作業の積み重ねでクライアントの課題を解決する仕事なので、イメージだけで転職すると苦労する可能性が高まります。
コンサルティングファームとは、その名の通り、クライアント企業の課題解決を主な事業としている企業を指します。中立的な第三者の立場から、企業の経営状況や市場動向を見て冷静に判断し、提言できるため、クライアントはこれまで自社では見えなかった改善点に気付き、対処していくことが可能です。
またコンサルティングファームではポジション別に業務内容が異なるのが一般的です。若手人材がコンサル未経験で転職した場合、通常はアナリストからスタートします。1年~3年はリサーチや分析、資料作成などの業務が中心となり、期待した華やかさとのギャップに戸惑うことも多いでしょう。
数年かけてコンサルとしての基礎力が身に付いたら、ようやくクライアントへの提案や議論などを担当します。ひとつのプロジェクトをマネジメントするマネージャークラスになるまでには、少なくとも5年~7年の経験と努力の継続が必要です。
転職を検討する際にはきらきらと華やかで魅力的な部分だけを見るだけではなく、地道な作業やときには辛いこともあるのだと、大変な点もしっかり認識しておくことが大切です。


コンサルティングファームの種類と特徴を理解しておく
コンサルティングファームとひとことで言っても、さまざまな種類があり、求められる知識やスキルが異なります。転職する際にはファームの種類や特徴を理解しておきましょう。
多数の種類があるため、代表的なものをピックアップして紹介します。
総合系コンサルティング
あらゆる業界のクライアント企業に対し、戦略立案から、業務改善、ITシステムやツール導入にいたるまで、幅広くコンサルティングを行っているファームです。大規模な組織なので、多くのコンサルタントを抱えています。
戦略系コンサルティング
クライアント企業の経営陣が抱えるさまざまな課題を解決し、継続して優れた業績をあげられるよう、アドバイスを行っていくファームです。基本的に大企業がクライアントであり、プロジェクトも経営陣と共に経営戦略、新規事業戦略、M&A戦略などトップテーマを扱うことが多く見られます。
IT系コンサルティング
IT戦略策定や業務改革支援、システム導入支援などを行うファームです。中立の立場から、大企業のみならず、中小企業へのコンサルも行っています。DX推進の重要性がさけばれる昨今では、注目度が高く、ますます存在感が出てきているといってもよいでしょう。
医療・ヘルスケア系コンサルティング
大学病院や民間病院、介護施設、医薬品・医療機器メーカーなどの経営基盤を強化するため、専門的な視点からコンサルを行うファームです。業界や法制度、独自の慣例などに精通しており専門性の高いサービスを提供しています。
組織人事系コンサルティング
企業ビジョンや人事戦略の策定から、人事制度の立案、導入にいたるまで、人的リソースを活用して組織活性化につなげることを目的としたファームです。制度面のみならず、年金、福利厚生、人材開発など多種多様なテーマを取り扱うこともあり、働き方改革や業務効率化、生産性向上をめざしています。
キャリアアドバイザーに相談してみる
コンサルティングファームは多数の種類があるため、転職するのにあたり、どのファームが自分に合っているのか迷うこともあるでしょう。
そのような場合は、専門的な知識を持ったキャリアアドバイザーからアドバイスを受けることが有効です。PaceBoxは、ただ企業の紹介を受け身で待つのではなく、まずオンラインでキャリアアドバイザーに気軽に相談したうえで、条件に合った企業からのオファーを待つスタイルが特徴です。経歴が浅い場合も、キャリアアドバイザーが個性や行動特性などを洗い出し、自分自身では気付かなかった魅力を教えてくれるため、レジュメや職務経歴書への記入もスムーズに進むでしょう。
転職時にぜひキャリアアドバイザーの利用も検討してみましょう。
経験豊富なキャリアアドバイザーに相談するならPaceBox
コンサルに転職を希望する場合は、イメージだけで転職活動を進めるのではなく、業界の特性や仕事内容、ファームの種類などをしっかり調べることが大切です。コンサルへの転職にあたって、自分に合ったファーム選びに迷った場合は、ぜひPaceBoxのキャリアアドバイザー機能を活用してみてください。
